第4章 受信評価に必要な QZ (Quiet Zone)レベル (1)
4.2 BER 特性から得られる受信評価に必要な QZ レベル
4.2.1 BER 特性シミュレーション手法
マイクロ波通信システムシミュレーションでは,一般的な変調方式である QPSK(Quadrature Phase Shift Keying)を選択し,電波暗箱内で発生する反射 波による影響を,受信特性の一つの指標である BER 特性を適用して評価した。
受信特性の劣化要因である反射波の表現方法は,一般に移動通信等のシミュレ ーションで適用される伝搬モデルを適用するのが通常であるが,電波暗箱は,
閉空間ある。また,伝搬路長は,約 2 m 以下程度の伝搬距離で,非常に短い。
このため伝搬距離が,数kmと長く,フェージング等の影響も考慮に入れ,自由 空間を模した通常の伝搬モデルを適用するのは,適切でないと考える(3)。このた め,反射波を直接波に対し,4 波の遅延波と仮定して,QZ レベルの逆数をこれ ら反射波に与える減衰量で表現したモデルを適用してシミュレーションを行っ た。本シミュレーションブロック構成図を図4-1に示す。
図4-1.シミュレーションブロック構成図
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反射波として想定した4波の遅延量は,直接波の伝搬遅延に対して,1.1倍,
1.2倍,1.4倍そして1.8倍とした。この表現方法が適切かどうかは,今後,実 験等により検証が必要と考える。また,各遅延波のレベルは,伝搬による減衰 が無く,QZ レベルの逆数に相当する減衰のみとしているので,実際の環境より 厳しいと推測する。
QPSKの BER 特性は,下記に示す式を基本として,シミュレーションから求め
られる(4),(5)。先ず,信号対雑音電力比SNR(Signal to Noise Power Ratio)は,
受信電力と受信帯域内の雑音電力との比で,式(4-1)で定義される。
𝑆𝑁𝑅 = 𝑃𝑟/(𝑁𝑜 × 𝐵)
………(4-1)各パラメータは,下記で定義される。
Pr : Received Power
No : Noise Power Spectral Density B : Received Bandwidth
No×B : Total Noise Power
異なった変調方式のBERを比較する場合,SNRよりもEb/No(The energy per bit to noise power spectral density ratio)を用いるのが一般的である。このた め本論では,異なった変調方式でのBERの比較を行わないが,共通性を求めEb/No での表現としている。QPSK の場合,Eb/No は,式(4-1)の SNR を用いて,
式(4-2)で表現される式に変換される。
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𝐸𝑏
𝑁𝑜 = 𝑆𝑁𝑅 − 10log(𝑘) + 10log(𝐵𝑛 × 𝑇)…(4-2)
各パラメータは,下記で定義される。
Eb : The Energy per Information Bit k : Information Amount per Symbol T : Symbol Period
Bn : Equivalent Noise Bandwidth of Receive Filter
以上の式からBERは,Q関数を用いて,Eb/Noを変数として,式(4-3)で 表現される。
𝐵𝐸𝑅 = 𝑄(√2 × 𝐸𝑏
𝑁𝑜 )………(4-3)
上記の式において,図4-1に示すように,電波暗箱内の反射波として表現し た直接波に対する4 波の遅延波に,QZレベルの逆数で減衰した反射波の電力を 受信電力 Pr に影響を与えるものとした。この反射波の電力を Pd とすると最終 的な BER 特性を示す式は,式(4-4)で表現される。この式(4-4)を基 本として,マイクロ波通信システムシミュレーションからQZレベルに応じた反 射波の影響を受けたBER特性を求めた。
𝐵𝐸𝑅 = 𝑄(√2 × ((𝑃𝑟 + 𝑃𝑑)/(𝑁𝑜 × 𝐵) − 10log(𝑘) + 10log(𝐵𝑛 × 𝑇)))
……(4-4)
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式(4-4)おいて,これまで定義されていないパラメータは,下記で定義さ れる。
Pd : Power of the Reflected Wave