接触面間の金属接触をほぼ完全に防止して、 面圧強さを著しく向上さ せることに成功した(5) (表3 - 2と図3 -5 )。
この時に達成された技術を更に発展させ て、 高圧領域のEHL油膜 のトラクション係数を明らかにすることができ た。 さらに、 実験困難 な P Jlesn与3.0GPa 以上の高圧領域のトラクション係数を本研究 で明らかにした 実験整理式で推定した。
3. 2 試験機と実験条件
実験に用い た動力循環式2円筒転がり試験機の主要部の平面図 を図 3-1に示す。この試験機は、九州大学で 設計されたものを佐賀大学で 少し設計変更して製作されたもので、 最大50 k Nの荷重を加えるこ とができる。この試験機は、 重荷重の下でも安定して試験ローラ間の EHL油膜の形成状態を確認しな がらトラクション係数を測定できる。
ローラ試験片の形状を図3-2に示す。この試験ローラには、三つの 特徴がある。(1)ローラの有効接触幅が10 mm である のに対して、 取 付部の厚さはその2. 5倍となっている。(2)テーパの取付け穴で すき 間なく軸に固定できる。(3)側面キーによって、負荷運転中の試験ロー ラ精度の低下およびキーみぞ底からの破壊を 防止している。
すべり率|σf I = 2 %以下の実験では、 動力循環用歯車の歯数比 を1にして、 1対の試験ローラに直径差を与え た。 試験ローラの材質 は、 クロムモリブテン鋼(SCM435またはSCM440) である。
焼入焼戻しによって、 ブリネル硬さHB与540とした後に、 接触面 はM社製の精密円筒研削盤でRJlsx与O.2μmの粗さに仕上げた。
試験油としては、 粘度の大きく異なる代表的潤滑油A,Cを選んだ。
潤滑油Aは、 非常に粘度が 高い潤滑油(600W Cylinder Oil)である。
円tanべυ
Power circu1ating gears
Universa1 coup1ings
円udnH 円ud ・ 、,
nHAU
-
--lo r
nvTl Fコ nu F'
a--zl
nu 円'lv
51 i p ri ngs
ρ』nμ nu rw ea
O Tl A⑤ω 戸」 udγ1 BGh
図3
-
1 バックアップロール式大型2円筒転がり試験機 (最大押付け荷重 5 0 k N)25
図3
-
2 一対の試験ローラ(すべり率の大きいとき〉また、 潤滑油Cは、 工作機械 をはじめ各種産業機械の歯車および軸受 などで使用される潤滑油(DTE Heavy Medium)である。 これらの試験 油の特性値を表3-1に示す〈付録参照、〉。 温度による粘度変化を大気 圧下で測定した結果を図3-3に示す。 大部分の実験は、 潤滑油を40
+ 10C (313+1 K)の温度に調節して、 試験ローラの接触部上部から
1. 5 Q / minの割合で直径7mm のノズルから供給した。 一部の実験で
油温を700C (343 K)とした。 潤滑油は供給する前に高性能フィルター を通過させて直径1μm以上の固体粒子を除去した。
表3 -1 試験に用いた潤滑油の性状
Test oil A C
Specific weight 15/4 oc 0.903 0.873 Viscosity @ 40 oc 371. 6 63. 34
Cmm2/s) @ 100 oc 28.9 8.58 Viscosity index
lndex αC1/GPa)
10000
♂1000
u
... 100
υ3 れJE50
+〉A、
tn
。 u tn
〉ー 5
0
VI 103 107
at 400 C 25. 8 21. 0
100 120
Temperature oc
図3 - 3 試験油粘度の温度による変化(大気圧下〉
39
Pしpupしpu
。。
。。
ハUハununu AU寸AUT寸/『,f m m m m nynynドnv r rr r
nunununu 「Jnu寸qvn斗
nO刈nTnonuT 可EB「1M可ls「ベJH
++++
Oil A 0.015
s-0 αコ
斗ーコ、
+-> 0.010
c: c:
ω 0
・r- .,...
ιJ+->
� � 0.005
斗- s...
<lJ s...
