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アルミニウム飲料缶の再生地金の組成を鋳物用材と比較すると、珪素Siの成分に大きな 開きがあることがわかる。珪素は鋳造性(溶湯の流動性)に関わる元素とされているので、
アルミ品位の高い缶半国アルミニウムは鋳造性に難があると考えられる。
(2)アルミニウム缶溶解前の処理
アルミニウムの再生処理においては、再度アルミ缶用もしくは鋳物用の地金として、い わゆるリサイクルを行う場合、異物の除去、磁力選別による鉄分の除去、チップ化(刻む こと)、ベーキング(300度で2Q分焼き塗料を落とす)などの処理を行った上で溶解され る。それらの作業を行わないと、缶の塗料中の顔料に含まれる金属、たとえばFe、 Cu、 Cr、
Zn、 Tiなどがアルミニウム溶湯中に残り、また土の付着量が多い場合はSiが増えるという。
工業規格ではアルミニウム地金の成分比を極めて厳格に規定しているために、このような 煩雑な処理が不可欠なのである。そのほかに有機物の燃焼によって生じる大量の煙、臭い で作業環境が著しく汚染されることや、それらの塗膜や付着物は溶解歩留り(一定量のア ルミUBCから取れる再生アルミニウムの量)を著しく低下させる、などの支障が生じると いう。これらの塗膜除去処理や選別処理を経ずに溶解、再生されるインゴットもあるが、一 それらは再度製品化されるのではなく、鉄鋼生産の際の脱酸材として使用される。
教育現場における教材として求められるものと、リサイクル事業の価値観とは当然異な る。上記の問題の中で地金の成分比云々はともかく、安全性については確実なものが求め られよう。確かに缶の溶解時には、塗料の燃焼にともなう悪臭とガスの発生がみられる。
したがって事情が許せば屋外で行う方が良いが、屋内で実施するのであれば換気に十分留 意することが条件となる。また密閉式の電気炉(窯芸用のものなど)があれば、缶を潰す か刻んで嵩張らないようにしておいてから300。C程度の低温で蒸し焼きにして、塗料だ け焼いておくとガスは発生しないし、水分も完全に除ける。
(3)安全性
・溶湯中に水分が入ることは避けなければならない。700度以上のアルミニウムの溶湯の 中に入った水分は瞬間的に気化してアルミニウムの溶湯をまき散らす、いわゆる水蒸気爆 発を起こすからである。アルミニウム缶の中の水分を完全に蒸発させたうえで増堀の中に 入れることが大切である。
・アルミニウムによる酸化鉄の還元反応であるテルミット反応は3000。Cもの高温を発生 する激しい化学反応であり、かつては鉄道のレールの接合に使われていた。こめ反応は酸 化鉄の量がアルミニウムと同量、もしくは3倍程度でしかも共に微粉末の状態のものを充 分に混合した状態で起きると言われる。しかし爆発的な反応ではないにせよ鉄とアルミニ
ウムが接触すると鉄はその融点以下(700度前後)でも溶けやすくなり、俗に言う「落 ち」の現象を起こして消耗が激しくなるので、欝欝やとりべなど使用する器具に鉄製の物 を使用する場合には塗型材を塗布し、溶湯中に鉄サビを混入させないようにする用心が必 要であろう。昭和アルミ研究部・谷本氏によると、「塗型材は安価な鱗上黒鉛は酸化が早 いので、耐久性のある二酸化チタン系のものが良い」とのことであった。鉄製器具の塗型 の方法としては他に「アルミナ、黒鉛、亜鉛華、キラ粉、タルクなどに水ガラス(珪酸ソ ーダ)を粘結材とした塗型剤を塗布(鋳造技術講座5より)」する方法もあるが小口で買 える市販品のほうが簡便でよかろう。ここではアチソンTK13016というチタン系の塗型材 を使用した。鉄製増塙の歯型が面倒ならば、一般的な黒鉛増量は容量も各サイズがあり長 持ちするので安心して使用できる(写真は塗卜したコーヒー缶、と黒鉛増塙2種)。
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・フラックス(脱酸剤・改良処理剤)やディガッサー(脱ガス剤)の多くは塩素、フッ素、
六塩化エタンなどの有毒ガスを多少なりとも発生し、分解発熱によって火花を出したり溶 湯の温度を急に上げたりする物もある。ディガッサーは熱処理するものや耐圧性を問われ るものでなければ必要ない。近年は事業所においても安全上の配慮からディガッサーの代 わりに安全なアルゴンガスや窒素ガスのバブリングを行っているという。また一口にアル ミニウム用のフラックスと言っても種類が多く、各合金種別や用途によって対応するもの が違うようである。したがってアルミ缶からの地金の溶解歩留りを上げたり、鋳造時の溶 湯の湯流れ性を改善するためにフラックスを使用する場合も、専門家の意見を聞き、なる べく安全性において実績のあるものを選んで、作業は屋外か完全な換気設備のもとで行う べきである(フラックスの成分については次章に詳述した)。
(4)実験・アルミニウム缶からどれだけの地金が回収できるか(溶解歩留り)
{実験方法}
一定量のアルミニウム缶からどれだけのアルミニウム地金がとれるものか、実際に缶を 溶解して実験してみた。溶解には電気炉(SIC発熱体式)を、堀塙は一般的な黒鉛増塙を 使用し溶解温度は800。Cに設定した。なお塗料の剥離は行っていない。下の写真はアル
ミ缶廃材とそれから回収されたアルミニウムのインゴットである。
c ,..
