【図5-10-2】 3. 将来見通し 需給総括表 (2021年) (1) (単位:万トン、%) (前提となる GDP 伸び率 1.1%) 主な新増設、停止計画と検討状況 (2) エチレン : 住友化学(千葉) 40 万トン停止(2015 年 5 月) エチレン : 旭化成ケミカルズ(水島) 47.4 万トン停止(2016 年 2 月) ポリエチレン : 日本ポリエチレン(鹿島) 9 万トン停止( 2015 年 3 月) ポリプロピレン: 日本ポリプロピレン(千葉) 11.6 万トン停止(2017 年 3 月) スチレン : 住友化学(千葉) 41.2 万トン停止(2015 年 5 月) スチレン : 旭化成ケミカルズ(水島) 32 万トン停止(2016 年 3 月) PVC : 新第一塩ビ(千葉) 8 万トン停止( 2015 年 9 月) PTA : 水島アロマ(水島) 25 万トン停止(2015 年 3 月) 芳香族 : 新増設計画は予定されていない 需給バランス・輸出入バランス等に係るコメント (3) ・ LDPE は、2016 年以降、国内景気回復により、総内需は前年比増が予想される。 ・ HDPE は、 2015 ~ 2017 年は微減となるものの、 2018 年以降は海外でのシェールガス由来 や石炭由来の石化製品の生産増に伴い、輸出量の減少が続くと予想される。 ・ EG は、2015 年に、海外プラントのトラブル等の影響を受け中国向けの輸出急増により生産 量も大幅に増加したものの、2016 年以降は、海外プラントの復旧、中国での石炭由来の EG プラント稼働率の向上等の影響を受けて輸出環境は徐々に後退していくものと予想される。 国内需要は、PET 樹脂メーカーの事業撤退による需要減が想定されることに加え、国内自 動車生産も前年を下回る見通しから不凍液向けも減少すると想定されるが、そのほかの需 要は前年並みに推移すると予想され、対前年比でゆるやかに減少すると見込まれる。 2018 年以降は、海外での大型新増設が計画されており、輸出はさらに減少していくと見込まれる。 ・ PVC は、需要が公共工事及び住宅着工との相関が高いこともあり、実質 GDP 成長率の伸 びと同程度の需要を想定する。輸出については、原油・円安を背景に、2015 年にはインド、 ベトナム、マレーシア向けを中心として前年比 75 %増と急増、相対的な競争力は戻っており、 2016 年以降も同水準の輸出が期待される。生産能力の新増設は予定されていない。生産 については、内需の緩やかな上昇は期待されるものの輸出は現状維持と予測され、2016 年 以降変化はないと思われる。 ・ AN は、国内需要は 2015 年度には回復したものの、供給は輸入増で補填され、生産量の減 少は継続している。今後、生産量は現状維持が図られる模様であるが、国内需要は減少傾 向が続くと予測される。 ・ 芳香族の生産設備については、新増設の予定はなく、現状の生産能力、稼働率が継続され る予定である。輸出については、BTX ともに 2017 年以降 2016 年レベル(B:70 万トン、T:75 万トン、X:210 万トン)の水準で推移する見込みである。 国・地域名:中 国(香港を含む) 1. 概況 2014 年の経済は、1~3 月は実質 7.4%と低迷が続いたが、4~6 月は 7.5%と僅かながら前 期を上回った。1~6 月では前年同期比 7.4%となり、需要項目別寄与度では、最終消費支出 4.0% 、資本形成 3.6% 、純輸出▲ 0.2% となり、個人消費の寄与度が高くなっている。緩やかに 内需型が進んでいるものと見られる。しかし、7~9 月は 7.3%と再び減速局面に転じ、10-12 月も 7.3%と低調で、その結果 2014 年は通期で 7.4%となり、当初政府が発表した 7.5%を下回った。 成長率 7.4%といえば、先進国に比べれば高い数字であるが、政府発表の中国経済の成長率が 7.5% を切ったのは 1990 年以来 24 年ぶりのことである。成長率がピークに達した 2007 年の 14.2%と比べれば約半分である。2008 年からの 7 年間、中国の成長率は半分ほどに下落してい るわけで、いかにその落差が大きいかを物語っている。このような経済環境であるが、石化の状 況は緩やかに内需拡大が進行する中、多少の鈍化も見られるが、安定的に成長を続けている。 国家統計局によると、 2015 年の実質 GDP 成長率は前年比 6.9% と、 2014 年の同 7.4% から 減速した。政府年間目標は、2014 年は同 7.5%前後、2015 年同 7.0%前後としていたことから、 2 年連続で下回ったことになる。産業別実質 GDP 成長率は、第一次産業は前年比 3.9%(2014 年同 4.1% )、第二次産業は同 6.0% (同 7.3% )、第三次産業は同 8.3% (同 7.8% )となった。