(E) (8) (C) (D) (A)
\わさωC
φvc
。υζφUωφ」Oコ一L
450
そして、 Through-Ring C D錯休を形成する場合のみ、 過渡吸収スペクトルにラ ジカ/レ対の吸収が観測され、 ラジカル対の減衰に磁場効果が観測された。 そこで メチレン鎖8,10,12の連結化合物においてラジカル対の吸収が得られるα - C D錯
体の場合について磁場効果に及ぼすメチレン鎖長の効果を詳細に調べた。
ゼロ磁場では3種類のメチレン鎖の異なる連結化合物はどれもビオローゲンカ チオンラジカルの減衰には始めに速く減衰する成分と遅く減衰する成分があった
(図4 -2 6 )。 遅い減衰はラジカル同士が2分子で反応する分子間反応に帰属 される。 遅い減衰を差しヲ|し1た速い減衰は一次の動力学に従い、 分子内反応によ るラジカルの消失と帰属できる。 これにより求めた減衰速度定数(k d)を3種類 の連結化合物につて図4 - 2 7にまとめた。 ここで、 図4 - 2 7により明らかに ゼロ磁場ではメチレン鎖が短くなるに伴って減衰速度が遅くなると いう興味深い 結果が得られた。
ここで、 初期のビオローゲンカチオンラジカルの生成量はメチレンの増加に伴 って増加した。 この事は蛍光強度また蛍光寿命に及ぼすメチレン鎖の影響(第6 章参照)と良く一致した。 しかしながら、 蛍光強度の増加量とラジカルの生成量 は直線関係を示さなかった。
過渡吸収スペクトルにおける初期のラジカル対の速い減衰は磁場の印加によっ て著しく抑制された(図4 - 2 6 )。 どの場合でも、 レーザー励起直後のラジカ
ルの初期濃度は磁場の印加によって影響されなかった。 減衰速度定数(k d)は磁 場強度の増加に伴って減少し、 0.3 T以上で一定値になったく図4 - 2 7 )。 ゼロ 臨場では、 k dの値は明らかにメチレン鎖の短い化合物(CzC8Y)の方がメチレン 鎖の長い化合物(CzC10Y,CzC12Y)の方よりー桁小さいことがわかった。 また、 高 臨場時でのk dの値はメチレン鎖の違いにかかわらず同じ値を示した。 結果として、
臨場効果(k (H) /k (0) : k (H)及びk (0)はHT時及びo Tの減衰 速度を示す〉はメチレン鎖の長い化合物ほど大きくなった。 この磁場効果の特徴 liポルフィリン ービオローゲン連結化合物1 )及び先のフ ェノチアジンービオロー ゲン連結化合物の場合.. 0 )・ 4 1 )と同じであった。 よって、 この場合においてもスピ
ン緩和機構3 9 )で進行する磁場効果の一つであることがわかった。
ゼロ磁場での k d の値に及ぼメチレン鎖長の効果は非常に興味深し1。 また、
1 9 1
0.03
0.02
�
4《Uコ3 0.01
。 。 5 10
0.04
ト14い偏 向
2ω
0.024コω
《
。
0.08
0.04
。
OT
。 5 10
。 5 10
15 t /μS
15 t /μS
15 t / μS
(A)
20 25
(8)
20 25
(C)
20 25
図4 - 2 6 α - C D添加系での603 nrnの過渡吸収スペクトルに及ぼす外部磁場効
果に及ぼすメチレン鎖長の影響: Æ ex=355 nm
[CzCnV (n=8""'" 12) ] = 0.1 mM, [α ーC D ] = 2 mM の水溶液 ( A) CzC8V、 (B) CzCIOY、 (C ) CzC12Y
192
4.0 4.0 4.0
(8) (C)
3.0 3.0 3.0
マー' マー'・
ω ω ‘-;-ω
ωo 2.0 o 2.0 <00 2.0
マ
、ー、 yh『- マ‘ 、ー、・
..!x: 可コ よ耳可こコ
よ耳てこコ
1.0 1.0 1.0
。
。
0.0 L、叫�ωüOOO<D 0.0 t I I QOQQQOoCþ 0.0 0.0
図4 - 2 7
0.5 1.0 0.0 0.5 1.0 0.0 0.5 1.0
H/T H/T H/T
カルバゾールービオローゲン連結化合物での速い減衰における速度 定数( k d)に及ぼす外部磁場効果
( A) CzC8 V、 (B ) CzC10V、 (C) CzC12V
193