{結果}
(1回目)空き缶総重量2530g,回収地金重量1800g,回収率71%
(2回目)空き缶総重量5337g,回収地金重量4250g,回収率79%
(3回目)空き缶総重量3200g,回収地金重量1900g,回収率59%
{考察}
ここでは可能な限り地金として回収する、と言う趣旨での実験であったから、鋳込みを 前提とした一般的な溶解時よりも、かなり良い値が出ていると思われる。その理由として 大径の堆塙で一気に大量に溶解したこと、電気炉でほぼ無酸素状態で溶解したこと、除津 剤の使用などがあげられる。
一般的に溶解歩留りを悪化させる要因とその対策は
・アルミ缶は肉厚が薄く放熱がよいので、堆嘱が空の状態から溶かしはじめると、溶けだ すまでに時間がかかり時間経過に伴って酸化が進行するので歩留りも悪化する。
*予め増蝸の中に缶の底が浸る位のアルミ溶湯を作っておき、その中に缶材を入れてゆく ようにすると接触面積が増え熱伝導が良くなり短時聞で溶解する。
・溶解温度が高すぎると酸化を助長して歩留りが悪化する。
*アルミニウムの融点は6600Cであるから、熱伝対温度計があれば700から800度位に 温度管理して溶解を行う。
・不必要な撹拝をすると酸化を助長して歩留りが悪化する。
*アルミニウムはたいへん酸化しやすい金属だが、表面にできる酸化皮膜は安定で内部を 更なる酸化から守っている。溶湯表面にもこの酸化皮膜はできるので、できるだけ静かに 溶解作業を行う。増血から溶湯を汲みだす場合も溶湯の酸化皮膜をできるだけ破らないよ うに気をっけ、丈夫な黒鉛証言ならば有機物の灰や酸化物のカスを絞るようにしてやると かなり回収できる。
*酸化防止、酸化物除去に有効なフラックスを使用することで歩留りを上げることができ る。本論の中ではフォセコ・ジャパンのカバラル18Sと千代田産業KKのチョクレンズ・カ バー109という製品を使用した。特に前者は缶剤のスクラップ溶解用精錬フラックスとし て業界で使用されているものである。
小径の堆堀で七輪などを熱源としてアルミニウム缶の溶解を行った場合、上記の諸点に 気をつけたとしても地金の回収率は5割を上回れば上々だと思われる。
第三節鋳型
教育材料として求められる要素は、安全性、低廉な価格、簡便性などであろう。また教 育効果の面からは、造形性一鋳造性にすぐれた素材が好ましいのは言うまでもない。本章 第一節において鋳型材料、鋳型形式について触れたが、教材としての適性を持つものは何 か、と言う問題を簡単な実験を交えて考察してみたい。本節の実験では、鋳型の構造は開 放型を主として単純な物に限定した。鋳型形式では「石膏型」、「生型」、rCO2型」、
「フルモールド法」について試行した。これらの選択にあたっては上記の理由のほか従来 の教室環境のなかで馴染みのあるものや施設備品の流用の便などを考慮した。
(石膏型の実験)
石膏2種類と珪砂、アンツーカーを、組み合わせと比率を変えながら混合して鋳型を作 り、自然乾燥したものと焼成したもので鋳込み実験を行った。石膏の種別は、美術教材用 の焼石膏と鋳造用の耐熱石膏である。それぞれの混合比率は重量比である。焼成は二通り の方法で行い、一つのグループは自然乾燥1週間の後、4時間半かけて9500Cまで徐徐 に温度を上げて焼成した。もう一つのグループは11時間かけ2500Cまで徐徐に昇温し30 00Cで13時間焼成した。原型には木型を用い、鋭い稜線を持つ形と丸みのある形の2種 類とした(下の写真参照)。これはアルミニウム缶廃材の湯流れ性(エッジ部の再現)を
も同時に見てみよう、という試みであった。
2種類の木型