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Fig. 4-7 Comparison of performance of different catalysts (a) LPG yield, (b) SLO yield

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Fig. 4-8 Catalyst performance when additive is added to each catalyst (a) LPG yield, (b) SLO yield

6 7 8 9

Al-P containing

Catalyst RE 1% RE5%

SLOYield/ vol%

Base +1 +2 (b)

Al-P

RE 1% RE 5%

Al-Pcontaining Catalyst +Additive RE 1% + Additive RE 5% + Additive

LPGYield/ vol%

18 20 22 24 26 28 30

Al-P containing

Catalyst RE 1% RE 5%

Al-P RE 1% RE 5%

(a)

Al-Pcontaining Catalyst +Additive RE 1% + Additive RE 5% + Additive

+10

Base +2 +4 +6 +8

Base -0.5 -1.0 -1.5

PropyleneYieldwith Additive/ vol%

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Table4-3 Olefin content of gasoline fraction formed over each catalyst (units: vol%)

Al-P containing

Catalyst RE 1% RE 5%

Base +0.1 -13.2

98 4-5.結論

今後、FCC 装置では従来のガソリン留分の生産及び重質留分の削減に加え、石油化学基 礎原料のひとつであるプロピレンの製造が求められており、運用環境に合わせ、プロピレ ン・ガソリンのフレキシブルに製造する必要がある。本検討ではプロピレン増産を指向す るため、ZSM-5 を含んだアディティブと呼ばれる触媒粒子を混合することでプロピレン増 産を指向した。その結果、アディティブによりガソリン留分中のC6~C9のオレフィン分が 主にLPG留分であるC3、C4に変換されていることを確認した。また、FCC触媒との組み 合わせを検討した結果、[Al-P]を配合した触媒を運用することでアディティブ配合時におい てもLPGがより増産され、かつ、SLO収率の増加を抑制することができることが明らかと なった。これは[Al-P]を配合した触媒は第二、三章で述べたように水素移行反応が促進され ず、ガソリン留分中にアディティブが分解する原料となるオレフィン分が多く含有されて いるため、LPG 留分が増産されたと考えられる。また、ゼオライトの安定性向上に伴い、

重質留分の分解が進行したため、SLO収率の増加が抑制されたと考えられる。

以上の結果より、[Al-P]を配合した開発触媒は石油化学基礎原料のひとつであるプロピレ ンを増産した運用にも有効であることを見出した。

99 4-6. 引用文献

1) 資源エネルギー庁 HP http;//www.enecho.meti.go.jp 2) 経済産業省 製造産業局 HP,

http://www.meti.go.jp/statistics/tyo/seidou/result/ichiran/02_kagaku.html

3) Encyclopedia of Chemic[Al-P]rocessing DOI:10.1081 / E –E CHP -120037901 4) UOP LLC, A Honeywell Company HP

5) Liu Yujian, Long Jun, Tian Huiping, Xu Yun, Zaho Liuzhou, China Petroleum Processing and Petrochemical Technology, 13 1, (2011) 1-5

6) T.E.Johonson, NPRA.AM, 1993, Page51

7) M.A.Silverman, ‘石油精製プロセス技術の最近の進歩’ 石油学会, 1994 8) A.S.Feinberg, ‘石油精製プロセス技術の最近の進歩’ 石油学会, 1994 9) R. Hamada, Shokubaikasei Gihou, 22, (2005) 91-99

10) W.W.Kaeding, S.A.Butter, J. Catal., 158 (1980) 279-287

11) J.C. Védrine, A. Auroux, P. Dejaifve, V. Ducarme, H. Hoser, S. Zhou, J. Catal., 73 1, (1982) 147-160

12) Y. Sun, S.M. Campbell, J.H. Lunsford, G.E. Lewis, D. Palke, L.M. Tau, J. Catal., 143 1, (1993)

32-44

100 第五章 総括

本研究では、現在の石油精製プロセスにおいて重質留分をガソリンなどの軽質留分へ変 換する、極めて重要な役割を担う流動接触分解(Fluid Catalytic Cracking:FCC)に用いる FCC触媒の更なる性能改善を指向すべく、新規マトリックス成分の探索を行い、その結果、

