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鉄損の簡易測定

5.3 貫通型 PCC の試作と実験結果

5.3.3 鉄損の簡易測定

提案貫通型PCCにおける,CMトランスの鉄損を測定した。5.3.2章における実験時 条件と同じく,インバータの直流リンク電圧は565 Vとし,スイッチング周波数は100 kHzとしている。負荷としては,750 Wの汎用誘導電動機を無負荷状態で使用し,出力 基本波周波数は50 Hz,変調率を0.6としている。提案貫通型PCCをインバータに接続 し,モータケーブルを貫通させない状態(トランスとしては無負荷状態)の一相あたりの CMトランス励磁電流を測定した。同時にCMトランスの一つに1ターンの検出巻線を 設け,誘起電圧を測定した。電流,電圧はオシロスコープによる簡易的な測定である。

CMトランスコア内の磁界強度をH,励磁電流をi,コア内部を一周する円をCとす る。検出巻線には高インピーダンスのオシロスコープが接続されており,検出巻線を 流れる電流は無視できる。ターン数が3であるためアンペールの法則より

� 𝑯𝑯𝑑𝑑𝒍𝒍

𝐶𝐶 = 3𝑖𝑖 (5-14)

となる。コア内の磁界強度が位置によらず均等なHであるとすると,実効磁路長をlと して

CM Choke without filter Proposed

through-type PCC

100 𝐻𝐻=3𝑖𝑖

𝑙𝑙 (5-15)

となる。検出巻線の誘起電圧をv,検出巻線に鎖交する磁束をφとすると,検出巻線の ターン数は1であるためファラデーの法則より

𝑣𝑣=𝑑𝑑𝜑𝜑

𝑑𝑑𝑑𝑑 (5-15)

となる。よって,コア断面積をA,コア内の磁束密度が位置によらず均等なBであると すると,

𝐵𝐵=𝜑𝜑 𝐴𝐴= 1

𝐴𝐴 � 𝑣𝑣𝑑𝑑𝑑𝑑 (5-16)

となる。励磁電流iと検出巻線誘起電圧vより,式5-15,式5-16を用いて磁界強度 H と磁束密度Bを計算できる。図 5-9に基本波周波数50 Hzの一周期20 ms間の励磁電流 と検出巻線誘起電圧の測定結果を示す。

図 5-9 CMトランス励磁電流,検出巻線誘起電圧

Magnetizing current [A]Detection winding voltage[V]

Time [s]

101

図 5-9の測定結果に対し式5-15,式5-16を用いて基本波周波数50 Hzの一周期20 ms

間のB-Hカーブを得た。図 5-10に示す。スイッチング周波数100 kHz の一周期10 μs でB-Hカーブは一周する。CMトランス補償側巻線印加電圧のデューティ比が,基本波

周波数50 Hzの一周期20 msで変化するため,図 5-10は幅を持ったB-Hカーブとなっ

ている。5.2.1章で述べた通り,デューティ比が0.5の時磁束密度が最大となり,この時

は図 5-10の最外周のB-Hカーブとなる。磁束密度の最大値は0.9 Tとなっている。

B-Hカーブの一周面積は,一周する期間に消費される単位体積当たりのエネルギーで ある[99]。よって基本波周波数50 Hzの一周期20 msのB-Hカーブの面積を求め,CMト ランス一相分のコア体積Alを掛け,一周期20 msで割ると鉄損が求まる。数値計算に より一相あたりの鉄損は90 Wとなった。三相合計では 270 Wである。コア体積Alで 割った損失密度は2.6 kW/Lとなった。

図 5-10 B-Hカーブ 直流リンク電圧565 V時

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三相合計の鉄損270 Wは,試作機の対応するインバータ容量730 kVAの0.04 %以下 であり,インバータ効率に与える影響は非常に小さい。しかし,自然空冷の条件では損 失密度が大きく連続運転ができなかった。

そこで,最大磁束密度を低下させることで損失密度が低減可能か検討するために,イ ンバータの直流リンク電圧を565Vから400 Vに低下させた場合の鉄損を測定した。直 流リンク電圧565 Vの場合と同様に直流リンク電圧400 V時のB-Hカーブを算出した。

図 5-11に示す。最大磁束密度は0.65 Tである。一相あたりの鉄損は42 Wとなった。

三相合計では126 Wである。損失密度は1.2 kW/Lとなった。最大磁束密度を0.7倍に することで,損失密度を2.6 kW/Lから半分以下の1.2 kW/Lに低減できた。よって,直 流リンク電圧565 V時においても,コア断面積を1.4倍に増加させ最大磁束密度を0.65 T程度に減少させることで,損失密度の半減が可能である。実効磁路長を変えず,コア 断面積を1.4倍にするとコア体積も1.4倍になるため,鉄損合計は損失密度0.5倍と体 積1.4倍の積の0.7 倍に減少し,190 W程度になると考えられる。

図 5-11 B-Hカーブ 直流リンク電圧400 V時

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