設立目的だった国の制度化は、会ができて3年で
(形は若干変わったものの)実現できた。
会の今後――解散か存続か。存続するとしたら、
どのような形を目指すか――は、今年8月の総会で 決めることになる。
配布資料:里親ファミリーホーム運営・生活マニュアル(第1回 研究協議会報告書・2006年/第2回研究協議会報 告書・2007年)
里親と出会う
里親ファミリーホーム全国連絡会事務局の村田和木 です。職業はフリーのライターで、里親家庭をはじめ 社会的養護に関する取材をしています。里親家庭の取 材を始めたのは全くの偶然で、5年ほど前に『中央公 論』という雑誌が「家庭の力を取り戻せるか」という 特集を組んだとき、 一般的ではない家庭 の例とし て里親の家庭を取材するように依頼されたのがきっか けです。わりあい気軽に引き受けたのですが、よく考 えてみると「里親さんって、どこにいるのかな」と。
自分の親戚や知り合いにもいませんし。取材対象を探 し出すこと自体、当時は大変だったんですね。やっと 探し出してお話を聞いたとき、「私たち里親は社会の 片隅でひっそりと生きてきました」と言われて、里親 という存在があまりにも知られていない状況に愕然と しました。そもそも私自身が里親制度というのを全然 知らなくて、「里親制度は国の制度なのだから、どの 自治体でも同じだろう」と考えていたら、自治体によ って運営状況がかなり違っていたり、本当にわからな いことだらけでした。それで『中央公論』のための取 材が終わっても個人的に取材を続けて、2005年の12月 に『「家族」をつくる――養育里親という生き方』と いう本を出しました。それでも取材は終わらないとい うか、知るべきことはまだまだたくさんあるという感 じです。
私は本当に何も知らないところから取材を始めたの で、最初は五里霧中という感じで、手当たり次第に取 材していました。施設のことも何も知らなかったし、
当時は施設と里親が対立しているような構図があった ものですから、都内の児童養護施設の見学に行きまし た。それがきっかけで、その施設に週に一度ボランテ ィアとして通い始めて、この春から5年目に入ります。
毎週土曜日か日曜日に行っているので、1年に40回以 上、これまで160〜170回は行っていると思います。私 が通っている寮はグループホームで、小学生から高校 生までの男女8人の子どもたちを3人の職員が面倒を見 ています。私が通い始めたときは本園の中にあって
「グループホーム指向寮」という形だったのですが、3
年前に本園から少し離れた地域にある一軒家を借りて います。その家はけっこう古くて、昭和40年代に建っ た家だと思いますが、7LDKで家賃は25万円だそうで す。子どもが8人いるので、2人部屋にしても子どもた ちの個室が4つは必要なんですね。そういう大きな家 は近頃なかなか見つからないと聞きました。
里親ファミリーホーム全国連絡会のスタート 一方、里親さんたちの中にも4人以上の多人数養育 を目指す人たちがいて、「できるだけ多くの子どもた ちが家庭で育つチャンスを増やそう」と、2005年夏に
「里親ファミリーホーム全国連絡会」を設立し、私も 会員になりました。当初は一会員だったのですが、人 手不足を見かねて、去年から事務局のお手伝いをして います。
全国連絡会の目標は、里親型グループホーム(里親 ファミリーホーム)を国の制度にすることです。現在、
里親型グループホームを制度化している自治体は11だ けで、大半の自治体では制度化されていません。児童 福祉法上では「養育里親は6人まで子どもを育てられ る」となっているので、会の発足当時、里親型のグル ープホームは必要ないという意見もありました。でも 実際問題として、養育里親に6人も委託する自治体は ほとんどありません。暗黙の了解で「個々の里親に委 託する子どもは2人まで」と決まっている自治体も多 いです。そうすると、2人以上のきょうだいの場合は 施設に措置するしかない。それに里親側も4〜6人もの 子どもを委託されても、経済的に育てきれません。里 親手当が子ども一人当たり3万円ちょっとですから、6 人いても18万円強。子どもの生活費や教育費は手当と は別に支給されますが、子どもを塾に通わせたり、望 むお稽古事をさせたり、部活のための費用は一切出ま せん。子どもたちにかかるそういう費用は、里親さん が自腹を切っているのが実情です。