第 二次産業が鉱業、重工業の不振を背景に大きく減速したが、第三次産業は金融業が同 15.9% (2014 年同 9.7%)と好調で第三次産業の成長率加速を牽引した。金融業では、株価の急騰・急 落で売買代金(手数料収入)が大きく膨らんだことが成長加速に寄与したようである。産業別の GDP 比率は第一次産業 9.0% 、第二次産業 40.5% 、第三次産業 50.5% となっており、 2012 年 以来第三次産業が最大の比率を持続しており、中国のサ-ビス化が進展していることを示して いる。 2016 年の実質 GDP 成長率は前年比 6.7% と、政府経済成長率目標である同 6.5% ~同 7.0%を達成した。2015 年の同 6.9%からは若干の低下にとどまり、景気は底堅い安定推移が続 いている。2016 年の同 6.7%成長に対する需要項目別寄与度は、最終消費支出が 4.3%と堅調 で、総資本形成は 2.8%、純輸出は▲0.5%であった。四半期別では第一四半期から第三四半期 まで連続で前年同期比 6.7% 成長を維持し、第四四半期は同 6.8% と僅かに上向いた。第 13 次 5 ヵ年計画の最初の年であるが、過剰生産能力の解消、過剰不動産在庫の削減、企業のコスト 引き下げ、脱レバレッジ(金融リスクの防止・解消)等に重点を置いた政策になる見込みである。 2017 年は 3 月 5 日に開幕する第 12 期全国人民代表大会(全人代)第 5 回会議において、 2017 年の政府経済成長率目標など主要目標が発表されるが、政府成長率目標については、過 剰生産能力の削減やいわゆる「ゾンビ企業」の淘汰などの痛みを伴う構造改革を推進する為、 GDP 成長率は前年比 6%~7%との意見もあり、2016 年の政府目標であった同 6.5%~同 7% からの下振れ余地を残すと思われる。 能力 生産 輸入 輸出 内需 輸入 輸出 バランス 稼働率 主要メーカー (A) (B) (C) (D) E=B+C-D 比率 比率 (B-E) (B/A) (C/E) (D/B) C2 2,179 1,716 152 0 1,868 8% 0% ▲ 152 79% Sinopec, CNPC 他 LD 878 802 489 32 1,260 39% 4% ▲ 457 91% Sinopec, CNPC 他 HD 668 407 535 36 906 59% 9% ▲ 500 61% Sinopec, CNPC 他 SM 759 523 398 1 920 43% 0% ▲ 398 69% Sinopec, CNPC 他 EG 730 530 877 2 1,406 62% 0% ▲ 875 73% Sinopec, CNPC 他 PVC 3,231 1,583 86 82 1,587 5% 5% ▲ 4 49% 上海クロアリ 他 その他 173 138 0 0 138 0% 0% 0 80% 計AS C2 2,704 1,973 1,773 111 3,635 49% 6% ▲ 1,662 73% プロピ 2,736 2,226 277 0 2,503 11% 0% ▲ 277 81% Sinopec, CNPC 他 PP 1,888 1,677 354 17 2,014 18% 1% ▲ 337 89% Sinopec, CNPC 他 AN 198 146 40 0 186 22% 0% ▲ 40 74% Sinopec, CNPC 他 その他 1,626 843 92 0 935 10% 0% ▲ 92 52% Sinopec, CNPC 他 計AS C3 3,787 2,728 408 18 3,119 13% 1% ▲ 391 72% ベンゼン 1,611 781 121 9 893 14% 1% ▲ 112 48% Sinopec, CNPC 他 トルエン 1,108 513 79 1 591 13% 0% ▲ 78 46% Sinopec, CNPC 他 キシレン 2,071 746 75 0 821 9% 0% ▲ 75 36% Sinopec, CNPC 他 PX 1,279 818 1,165 12 1,971 59% 1% ▲ 1,153 64% Sinopec, CNPC 他 PTA 4,191 2,820 75 62 2,833 3% 2% ▲ 13 67% Sinopec, CNPC 他 2. 現状 (1) 需給総括表 (2015年) (単位:万トン、%) (2) 石化産業の最近の動き 中国の 2015 年エチレン生産量は 1,716 万トン( 2014 年 1,660 万トン)、前年比 +3.4% と増加 した。生産能力の増加率は+5.8%(2014 年+6.2%)であった。更にエチレンの輸入は 152 万トン、 前年比+1.2%と増加した。中国・香港のポリエチレン輸入量は 1024 万トン、前年比+8.3%と増 加 し た 。 樹 脂 別 輸 入 量 で は 、 HDPE が 535 万 ト ン 、 前 年 比 +10.9% と 大 幅 に 増 加 し た 。 