8
国 50
0
0 200 400 600 800 1000 1200 1400
Thread thickness (d)
Fig.5−5 Consumed energy(照)vs. thread thickness plots.
データがばらついているため、縫合糸太さと消費エネルギの関係が逆転する場合もあ る。最大荷重Pc値と同様に、全般的にはMLSのほうが、 LSよりも高い縫合部消費エ ネルギを発現する傾向となっている。
8器s ・+Average(Table 5−3)
5.3.4 異なる太さの縫合糸破断状況観察
8f
同じ太さの縫合糸CFRP積層板の層間引張試験によって得られた最大荷重(Pc)と消 費エネルギ(M、)を比較して、その中で最大Pcと最小Pcを発現した試験片と、同様に、
最大Miと最小Miを発現した試験片に分類し、層間引張試験後に試験片の縫合部を切
断し断面写真撮影した結果をFig.5−6に示す。撮影には、㈱キーエンス製
VHX−200/VH−Z25を用いた。最小Pc値を示した試験片は、 Mi値についても最小となっ たため、最小Pcかっ最小Miを示した試験片とし、その他、最大Pc値を示した試験片 及び最大Mi値を示した試験片に分類した。 Fig.5−6の上段、中段、下段にそれぞれ 分類した縫合CFRP積層板試験片断面写真を表示した。縫合CFRP積層板内の縫合形態
(LS、 MLS)及び縫合糸の破断状況(破断位置、破断状況)を観察した。以下に、そ れらの考察を述べる。
Q◎
Min.1)c Min. rVi
Max.1)c
Max.照
400d 800d
1000d
1200d5.4縫合部層間引張試験結果からの考察
5.4.1縫合状態が荷重及び消費エネルギへ与える影響
まず、Fig.5−6の上段に示す最小Pcかつ最小miを示した試験片は、全ての縫合糸 太さで縫合形態はLSになっていた。この縫合結節部はCFRP積層板の剥離面位置近く にあり、縫合糸破断状態は、試験片内結節部において縫合糸ループの一部が破断した モードとなっていた。Figure 5−6上段1000 dの断面写真に対応する荷重一変位線図を Fig.5−7(a)に示す。縫合糸破断時の荷重(Pc)が低く、引掛強度に近い値となっている。
この線図形状は、荷重低下後に引抜けに伴う残存荷重が少ないため、全体の縫合部消 費エネルギが低くなっている。このように、縫合結節部が剥離面位置近くにある場合 には、Pcは縫合糸の引掛け強度に近くなり、同時に縫合糸の引抜けが少ないことから、
消費エネルギとしても低くなると考えられる。
次に、Fig.5−6中段に示した各縫合糸において最大Peを発現した試験片の断面写 真について検討する。縫合形態はLSとMLSが混在しており、400 dについては結節部 がCFRP積層板の内部に入っているLSである。一方、600 d以上にっいては、結節部 がCFRP積層板の表面近くにあるMLSに近い縫合状態である。上段の最小Pcかっ最小 Miのケースと比較して、結節部位置と剥離面との距離があることがわかる。また、1000 dを除くCFRP積層板の縫合糸の破断モードは、上下に分かれた試験片の中央部付近に おいて縫合糸自体が破断している。これらの事実から、結節部が剥離面位置からある 程度の距離があると、縫合結節部から破断する場合よりも縫合糸自体が破断する場合 が多いと考えられる。縫合糸自体の破断が発生した荷重一変位線図の例として、Fig.
5−6中段800dに対応する結果をFig.5−7(b)に示す。この場合、荷重一変位線図は Fig.5−3のType Iの形状となり、Pcは縫合糸二本分の強度に近い値となっている。
Pcが高い分消費エネルギは高くなるが、縫合糸が試験片の中央部付近で破断した後、
縫合糸の引抜けは発生せず、最大Pc発現以降の荷重はほとんど残存しない。そのため、
縫合部消費エネルギとしては、引抜けがある場合には及ばない。Fig.5−6中段の1000 dの場合の縫合形態はMLSで、剥離面から結節部までの距離はあるが、縫合糸が破断 荷重に達する前に結節部強度が破断荷重に達して、縫合糸が引抜ける状態で破断して いるため消費エネルギは大きくなっていると考えられる。
次に、Fig.5−6下段の最大Miを発現した試験片について検討する。これらについ
となっている。これらの試験片では、全ての縫合糸太さの試験片について、縫合糸が 引抜かれた状態で破断していた。400d、600 dの縫合形態はLSのため、比較的引抜 け量は少ないが,800d以上は、縫合形態がMLSに近く、縫合糸が長く引抜けている 様子が観察できる。
(a)
(b)
(c)
400 350 300
忌,。。A25o
§150 100
50
0
0.OΩΩP,漁e㎎t..Ω,
400 350 300
9 250 v 2oo
§15。
100
50
0
0.0400 350 300
9250
§200
A l50
100
50
0
0,2 O.4 0,6 Displacement;X(mm)
0.8 1.O
_PQμb1皇.th工照d旦.§¢Ω091h.q£βQΩ.4,,
一Sing1Ω.1蹴Gad、s1睦Ωngth.Ωf800 d
0.2 0.4 0.6 0.8
Displacement;X(㎜)
1.0
ΩΩP.strΩn .Ω.