Through-Ring C D 錯体ではメチレン鎖は延びたコンホメーシ ョ ンをとっている ので、 逆電子移動反応に及ぼすD-A聞の距離依存性を厳密に議論できると考え られる。 これについては4- 6にて詳しく議論する。
4-5-4 Through-Ring CD 1:2錯体における光誘起電子移動反応に対する 磁場効果
ドナー(D )をフ ェノチアジン、 またはカルバゾールとし、 アクセプタ一(A )
をビオローゲンした連結化合物において、 メチレン鎖長が8--- 12化合物は水溶液 中でC Dがlつ連結メチレン鎖に錯化したThrough-Ringシクロデキストリン錯体
を形成すること明らかにした。 この様に水溶液中でDとAが自己組織化した系で の光誘起電子移動に及ぼす磁場効果を述べてきた。 この節ではさらにメチレン鎖 を16に延ばしたカルパゾール-ビオローゲン連結化合物(CzC16V)を用いて、 D
とAが長距離に固定された系での磁場効果を検討した。
CzC16V は α - C D を過剰加えると、 α ーCD がメチレン鎖に2 個包接した
Through-Ring α -C D 1:2錯休を形成することは既に第3章のlH-NMRの検討 (3-4-1)により明らかにした。 α ーCDがメチレン鎖に2個包接するとカル パゾールとビオローゲンの距離は約20Âに固定できることをCP Kモデルで確か めた。
そこで、 この系を用いることで長距離(---20Â)に固定されたラジカル対の交 換相互作用を磁場効果によって検討した。
(実験方法) CzC16Vとα -C Dを溶かした水溶液をレーザーフォトリシス用石英セ
ルに採り、 脱気アルゴン置換した。 この試料を電磁石中に置き、 Nd : YAGレ
ーザーによって光励起(355 nm)し、 過渡吸収スペクトル及び各吸収波長での吸 光度の時間変化を2 5 ocで測定した。
(結果及び考察〉
CzC16V (0.1 mM)とα -CD(2 mM)を溶かした水溶液を 355 nmのレーザ一光励
194
二
N山一日
古川CH 2h-CH 3 2B(CZC16V
N一(CH 2)12 N+ -(CH 3) 3 Br"
CZC12AB
H 2)
C3V
起すると過渡吸収スペクトルには600 nm付近を吸収極大とするビオローゲンカチ オンラジカル(v +・ ) 44)の吸収に対応する吸収と、 対する酸化体であるカルバ ゾールカチオンラジカル(C A +・) 45)に帰属される780 n回付近を吸収極大とす る吸収が観測された(図4 - 2 8 )。
この測定条件下では、 'H -NMR の測定結果より、 α -C Dがメチレン鎖に2
個包接したThrough-Ring C D錯体を形成してい ることがわかった。 従って、 ここ で得られた過渡吸収スペクトルはDとAが長距離 (約20Å : 連結メチレン鎖を all-trans コンホメーシ ョ ンと仮定)に固定された錯体によるものであることが わかった。
次に、 各吸収(603nm, 780nm, 420 nm) の時間変化を図4 - 2 9に示した。
603 n mの吸収はv +・, 780 nm の吸収はC A +・, 420 nmの吸収はカルパゾール
励起三重項(C A 3・ ) 45)とカチオンラジカル(C A +・とv +・〉の吸収の重なり に帰属される。 780 nrnと603 nmの吸収は約1 2 μsまでにラジカルの生成を示す吸 収の立ち上がりが観測された。 また、 1 2 μs以降は分子間反応による再結合を示 すなだらかな減哀が観測された。 420 nmの吸収には1 2 μs までの速い 減衰と1 2
11 S以降になだらかな減衰が観測された。 なだらかな減衰は先のカチオンラジカル
( C A +・とv +・ 〉の吸収のすそに帰属される。 このなだらかな減衰を差しヲ|し1
た初期の速い減衰とのC A +・ 及びv +・吸収の立ち上がりが良く対応しているこ
とがわかった。 従って、 吸収の立ち上がりはカルパゾール励起三重項からビオロ
ーゲンへの電子移動によるラジカルの生成過程を示していることがわかった。 ま た、 ラジカルの吸収を含むこれらの減衰曲線には明かな磁場効果が観測された。
これについては後ほど議論する。
1 9 5
『、司・・F
0.08
v-t↓