小規模住居型養育事業(ファミリーホーム)が 国の事業に
ありがたいことに、国の制度化を目指すという目標
は近々達成されそうです。というのは、3月に厚生労 働省が国会に児童福祉法改正案を出したのですが、そ の中に「小規模住居型養育事業(通称ファミリーホー ム)の創設」が入ったんです。改正案が通ったら、来 年の春から実施されます。ただ、児童福祉法上、小規 模住居型養育事業の事業者は里親ではなくなります。
第二種社会福祉事業に位置づけられ、里親とは切り離 されました。
私は「ファミリーホーム」とは養育里親が発展した 形だと考えていたので、里親と切り離されることに違 和感を感じたんですね。それで先日、全国連絡会の事 務局として、既にファミリーホームを運営している 方々と一緒に厚生労働省の家庭福祉課にお話を聞きに 行きました。家庭福祉課によると、従来の制度の枠内 では支援を厚くすることがどうしてもできなかったか らだそうです。ただ、里親会は任意の団体なのだから、
ファミリーホームの事業者が里親会に属するのは自由 だし、そこで部会を持って活動することも自由なのだ から、どんどんやっていただきたいというお話でした。
それから、今後は養育里親と養子縁組希望者が分け られます。これまで里親さんの多くは、里親手当を貰 っていても、里親子であることを地域に隠したり、小 さい頃に預かって長期養育をしているお子さんに対し て、自分たちには血のつながりはないことを隠してい たり、さきほど庄司先生がお話になった社会的養護と いう意識があまり浸透していない部分もあったと思い ますが、里親制度の改正によって、里親さん側の意識 も変わっていくのではないかと思います。
ファミリーホームとは 想定される事業者
ファミリーホームの事業者ですが、厚労省側として
「こういう人がなるのではないかな」と予想している のが、まず経験を積んだ里親さん。次に、児童養護施 設や乳児院の元職員。それから、「社会福祉法人がフ ァミリーホームをいくつか持つということもあってい いでしょう」というお話でした。私は聞いていて、
「持って欲しいのかな」という感触を受けました。フ
ァミリーホームはいわゆる住み込み型なので、庄司先 生がおっしゃったようにコンビニと同じで24時間365 日休みがありません。それでいて、加藤さんがおっし ゃったように、生活の場・住まいの場での養育になり ますので、労働基準法は適用されません。そのうえ、
子どもが6人いると大家族です。いまの人たちは核家 族の形に慣れていますので、ファミリーホームがどこ まで増えていくのか。そういう懸念は正直あります。
兄弟が一緒に暮らせることのよさ
実は、ファミリーホームをやっていらっしゃる方の 中には天理教の方々が少なくありません。天理教の教 会では(教会といっても普通のおうちですが)、地域 で暮らせなくなった高齢者が暮らしていたり、里親さ んとして子どもを育てている方も多いそうです。教会 ということで、普通の家よりもちょっと広めですし、
家族の構成員も多くて、10人以上が珍しくないんです。
また、信者の方たちだと思いますが、いろいろな大人 が出入りしていますので、援助者も求めやすいようで す。児童相談所のほうでも頼みやすいのか、天理教の 教会の方の中には「保護された子どもを預かるのが先 で、その後に里親になりました」という方もいます。
児童相談所から連絡があって、「3人きょうだいの要保 護児童が出ましたので、預かってください」と頼まれ たのはいいけれど、その人は里親登録をしていなかっ たので、里親に登録して児童福祉審議会で認定される まで半年以上も一時保護委託という形で預かったそう です。一時保護委託というのは安いんですよね。自治 体によっても違いますが、1日千円〜2千円くらいしか 出ない。その金額で小学生以上の子どもたち3人を半 年間以上も育てたので、貧乏になったと言ってました。
ちょっと気の毒ですが、子どもたちにとっては、きょ うだい一緒に同じ家に委託されたので本当に良かった と思います。きょうだいケースを委託できるのはファ ミリーホームの大きな利点です。
なぜなら、私も社会的養護の取材をしてから知った のですが、この少子化の時代でも要保護児童は案外き ょうだいが多いんですね。5人も6人もきょうだいがい