第一リン酸アルミニウム([Al-P])を見出した。また、[Al-P]を配合した開発触媒を商業FCC 装置にて実運用し、運用面及び触媒性能の確認を実施した。更に、[Al-P]を配合した開発触 媒の更なる応用展開として、プロピレンに代表される石油化学基礎原料(ライトオレフィ ン)の増産検討を実施した。

第一章では、序論として石油精製プロセスにおけるFCCプロセスの歴史的背景等、現在 の位置づけや役割について述べた。続いて、FCC プロセスの概要について説明し、本プロ セスの触媒の主活性成分として用いられているUSYゼオライトの主な特徴について述べた。

次に、商業FCC装置におけるFCC触媒の劣化要因として、水熱劣化およびメタル劣化の 機構について述べるとともに、現行技術での対応策である希土類金属配合時の課題につい てまとめた。

第二章では、現行技術である希土類金属の課題を解決し、かつ、商業FCC装置での運用 を考慮した触媒設計についてまとめ、本研究では新規触媒原料として、新規マトリックス 成分の配合による課題解決を試みた。続いて、新規マトリックス成分として、ゼオライト 安定性に寄与すると多数の報告がなされているリン源に着目し、リン化合物の添加効果を 検討した。FCC触媒は1基あたり数ton/日投入されることから、安価、安定的に大量に供 給可能であり、かつ、触媒物性の担保および触媒活性の改善が可能なリン源として、第一 リン酸アルミニウム([Al-P])を見出した。また、[Al-P]の配合に伴う分解活性向上要因に ついて検討した結果、水熱劣化を抑制し、その結果、ゼオライトの結晶構造および分解活 性点が残存し、分解活性が向上することが示された。更に、現行技術である希土類金属と

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[Al-P]の添加効果を比較した結果、同一配合量において[Al-P]は希土類金属に対し、分解活 性が向上し、かつガソリン留分のオクタン価が高いことを見出した。希土類金属はUSYゼ オライト細孔内に導入され、酸強度を高めるため、オレフィンとの親和性が高い結果、オ クタン価が低下する水素移行反応が促進されるのに対し、Al-P は分子サイズが大きく、ゼ オライト骨格内に存在できず、また、既往の研究より酸強度を弱めると考えられることか ら、希土類金属のようにオレフィンとの親和性が高まらないため、水素移行反応が抑制さ れたと考えられる。

第三章では、[Al-P]を配合した開発触媒を商業FCC装置で運用した結果について述べた。

商業FCC装置では、運転変動により触媒性能が大きく変化するため、原料油の密度、処理 量、触媒/油 比を極力一定となるよう運用を行った。開発触媒を運用開始直後から置換率が 80%程度になるまで、触媒の循環性は従来使用していた触媒と同等であり、運用上問題ない ことを確認した。また、開発触媒に切り替え、分解活性およびガソリン収率が向上し、ガ ソリン留分のオクタン価が改善する傾向を確認した。商業FCC装置においては様々な運転 変動があることを鑑み、同一条件下での触媒性能を確認すべく、商業FCC装置より平衡触 媒を採取し、ベンチプラントにて評価を行った結果、商業FCC装置と同様の傾向を示して おり、開発触媒の高分解活性かつ、ガソリン留分のオクタン価向上効果が裏付けられた。

第四章では、[Al-P]を配合した開発触媒の石油化学基礎原料増産に関する検討を実施した。

まず、今後のFCC装置のニーズとして、従来のガソリン留分の製造、重質な燃料油の削減 に加え、ガソリン、プロピレンを含むLPGのフレキシブルな製造が求められていることに ついて、燃料油およびプロピレンの需要動向を元に纏めた。更にFCC装置におけるプロピ レン増産方法として、装置の増改造、運用面および触媒面からのアプローチについて述べ た。本研究ではガソリン、プロピレンを含むLPGのフレキシブルな製造を目的に、アディ ティブと呼ばれる別粒子の配合によるプロプレン増産について検討を行った。まず、FCC 触媒、アディティブおよびFCC触媒とアディティブの混合サンプルの触媒性能を行い、LPG

