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Fig. 2-3 Outline of ACE-MAT unit

&DWKRSSHU

1

$LU

5HDFWRU

38 2-4-2.キャラクタリゼーション

2-4-2-1.磨耗強度

第一章で述べたように、FCC触媒は装置内を循環し、再生、反応を繰り返しているため、

装置管壁および触媒同士との磨耗が生じる。その際、機械的強度を意味する磨耗強度が優 れない場合、触媒形状の崩壊に伴い、装置系外へ触媒が飛散し、触媒投入量が増加する懸 念がある。また、生成物の蒸留セクションであるフラクショネーターに持ち込まれた触媒 はSLOなどの重質な生成物へ混入し、製品規格に抵触する懸念も想定される。そこで、ラ イザー移動時を想定し、規定量の触媒を 15m/sec 加湿窒素の流通下で触媒同士および管壁 と接触させ、その際の飛散した触媒量を回収することで、飛散した触媒割合を元に磨耗強 度を算出した7)。磨耗強度は値が低いほど飛散した触媒量が少ない、すなわち機械的強度が 高いことを意味する。

2-4-2-2.N2吸着

本検討ではFCC触媒の主活性成分であるゼオライトを安定化させることで、分解活性向 上を図った。ゼオライトの安定性が向上した場合、ゼオライト結晶構造が残存し、強制劣 化処理後も表面積が維持されると考えられる。

そこで、新触媒および強制劣化処理後のサンプルを用い、日本ベル株式会社製 Bellsorp miniⅡにて測定を行った。飽和蒸気圧は実測とし、吸着ガス非理想性補正を実施し、第二 ビリアル係数を-4.328×10-7Pa-1とし、吸着量を測定し、t-plot法にて表面積を算出した。

2-4-2-3.XRD

ゼオライトの安定性向上に伴い、強制劣化処理後もゼオライト結晶構造および分解活性

39 点が残存していると考えられる。

そこで残存しているゼオライト量の指標として結晶化度、分解活性点であるAlの数の指標 として格子定数に着目した。結晶化度および格子定数は、ASTM D 3942-97 に準拠し、

Rigaku社製UltimaⅣを用い測定、解析を行った。

2-4-2-4.29Si MAS NMR

本検討ではリン源の添加によるゼオライトの水熱劣化の抑制を指向していることから、

調製したサンプルを 2-4-1-1 項で延べた水熱劣化処理のみを行ったモデル触媒を調製した。

各 水 熱 劣 化 処 理 後 の サ ン プ ル を 用 い 、29Si MAS NMR (日 本 電 子 株 式 会 社 製

JNM-ECA-400) 測定を行い、ゼオライト結晶構造の詳細解析を行った。測定方法はシング

ルパルス測定、プローブは7.5mmφMASプローブ、MAS速度は5kHz、測定温度は室温、

外部標準はポリジメチルシラン、パルス幅は33o、繰り返し時間は200秒、積算回数は360 回として測定を行った。また、スペクトルの波形分離解析を行い、各成分のシグナル面積 比を算出するとともに下式を元にSi/Al比を算出した8

(Si/Al)NMR = ( )

4 0

4 0 )

(

/ 4

nAl

n n

Si nAl

Si

n A

A

 

2-5.実験結果および考察 2-5-1.リン源添加効果

リン源の添加効果を検討するため、Table2-2に示したサンプルを用い、同一触媒/原料油 比において活性評価を行った結果をFig. 2-4に示す。Fig. 2-4より、リン酸、リン酸アルミ ニウムを添加した場合、基準触媒に比べ、Conversionが低下した。一方、第一リン酸アル ミニウムを添加した場合は、基準触媒よりもConversionが向上した。なお、触媒/油 比を

40 変更した場合においても同様の傾向を確認した。

一方、Fig. 2-5 に弊社製油所より採取した平衡触媒において、結晶化度及び格子定数が

Conversionに及ぼす影響について整理した結果を示す。同一格子定数において結晶化度が

高いほど、同一結晶化度において格子定数が高いほど分解活性が高い傾向にあることを見 出している。Fig. 2-4および2-5より、[Al-P]を配合することにより、ゼオライトの安定性 が向上し、結晶化度、格子定数が強制劣化処理後も維持されていると考えられる。また、

結晶化度が高い場合、ゼオライトの結晶構造が残存していることから、表面積にも変化が みられると考えられる。そこで、N2吸着およびXRDを用い、相対表面積をFig. 2-6、結晶 化度をFig. 2-7、格子定数をFig. 2-8に示す。なお、相対表面積は新触媒のBase(基準触 媒)の表面積を100とした際の表面積を意味する。

また、リン源を添加した際には触媒としての物理性状へ影響を及ぼすと考えられること から、本検討では摩耗指数測定を行い、その結果をTable2-3に示す。

Fig. 2-6より、新触媒における表面積はいずれのリン源を用いた場合でもほぼ同等である

ものの、強制劣化処理後はリン酸およびリン酸アルミニウムを用いた場合は基準触媒に比 べ、表面積が低下し、[Al-P]を添加した場合のみ基準触媒以上の表面積を示すことを確認し た。一方、Fig. 2-7より、表面積同様にいずれのリン源を用いた場合でも新触媒においては ほぼ同等の結晶化度を有しているが、リン酸およびリン酸アルミニウムを添加した場合は 結晶化度が基準触媒に比べ低下しているのに対し、[Al-P]を添加した場合は結晶化度が高く なることが分かった。また、Fig. 2-8より格子定数は、基準触媒に比べ、[Al-P]を添加した 場合のみ、基準触媒よりも格子定数が高く、強制劣化処理後もゼオライト骨格構造中に分 解活性点となるAlがより多く残存している。新触媒において表面積および結晶化度が同等 であることから、いずれのリン源添加時においてもゼオライト結晶構造の溶解はないと考 えられる。しかしながら、リン酸、リン酸アルミニウムは[Al-P]に対し、FCC 触媒調製条

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件下においてはゼオライトとの相互作用が弱く、十分にゼオライト安定性向上効果が得ら れないため、分解活性の向上効果が得られなかったと考えられる。

Table2-3 に示した各リン源を添加した際の摩耗強度測定結果より、リン酸およびリン酸

アルミニウムを添加した場合、基準触媒に比べ、摩耗強度の値が高く、物理的強度が弱か った。リン酸、リン酸アルミニウムを添加した場合、バインダーの結合力を阻害したため、

摩耗強度が悪化したと推察される。一方、第一リン酸アルミニウムは、前述のように従来 高炉補修剤や歯科鋳造などの結合材に用いられていることから、リン酸、リン酸アルミニ ウム結合力が高く、その結果、基準触媒と同等の摩耗強度が得られたと考えられる。

以上の結果より、[Al-P]を配合した場合のみ、分解活性向上効果が得られ、かつ、磨耗強 度が維持されることを見出し、[Al-P]を新規マトリックス成分として採用した。

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Fig.2-4 Comparison of Catalytic Activities with Various Phosphoric Compounds Cat/Oil ratio : 5

Base Sample2 Sample3

Con ver sion / mas s% Base

+5

-5

-10

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