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Figure 3-18. Concentration of volatile aroma compounds present in DMW20 after fermentation.

Error bars represent standard deviation (n = 3) split by GC. n-propyl alcohol = 1-propanol, isobutyl alcohol = 2-methyl-1-propanol, isoamyl alcohol = 3-methyl-1-butanol, isoamyl acetate

= 3-methylbutyl acetate

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本研究で用いた酵母と同じ、K. marxianusでホエイ由来アルコール飲料を発酵した先行 研究と比較することとした (Javier Parrondo et al., 2000)。n-プロピルアルコールにおいて は、先行研究では20–30 mg/Lであったのに対し、本研究では31.86 mg/Lであった。イ ソブチルアルコールにおいては、先行研究では35–45 mg/L であったのに対し、本研究

では132.95 mg/Lであった。イソアミルアルコールにおいては、先行研究では60–80 mg/L

であったのに対し、本研究では101.56 mg/Lであった。先行研究では、限外ろ過したホ エイ液を用いており、濃縮はしていないため、初期ラクトース濃度は4.5% w/v 程度で あった (Javier Parrondo et al., 2000)。本研究では、初期ラクトース濃度が16% w/v程度 であり、香気成分の前駆体となりえるアミノ酸濃度も高いと判断できるため、上記の香 気成分量が先行研究より多かったと考えた。

次に、副原料を用いずに、ケフィアグレインを用いて発酵させた先行研究と比較するこ ととした (Karina Teixeira Magalhães et al., 2011)。先行研究における各香気成分の終濃度 は、アセトアルデヒドで5.98 mg/L、n-プロピルアルコールで2.44 mg/L、イソブチルア ルコールで10.51 mg/L、イソアミルアルコールで5.91 mg/L、酢酸エチルで8.27 mg/Lで あった。一方で、本研究では、アセトアルデヒドで4.71 mg/L、n-プロピルアルコールで

31.86 mg/L、イソブチルアルコールで132.95 mg/L、イソアミルアルコールで101.56 mg/L、

酢酸エチルで39.25 mg/Lであった。この先行研究でも、初期ラクトース濃度が46 g/Lと なるようにホエイ発酵培地を調製している (Karina Teixeira Magalhães et al., 2011)。初期 ラクトース濃度が本研究より低いため、香気成分も低くなったと推測できるが、K.

marxianus のみで発酵させた方が、ケフィアグレインを用いるより、香気成分の濃度が

高くなることが示唆された。アセトアルデヒドの濃度は同程度の低さであり、香りの好 ましさに大きな悪影響を及ぼさないと考えた。アセトアルデヒドは、高い濃度で強い刺 激性の香りを飲料に付与する (Geroyiannaki et al., 2007)。

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また、Suzuki氏らによって、野生酵母によるビールの香気特性が評価されている (Suzuki

et al., 2016)。野生酵母 (KADOYA1) で醸造したビールには、イソブチルアルコールが

20.5 mg/L、イソアミルアルコールが65.9 mg/L、2-フェニルエチルアルコールが23.1 mg/L、

酢酸エチルが 42.5 mg/L、酢酸 2-フェニルエチルが 0.248 mg/L の濃度で含まれている (Suzuki et al., 2016)。本研究の発酵飲料には、これらの香気成分が同等かそれ以上に含ま れている。KADOYA1を用いて醸造したビールは実際に販売されていることから、本研 究で開発した発酵飲料においても、酵母によって生産された香気成分の濃度に関しては 十分な量を含んでいると言える。

Dragone氏らの報告に、香気成分の臭気閾値とその香気成分がどのような香りがするか

がまとめられている (Dragone et al., 2009)。アセトアルデヒドの閾値は25 mg/Lでナッ ツ・シェリー様・青葉様の香り、n-プロピルアルコールの閾値は750 mg/L、イソブチル アルコールの閾値は65 mg/Lでアルコール・バナナ・薬剤・溶媒・マニキュア液の香り、

イソアミルアルコールの閾値は7 mg/Lでアルコール・バナナ・薬剤・溶媒・ほのかに 甘い・芳香性・チーズの香り、2-フェニルエチルアルコールの閾値は7.5 mg/Lでバラ・