0.0 0.2 0.4 0.6 0.8
Displacement;X(mm)
1.0
Fig.5−7 Load−displacement curves oftypical丘acture mode.
(a)Minimum load and energy case(1000 d L S),
(b)Maximum load case (800 d MLS),
(c)Maximum energy case (1000 d ML S).
Figure 5−6下段の中で、1000 dの場合の荷重一変位線図をFig.5−7(c)に示す。この 荷重一変位線図では、変位が1㎜以上になっても荷重が残存し、最終的に縫合糸が完 全に引抜けるまで徐々に低下しながら継続する。そのため、消費エネルギは非常に大
きくなる。この結果は、同縫合糸太さで縫合形態の異なるFig.5−7(a)とは荷重一変位 特性が大きく異なっている。このように、縫合糸がCFRP積層板の剥離面から離れた 位置で破断して、引抜けによる荷重が残存する場合、縫合部消費エネルギの増加に大
きく寄与することが推察される。
5.4.2縫合糸太さと破断モードとの関係
前節では、Pc及びMiと荷重一変位線図との関係ついて考察したが、本節では、縫合 糸太さと破断モードについて考察する。縫合糸が400dの場合については、剥離面と 結節部が近くても縫合糸自体で破断する場合が多く観察された。また、400dで最大 Miを発現した試験片では、縫合ループの一部が破断して小規模な引抜けを伴っていた が、他の400d縫合糸試験片では縫合糸が引抜けている場合はなかった。同時に、こ
こで発生した引抜け は小規模なため、消費エネルギを大きく増加させるような ものではなかった。600dでは、結節部位置が剥離面から近い場合には結節部で破断 し、剥離面からの距離が増加すると引抜けが起こるようになると考えられる。しかし、
この場合の縫合形態はLSであるため、400 dと同様、引抜け距離は短く消費エネルギ の向上には大きくは寄与していない。同時にこの縫合糸は縫合形態がMLSに近くなっ て結節部と剥離面とが離れると、縫合糸自体が破断する場合が観察された。このよう に、400d、600 dでは、縫合糸自体で破断する場合が多く、縫合糸の引抜けが起こ
りにくい状態であると考えられる。言い換えれば、これらの縫合糸の場合は、縫合糸 が破断するまでの力学特性で消費エネルギを発生していることになる。800dでは、
結節部が剥離面に近いLSの場合は結節部から破断して、 MLSに近くなるにつれて、引 抜けまたは縫合糸中央部で破断するモードとなった。縫合糸が引抜けを伴う場合は、
残存する破断縫合糸は400dや600 dよりも長く、CFRP積層板の表面近くの結節部か ら引抜けが起こっている試験片もあった。さらに、1000dでは、結節部が剥離面近く に存在すれば他の縫合糸と同様に低い荷重で結節部から破断するが、剥離面と結節部 の距離があるMLSの状態では、すべての試験片でCFRP表面近くの結節部から破断し
度が上がってくると、縫合糸による荷重伝達がCFRP積層板表面近くの結節部までに および、縫合糸自体よりも強度的に低い結節部で破断すると考えられる。最後に、1200 dでは、縫合結節部と剥離面が近い場合は、他の縫合糸と同様に結節部からの破断と なっている。Figure 5−8に1200 d MLS試験片の断面拡大写真を示す。このように、
試験片中央部よりやや下糸側(分離した下側試験片内部)の縫合糸部分からの破断に なった。1200dの最大Pc平均値は、他の縫合糸と比較して最も大きい値を示す(Fig.
5−4)が、消費エネルギ平均値については引抜けによる消費エネルギへの寄与分が少 なく1000dよりも低くなっている(Fig.5−5)。縫合状態を観察すると、下糸がcFRP 積層板表面から内部へ入りこむところで、縫合糸が大きく屈曲して入り込んでいる様 子がわかる。このような屈曲部の存在が、縫合糸自体の強度より低い荷重で破断した 一要因と考えられる。また、この場合の破断位置が剥離面に近いため、縫合糸の引抜 け量は少なく縫合部消費エネルギは少ない値になったと考えられる。同時に、1000d が一本の非撚糸であるのに対して1200dでは3×400 dの撚糸である(Table 5−1参 照)ため、縫合糸とその周りの樹脂との界面状態は異なり、糸自体の強度は高くても 結節部が破断荷重に達する前に縫合糸自体が破断した可能性も否定できない。
以上のように、本試験で用いた5種類の太さの縫合糸中で、縫合糸の破断過程にお ける消費エネルギが最も高かったのは1000d縫合糸で縫合形態はMLSの場合であっ た。これは、1000dで縫合形態MLSのCFRP積層板では、面外荷重が縫合糸によって 表面付近の結節部まで伝達された結果結節部が破断して、接触摩擦を伴う縫合糸引抜
けが発生するため、消費エネルギが大きくなると考えられる。
Fig. 5−8 An enlarged picture of 1200 d thread breakage at root of the MLS.