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くなったので、正極よりも負極の自己放電が生じやすく、充放電サイクルにおいて、
初期充放電時の負極のインターカレーション容量が100サイクル程度で消失し、かつ 正極のインターカレーションが増大するように正極と負極の充電状態のバランスが 変化した。その結果、充電末期の正極電位が高くなったことで正極での不可逆反応が 増大し、負極のインターカレーション容量を増大させるように正極と負極の充電状態 のバランスが変化した (図2-30)。負極のインターカレーション容量が増大した ことによって、充電に必要なイオンが消失したことでデュアルイオン電池の充電容量 の減少につながったと考える。
図2-30 デュアルイオン電池の充放電サイクルにおける正極および負極の充 電状態バランス変化のモデル
SOC 0% SOC 100%
Before cycles
After cycles (Case 1)
Potential
Battery capacity
□ Positive capacity
□ Negative capacity
─ Positive potential
─ Negative potential
PotentialPotential
After cycles (Case 2)
Capacity
Anion intercalated by side reaction
Li+intercalated by side reaction
1.8V 3.5V
1.8V 3.5V
1.8V 3.5V
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2.4 結論
デュアルイオン電池の充放電において、ガス発生および容量が減少するメカニズ ムを検討し、LTOを負極に用いたデュアルイオン電池の充放電サイクルにおける正極 および負極の充電状態のバランスおよび蓄電性能のサイクル依存性を評価した。その 結果、正極および負極の蓄電容量がほとんど初期容量を維持しているにもかかわらず、
正極および負極の充電状態バランスが変化することによって、デュアルイオン電池の 充電ができなくなることが分かった。また、安定した可逆性を持つと考えて適用した LTO負極の自己放電が、想定に反してグラファイト正極よりも大きいことが分かった。
デュアルイオン電池の充放電における陽イオンおよび陰イオンの移動の仕方を再 現できるようにグラファイト正極を対極に用いた LTO 作用極のサイクリックボルタ ンメトリーでは、LTOの酸化還元電位および繰り返しによる可逆性は乏しくなること が分かり、デュアルイオン電池におけるイオンの移動の仕方が負極の安定性に影響す ることが示唆された。
デュアルイオン電池の充放電における陽イオンおよび陰イオンの移動モデルを検 討した結果、充電時の負極近傍の陰イオンに対する陽イオンの濃度が増大することが 示唆され、これが負極近傍における電解液のルイス酸の強度を増加させることによっ て負極の自己放電やガス発生につながる酸化に影響していると推測した。即ち、デュ アルイオン電池の充放電サイクルにおけるガス発生を含めた不可逆反応を低減する ための方法の一つとして、負極近傍の電解液のルイス酸の強度を低減することが考え られ、次章でその検討結果を示す。
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第3章 LTO 負極を用いたデュアルイオン電池への LiBF4電解質の適用による
充放電サイクルにおけるガス発生およびサイクル特性向上
3.1 緒言
第2章で議論したように、正極活物質としてグラファイト、負極活物質としてLTO、
および電解質塩としてLiPF6を用いたデュアルイオン電池の自己放電および充放電サ イクルによって、負極での不可逆反応により、正極および負極の充電容量が変化し、
不可逆反応を起こしやすくなると同時に蓄電容量が低下することが分かった。また、
デュアルイオン電池の充放電におけるイオンの移動がロッキングチェア型でなく、正 極近傍および負極近傍の電解液のルイス酸の強度[1-5]が変化することが不可逆反応 を誘起すると推定した。
充放電におけるイオンの移動がデュアルイオン電池と類似する電気二重層キャパ シタ[6,7]の電解液は、PF6の四級アンモニウム塩の電位窓がBF4よりも広い[8,9]にも かかわらず、リチウムイオンキャパシタを除く電気二重層キャパシタの実用化には BF4塩[10-13]が用いられ、PF6塩はキャパシタへは利用されない。これは PF6-は熱的 安定性が低く[14-16]、また微量の水分の存在によって加水分解し、PF5およびF-を生 成する[17,18]ことが報告されており、これによりリチウムイオン電池や電気二重層 キャパシタが劣化しやすく、特に高温で長期的に安定して性能が維持されることが望 まれる電気二重層キャパシタでは、より安定したBF4塩[19]が選ばれるためである。
さらに第2章で議論したように、デュアルイオン電池の充放電における負極近傍での 電解液のルイス酸の強さを緩和することによって、負極の自己放電につながる酸化や ガス発生を伴う不可逆反応を抑制できると推測し、PC 溶媒におけるルイス酸の強さ がPF6-よりも弱いと報告されたBF4-[20-22]を陰イオンとして用いたデュアルイオン 電池を検討した。
そこで、電解質塩としてLiBF4を用いたデュアルイオン電池の充放電サイクルを測 定したところ、初期における蓄電容量は LiPF6に及ばないものの、自己放電は著しく
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抑制でき、1000 サイクルの充放電中に発生するガスがほとんど皆無であることを見 出した。本章では、正極活物質としてグラファイト、負極活物質としてLTO、および 電解液としてLiBF4 DMC 溶液およびLiBF4 PC 溶液を用いたデュアルイオン電池の充 放電における蓄電性能、電極電位の変化およびガス発生の比較によって、デュアルイ オン電池のガス発生および劣化メカニズムを解明することを試みた。
3.2 実験 3.2.1 正極
第2章2.2.1と同様の正極材料および方法で、スラリー塗布・乾燥・圧延して 正極塗布板を作製したのち、塗布板をサイズ20.0 mm × 50.0 mmに切り出し、乾燥 後の質量が0.06 g となるものを選別して使用した。正極および正極に含まれる活物 質の諸元を表3-1に示した。
表3-1 正極および正極に含まれる活物質の諸元
3.2.2 負極
第2章2.2.2にて述べた負極材料および方法で混錬したスラリーを、アルミニ ウム箔の両面に塗布・乾燥し、次いで負極塗布部の密度が1.5 g/cm3になるように圧 延することによって、負極塗布板を作製した。塗布板をサイズ20.0 mm × 50.0 mm に切り出し、乾燥後の質量が0.08 g となるものを選別し、アルミニウムリボン線を