・ベンゼン、トルエンとも内需は前年を下回った。キシレンは内需が大幅に増加した(前年比+45 万トン)。 PX は増設により生産量が 883 万トンとなった。 PTA 向けの内需は減少しているが、中 国の大量輸入に支えられて輸出は 568 万トンと大幅に増加した。 3 . 将来見通し (1) 需給総括表 (2021年) (単位:万トン、%) (前提となる GDP 伸び率 2.0 %) 主な新増設計画と検討状況 (2) 【エチレン及びエチレン誘導品】 エチレンは 2021 年までに 56 万トンの増強が予定されているが、主な誘導品については、現状 目立った増設計画はアナウンスされていない。 【プロピレン及びプロピレン誘導品】 プロピレンは 2021 年までに計約 160 万トンの増設・新設計画がある。主な誘導品(PP/AN) ついてはエスオイルが 2018 年に PP 40 万トンの新規建設する計画をもっている。 【BTX】 現代ケミカル(現代オイルバンク 60 %、ロッテケミカル 40 %の J/V )が 2016 年にキシレン 120 万トン、ベンゼン 12 万トンの設備を建設し、同年 12 月に稼動した。 需給バランス・輸出入バランス等に係るコメント (3) 【オレフィン、ポリオレフィン】 オレフィンはポリオレフィン生産用途が大きな比重を占めている。また、ポリオレフィンは内需を 超える量が輸出されている。 ポリオレフィンの内需は過年度実績から推測しても、今後大幅な伸長はなさそうであり、成長を 輸出に頼る構造は続くと思われる。 【合繊原料】 過年度のポリエステル繊維生産は、(S)は横ばいに推移、(F)は年々減少傾向にある。アクリ ル( S )も減少傾向にあり、何れも原料の内需は大幅な増加が望めそうにない。 PTA は中国での大増設により同国からの輸出増加が継続しており、その影響が一段と強まる ことが予想される。 EG は輸出のほぼすべてが中国向けであるが、PTA とは逆に、同国での輸入依存度が高いの で、当面は堅調に推移すると思われる。 【BTX】 PX の増設とともに輸出量は今後も増加すると予想するが、その 9 割は中国向けであり、中国 への依存度が極めて高い。 能力 生産 輸入 輸出 内需 輸入 輸出 バランス 稼働率 主要メーカー (A) (B) (C) (D) E=B+C-D 比率 比率 (B-E) (B/A) (C/E) (D/B) C2 401 423 21 32 412 5% 8% 11 106% 台湾中油、台塑石化 LD 80 61 29 48 42 69% 79% 19 76% 台湾プラスチック、USI HD 67 59 7 33 33 21% 56% 26 88% 台湾プラスチック、USI SM 203 202 34 50 186 18% 25% 16 100% 台湾化学繊維、国喬石化 EG 263 235 16 141 110 15% 60% 125 89% 南亜プラスチック、中国人造繊維 PVC 183 161 3 112 52 6% 70% 109 88% 台湾プラスチック、華夏プラスチック その他 32 13 13 0% 0% 0 40% 計AS C2 504 427 58 245 240 24% 57% 187 85% プロピ 366 327 17 71 273 6% 22% 54 90% 台湾中油、台塑石化 PP 135 113 21 70 64 33% 62% 49 84% 台湾化学繊維、台湾プラスチック AN 52 47 10 19 38 26% 40% 9 90% 台湾プラスチック、中国石化 その他 122 113 0 0 113 0% 0% 0 92% 計AS C3 318 280 33 93 220 15% 33% 60 88% ベンゼン 198 170 78 3 245 32% 2% ▲ 75 86% 台湾中油、台湾化学繊維 トルエン 35 34 11 31 14 81% 93% 20 97% 台湾中油、台湾化学繊維 キシレン 276 216 115 142 189 61% 66% 27 78% 台湾中油、台湾化学繊維 PX 242 192 111 134 169 66% 70% 23 79% 台湾中油、台湾化学繊維 PTA 310 263 0 16 247 0% 6% 16 85% 台湾化学繊維、亜東石化 国・地域名:台 湾 概況 1. 2015 年の実質 GDP 成長率は 0.7%であり、2010 年以降最低水準で 6 年ぶりに 1%を割った。 民間最終消費の低迷に加え、GDP に占める割合が約 70%と極めて高い輸出が 3 年ぶりにマイ ナス成長となった事も要因であり、外需が成長を左右する構造が際立った。 貿易は輸出額 2,804 億ドル(前年比 ▲ 10.6 %)、輸入は 2,286 億ドル(同 ▲ 16.6%)で、輸 出・輸入ともに総ての地域に対して前年比減少した。輸出のうち、中国向け(香港含まず)は 712 億ドル(同 ▲ 13.3 %)で全体の 25.4 %を占め(香港を含めると 39.0 %)、中国向けの輸出が GDP 成長率を左右する一要因となる構造である。