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 溶湯が接した鋳型の面は黒く焼けていたが、念を入れる意味でアルコール系の塗型材

(ハード・ゾル/鋳研商事KK、978円)をスプレーしてから着火し、型を充分灸つた上 で再び注湯した。二回目の鋳込みでは山砂、浜砂ともに引け巣やピンホールも殆ど見られ ず、やや刺され肌気味ではあったが、とても良い鋳上がりであった。ただ浜砂の方はテス トピースの表面に灰色のごく薄い酸化膜状のものができていた(写真では剥離した状態)。

{考察}

 一回目の鋳込み不良の原因は、山砂では粘土中の有機物が燃焼したことによるガスの発 生や水蒸気の発生が考えられる。浜砂ではその中に混在していて除去しきれなかった粉末 状の貝殻の破片などが発生したガスや、磁鉄鉱、雲母などの爽雑物が原因と推測する。浜 砂では2回めの鋳込みでも鋳肌表面に異常が見られたので、何か鋳型材料として不適当な 要素があると思われる。

 本来の生型は鋳型を焼かないで鋳造するので「生」型の名があるのだが、今回の試行の ように熱処理していない山砂を使用する場合は、溶湯が接する面をしっかり焼いてから鋳 込みを行う必要があるようだ。因みに日本の真土型で使う真土土やイタリア式蝦型鋳造に 用いられるシャモット、アンツーカーはいずれも熱履歴を経た土である。一回の実験では、

もとより断定的なことは言えないが、浜砂については鋳型材料としては困難があるように 思われる。株式会社トウチュウによると鋳造関係材料に浜砂は一切使用していない、との

ことである。また今回のように開放型で溶湯に接する面を処理し易い鋳型の場合は、型焼 した方が予熱の効果もあり、良い結果につながるようである。

(CO2型の実験)

 CO2型の特徴については前節で述べたが、この方法は必ずしも型枠や容器の必要がな いので、鋳型の造形上の自由度が大きいという魅力がある。しかし教材化を試みる上で二 酸化炭素による硬化反応をどう処理するか、という問題があった。大容量の炭酸ガスの高 圧ボンベがあれば一番よいが、安価なものではない上に管理上も問題無しとしない。炭酸 ガスを用いることなく、空気中に放置しておいても硬化することは確認できたが、完全に 硬化するのに3週間以上かかった。そこでここでは食品冷蔵用のドライアイスを使用して

みた。ドライアイスは二酸化炭素の固体であり、密閉状態で気化させればガスの吹き込み と同様に硬化反応を起こしうるのではないか、と考え試行した。

{鋳型作り}

鋳型の基材となるのは珪砂であり、これに粘結材として珪酸ソーダ(水ガラス)を4な いし6%加えて混議する。この時0.5ないし1%の水を加えると混練が平均になる。ここ

では珪砂にトーヨー・シリカサンド(30Kg700円位)を、珪酸ソーダにCPソーダ

(184で2700円位)を使用した。

 原型にはこれまで使用してきた木型と共に発泡スチロールの消失原型(フルモールド

法)も試行した。開放型の方は生型の時と同様に鋳砂に木型を押しつけるようにし、型枠 やボールを利用して原型の周囲も平均にしっかり押さえ込む。生型と違う点は、硬化反応 が終了するまで原型を抜かないことである。硬化反応を進めるためには二酸化炭素に触れ る表面積が、より多い方が良いと思われる。そこで型枠を分割できるようにして、造形後 に取り外した(下の写真)。

 鋳型の造形終了後ポリ袋(88cm×95cm)に入れ2.5Kgのドライアイスと共に密封した。

ここには硬化を確認するために、鋳型と同形・同量に撞き固めた鋳砂の手弄も入れておい た。封入後間もなく炭酸ガスの発生によって袋が大きく膨らんできた。内圧がかかった方 がガスの浸透が促進される筈だが、袋の破裂を防ぐために一か所だけ針で穴を開けた。当 初ドライアイスの気化完了を待って開封する予定だったが、24時間後も袋は膨らんだまま の状態で気化が継続していることをうかがわせた。そこで、開封し硬化の確認のため試片 を割ってみたところ、完全に硬化が完了していたので鋳型を取り出した。ドライアイスは

1Kg残っていた(実験当日の気温は最低10。 Cから最高16。 C)。

 鋳型の様子を見ると発泡スチロール原型では小さなヒビが入っている物もあった。また 原型の発泡スチロールは珪酸ソーダと反応を起こしたのであろうか、一割がた収縮を起こ

していた。それで今回は鋳型を砂に埋めて鋳込むこととしたが、外見上灘に異常が認めら れなくても安全のためそうした方が無難であろう。開放型では原型に鋳砂が付着した状態 で鋳型が荒れてしまった。鋳込み前には鋳型表面にハードゾルを吹き、形焼きを行った。

発泡スチロール原型・CO2型(硬化後)

{鋳込みの結果}

鋳込み温度は786。Cであった。 CO2型は熱履歴を経ると鋳型が脆くなり簡単に型ば らしができる。開放型の方は鋳型の荒れをそのまま写し取り、良好な鋳上がり状態であっ た。発泡スチロール原型の方も良好な鋳上がりであったが、後述する生型の物と比較する と刻印性(鋳肌の再現度)において僅かに劣る。

       

