あすか
2005年10月
2002年 2003年 2004年 2005年 2006年〜
出所:各社プレスリリースより作成
事業再構築による経営基盤強化
また、大手企業を中心に、非コア事業の売却や、工場やサービス部門の分社化など、事 業再構築が積極的に進められ、医薬専業メーカーとして、高収益体質を目指す動きが続い ている8)。 図表 3-4-16 に示したように、日本企業 27 社のコアビジネスである医療用医薬 品売上高比率は上昇傾向にあり、1998 年度の 77.0%から 2005 年度には 88.4%に達している。
94.3
88.2
73.8 68.7
88.4
77.0
0 10,000 20,000 30,000 40,000 50,000
1998 1999 2000 2001 2002 2003 2004 2005 60 70 80 90 100
医療用医薬品 輸出 その他医薬品
その他 医薬品比率 国内医療用医薬品比率
全医療用医薬品比率(国内+輸出)
億円 (%)
図表 3-4-16 医薬品の売上高比率
注:製薬協加盟の上場 29 社9)のうち、経年変化データが追跡できない大日本住友と生化学工業を 除いた 27 社を対象
出所:製薬協活動概況調査(個別決算ベース)より作成
事業再構築の効果は、収益性の改善にも表れている。図表 3-4-17 に示したように、2000 年から 2005 年まで原価率は 8.5 ポイント改善し、研究開発費率が 2.3 ポイント上昇してい るにもかかわらず、営業利益率は 3.6 ポイント改善している。なおこの間、自社開発品目 の売上げ比率が上昇していることも収益性改善の一因である。
8)医薬産業政策研究所研究レポート「“創薬の場”としての競争力強化に向けて」(2005 年)
9) 本稿でいう製薬協加盟上場 29 社とは、武田、第一三共、アステラス、エーザイ、中外、大正、テルモ、
大日本住友、塩野義、田辺、小野、久光、参天、ツムラ、科研、キョーリン、持田、キッセイ、ゼリア、
日本新薬、扶桑、鳥居、あすか、生化学工業、富山化学、日本ケミファ、わかもとに、非上場だが 2005 年 度まで決算情報を公開している三菱ウェルファーマ、および旧日研化学を指す。なお、アステラスは旧山 之内と旧藤沢の、第一三共は旧三共と旧第一の経年業績を合算している。
図表 3-4-17 売上高に占める利益とコスト比率
39.8 38.1 35.7 33.4 32.7 31.3
12.4 13.1 13.3 13.9 13.8 14.7
30.8 31.7 33.2 33.6 33.1 33.4
17.0 17.1 17.8 19.1 20.3 20.6
0%
25%
50%
75%
100%
2000 2001 2002 2003 2004 2005
売上原価率 研究開発費率 販売管理費率(研究開発費除く) 営業利益率
注:製薬協加盟の上場 29 社を対象 出所:各社決算短信(連結)より作成
事業再構築の効果は、とりわけ上位企業に顕著にみられる。売上高 1,000 億円以上の 13 社と 1,000 億円未満の 16 社の営業利益率の推移を比較しているのが図表 3-4-18 である。
上位 13 社では、原価率が 2000 年の 39.7%から 2005 年には 29.9%と 9.8 ポイント低下した 結果10)、研究開発への積極投資や海外展開などにより販売管理費が増大する中にあって、営 業利益率は 17.7%から 21.9%へと上昇している。この間、売上高 1,000 億円未満の 16 社の 営業利益率が 12.8%から 11.2%へ低下した結果、両者の間の営業利益率の差は、4.9%から 10.7%にまで拡大している。
図表 3-4-18 営業利益率(売上高 1,000 億円以上の 13 社とその他 16 社)
21.9%
12.8%
11.2%
17.7%
5.0%
10.0%
15.0%
20.0%
25.0%
2000 2001 2002 2003 2004 2005 上位13社
その他16社
出所:各社決算短信(連結)より作成
10) 原価率については医薬産業政策研究所 政策研ニュースNo.20 を参照
(2)活発な研究開発投資と海外展開
増加する研究開発費と海外売上高
世界に通用する新薬を創り、育てるために、製薬企業は研究開発への投資を活発化させ ている。図表 3-4-19 に示したように、日本企業 29 社の研究開発費は 2000 年の 6,857 億円
(対売上高比 12.4%)から、2005 年には 9,355 億円(同 14.7%)へと 2,498 億円増加した。
図表 3-4-19 研究開発費の総額と対売上高比率