化学品(化学工業品、プラスチック、ゴム)の輸出は 389 億ドル(同 ▲ 15.0%)で、輸出全体に占める割合は 13.9%と、ほぼ前年同様であった。 2016 年の実質 GDP 成長率は 1.5%であった。 現状 2. 需給総括表 (2015年) (1) (単位:万トン、%) (2) 石化産業の最近の動き 【オレフィン】 ・エチレン : 2015 年の生産は 423 万トンと過去最高を記録、内需も微増ながら過去最高を記録 した。 ・プロピレン : 生産は前年比微増ながら 327 万トンで過去最高を記録した。前年発生した李長栄 化学のパイプライン爆発事故からの回復により PP の生産が戻り、内需は 273 万トン(前年比+ 能力 生産 輸入 輸出 内需 輸入 輸出 バランス 稼働率 主要メーカー (A) (B) (C) (D) E=B+C-D 比率 比率 (B-E) (B/A) (C/E) (D/B) C2 401 420 30 20 430 7% 5% ▲ 10 105% 台湾中油、台塑石化 LD 85 65 33 50 48 69% 77% 17 77% 台湾プラスチック、USI HD 67 60 10 35 35 29% 58% 25 90% 台湾プラスチック、USI SM 203 205 35 50 190 18% 24% 15 101% 台湾化学繊維、国喬石化 EG 263 235 15 140 110 14% 60% 125 89% 南亜プラスチック、中国人造繊維 PVC 183 165 13 120 58 22% 73% 107 90% 台湾プラスチック、華夏プラスチック その他 40 15 15 0% 0% 0 38% 計AS C2 516 438 69 252 255 27% 58% 183 85% プロピ 366 335 20 75 280 7% 22% 55 92% 台湾中油、台塑石化 PP 135 120 22 75 67 33% 63% 53 89% 台湾化学繊維、台湾プラスチック AN 52 47 10 18 39 26% 39% 8 89% 台湾プラスチック、中国石化 その他 122 113 113 0% 0% 0 92% 計AS C3 318 287 34 97 224 15% 34% 63 90% ベンゼン 198 175 75 3 247 30% 2% ▲ 72 88% 台湾中油、台湾化学繊維 トルエン 35 28 15 26 17 88% 93% 11 81% 台湾中油、台湾化学繊維 キシレン 276 220 100 130 190 53% 59% 30 80% 台湾中油、台湾化学繊維 PX 242 150 110 130 130 85% 87% 20 62% 台湾中油、台湾化学繊維 PTA 310 250 0 10 240 0% 4% 10 81% 台湾化学繊維、亜東石化 18 万トン)に復活したが、輸出は 83 万トンから 71 万トンへ減少した。 【合成樹脂】 ・ポリオレフィン:LDPE/HDPE/PP 何れも生産量及び輸出量が前年度を上回った。生産では HDPE が 12.0%増加、輸出は LDPE が 14.3%増加した。PP は内需も約 12%の増加を見た。 ・PVC:生産及び輸出が前年度を上回った。特に中国向け輸出がカーバイド法に対するコストの 優位性もあり大きく増加し、全体では 14.3%と 2 桁の増加となった。 【合繊原料】 2015 年の合繊生産はポリエステル・フィラメント(以下、F)前年比 ▲ 0.4%、ステープル(以下、S) 同 ▲ 2.9 %、ナイロン( S + F )同 ▲ 7.8 %、アクリル( S )同 ▲ 11.1 %、合計で同 ▲ 2.8 %となっている。 ・ PTA :生産は 263 万トンで微増。輸出は年々減少しており、 16 万トンで過去最少。内需見合いの 生産体制が顕著になりつつある。 ・EG:中国の輸入拡大が続く環境下ながら、輸出は前年度比減少となった。 ・ AN :アクリル繊維生産減にも関わらず、生産・内需とも前年同水準であった。 ABS 樹脂の生産が 前年比約 2.5 万トン増加していることが寄与したと考える。 将来見通し 3 . (1) 需給総括表 (2021年) (単位:万トン、%) (前提となる GDP 伸び率 1.5 %) (2) 主な新増設計画と検討状況 現状では台湾の石化製品の増設計画はきわめて少ない。 (3) 需給バランス・輸出入バランス等に係るコメント 【オレフィン、合成樹脂】 エチレンの 2015 年生産は公称能力を上回る量が生産された。エチレン、プロピレンの主用途で あるポリオレフィンは輸出が内需を上回っており、PVC も同様。中でも中国向けの比重が高く、こ れら誘導品の対中国輸出動向が大きく影響する構造となっている。 ドキュメント内 はじめに 1. 経済産業省製造産業局素材産業課は 世界の石油化学製品の今後の需給動向に 関する研究会の議論を踏まえ エチレン系 プロピレン系石油化学製品及び芳香族 製品について 西暦 2021 年までの世界の中長期的な需給動向をとりまとめた 2. 石油化学メーカー 輸出入業者 金融機関等が石油化学製 (ページ 49-53)