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縫合CFRP積層板のDCB試験を模擬した有限要素法解析

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4.1目的

 第2章では、Kevlar⑧縫合CFRP積層板のDCB試験を実施し縫合密度SDと限界エネ ルギ解放率Glcとの関係は、ほぼ線形関係に増加する傾向を得た。本章では、この事 実を確認するため、DCB試験片を模擬iした有限要素法解析モデルを設定して解析を実 施する。この有限要素法モデルを利用して、第2章で得られた知見を解析で考察する。

さらに、第3章の縫合部層間引張試験で取得した、荷重一変位特性を有限要素法解析 モデルに導入して、縫合部面外方向の力学特性が縫合CFRP積層板のモード1エネル

ギ解放率Glcに与える影響を推定する。

4.2有限要素法解析による限界エネルギ解放率の推定 4.2.1有限要素法によるDCB試験片モデル

 任意の縫合糸貫通量パラメータを有するDCB試験片に対し、数値実験的にGlcを推 定するため、有限要素法解析を実施した。以後、解析によって求めた限界エネルギ解 放率には添え字Aを付しGICAと記す。有限要素法解析の方針としては、 DCB試験で発 生している現象をマクロ的に捕らえ、大略をシミュレートすることを目的とし、出来 る限り単純化した形で実験の結果(荷重一開口変位線図、及び剥離長さ)を模擬でき るものを目指した。従って、本節のモデルでは、縫合糸の引抜け(破断が生じた後の 縫合糸とCFRP積層板との摩擦荷重)や縫合糸の弛みの影響31)等の詳細は省略し、こ れらの部分については最小限の実験データを利用することとした。ツールとしては、

MSC/NASTRAN(Ver.69)を使用した。

 有限要素法モデル概要をFig.4−1に示す。有限要素法モデルは、縫合CFRP積層板 部、一方向CFRP板補強材部、挿入型治具部(鉄鋼製)をそれぞれ梁要素(BEAM)と

して層間剥離面について対称にモデル化した。これら梁要素の材料定数については既 知の一般値を使用した。ここで、厳密には縫合CFRP積層板の材料定数は、縫合糸が 存在するため、非縫合CFRP積層板とは異なる物性値を有するが、本論文では縫合糸 の量が最大でも1%程度であるため、T300の平織り材のデータを使用した。本有限 要素法解析において、剥離進展を模擬するため樹脂とブリッジング等を含む層間の特

Offset BEAM E Iements

(Loading Fixture)

Forced Defomation

BEAM Elements(Stitched CFRP)

Offset BEAM EIements(UD CFRP tabs)

IELAS EIements(Stitch threads)

BEAM Elements

(Stitched CFRP)

lG鯉El・m・血・(1厩・・1ai・ar・P・・P・貢i・・)

Fig.4。 l FEM model geometry and used elements.

層間要素は引張荷重を受けたときにのみ所定のばね定数を持ち、圧縮荷重に対しては ほぼ剛体特性を表現できる非線形要素(GAP)を採用した。この要素を層間に配置す ることによって、剥離先端よりも先に生じるCFRP部要素の幾何的な重なりを避け、

圧縮荷重を負担するようにモデル化した。縫合糸要素としては、単純一次元ばね要素

(ELAS)を使用した。要素数は、約600である。この時点で材料特性として未設定で ある層間要素と縫合糸要素の材料定数について、以下の手順で設定を準めていく。

4.2.2DCB試験片モデル諸定数の設定

 縫合CFRP積層板のDCB試験片モデルの諸定数を設定するために、非縫合CFRP積層 板と縫合が一列のみ入ったDCB試験片に関する試験結果を用いる。この結果を利用し て、暫定的に層間要素や縫合糸要素の材料定数を設定した有限要素法モデルの解析結 果と比較しながら各要素特性諸定数の設定を進める。諸定数設定の流れをFig.4−2 に示す。以下、設定の流れについて説明する。

       FEM modeling       (Unknown:GAP and ELAS).

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       Fig.4−2 FEM model tuning flow.

 第一段階として、層間要素を模擬するばね定数(Ki)及び剥離進展条件を決めるた め破壊荷重条件(Fl)を設定する。この層間要素が破壊荷重に達した場合に、要素を 除き剥離が進展すること模擬iする。まず、非縫合DCB試験の荷重一開口変位線図にお いて荷重が低下していく領域(剥離進展がほぼ定常的になる領域)の、任意の開口変 位において、その試験片剥離長さを模擬iした解析を実施する。この解析によって荷重 データが実験結果を模擬するようなKlを設定する。 Klを設定したモデルで、層間要素 の剥離先端にあたる層間要素の節点力を調べ、この節点力を剥離が進展しない最大荷 重すなわち要素の破壊荷重条件Flとする。この時点で、層間要素の特性としてKlと Flを持つDCB試験片の有限要素法モデルを一旦定義する。この作業を異なる開口変位

について繰返し実施し実施し、KlとFlを数箇所求め、これらを平均化して、この非縫 合試験片に唯一のKtとFlを設定する。次に、設定したfflとFlを使用したDCB試験片 要素法モデルの挿入型治具部支点に強制変位(開口変位)を与えDCB試験を模擬する。

強制変位を与えた場合の剥離先端の層間要素節点力を調べ、層間要素荷重がFlを超え た場合、この層間要素は破壊したとしてモデルから消去し、剥離が進展することを模 擬する。このように、層間要素によってブリッジングを含めた層間特性を表現し、節 点力を剥離進展の判定基準としながら荷重(支持部反力)及び剥離進展長さを求める。

500

400

2

  300

0 <

o _1 200

100

0

ロExperiment(CRACK LENGTH)

口FEM ANALAYSIS(CRACK LENGTH)

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