72R H
73C全
員 :え えつ?(ざ
わ ざわ,文
章 を探す)前時での 「青 白いほのお」に対す る視点を指導者は把握 していたため
,全
体での発表が苦手な
C児
を意図的に指名 し,気づ きの共有化 を図つた。その発言 を受 け,72R H児が「め くらぶ ど うと虹」でも同 じ表現が使われていた ことを指摘 した。児童の学びが広がった価 値 ある瞬間であつた。 その結果,最
後の作文に 「青 白い」 とい う表現 に着 日していた児童 は 6名 いた。C児
の意見が他児 の読みの変容に影響 を及ぼ したことがわかる。≪
C児
の総括分析 ≫C児
は全体の場での発表が苦手である。しか し
,今
回発話プ ロ トコル で質的に分析す る ことによつて,専
門家 グループ,ジ
グソー グループの小規模 の話 し合いでは,要
所で価値 のある発言 を し,学
び を活性化 していた ことが判明 した。全体交流では,そ
れ らの発言を 指導者 が把握 し,全
体で共有す ることによって,C児
は もちろん他児の読みの変容 をも促 す ことができた。C児
を対象 とした実践の分析 を通 して,ジ
グソー学習の中で,話
す ことが苦手な児童の 考 えを活かすためには,児
童の考 えや発言を指導者が把握す ること,そ
の考えを共有する 場 を意図的に設定す ることが必要である と判明 した。以上 3名 の児童 を
,発
話プ ロ トコル を基 に質的な分析 を行 うことで,ジ
グソー学習の効果
,指
導者 の机間指導の在 り方 を具体的にすることができた。3名
の児童に共通す ること は,い
かに教師が児童の考えを把握 し,評
価 し,価
値づ けてい くかが重要である,とい う ことである。今回の実践の机間指導では,話
す ことが苦手な児童に対す る指導が中心であ り,得意な児童 にまで指導が及んでいなかったとい う問題点が見えてきた。この問題点は,協同学習の指導場面で起 こ りうる問題である。
しか し
,い
かに平等 に指導す ることができ るか,対
話の形式ではな く内容に切 り込んだ指導をす ることができるかが重要であると判 明 した。本節 では
,発
話 プ ロ トコル分析 を根拠 として,ジ
グソー学習 中の児童の対話の様子,教
師の机間指導 を中心 とした評価活動 を述べた。次節では
,単
元終 了後に行ったアンケー ト 調査の分析 を行 い,ア
ンケー ト結果か ら判明 した課題 と傾 向について述べる。第
5節
ア ンケー ト分析か ら判明 した専門家グルー プの重要性ジグソー学習実践後
,ジ
グソー学習に関するアンケー ト調査 を行 つた。アンケー トは 4 件法,質問は 15項 目であ り,質
問項 目は調査者が読み上げ,児童か らの質問な どは受 け付 けない とい う条件下で行 つた。調査時間は 10分 間であつた。アンケー ト結果 と実践 を比較 して分析 し
,ジ
グソー学習の指導時の留意点について考え た。以下に示すのは,特
徴的な結果 となったアンケー ト結果の一部抜粋である。10最 初と最後の読みの変容
13%
■
4そ
う思う檬3どちらかといえばそう
思う
難2どちらかといえばそう 思わない
■1そう思わない
図
18
ジグソー学習全体を通 して自分の考えが最初と最後で変わ つたと感 じま したか質問項 目 10は,本実践の 目的である読みの変容を,児童が実感 しているかどうかを質問 したものである。82%の児童が肯定的に回答 し
,読
みの変容を実感 していた。本実践の目 的であるジグソー学習を通 した読みの変容は,児
童 も実感 している傾向であるといえる。それでは, どのグループの時に最 も変容を実感 していたのであろ う力、 次に示す図
19
は
,ジ
グソー学習の特徴である,専
門家グループ,ジ
グソーグループ,全
体交流の二つの活動の中で,どの活動が最 も自分の考えが変わった と感 じているかを調査 したものである。
図
19
自分の考 えが変わ つた と感 じたのは どのグルー プの話 し合 いで したか図
19に
示 した結果 の通 り,50%の
児童が,専
門家 グループの同質的な対話 によつて, 考えの変容を実感 した と感 じている傾 向があつた。 ジグ ソー学習 は,専
門家 グループ,ジ
グソー グループ
,全
体交流 とい う三つのグループで活動す る。 ジグ ソー学習は異質的な対 話を意図的に構成 し,考
えを交流す ることを通 して 自己の考 えを変容す ることに特徴があ る。 しか しこの結果は,異
質的な対話 であるジグソー グループ よ りも,同
質的な対話であ る専門家 グループの対話 によつて考えが変容 した と感 じている, とい うことである。従来 のジグソー学習の考え方 と反す る結果 となつた。児童は
,図
19の 質問項 目の 自由回答欄で,以
下の よ うに回答 した。14自 分 の考 えが特 に変 わ つたと 感 じたグループ
難専門家 蓄ジグソー 難全体交流
○専門家グループの方が意見がいつぱいでたか ら。
(YY児
)○専門家 グループで他 の意見が 「あ
,そ
れいい。」 と思 つたか らです。「確かに」 と納得。(NU児
)○その地点で 「あ ぁ
,こ
うい うことか」 とかあつて一人 よ りもいろんな考 えができて,よ くわか らない とこが納得できた。(RN児
)○専門家 グループだか ら
,そ
この専門家だか ら意見がいつぱいでて 自分の考 えが変わつ た。(TY児
)○同 じ作品を話 し合 つて
,細
