2.6 電磁ノイズ抑制法
2.6.4 EMI フィルタ
チョークコイルにコンデンサを組み合わせ,フィルタを構成したのが EMI フィルタ
である[25]-[35]。EMIフィルタの構成例を図 2-16に示す。EMIフィルタはCMC,DMCと,
相間に挿入されるXコンデンサCx,各相と接地線間に挿入されるYコンデンサCyで構 成される。DMC は省略され,CMC の漏れインダクタンスで代替することがある。図 2-17にノイズ電流のバイパス経路を示す。(a)はDM ノイズ電流の経路であり,EMIフ ィルタによってノイズ電流が電源側に流出せず,Xコンデンサでバイパスされてインバ ータに戻る。(b)は CM電流の経路であり,EMI フィルタによってノイズ電流が電源側 に流出せず,Yコンデンサでバイパスされてインバータに戻る。
電源とインバータ間に EMIフィルタを挿入すると,電源に流出するCMノイズ電流 は低減できる。一方で,Yコンデンサでループのインピーダンスが低下するため,モー タ側を流れるノイズ電流は増大するという問題点がある。モータ側CM電流による放射 ノイズ増大と,モータ側接地線をCM電流が流れることにより電位差が発生し,新たな 電磁ノイズ源となる恐れがある。そのため,インバータ,モータ間に CMC を挿入し,
モータ側ノイズ電流を抑制する対策が行われ場合がある[69]-[74]。EMI フィルタでのノイ ズ対策例を図 2-18に示す。
モータ側に現れるCM電圧,CM電流を減衰させない場合の問題点として,電磁ノイ ズの他にベアリング電流によるモータベアリングの信頼性低下があげられる。モータ側 のCM電圧によりベアリング電流が流れ,電食が発生しベアリング破損を引き起こす恐 れがある。これを防ぐため,ベアリング電流抑制法の研究が行われている[75]-[81]。
1:1
C
周波数
インピーダンス
インピーダン ス低下
理想
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図 2-16 EMIフィルタの構成例
図 2-17 ノイズ電流のバイパス (a)ディファレンシャルモード (b)コモンモード
DMC CMC
Earth
Cy
Cx
Adjustable-speed AC motor drive
system
(a)
(b) DMC CMC
Earth
Adjustable-speed AC motor drive
system Cy
Cx
DMC CMC
Earth
Cy
Cx
Adjustable-speed AC motor drive
system
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EMIフィルタでは,次式で表されるカットオフ周波数fDM以上の周波数の,DMノイ ズが減衰する。
𝑓𝑓𝐷𝐷𝐷𝐷 = 1
2𝜋𝜋�𝐿𝐿𝐷𝐷𝐷𝐷𝐿𝐿𝑥𝑥 (2-3)
同様に,次式で表されるカットオフ周波数fCM以上の周波数の,コモンモードノイズが 減衰する。
𝑓𝑓𝐶𝐶𝐷𝐷 = 1
2𝜋𝜋�𝐿𝐿𝐶𝐶𝐷𝐷𝐿𝐿𝑦𝑦 (2-4)
式2-3,式2-4においてLDMはDMCのインダクタンス,LCMはCMCのインダクタンス である。Xコンデンサには,数μFのコンデンサが使用可能である。一方で,Yコンデ ンサは,漏洩電流の制限が存在するため,数十nF程度がコンデンサ容量の上限となる
[2]。よって,fDMとfCMを同程度の周波数にするためには,LCMはLDMの100倍程度の大 きさが必要となる。
また, 150 kHz以下の電磁ノイズに対応するためには,fDMとfCMをより低い周波数
に引き下げる必要があり,LDM,LCMを大きくしなければならない。これはCMC,DMC の大型化と高コスト化を招く。さらに2.6.3章で述べた巻線間寄生容量の問題と同様に,
MHz以上の,より高い周波数の電磁ノイズ抑制のためには,CMCの巻線密度を下げる 必要があり,CMCの大型化を招く。
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図 2-18 EMIフィルタとCMCによる電磁ノイズ対策例
Power supply Heatsink
Cable Cable Metal Case
InverterRectifier Cdc
Motor Earth
CMCCMCDMC CyCx
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