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: 80 90 年代の H 独経済の構造変化

ドキュメント内 ドイツ産業連関分析論 (ページ 41-45)

した。円高不況の心配もされたが、実際には国内はバブル景気にも沸き、一方では資産価格も 著しく騰貴したが、他方では民間消費も堅調で、積極的な固定資本形成も行われた。雇用も順 調に増加し、失業率も依然低く推移した。就業構造はサービス化にいっそう拍車がかかり、伸 び悩む製造業を後目に、大幅に増加していった。

本章で取り上げるのは、このような

80 90

年代の構造変化の問題である。とはいえもちろん、

80 90

年代の構造変化をすべて扱えるわけではなく、そのほんの一部分に過ぎない。またその 一部はすでに第3章で、 60年からいかに変わったか、という形で取り上げたものもある。しか し第

3

章では変化した後の

9 0

年を対象としたのであって、変化してゆく過程ではない。ここで は日独比較が可能なように調整した産業連関表を用いて、特に以下の点について日独比較を試 みよう。まず第

2

節では、為替変動にも大きく影響された日独の輸出入構造の変化を取り上げ る。

8 0

年代後半の日本の輸入構造の変化がいかに大きかったかは、ドイツと比較することに よっても理解できるはずである。続く第

3

節では、エネルギーも含めて、中間投入構造の推移 を比較する。

7 0

年代の石油ショックによる原油価格の急上昇は、その後特に生産段階における 省エネ傾向を生み出した。産業連関表でこれを確認しつつ、生産連関構造がどのように変化し たかを追跡し、日独の類似点と相違点を考察する。そして最後に第

4

節では、就業者数増加の 要因分解分析を通して、サービス化を生み出している要因の日独比較を行う。さらに付論とし て、産業

x

職業クロス表による日独の就業構造比較を試みる。

2 .

輸出入構造の変化

、まず、為替レートの変動がいかに大きかったかを確認しておこう。表

4‑ 1

が日独の為替レー トの推移を示したものである。ただし、日本と違ってドイツは、貿易量の約半分は

EC

域内との 貿易であり、この決済には原則として

US

ドルは用いられていないため、当時の

ECU

当たりの マルク相場も記載している。

19801985

年のドル高基調の時期は、対

US

ドルに対してはマル クの方が変化が大きかったが、

ECU

に対しては変動が小さかったために、急激な変動は回避さ れた 。

8 0

年代前半とは異なり、日本も

8 0

年代後半の円高期の変動は大きく、対

US

ドルで

6 4 . 7

%もの円高になったが、ドイツの変動はそれ以上であった。しかしやはり

ECU

に対しては

8 . 8

%の変動であり、バスケットマネーである

ECU

ERM

(為替レート・メカニズム)を中心

3 )

詳しくは

I f oI n s t i t u t e  f o r  Economic R e s e a r c h   &  S a k u r a  I n s t i t u t e  o f  R e s e a r c h   0 9 9 7 )

の第

1 5

章等を参照されたい。

とした

EMS

(欧州通貨制度)の安定性が目立った

8 0

年代であった4)。むしろこの

EMS

が最も 大きく揺さぶられることになったのは

9 0

年代であり5)、マルクの対

ECU

相場も

19901995

年に最も大きく変動してい 表

4‑1

:為替レートの変遷

対ドルマルク相場 対

E C U

マルク相場 対ドル円相場

1 $ =  

対外価値の

1 E C U =  

対外価値の

1 $ =  

対外価値の

( D M )  

変化率

( D M )  

変化率

( Y e n )  

変化率

1 9 8 0   1 .   8 2   2 . 2 5   2 2 6 .  7 4  

1 9 8 5   2 .   9 4   ‑ 3 8 . 3 %   2 . 2 3   0 . 9 %   2 3 8 . 5 4   ‑ 4 .  9 %   1 9 9 0   1 .   6 2   8 2 . 2 %   2 . 0 5   8 . 8 %   1 4 4 .  7 9   6 4 .  7 %   1 9 9 5   1 .   4 3   1 2 .  7 %   1 .   8 7   9 . 6 %   9 4 . 0 6   5 3 . 9 %  

出所)

