B. longum subsp. infantisをSucNAcを添加した培地で培養後、菌体を破砕し、陰 イオン交換カラムクロマトグラフィー (TYOPEARL Super Q-650 S) に供した。得ら れたフラクションのタンパク質と酵素活性を測定した。Suc分解活性の他にもSuc アナログ二糖に対する分解活性を確認するために、Suc以外にもSucNAcを基質と
し Somogyi-Nelson法を用いて確認した。また、第 2 節の乾燥菌体による酵素生産
の結果から、SucAは他のSuc アナログ二糖とは異なる酵素により分解されている と 推 測 した 。 そこ で 、酵 素 活性 の 測定 を Somogyi-Nelson 法 だ け で は なく 4-Nitrophenyl α-D-glucuronide (pNP-α-D-GlcA) を用いて加水分解された際に遊離する p-ニトロフェノールを測定することで確認した。その結果、複数のSuc分解活性を 示すPeakが確認できた。また、SucNAc分解活性を示すPeakがSuc分解活性を示 すPeakとはずれて確認できた(Fig. 49 Peak2)。さらに、上記 2つのPeakとは全く 異なる場所にpNP-α-D-GlcA分解活性を示すPeakが確認できた。このことから、B.
longum subsp. infantisはSucNAc培養時に少なくとも3 種類の酵素を生産している こ と が 確認 で きた (Fig. 49) 。 ま た、 乾 燥菌体 に よ る TLC 分 析の 結 果 や B.
pseudocatenulatum で 得 ら れて いる 結 果か ら、 こ れ ら 3 種 類の 酵 素は Sucrose phosphorylases、β-fructofuranosidase、さらにα- glucuronidaseが生産されていると推 論した。
Fig. 49 SucNAc添加培養時にB. longum subsp. infantisが生産する酵素の確認. A: 陰 イオン交換カラムクロマトグラフィー (TYOPEARL Super Q-650 S) による クロマトグラム, ( ) Suc分解活性, ( ) SucNAc分解活性, ( ) pNP-α-D -GlcA分解活性. B: 各PeakをSucおよびSucアナログ二糖に対する分解の 確認
A
B
第3節 試料の調整と方法
試薬は特記しない限り富士フィルム和光純薬株式会社の物を用いた。また、試薬の調 製は特記しない限り使用キットマニュアルおよび、バイオ試薬調製ポケットマニュアル (羊 土社) を参照し行った。
1. 乾燥菌体によるスクロースアナログ二糖の分解酵素の確認
1-1. 菌体培養および冷アセトンを用いた乾燥菌体の作製
B. longum subsp. longum JCM 1217をSucを含むMRS (-Glc) 培地で16時間培養 し、B. pseudocatenulatum JCM 1200をSucを含むMRS (-Glc) 培地で16時間培養、
SucNAcを含む同培地では40時間培養した。B. longum subsp. infantis JCM 1222を Sucを含むMRS (-Glc) 培地で16時間培養し、SucN、SucNAc、SucA、またはSucAm を含む同培地では40時間培養した。
各細菌は、それぞれの二糖ごとに96ウェルを用いて培養した。培養後、96ウェ ルの培養液を混合し、得られた培養液を遠心分離 (8,200×g, 4°C, 5 min) して菌体と 培養上清を分離した後、得られた細胞ペレットを 50 mL の冷アセトンに再懸濁し た。得られた細胞懸濁液を氷上に 10 分間放置した後、遠心分離 (10,846×g, 4°C, 5
min) して細胞を回収した (アセトン処理はこの操作を 2 回繰り返した) 。得られ
た細胞は、アスピレーターを用いて軽度の減圧下に保ち、室温で1時間乾燥させ乾 燥菌体を作成した。
1-2. 酵素反応及びTLC分析
乾燥させた各細菌の細胞 (2 mg) を、1% (w/v) Sucまたは各Sucアナログ二糖を
含む20 mMリン酸ナトリウム緩衝液 (pH 6.0) 80 μLに添加し、それぞれの混合物
を37°Cで穏やかに振とうしながらインキュベートした。インキュベーション中の 特定の間隔 (0.1, 30, 60, および180min) で、乾燥細胞に含まれる酵素による二糖類 分解をTLCにより確認した。TLCに1 μLずつ、各時間の培養上清を、7 mm間隔で
スポットした。移動相には Suc、SucNAc、及び SucAm にはアセトニトリル/ イオン交換水 [5 : 1 (v/v) 3回展開] を、SucA、及びSucNには酢酸エチル / 酢酸 / イオン交換水 [3 : 2 : 1 (v/v) 2回展開] を使用した。乾燥後、リンモリブデン酸発色液 [2.4% (w/v) リンモリ ブデン酸, 5% (v/v) 硫酸, 1.5% (v/v) リン酸] を噴霧し、ヒートガン (HEATING GUN、
HAKKO) で加熱してスポットを発色させた。