ほのかに甘い・香水の香り、酢酸エチルの閾値は12.3 mg/Lで溶媒・フルーツ様・マニ キュア液の香り、酢酸2-フェニルエチルの閾値は650 mg/Lでバラ・ハチミツ・リンゴ・

ほのかに甘い・花の香りがするとされる (Dragone et al., 2009)。本研究で臭気閾値を超 えた香気成分は、イソブチルアルコール (132.95 mg/L)、イソアミルアルコール (101.56

mg/L)、2-フェニルエチルアルコール (18.24 mg/L)、酢酸エチル (39.25 mg/L) であった。

よって、本研究で開発した発酵飲料において、フルーツや甘い香りなどの好ましい香り を有する可能性がある一方で、溶媒やマニキュア液などの飲料として好ましくない香り を有することが示唆された。香りの好ましさには、様々な香気成分が複雑に関係してい ると考えられ、同定・定量していないホエイ由来の香りの影響もあると推測できる。よ って、トレーニングした評価パネルによる分析型官能評価を実施して、開発した発酵飲 料の香りの特性を評価する必要がある。また、官能評価の結果と香気成分の定量結果を 用いて主成分分析をおこなうことで、より詳細な官能特性の評価が可能である。

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次に、それぞれの香気成分の生成経路について述べる。アセトアルデヒドは様々な経路 から生成され、ピルビン酸が α-カルボキシラーゼによってダイアセチルとアセトアル デヒドに変換される経路、スレオニンがスレオニンアルドラーゼによってアセトアルデ ヒドとグリシンに分解される経路、アルデヒドデヒドロゲナーゼによってアセチルCoA から生成される経路などがある (Karina Teixeira Magalhães et al., 2011; Zourari, Accolas, &

Desmazeaud, 1992)。一方で、K. marxianusによるアセトアルデヒドの生成は、アルコー

ルデヒドロゲナーゼによってエタノールから生成される経路のみであるとする説もあ る (Kallel-Mhiri & Miclo, 1993)。高級アルコールの合成経路の一つはエールリッヒ経路

(Ehrlich pathway) と呼ばれ、酵母が、取り込んだアミノ酸のアミノ基を転移してα-ケト

酸にし、さらに脱炭酸化してフーゼルアルデヒドにし、続いて還元することでフーゼル アルコールを生成する (Hazelwood, Daran, Van Maris, Pronk, & Dickinson, 2008)。イソブ チルアルコールはバリンから、イソアミルアルコールはロイシンから、2-フェニルエチ ルアルコールはフェニルアラニンから生成され、また、酢酸2-フェニルエチルはフェニ ルアラニン由来のフーゼルアルデヒドが酸化されてフーゼル酸となることで生成され る (Hazelwood et al., 2008)。また、アミノ酸の生合成経路の中間体であるα-ケト酸から、

脱炭酸・還元の経路を経て高級アルコールとなる経路も存在する。例えば、n-プロピル アルコールは、イソロイシン合成の中間体である α-ケト酪酸からの脱炭酸とそれに続 く還元によって生じるとされる (Guymon, Ingraham, & Crowell, 1961)。K. marxianusによ る酢酸エチルの合成メカニズムには、エステラーゼとアルコールアセチルトランスフェ ラーゼが関わっているとされる (Kallel-Mhiri & Miclo, 1993)。

77 3.6.3.

発酵前および発酵後のサンプルにおける、DPPH に対するトロロックス当量 (µmol TE/100 mL) の抗酸化能をFigure 3-19に示す。発酵後の抗酸化能 (24.6 µmol TE/100 mL) は、発酵前 (31.7 µmol TE/100 mL) に比べて下がったが、有意差はなかった。

ホエイを用いた飲料において、DPPH法を用いて抗酸化能を評価した報告は少ない。カ シスとホエイを混ぜた飲料 (Jaworska et al., 2011) や、大豆ホエイを用いた発酵飲料

(Chua et al., 2018) で報告があった。カシスとホエイを混ぜた飲料の抗酸化能は 1440

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