かい ところ とか,自分の意見 も言 えるか ら。(AI児
)○私はは じめ,「作者 は動物 が好 きなんや―」 と思 つていた け ど
,専
門家 グルー プになっ て 「命 を大切 に」 と聞いた時に意見が変わつた。(HN児
)図
20
専門家グルー プが最 も考 えが変容 した と選択 した児童の回答例54
児童は
,専
門家 グループで意見が多 く出たこと,話
し合いを通 して疑間が納得 に変わっ た こと,同
じ作品について話 し合 うことな どについて,専
門家 グループに価値があった と 捉 えている。回答例か らも,児
童が専門家 グループで読みが変容 し,充
実 していた ことが わか る。その理 由はなぜか。それは本章第3節第2項で述べた,本
実践の特徴である,思
考 を焦点化す る追加資料の効果及び指導者の介入にあると考え られ る。
第6時間 日の専門家 グループの対話では
,多
くのグループが,対
話が停滞 した り,読
み が浅い状況にあった りした。机間指導にて,何
に困つているかを把握 した上で,第
7時間 目の専門家 グルー プで,宮
沢賢治年表 とい う追加資料を配布 した。追加資料 によって児童 の思考は焦点化 され,対
話 を繰 り返す ことで 自分な りに納得 した ことが,考
えが変容 した と実感する児童が多かった とい う結果に繋がった, と考察す ることができる。この結果は
,今
後協同学習を進 める上で重要な視点 とな り得 る。違 う視点や考 えをもつ た相手 と対話す る前に,同
じ視点や考えをもつた児童同士での対話 を充実 させ ることで,その後の異質的な対話 も充実す るとい うことである。アンケー ト結果 を考察す ることから,
専門家 グループでの対話 を充実 させ る重要性が明 らか となった。
第
6節
実践の成果 と今後の課題本実践の成果 と課題 は
,以
下の通 りである。【成果】
①ジグソー学習を取 り入れた文学の読みの変容を
,量
的・質的両方の側面から分析するこ とを通 して,本
実践のジグソー学習は読みの変容を促す効果があった。②理論と実践を往還することで
,追
加資料の導入の価値を新提案することができた。③児童の成果物 と対話の関係性を質的に分析 し
,読
みの変容を可視化 し,ル
ーブリックに よつて成果物の評価を具体的にすることができた。④アンケー ト分析を通 して
,ジ
グソー学習指導の際には,専
門家グループの指導を充実さ せることが必要であることが示唆された。【課題】
①読みの変容をメタ認知するための指導の効果を
,児
童自身が自己評価できるような評価 の場を設定することができなかった。②学習者のメタ認知能力の高さと
,成
果物の出来栄えとの関係性を,明
確にすることがで きなかった。③追加資料の配布について
,資
料に必要な質や要素について,明
確にすることができなか つた。終章では
,本
研究の成果と今後の課題について述べる。終章
本研究の成果 と今後の課題 第1節
研究の成果
本研究の 目的は
,ジ
グソー学習によって読みの変容 を図る指導方法について,理
論的側 面 と実践的側面の双方か ら考察す ることであった。実践では,第
6学年 「や まな し」にお いて,「宮沢賢治が作品を通 して伝 えたいことは何だろ うか」とい う課題 でジグソー学習を 行 つた。理論的側面では
,文
学的文章教材 を協同的に読む必要がある, とい うことを先行研究を 基 に述べ ることができた。 また,過
去のジグソー学習実践を量的に分析す ることで,ジ
グソー学習の課題 を整理 し
,ジ
グ ソー学習を 「読解型」「比較型」 愴J作型」 とい う三つに分 類す ることができた。そ してメタ認知 と読みの交流の関係性 に着 日し,読
みの変容 を図る ためにはメタ認知的変容を促す必要がある, とい うことを述べることができた。実践的側面では
,理
論的側 面か ら導いた仮説 を基 に,国
語科 「や まな し」でジグソー学 習 を行い,本
実践 は読みの変容 を図る価値があることを,統
計的 に示す ことができた。 ま た,成果物のルーブ リックを作成す ることで,評価 を具体的にす ることができた。そ して,対象児童 3名 の発話プ ロ トコル と成果物 を照 らし合わせ なが ら質的に分析す ることで
,ジ
グソー学習の対話 と成果物の関係性 を明確 にす るができた。
理論 と実践 を往還 しなが ら質的に分析 を進めることで
,ジ
グソー学習において読みの変 容 を促すための手立て として,思
考 を焦点化す る追加 資料の配布 に着 日し,ジ
グ ソー学習 の構造の新提案 をす ることができた。第2節
今後の課題
本研究では
,一
つの学級,一
つの教材での実践に留まって しまった。 ジグソー学習の効 果 をよ り明確 にす るためには,複
数学級での実践 による比較検討が必要であつた。 また, 本実践の仮説である,専
門家 グループの一つに作者 の人生を追 うグループを立てるとい う 方法が,宮
沢賢治作品のみな らず全ての文学的文章教材共通の価値であるのか どうかを,明確 にす るまでには至 らなかった。 また
,追
加 資料の質に関 して も,作
者 を意識す るため の資料 として必要な要素は何かを明確 に しなければな らない。したがつて
,本
実践 のジグソー学習の手立てを,他
の文学的文章教材 における指導にも 設定 し,検
討 を重ね る必要がある。今後は実践を重ねていき,ジ
グソー学習によって読み の変容 を図る手立てを一般化 してい くことを課題 としたい。56