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C 協  調  的  寡  占

D 単独企業独占   Cl競争的周辺企業ありIC2競争的周辺企業なし  

製造業者主導型   合意型  

共同実施  

合意型   共同実施   製造業者主導型  

共同実施  

製造業者主導型   共同実施   

製造業者主導型  

(i)Ⅰ−Aの場合。この場合,企業数がきわめて多く,激しい価格競争が行   なわれているのであるから,中小企業自体に.再販売価格維持採用の現実的条件   は存在しない。かれらにとって当面の問題ほ,相互間の「過当競争」と,ディ  

−ラーとの取引における相対的弱さであり,その結果としての出荷価格の低さ   にある。小売価格水準の規制自体はさしあたり問題外といってよい。しかし現   実紅ほ−たんなる数の上では∴】h実効性のない再販売価格維持を採用してい   る中小企業は多かった。139)その理由については,高マ−ジン保証による特別推    139)注103を・みよ。   

香川大学経済学部 研究年報10  

一 7二,−・   J,97(フ  

奨の期待,販売効果のテスト,有名品においてそれが行なわれているため,そ   れの模倣によるプレステイツ汐の高揚等が指摘されているが,主たる理由は」\  

売同業組合の圧力に.よると考えてよい。   

かくしてこの場合は,一・般的にほ採用.されず,採用された場合は主としてデ   ィーラー主導型であり−−【製造業者側から規定するとⅣイ個別実施」となる。   

これに・対しⅡ−Aの場合は.,名目的隼さえはとんど採用されることはない。  

(ii)Ⅰ−Blの場合。協調行動の保証がない上に.競争的周辺企業のシェアがか   なりの程度に達するため,一・般的に.は寡占企業側に採用(とりわけ先行的採   用)への強い抵抗がある。したがってそれが採用されるとすれば,かかる競争   状況のもとでかえって個別企業紅対し相対的に有利な力関係把立ちうる小売同   業組合の圧力に.よるものであろう。そうして∴ 寡占的相互依存性の認識が弱い   ため,ディ−ラ⊥主導下に個別的に勧誘が行なあれ,しかしはば同時的に採用  

される傾向があろう。したがって−当然「共同実施」となる。それと同時に,設   定価格と保証マージンほ実質的に同一・となろう。   

これに.対しⅠ−・B2の場合ほ,競争的周辺企業が存在しないため,競争はもっ   ばら他の寡占企業との問で行なわれる。この場合,寡占企業にとらては,先行   的採用に.よって競争ブランド品をプッシュされる危険性が中心問題となる。非   協調的であるがゆえにその危険性は大きい。したがって,この場合も,先行的   採用によって差別的に有利となる明白な見とおしが立たない限り,採用への強   い抵抗があろう。しかし,強力な小売同業組合の媒介活動によって,これら寡   占企業がひとしく採用する可能性ほ大きい。競争的周辺企業が存在しないがゆ   え.に.,それはなおいっそうそうである。かくしてこ.の場合は「共同実施」が− 

般的となる。   

他方Ⅱ⊥Blの場合,ディ−ラーの紡織されたカが欠除しているため,再販   売価格維持の採用は,もっぱら個別企業の私的見地からする判断に.依存する   が,−・般的にほその競争状況からみて,採用されないと考えてよい。だが,も  

し採用されるような場合があるとすれば,−それほ製造業名主導塾の「個別実   施」となろう。  

Ⅱ嶋B2もだいたいⅡ−Blと同様であろう。  

(iii)Ⅰ−Clの場合。寡占企業が目主的に再販売価格維持を採用する場合   

再販売価始維持の経済的藷問題   ー ㌻3 −−  

ほ,)もちろん合意型・「共同実施」となるが,寡占企業自体はその採用に.消極   的で,ディーラ−の強い要求によって行なわれる場合もそれに.近いものとなろ  

う。かくしてこの場合ほ−・般的に合意型・「共同実施」となる(Ⅰ−C2の場合   も同様である)。ただし,競争的周辺企巣との関係如何によっては,設定マージ   ンと価鱒に影響があり,ディーラ」−の高マージン要求への抵抗が強くなろう0   いずれ紅.せよ,こ.の場合に.は,当該部門の寡占企業全体に.配分される利潤の極   大化・(=共同利潤極大化)のための共同的独占価格政策を展開すべく,協調行   動がとられる傾向が強い。したがって当然,設定マ「一ジン・設定価格の均一イヒ   傾向がある。   

これに対し,より一・般的なⅡ−Cl・Ⅱ−C2の場合は,それが採用される限り   において,もっぱら製造業者主導型・「共同実施」となる。設定価格と保証マ  

−ジンはⅠ−CユトⅠ−・C2と同一一傾向をたどるが,寡占企業の利害観点がいっそ  う露骨に貫徹されるであろう。  

(iv)Ⅰ−D の場合。この場合,製造企業ほきわめて強力な地位にあるため,  

その採否を自由軋決定できるであろうらそしてそれが行なわれる場合,実質的   にほ製造業者主導型であるが,形式的には合意型となろう。他方Ⅱ−Dの場合   ほ名実ともに製造業者主導型となる。  

(8)再販売価格維持は,維持されるべき価格の・設定力法に.よって3つの形態に   分けられる。1つは,最高価格制(maximum price system)である。これは,  

再販売される価格の最高限界だけを指示し,他は自由な設定を許すものであ   る。その趣旨からいって,この形態は特異なものといわなければならない。事  

実ScotchWisky以外採用されていない。第2ほ固定価格制(fixedpricesys.  

