第 5 章 端末側によるデータレートに応じ て再送機能を制御する⼿法て再送機能を制御する⼿法
5.7 実験結果
5.7.2 Cubic , Westwood , Vegas との⽐較
図5.18にCubic TCP,TCP Vegas,TCP Westwoodがネイティブの802.11nと共に使
⽤された場合の結果を⽰す.追加遅延は存在しない.図5.18(a)は平均遅延を⽰している が,Westwoodの遅延は⼤きくBufferbloat問題を引き起こしている.Vegasは,どのデー タレートに対してもRTTが10msを上回ることはなく,RTTの抑制に効果を上げている.
図5.18(b)では平均輻輳ウィンドウを⽰す.Westwoodはデータレート全域において Cubicを上回る平均値であるのに対して,Vegasは⾮常に低い値である.図5.18(c)では平 均スループットを⽰す.WestwoodはCubicと変わらない結果となっているが,他⽅Vegas は,全域において⾮常に低いスループットを記録している.Vegasの遅延ベースによる輻 輳制御が遅延の変動に敏感であり,その結果,図5.18(b)にみられた通り輻輳ウィンドウ が開かれずに,スループット低下を引き起こしてしまったものと考えられる.
図5.19に,ブリッジに疑似遅延100msを追加して実験を⾏った結果を⽰す.図5.19(a),
図5.19(b),図5.19(c)はそれぞれデータレートに応じた平均RTT,平均輻輳ウィンドウ,
平均スループットの値となっている.Westwoodは,先ほどの遅延なしの状態とほぼ同 様の傾向を⽰している.Vegasは先ほどの結果と少々の違いがある.図5.19(a)にて同様 にデータレート全域にてRTTの抑制している様⼦が⾒られるが,図5.19(b)において著 しく低かった輻輳ウィンドウは広がりを⾒せており,図5.19(c)においても他のCubic,
Westwoodとのスループットの差は狭まっているが,依然としてスループット低下がみら
れる状態である.
以上の結果をまとめる.
• TCP WestwoodはCubic TCPと同様の傾向を⽰しており,Bufferbloat問題に対し て効果はない.
• TCP Vegasはデータレート全域にてRTTを抑制するが,同時にスループットの悪
化がみられ,その影響は追加遅延が存在しないときに顕著である.
5.8 まとめ
本章では端末側による提案⼿法の詳細な設計を⾏った.さらに評価を⾏い,提案⼿法
1 10 100 1000 10000
10 100
Average Round-Trip Time (ms)
Average Data Rate (Mbps) cubic vegas westwood
(a) 平均RTT対 平均データレート
0 100 200 300 400 500 600 700 800 900 1000
0 50 100 150 200 250
Average Congestion Window Size (segments)
Average Data Rate (Mbps) cubic vegas westwood
(b) 平均輻輳ウィンドウ 対 平均データレート
0 20 40 60 80 100 120
0 50 100 150 200 250
Average Throughput (Mbps)
Average Data Rate (Mbps) cubic vegas westwood
(c) 平均スループット 対 平均データレート
図 5.18: Cubic,Vegas,Westwoodの⽐較結果(追加遅延なし)
1 10 100 1000 10000
10 100
Average Round-Trip Time (ms)
Average Data Rate (Mbps) cubic vegas westwood
(a) 平均RTT対 平均データレート
0 100 200 300 400 500 600 700 800 900 1000
0 50 100 150 200 250
Average Congestion Window Size (segments)
Average Data Rate (Mbps) cubic vegas westwood
(b) 平均輻輳ウィンドウ 対 平均データレート
0 20 40 60 80 100 120
0 50 100 150 200 250
Average Throughput (Mbps)
Average Data Rate (Mbps) cubic vegas westwood
(c) 平均スループット 対 平均データレート
図 5.19: Cubic,Vegas,Westwoodの⽐較結果(追加遅延100ms)
がネイティブやCoDelと⽐較して同様のスループットを得ながらも,遅延悪化を抑制し ていることを⽰した.また,CoDel⽅式においては,⾼い無線データレートの場合はパ ケット損失が多く,TCP Renoのように輻輳ウィンドウが穏やかに拡⼤される輻輳制御ア ルゴリズムではスループットが低くなることを⽰した.さらに,TCP WestwoodやTCP Vegasについても実験を⾏い,TCP WestwoodはBufferbloat問題に対して効果はないこ
と,TCP Vegasは無線データレート全域にてRTTを抑制するがスループットの悪化がみ
られることを⽰した.