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{考察〕

 ドライアイスはCO2型の鋳型を充分に硬化させ得ることが分かった。適当なドライア イスの量と硬化時間については明確にできなかったが、密閉度が高く丈夫な(ガスの圧力 に耐え得る)物なら鋳型内部へのガスの浸透が促進されるから更に少量、短時間で硬化が 完了すると思われる。またCO2型の硬化は時間でなく発生する炭酸ガスの分子量が左右 するから硬化時間を短縮するためにはドライアイスを温めて気化を促してやる方法もあろ

う。

 CO2型の原型の処理については木型のように吸湿性のあるものや、表面が滑らかでな い原型を使用する場合はパーチング粉など適当な離型材を使用する必要がある。

 また順序が前後するが、水ガラスと珪砂の混練時はついつい水ガラスを入れ過ぎてしま いがちである。これによってより強固に硬化するようになるが通気性が悪化し、型ばらし 時の崩壊性も悪くなるので気を付けたい点である。

(フルモールド法の実験)

 フルモールド法については前節でのべたが、教材として見た時には、また別の意味で魅 力ある技法である。それは木型では不可能な、抜け勾配のない原型でも鋳造可能であるこ

とや、原型を鋳型から抜き取る工程が不要であること、また原型として用いる発泡スチロ ールは安価で造形が容易であることや、粘結材なしの鋳砂を使えることなどである。

{原型作り}

 切削加工は糸鋸、ナイフ、など何でも使用できるが、電熱線を使った専用のカッターは 便利である。また接着剤も使えるが、ニトロ・セルロース系の溶剤には溶けるので注意が 必要である。ここでは二液性のエポキシ樹脂系のものを使った。原型には発泡スチロール か紙で湯口を付けておく。

{鋳型作り}

 鋳型は生型とCO2型の両方で実験を行った。生型の砂は市販の珪砂(トーヨー・シリ カサンド6−3)と羽二重粉を同量にベントナイト(ボルクレーSPV)を15%混練したも のを使用し水分は極力少なめとした。ここで生型に用いた原型には墨型剤を塗布したもの

と、施さないものの両方を用意して比較を試みた。塗無爵(オカペイント210、成分はSi O2:91.7%, A1203:3.0%, Fe203:0.4%.MgO=0.2%、難岡崎鑛産物)は筆で原型に直接 塗る。CO2型では大型の鋳型では石膏型のように芯金を入れて補強するが、今回は小さ いので砂場に埋めて鋳込むこととし補強しなかった(写真は原型を埋めた状態)。

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{鋳込みの結果}

 鋳込み温度は7700Cであった。白湯と同時に原型は気化しアルミニウムに置換され、

発泡スチロールの燃焼に伴う強い臭気のガスが発生した。3、4分の後、固まるのを待っ て砂から取り出すと鋳上がりは非常に良好であった。

発泡スチロール原型と鋳物(落し込み法による方案その1)

左・塗型剤を使用(生型) 右・塗型剤を使用せず(CO2型)

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原型と鋳物(下注ぎ法による方案その1)

左・塗型剤を使用(生型) 右・塗型剤を使用せず(CO2型)

原型と鋳物(落し込み法による方案その2)

1魂麹

 左・塗型剤を使用(生型)

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右・塗型剤を使用せず(CO2型)

原型と鋳物(落し込み法による方案その3)

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塗型剤を使用せず生型で鋳込んだもの

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{考察}

 発泡スチロールには種類により密度の違いがあり、あまり目の荒い物よりも適度に緻密 な材のほうが造形しやすいし、型込めにも耐える。また目の荒い材を原型に用いた時には、

泡粒のパターンが鋳肌に過度に表れる。しかしこれでなくてはならない、というものでは なく、梱包用のスチロールでも充分使用できる。鋳造方案の上では湯溜まりを大きく取り、

押し湯を充分にきかせることが良い結果を生むようだ。

 前述の部分と重複するがCO2型と生型を比較すると、生型の方が良い結果となってい る。これは生型の通気性の優位を物語るものであろう。また塗櫛剤の効果について言えば、

原型に塗卜した方は発泡スチロールの泡粒の一つ一つの形が忠実に表れており、施さなか った方は若干刺され気味であったことから、塗型剤は鋳肌の微妙な再現という点で有効と

言える。

(鋳造性を高めるたあの方法)

 前章でアルミニウム缶廃材の湯流れ性の悪さについて言及したが、本来の用途、加工法 に外れたことを試みているのだから致し方ないともいえる。とりあえず廃材が造形作品へ とリサイクルされることが確認できればよしとする考え方もあろう。しかし、そこをスタ ート地点として生徒達の造形への欲求にどこまで答えられるか、ということは造形学習の 教材として大切な要点だと考える。

 幾つかの試行錯誤の中でアルミニウムの鋳造性(原型をどこまで再現できるかという性 質、刻印性と言う言い方もあるようだ)を高めるための方法を探ってみたが、四点につい て記してみたい。

(1)鋳込み温度

注湯時のアルミニウム溶湯の温度が低いと、湯流れが悪化することがわかっている。ア ルミニウムは鉄の3倍と熱伝導性が良いために溶湯が冷めやすく、温度管理は鋳造の成否 を決定する非常に大きな要素となる。本論の実験では溶湯温度が770。Cから7800Cの 間が最もうまくいった。この温度では溶湯はピンク色に輝いているが熱伝対温度計がある に越したことはない。専門書によればアルミニウムは高温時の水素ガス吸収が甚だしいの で溶解温度を上げすぎないこと、と必ず書かれている。しかし機械部品などのようにピン ホールの発生による強度低下に対して厳格でなくてはならないものと違い、強度について

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