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留分の増産のためにはFCC触媒とアディティブの混合が重要であることを確認した。次に アディティブ添加量が生成物収率に及ぼす影響を確認した結果、アディティブ添加量に伴 い、ガソリン留分がLPG留分へ変換されるため、ガソリン収率が低下し、LPG留分が増産 されることを確認した。加えて、重質留分の分解を担う FCC 触媒の割合が低下するため、

SLO 収率が増加する傾向を確認した。また、アディティブ配合時のガソリン留分の組成変 化を検討した結果、主にC6~C9留分のオレフィン分がLPGへ変換されることを見出した。

以上の検討結果を踏まえ、希土類金属量の異なる触媒と[Al-P]を配合した開発触媒の石化基 礎原料増産検討を実施した結果、開発触媒は希土類金属を配合した触媒に比べ、高LPG収 率かつ低SLO収率を示すことを見出した。第三章で述べたように開発触媒はゼオライトの 安定性向上に伴い、SLO 収率が低く、かつ、水素移行反応を抑制しているため、ガソリン 留分中のオレフィン含有量が多いためと考えられる。

以上のように、本研究ではFCC装置で求められている、高分解活性およびガソリン留分 のオクタン価向上を目的に、新規マトリックス成分として第一リン酸アルミニウム([Al-P])

を見出し、かつ、商業FCC装置でも上記ニーズを達成可能であることを確認した。加えて [Al-P]を配合した触媒は希土類金属を配合した従来触媒に比べ、プロピレンに代表される石 油化学基礎原料(ライトオレフィン)の増産に適していることを見出した。今後、[Al-P]

とゼオライトの相互作用の機構や酸性質の変化など検討すべき項目はあるが、本研究で得 られた成果が、今後のFCC触媒の開発などの研究開発、さらには石油精製技術の発展に多 少なりとも貢献することとなれば、研究開発に携わる者としてこの上ない幸甚である。

以上

<Appendix>本研究に関する研究発表

(1)本論文を構成する報文

1. Y. Saka, N. Chiyoda, K. Watanabe, “Effect of mono aluminum phosphate as new matrix component on cracking performance of FCC catalyst”, Jpn. Petr. Inst., 58 (1), 40–45 (2015).

2. Y. Saka, N. Chiyoda, K. Watanabe, “Effect of catalytic stability enhancement with mono aluminum phosphate and performance in commercial FCC unit”, J. Jpn. Petr. Inst., 58 (5), 285–292 (2015).

3. Y. Saka, N. Chiyoda, K. Watanabe, S. Inagaki, Y. Kubota, “Effect of monoaluminum phosphate as a new matrix component on cracking performance of FCC catalyst with or without ZSM-5 additive”, J. Jpn. Petr. Inst., submitted for publication.

(2)その他参考となる報文

1. S. Inagaki, K. Nakatsuyama, Y. Saka, E. Kikuchi, S. Kohara, M. Matsukata, “Elucidation of medium-range structure in a dry gel forming *BEA-type zeolite”, J. Phys. Chem. C, 111 (28), 10285–10293 (2007).

2. S. Inagaki, K. Nakatsuyama, Y. Saka, E. Kikuchi, S. Kohara, M. Matsukata, “Changes of intermediate-range structure in the course of crystallization of zeolite beta”, Micropor. Mesopor.

Mater., 101 (1-2), 50–56 (2007).

3. S. Inagaki, K. Nakatsuyama, Y. Saka, E. Kikuchi, S. Kohara, M. Matsukata, “Indication of successful crystallization of dry gel into *BEA-type zeolite”, Chem. Lett., 35 (12), 1370–1371 (2006).

(3) 特許

1. 特許05392150号 (2013. 10. 25)(特開2010-247146 接触分解触媒及びその製造方法なら びに炭化水素油の接触分解方法)

2. 特許05445779 号 (2014. 01. 10)(特開2011-088136 炭化水素油の接触分解触媒及びその 製造方法,並びに炭化水素油の接触分解方法)

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