ω
19.9μS
� 0.04
図4 - 2 8
。 500 600 700 800
λ/nm
カルパゾールービオローゲン連結化合物( CzC16Y)のα - C D添加 系でのレーザー励起後 19.9μs及び200μsの過渡吸収スペクトル
À ex=355 nm
C A + ・ : カノレノくゾー/レカチオンラジカノレ v + . ビオローゲンカ
チオンラジカル
[CzC16YJ = 0.1 mM. [α - C D ] = 2 mMの水溶液、 250C
196
『・w
図4 - 2 9
0.20
1.0 T
(A)
�
ω 0.1020 40 60 80 100
t /μS
0.20
(8)
の 1.0 T
�
0.100 0
0.12
20 40 60
t /μS
80 100
�
0.08《
0.04
。 。 20 40 60 80 100
t./μS
CzC16Yのα - C D添加系での過渡吸収の時間変化と磁場効果 ( A) 603 nm、 ( B ) 780 nm、 ( C) 420 nm
ゼロ磁場時と1 Tの磁場印加時で測定を行った。
[CzC16Y] = 0.1 mM. [α - C D] = 2 mMの水溶液、 250C
197
l'J.に、 この立ち上がりが分子内反応によるラジカルの生成か、 分子間反応によ る生成を調べるため に連結化合物の濃度変化を行った(図4-3 0 ) 0 603 nmの
吸光度は濃度が増加すると2 倍、 4倍と増加した。 そして、 吸光度の最大値にな
る時間は濃度の増加と共に減少し、 そしてその後の減衰は速く減衰した。 ここで、
もし立ち上がりが分子内反応による ものならば、 立ち上がりの速度は連結化合物 の濃度に独立になるはずである。 しかしながら、 結果は立ち上がりの速度は濃度 の増加に伴って速くなっている。 これらの結果より、 ラジカルの生成と減衰は分 子間反応の過程が寄与していることがわかった。 この事は、 同じ濃度のCzC12ABと C3 Yを組み合わせた測定によっても示される。 CzC12AB(0. 1mM) - α - C D (2田川
-C3 Y ( O. 1田M)の系を 図4- 3 1に示した。 この非連結系での過渡吸収スペクト
ルは同濃度での連結化合物の測定結果(図4-30 (B))と良く一致した。
α ーC Dがメチレン鎖に1個包接した1 : 1錯体を形成するCzC12Y-α - C Dの 系では図4-26 (C)のようにラジカルの生成過程を示す吸収の立ち上がりは
観測されない。 従って、 CzC16Y一α - C D系において観測される吸収の立ち上がり
はα - C Dがメチレン鎖に 2個包接することによってはじめて発現した現象と言え
しすなわち、 この立ち上がりはカルバゾール励起三重項からビオローゲンへの 分子内電子移動が抑制されたため起きたと考えられる。
603 n m における過渡吸収の時間変化を3つの系(CzC12Y/α - C D、 CzC12AB / トC D -C3 Y、 CzC16Y/α - C D )比較した。 2次の動力学のプロ ットを
図4 - 3 2に示した。 図4 - 3 2から明らかの様に20μ s以降のラジカルの減衰 過程は2次の動力学に従うことがわかった。 これより、 求めた反応速度定数を表 4 - 3に示した。 3つの系の逆電子移動過程は拡散律速過程に非常に近いことが わかった。
以上のこれらの測定結果は生成したラジカルには分子内反応と分子間反応の競 争過程が存在していることを示している(スキーム2) 0 2つの過程のどちらが 支配的であることはメチレン鎖長(言い替えれば、 カルパゾールとビオローゲン 部分の分離〉に強く依存する。 1 : 1錯体を形成するCzC12Y-α - C Dの系では分 子内ラジカル対の逆電子移動よる反応に帰属される初期の鋭い減衰が観測される
(図4-26 (C))。 一方、 同濃度の1 : 2錯体を形成するCzC16Y-α - C Dの
198
-図4 - 3 0
4コω
0.08
<! 0.04
。
0.15
.2
0.10《
0.05
ω 0.20
..0 〈
0.10
1.0 T
OT
。 20 40
20 40
下ミゴ OT
。。 20 40
60 t /μS