o 0
しJιJ
10 Load
30 P ( kN )
。。
試験ローラ軸受けなどの損失を補正する係数 図3-4
軸受損失などの補正
3. 2. 1
実測している駆動トルクには、 試験機のバックアッフローラなどの 従って、 試験ロー 軸受損失などに基づく損失トルクが含まれている。
前述の損失の影響を除く (=T/P)は、
ラ聞のトラクション係数μ 次式で計算した。
ため、
- ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・(3-1)
T 2 Tr
p - DP - f1.B
μ
P は1対 Tは試験ローラ外周における駆動力(接線力〉、
ただし、
Trはひずみゲージによって測 の試験ローラに加えた半径方向荷重、
μBは駆動ローラ軸と Dは試験ローラの直径、
定された駆動トルク、
バックアップローラ軸の摩擦損失を試験ローラ外周接触面の摩擦係数 μBは純ころがり状態で負荷試験を に換算した等価摩擦係数である。
本実験に 行なったとき得られる摩擦トルクから近似的に計算できる。
本研究で問題 用いた試験機のμBの計算値は図3-4のようになった。
にしている高圧領域ではトラクション係数の値が大きいので、 駆動ロ
ーラ軸などの摩擦損失を補正する摩擦係数μBがトラクション係数に 及ぼす影響は少ない。
3. 3 実験結果
ローラ接触面の動力伝達能力は、 接触圧力が高くなる程大きくなる が、 接触圧力がある限界値(面圧強さ〉を越えると、 ローラを構成す る材料が疲労破壊してしまう。 ローラと歯車を組合せたハイブリッド 形変速機を設計 ・ 製作する時には、 最大トラクション係数μ皿8Xと 接 触面の面圧強さを特に考慮、する必要がある。 なお、 面圧強さ(ピッ
チングの生じない限界の接触圧力〉は、 一般に最大ヘルツ圧力P皿8X で表すことが多いので、 実験結果はP1I8Xで整理することにする。
試験油Cを用いて行なった高圧領域におけるローラの耐久試験の主 な実験結果を表3-2と図3-5に示している( 5)。 従来の研究で明ら かにされていないP1I8X = 2 . 0 G P a以上の圧力では、 接触面聞に完
全なEHL油膜を安定して形成させるのは簡単ではない。 例えば、 接 触面の面圧強さを大きくするために Hv=700以上の硬さに浸炭硬化し た鋼ローラを用いれば、 接触面に十分のEHL油膜が確保できない。
また、 なじみ性の良いHB=5 0 0 以下の硬さの鋼を使用すればP1I8X
=2. 2GPa程度で試験ローラが疲労破壊した。 本研究では、 ずぶ焼 入・焼戻しを行なった後に、 精密研削仕上したクロムモリブテン鋼ロー ラ(HB匂54 0 )を用いることによって、 P118X = 2 . 6 G P aまで のEHL油膜のトラクション係数の測定に成功した。
図3- 6,...,図3-8は、 潤滑油AとCのトラクション係数が圧力とす べり率によって、 どのように変化するかを示す。 試験ローラ間の接触 圧力は、 最大ヘルツ圧で P118X = 0 . 8 2 G P a (83. 7 kgf / mmつか ら2 . 6 G P a (265 kgf / mmつまで変化させた。 図3 -6と図3 - 8 を比較すれば分かるように、 供給される潤滑油の粘度が約6倍も異な っていても、 トラクション係数には、 あまり差の現われないことが分
- 41
表3 - 2 耐久試験の主な実験結果と実験条件など
No. Hardness Roughness
Load Plllax Revo・ P1ts
of HB (lIv) �同制 1 ut1 ons
Exp. Or1.1 Fo1. Or1.1 Fo1. kN MPa Nz
(1) (800) 550 2.5 2.5 10.6 1500 13 X 106 Pits*
(2) (800) 520 3.0 3.0 18.9 2000 0.8x106 P1ts*
(3) 525 525 3.0 3.0 18.9 2000 6.5x106 P1ts * (4) (800) 550 0.2 3.0 18.9 2000 10 x 106 No (5) 385 385 0.2 0.2 17.0 1900 llx106 No (6) 500 500 0.3 0.2 25.0 2300 10 X 106 No (7) 430 430 0.2 0.2 15.3 1800 11 x 106 No (8) 395 395 0.2 0.2 17.0 1900 11 x 106 No
(9) 450 450 0.1 0.1 17.0 1900 10 x 106 No (10) 445 445 0.15 0.15 18.9 2000 10 x 106 No
(11 ) 440 440 0.2 0.2 19.8 2050 O. 2x 106 P1ts*
(12) 445 445 0.2 0.2 20.8 2100 0.2x106 Pits*
(13) 475 475 0.2 0.2 22.8 2200 llx106 No
(14) 470 470 0.2 0.2 25.0 2300 11 x 106 No ( 15) 500 520 0.2 0.2 27.2 2400 10 X 106 No (16) 545 545 0.2 0.2 27.2 2400 10 x 106 No ( 17) 510 510 0.2 0.2 28.1 2440 10 X 106 No (18) 515 515 0.2 0.2 28.3 2450 10 x 106 No (19) 555 555 0.2 0.2 29.5 2500 10 X 106 No (20) 515 510 0.2 0.2 30.9 2560 10 x 106 No 8.6x106 *合
(21 ) 520 520 0.2 0.2 29.5 2500 Pits
6.9xl06 *合
(22) 565 565 0.15 0.2 31. 9 2600 P1ts
(23) 580 580 0.2 0.2 31.9 2600 7.0x106 P1t*s 合 1.1x106 * *
(24) 565 565 0.2 0.2 37.0 2800 Pits
ロ5) I (醐)
寸
210.2118.912叩o -1
NO(26) 1(800)150010.21 0.2125.012300 11.0x1061 Pits*
σb
g h
n11 .l,剖
・・μ ny p s ψAγ ψAT
ψAT
0.8 0.7
o i 1 C, HB' = 9.
8
HBRef. [3J[4J