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固場からの窒素流出量は囲場内の硝酸態窒素量が多い時期に悶場排水が発生 する場合に大きくなる. 第E章や第E章の結果から硝酸態窒素量は施肥後60 日程度にピークとなることが示されており, この前後の困場排水が大きい場合 に多量の窒素流出が生じることは容易に推察できる.

表- V-5において, 豊水年の園場排水量が大きいにもかかわらず窒素流出 量が平水年のケースと ほぼ等し いのは施肥後60目前後の圃場排水量が少ない ためである. 前期多雨年のケースでは1月---2月の圃場排水量が大きく, その 結果多量の窒素流出量となったものである.

また, 水田後の麦 作圃場の窒素流出量が転換畑後園場より少ない傾向を示す のは, 一般に作期前半の園場内の硝酸態窒素量が多い時期の降雨強度が比較的 小さく, その際には転換畑後圃場の暗渠排水量が大きいためである.

3. 3 施肥方法と窒素流出

1 )分施

第E章の調査圃場では施肥は基肥のみで栽培されているが, 一般的な麦の 作 業基準(例えば, 筑後市農業協同組合

:1994)によれば, 基肥に次いで1月中旬に

分けつ促進のための第1回追肥, 2月下旬に穂肥としての第2回追肥が行われる.

ここでは, 平水年の水田後圃場を対象に, 施肥(N=64.0kg・ha-1)を基肥と第1 回目追肥の2回に分施した場合の暗渠排水のT-N濃度と窒素流出量についてシ ミュレーションを行う. 追肥の時期は12月1日から 50日目として基肥と同一性 状の肥料を散布することとした. 分施割合は, [基肥]: [追肥]=[100%]:[0%],

[9 0%]:[10%], [80%]:[20%], [70%]:[30%], [60%]:[40%], [50%]:[50%]の6ケー

スとした.

図- V -14に各ケースごとの暗渠排水T-N濃度の変動を示す. なお, 図中の 凡例は, 各ケースの追肥割合を表す. 12月1日から約80日目までは分施するこ とでT-N濃度は低下するが, それ以降は追肥の硝化によって分施した場合の濃 度が大きくなった. その傾向は, 分施割合にともなって顕著となった.

さらに, 約160日目以降では土壌窒素の無機化による硝酸態窒素の生成が卓 越するため, 分施による影響はほとんどなくなった.

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図-V -14 分施割合による 暗渠排水のT-N濃度の変動

図-V -15に各分施割合について累積窒素流出曲線を示す. 12月1日から約 110日までは分施した場合の窒素流出量は小さいが, それ以降は分施によって 増大する結果となった. 作期を通じての総窒素流出量は, 分施を行わない場合 が24.4kg・ha.1であったのに対して, 分施割合の増加ととも にほぼ直線的に 大 きくなり, 分施割合が50%では27.5kg・ha-1で約13%の窒素流出の増加となった.

これらの傾向は, 図-V -14に示した暗渠排水のT-N濃度の変動によるもの である が, 特に平水年ではイ乍期の総排水量のうち作期後半の排水量が大きな割 合を占めることが110日以降で分施割合の増加 にともなって窒素流出量が増大

した原因である.

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図- V -15 分施割合による累積窒素流出量

2

)硝化抑制剤入り肥料

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硝化抑制剤入り肥料は, 尿素やアンモニア態、窒素の急速な硝化を抑える物質 を含有する化成肥料でAM化成やST化成など, 窒素の損失や硝酸による土壌の

酸性化, 硝酸塩による濃度障害などを抑える効果が期待される(前田ら, 1974).

ここでは, 平水年の水田後圃場を対象に基肥として硝化抑制剤入り肥料を施 用した場合の窒素流出について検討を行った.

検討ケースは, アンモニア態窒素の硝化速度を硝化抑制剤の施用によって1 倍(硝化抑制剤を含有しない)から0.2倍まで 5段階に変更したときの5ケースを 設定した.

図- V -16に各ケースごとの暗渠排水T-N濃度の変動を示す. なお, 図中の 凡例は, 各ケースの硝化速度の抑制率を表す.

硝化の抑制によって暗渠排水のT-N濃度は作期を通じて低下しており, 最大

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