S t a t i s t i s c h e sB u n d e s a m t ( 1 9 9 8 b ) 等より。

る。一方日本も、

1 9 9 5

年は 急 激 に 円 高 に 動 い た た め に、

9 0

年代も

8 0

年代後半 に 次ぐ大きな変動であっ た。

このような為替レートの 急激な変動は、もちろん貿易にも大きな影響を与えることとなったが、次に輸入価格や国内卸 売物価との関連を概観しておこう。図

4‑ 1

は、ドイツの為替レートの変動、輸入物価指数、

及び国内卸売物価指数を図に表したものである。

US

ドルに対してドイツマルクも異常に変動 が大きかったが、

EMS

の影響により、輸入価格の変動はそれよりは小さかったことは明らかで ある。そして国内卸売物価は輸入品だけではなく、たとえば賃金等さまざまな要因に規定され るため、輸入物価指数の動向をそのまま反映するとは限らないが、

8 0

年代後半のマルク高の時 期は、卸売物価指数の低下に貢献していることも読みとることができる。一方、図

4‑2

の日 本の場合は、

8 0

年代前半の円安期の変化はドイツよりも小さかったが、後半の円高期は、輸入 物価もほぼ対ドル為替レートと歩調をともにしており、ほとんどがドル決済であることを反映 している。そして輸入価格のドイツ以上の大幅な下落と、その低位での安定が、国内卸売物価 の下落•安定に寄与したことも明らかである。

このように

80 90

年代は、為替レートの大きな変動の時期であったが、それでは、為替レー トにも影響され、実際の輸出入はどう変化したかを産業連関表からみてみよう。まず表

4‑2‑

1

は、ドイツの輸出の年平均成長率と構成比の変化を示したものである。

8 0

年代前半のマルク 安期は輸出も好調で、全体として名目価格で

8.2%

1 9 9 0

年実質価格で

4 . 5

%の伸びであった。

農業や事務・情報処理機械、製紙・紙製品、建設・土木などでは、名目・実質ともに年平均の 輸出成長率が

1 0

%を超えていた。しかしこれらの部門の輸出全体に占める構成比は低く、全体 の動向に大きな影響を与えたのは、やはり化学製品、一般機械、道路輸送機械、電気機械の

4

4 )

これについては田中

( 1 9 9 1 )

等を参照。

5) 

ドイツ再統一後のドイツ連銀の高金利政策によって、域内各国でドイツマルクを買う動きが表面化 し、マルクは域内各国通貨に対して高騰した。

4‑1:

ドイツの対

US

$為替レートと物価指数

( 1 9 9 0 = 1 0 0 )

170  160  150 

140  130  120 

110 

100  90  80 

70 

1980  1981  1982  1983  1984  1985  1986  1987  1966  1989  1990  1991  1992  1993  1994  1995  1996  1997 

4‑2

:日本の対

US

$為替レートと物価指数

( 1 9 9 0 = 1 0 0 )

120 

110 

100 

90 

80 

70 

80 

50 

40 

1980  1981  1982  1983  1984  1985  1988  1987  1988  1989  1990  1991  1992  1993  1994  1995  1996  1997 

部門である。このうち電気機械は、

1 9 8 5

年にかけて多少構成比を低下させることになったが、

それ以外は構成比が上昇するほど輸出も平均以上に増加している。

8 0

年代後半のマルク高期を 迎えると、確かに全体としての輸出成長率は低下しているが、金属製品や食料品・飲料、不動 産、飲食・宿泊等のように、逆に成長率が上昇している部門もある。また名目価格ほど実質価 格による成長率は低下しておらず、また、次にみる日本の場合よりも成長率の低下は軽微であ り、ドイツの場合は単純に対ドル相場だけで判断できないことも明らかである。事実この時期 は、

1 9 9 2

年末の

EC

市場統合に向けて、

EC

各国とも活発に域内直接投資や

M & A

を行ってい

4‑2‑1

:輸出の年平均成長率と構成比(ドイツ)

i

!

 

6石 炭 ・ コ ー ク

7 そ の 他 の 鉱

8原 油 ・ 天 然 ガ

9化 学 製 品

10石 油 製 品

11プ ラ ス テ ィ ッ ク 製 品

1 2

ゴ ム 製 品

13土 石 ・ 建 設 資

}

: 9 ラ円 謬 鉄 金

18鋳 物 ・ 圧 延 ・ 金 属 製 品

19一 般 機

2 0

事 務 ・ 情 報 処 理 機

2 1

道 路 輸 送 機

隷 空

24電 気 機

25精 密 機 械 ・ 光 学 機

26楽 器 ・ 玩 具 ・ 装 飾 品

27木 材 加 工

28木 製 品

2 9

パ ル プ ・ 製 細

30紙 ・ 板 紙 製 品

31印 刷 ・ 複

3 2

皮 革 製

33繊 縫 製

g t   : 

し娯:の

業 ・ 漁 カ ・ 熱 供

設 土

通運 運 運 他

. 

売売

便の 道 上

5

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