tem)∴で,維持されるべき単・一・の価格を設定するものであり,ヨ」−ロツパ諸由   紅−・般的といわれている。この形態ほ小売業におけるいかなる価格競争をも封   ずる効果がある。   

欝3は設定されるべき小売価格の最高限界または製造業者の推奨嘩格(sug−  

gested price)たる小売定価(1ist price)以外に,維持されるべき最低限界を   定める最低価格制(minimum price system)である。アメリカでは大多数がこ   の形態を・とっている140)。とくに.ドラッグの場合,定価からその20%と1セント    140)州法では26州が「指示ノ鼓低価格以1で」の西販売を禁止し,1川、lが「指示価格以下   

香川大学経済学部 研究年報10   J97()  

ー 7「仁一一  

を差引いた水準に.最低価格が設定されることが多かった141)。このよう粧最低   価格と定価との間に一・定の帝離があるため,その範囲内でほ価格競争が許容さ   れている。もっとも・一・部の化粧品では,最低価格を定価の水準に設定すること   軋よって,事実上固定価格制と変わらないことが行なわれていた。   

固定価格制と最低価格制という相異なる設定方式を規定する主な原因は,小  

売業界および製造業界の編成である。大規模商が有力の分野に率いては,最低  

価格卿というより弾力的設定方式を採用するほうが寡占企業の利害にいっそう   合致するといってニよい。なぜならそれは,大規模商にある程度価格競争の展開   余地を残し,したがってまたかれらに∴−・定程度の優位を保証でき,かれらによ   る非価格維持品プッシュへのインセンチイヴをある程度抑え.ることができるか   らである。1す2)しかも他方では,寡占企業ほ最低価格の操作によって,非価格維   持の競争企業との競争上の不利を除去することも可能である。事実,後者の面   が強く前面に.でたため,独立商の間に.,最低価格の水準紅対する数多くの不満   が生じた場合もある。しかし,逆紅かかる操作が可能なために.,ある程度競争   企業のフオ・ロ、−を予想しない先行的採用ができるのである。   

かくして−・般的にいえば,最低価格制は,小売業界の復合編成と競争的寡占  

(したがってまた「個別実施」)にし、っそう適合的な形態であり,固定価格制は;  

小売業界の単・一・編成と協調的寡占(したがってまた「共同実施」)に適合的形   態といってよ.い。  

Ⅴ   

(1)本章でほ・,すでに・述べた諸条件に・規定されて,再販売価格維持が, 

紅いかなる分野において,どの程度行なわれているかみておこう。   

まず,世界的にみて−といっても日本を例外として−・【再販売価格維持の   で」のそれを禁止していたが,両者の相違ほじっさい上重要な意味をもたず,後者でも    最低価格制かとられていた什195〕,p.41参照)。  

141)〔188〕,p.88.  

142)−・般に再販売価格維持によって,いわゆる「非攻勢的(non・aggreSSive)」ディ−   

ラーの支持をえることはできても,「攻勢的(aggressive)」ディ−ラ^−・の支持を失なう    ことが多い(〔201〕,pい6)。したがって,かかる配慮ほ屈要である。   

再販売価格維持の経済的諸問題   ー 7∂ −   増加ほ両大戦間がもっとも急速であった。との期間中に・,多くの産業分野でブ  

ランド付与が広く行なわれるようになった。その背後に・寡占体制の発展があっ   たことほいうまでもない。簡二次大戦後ほ,再販売価格維持への批判が高まり,  

それを規制する立法措置が講じられたり,あるいは裁判所による厳しい判決が   下されたりしてその範囲はしだいに.縮小するようになった。こ.れが−鹿的趨勢   である。   

広く再販売価格維掩が行なわれている分野としては書籍,新聞,雑誌,文   具,ドラッグを筆頭に,自動車,モーター」・サイクル,タイヤ・チューブ等の   付属品・部品,石油製品,自転車およぴその付属品,シガレット・タバコ,チ  

ョコレー・トなどの英子類,写真用器材,ラジオ■・テレビ,レコード,蓄音機,  

家庭電気製品,歯科用品等でもかなり広く行なわれていた。   

他方,食料品,金物,建築用資材等,多様な種類の商品を扱っている分野で   は,部分的紅しか行なわれていない。もっとも,食料品でも前記のものに・つい   ては広く行なわれているし,建築用資材もブランド品紅ついては−・般的であ   る。しかしど−ル,table wat6rs,若干の前包装食品,時計,アルコール飲料   では部分的にしか行なわれていない。   

こ.のような状況に.関連して,われわれほ次の点に注意しなければならない○そ   れは∴一山すでに述べたが一再販売価格維持が広く行なわれるのは,消費者が   その品質を正確に.評価できず,したがって製品差別化の効果が大きく,ディーラ   ーの推奨のきく商品であり,このカテゴリーに.入らない日用品等では一】・般に行   なわれ難いとする見解が有力なことである。しかしこの見解ほ上記事実に・よら   て否定されている。上記の広く行なわれている品目中,この見解の妥当するの   ほ.,ドラッグの−・部と耐久消費財の−・部くらいであろう。それも,強固な消費者   受容の獲得に.つれ,このカテゴリ一に入らなくなるであろう。他方日用品等品   質評価の容易な商品種類でも再販売価格の維持されているものは少なくない。   

要するに再販売価格維持が行なわれるかどうかを,商品の使用価値的特性や   販売ないし購買慣習のみから規定するのは,あまりにも視野が狭陰といわねば   ならない。  

(2)−・般に再販売価格維持の広く行なわている分野やその範囲も,国別に非常   紅異なっている。それは寡占体制のあり方やその採用・実施を制約する具体的   

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