60 t /μS
60 t /μS
(A)
80
80
(C)
80
100
100
100
CzC16Yのα - C D添加系での603 n田の過渡吸収スペクトルに及ぼす CzC16Yの濃度効果
CzC16Y 濃度: (A) 0.05 mM ( B) 0.1 mM ( C) 0.2 mM [α - C D ] = 2 mMの水溶液、 250C
1 9 9
0.08
and 1.0 T
。
�
ω0.04
。 。 60 80 100
t /μS
40 20
CzC12AB/α -CD-C3V系の603 n田の過渡吸収の時間変化 図4
-
3 1nuu -aE』A m出
の水[ C 3 V J 2 mM、
[α - C D J
m �i、
.,,aA nHU
[ CzC12ABJ
,{ ex=355 nm
ゼロ磁場時と1 Tの磁場印加時で測定を行った。
250C 溶液、
80 60
40 20
.ω心《 \ F
。 。 100 200 300 400 500
t /μS
nmの過渡吸収の時間変化における2次の動力学解析 図4
-
3 2 603( C )
( B ) CzC12AB/α -CD-C3V、
CzC12V/α - C D、
CzC16V/α - C D ( A )
『司・・E
表4-3 各系での2次の反応速度定数(k; Mぺsぺ)
k; M・1S・1
Scheme 2
CzC1SV Iα-CD
1.3X109
201
CzC12V Iα-CD
2.8X109
CZC12AB Iα-CD-C3V
2.2 X 109
『・E
系では離れた分子同士のカルパゾール励起三重項からビオローゲンへの電子移動 によるラジカルの生成過程を示す吸収の立ち上がりが観測される (図4- 3 0
( 8) )。
ここで、 o-A連結化合物において光生成で生じる三重項ラジカル対の減衰速 度は磁場を印加することで著しく 抑制されることが知られている。 長寿命のラジ カル対は基底状態にある他の連結化合物に正孔もしくは電子を移動する機会(電 荷移動反応: charge shift reaction)を持つ事になる。 この様にして生成した離 れた異なる2つのラジカル分子は2分子二分子反応を経て消失する。 これらに関 連した反応機構を スキーム2にまとめた。
磁場を印加した時の遅い 減衰成分に観測されるラジカル濃度の増加は電荷移動 反応(Process C)に十分な寿命を持った連結ラジカル対の観測として取り扱え ると考えられる。 磁場が存在しない時は遅い減衰成分に対応するラジカルは以下 の2つの異なる反応形式によって生成する: (1)カルバゾール励起三重項から 他の連結化合物への直接の電子移動過程 (Process B ) と(2 )三重項状態の結 合ラジカル対の電荷移動反応 (Process C)。 三重項状態の結合ラジカル対は主 に項間交差( 1 S C )を経由する分子内逆電子移動過程によって減衰する。 磁場 を印加すると、 1 S Cが抑制されて、 結果としてProcess Cが1 S Cに比較して 重要な過程になる。
Cz C 16 yからCzC12Vに変えると、 20μ sの時間変化から判断される様にProcess
Aが突然Process Bを抑えて支配的になる(図4-29 (A)と図4-26 (C)
。この著しい変化はα -C 0と連結化合物の錯体の化学量論に及ぼすメチレン鎖長 の効果で説明できると考えられる。 すなわち、 CzC16Vでは1: 2
錯体のThrough-Ring C 0 錯体を形成し、 CzC12Vでは1 : 1錯体のThrough-Ring C D 錯体を形
成する。 CP Kモデルにて検討すると、 1 : 1錯体のThrough-Ring C 0 錯体で はC Dが包接したメチレン鎖はある程度の自由度を残している。 従って、 末端の
ビオローゲン基によって分子内電子移動を経て、 CzC12Vのカルバゾール励起三重 項は明らかに消費される。 それ故、 Process Bの寄与は小さい。 CzC16Vの1 : 2 常体のThrough-Ring C 0 錯体の場合は述結スペーサーが延びたコンホメーシ ョ
ノになるため、 分子 内 電 子移動が抑制され、 結 果 として、 分子問反応を十分に行
202