LDPE(LLDPE 含む ) は 489 万トン、同+ 4.5% と堅調に増加した。一方、 PP の輸入は 354 万ト ン、同▲6.2%と大幅に減少した。PS86 万トン、同▲7.5%、ABS221 万トン、同▲2.5%と、スチレ ン系樹脂はいずれも減少であった。また、PS、ABS の国内生産は、前年比で▲20%程度減少し ており、内需の不調の影響とみられるが、実際には製品輸出の低迷が主な要因であろう。なお、 PS,ABS での輸出はそれぞれ 10%以上増加している。その他 PVC は 86 万トン、同+2.2%と僅 かながら増加した。中国では PVC の輸入は 2012 年、前年比▲7.7%、2013 年前年比▲13.7%、 2014 年▲11.7%と減少が続いていたが、2015 年は反転したことになる。一方、中国の輸出は 2014 年 111 万トン( +30 万トン出超)、 2015 年 78 万トン( 4 万トン入超)、 2016 年 105 万トン( 28 万トン出超)となっている。 PVC は能力的には 3,231 万トン程度あり、内需は約 1,600 万トン程 度、生産も約 1,600 万トンレベルで、国内需要を満たすレベルとなっており、年々輸出量が増加 する傾向にある。 全般的に内製化が進む商品については輸入の減少が著しくなっている。特にこの 2~3 年に 国内の設備が急激に進行した商品、カプロラクタム、フェノール、PTA 等はその典型である。一方、 構造的な問題ではベンゼン、パラキシレン等は引き続き輸入の拡大が続いている。中国の場合、 消費者が自ら原料の自己調達をするために石化分野に進出するケースが当り前のように多い。 PTA の新増設はその多くは繊維メーカーが石化に進出しており、その原料は国内又は輸入に依 存するということである。これが過剰設備を産み出した要因の一つともなっている。ただ、全般的 に中国の石化産業は様々な点で転機を迎えていると言える。 2016 年のエチレン生産量は 1,858 万トン、前年比 8.3%の増加である。能力は 2,313 万トン、 同 6.1 %の増加であった。一方、同国のエチレンの輸入は 166 万トン、前年比 +9.3% と、 2014 年 に一旦減少した輸入が再び増加に転じた。中国・香港の 5 大汎用樹脂の輸入は 1,729 万トン、 前年比▲2.4%となった。中国のポリエチレン合計では 1033 万トン、前年比+0.8%と増加したが、 PP は 316 万トン、同▲ 10.6% と大幅な減少が続いている。スチレン系樹脂は 300 万トン、同▲ 2.2% と減少した。中国・香港の樹脂別輸入量では、 HDPE が 551 万トン、前年比 +2.8% と増加、 LDPE(LLDPE 含む)が 483 万トン、同▲1.4%、と僅かに減少した。2013 年、大幅に減少した PP の輸入は 2014 年、前年比+0.8%と小幅ながら増加に転じたが、2015 年は 354 万トン、同▲ 9.6% と再 び減 少 、更 に 2016 年 では 316 万 トン、同 ▲ 10.6% と大 幅 に減 少 した。中 国 では CTP(Coal to Propylene)、MTP(Coal to Propylene)、PDH(propane dehydrogenation)等プロ ピレンを目的的の製造する新設備が急増しており、殆どの設備では誘導品として PP の併設が 行われている。また、 CTO(Coal to olefin),CTP は石炭の産地に近いとろで建設されるが、生産 物はプロピレン、エチレンのみであり、他の原料が生産されない為、誘導品として PP 及び PE に 集中している。その為 PP の生産が引き上げられ、自給率が上がっている。その他 PS76 万トン、 同▲11.6%と 7 年連続の減少となった。ABS 224 万トン、同+1.5%と増加したが、スチレン系樹 脂合計の輸入は減少している。 既に設備過剰状態となった PTA は需要の鈍化もあり、中国だけであるが輸入量は 50 万トン、 前年比▲33.2%と 2015 年に続き大幅減少となった。内製化は既に完了しており、輸出ポジショ ンになっており、2016 年で 178 万トン、128 万トンの出超となっている。生産量は 3,121 万トン、 前年比 +15.3% の増加であった。一方、不足している原料 PX の輸入量は 1,236 万トン、前年比 +6.1%と増勢が続いている。 ドキュメント内 はじめに 1. 経済産業省製造産業局素材産業課は 世界の石油化学製品の今後の需給動向に 関する研究会の議論を踏まえ エチレン系 プロピレン系石油化学製品及び芳香族 製品について 西暦 2021 年までの世界の中長期的な需給動向をとりまとめた 2. 石油化学メーカー 輸出入業者 金融機関等が石油化学製 (ページ 40-49)