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第四節 製作の実際

 本節では前節までの考察とその結果を基に、教育現場において具体的にどのような形で 鋳造技法を展開してゆくか、を考えてみたい。これには対象とする児童生徒の学年や取り 扱う教科・領域によって、様々な指導形態がありえよう。すなわち廃材を材料とすること

によって資源としてのアルミニウムの有用性に気づかせるだけでなく、そこから環境問題 に発展させたり、アルミニウムという金属の物質的特牲に比重を置いたり、また加工技術 に重点を絞ったりすることなど、それぞれの教科目標に従った実践方法が可能と考える。

しかしここでは中学校の美術科を対象として工芸領域の題材として設定した。

  〔主題〕アルミニウム缶廃材を使った鋳物工作・ペーパーウェイトの製作  1 主題設定の理由

 (生徒の実体)子供たちにとって金属製品は身近にあるものだが、木工品や焼き物など と違い、使うものではあっても作るものとは言い難かった。彼らにとって金属製品とは組 み立てたり修理するものではあっても、素材から作れるものという観念は薄い。男子は技 術科で金工を学習し、板材や塊材の切断、穿孔、掘削、などの切削加工や折り曲げなどの 塑性加工は学ぶが、金属の可溶性を利用した鋳造は知識はあっても経験はない。

 (教科の実体)人類ははるか昔から金属で工芸品や銅像などを鋳込んできた。しかし小 中学校の美術科の学習において、それらは鑑賞教育の教材や歴史的資料ではあっても、同

じ技法を使って創作の喜びを味わうためのモデルではなかった。その理由はa.施設・設 備に特別なものを要すること、b.安全性が確立されていないこと、 c.材料費が安価で ないこと、などであったが、これらの諸問題は乗り越えることができ(即ちa:特別な物 は極力使わないで、b:安全に、 c:安価で繰り返し使える材料で実施できる)金属の持 つ物質的な特性と材質美を同時に体験できることが確かめられた。

 (社会の実体)私たちの毎日の生活の営みに伴って資源ゴミと呼ばれる廃棄物が続々と 生じているが、アルミ缶もその一つである。アルミニウムは電気の缶詰と呼ばれるほど作

るのに大量の電気を必要とする金属で、アルミ缶一個をリサイクルして節約した電力でテ レビを三時間見られ、またボーキサイト原料からアルミニウムを作ることに較べると空き 缶からのリサイクルでは97%もの電気エネルギーを節約できると言う。そこでアルミ缶に は「あき缶はリサイクルへ」と書かれているのだが、生徒自身がそれを実体験することに

意義がある。またこの体験を地域の実体や社会の実体を見直し、エネルギー問題も含めた 地球環境諸問題を考える端緒とすることができる。

 2 指導の狙い

題材の目標(ペーパーウエイトの製作)

・アルミニウム素材の特性を活かしてペーパーウエイトをつくる。

・リサイクルの体験を通して資源の大切さを知る。

・リサイクルの実態を知り一人一人の責任を考える。

・金属の特性(可溶性)とそれを利用した鋳造技法を理解する。

・使用目的や使用条件に即したかたちを工夫する。

・金属との関わりを通して製作の楽しみを味わい、材質美を体験する。

 3 指導計画      計14時

(1)アルミニウムの特徴とその利用…一一一…………一・一一…一一…………一一一一…一…1時

(2)アルミ缶の溶解………一一一…一一一………一……一…一……一一…………一…一……2時

(3)発想・アイデアスケッチー一一…一………一一一…一一…一一…一一一一…一一一一…一一一一………一一・2時

(4)原型作り………一………一一………一……一…一一一…一…………一一一一一一一一一一…一一……・2時

(5)鋳型作り………一一一……一…一……一………一一…一一……一一…一……2時

(6)鋳込み…一……一一一一一一……一一一一一一…一………一………一一…一一…一一一…一一一一一一一…2時

(7)仕上げ一……一…一一…一………一一…一…一一一…一…一一一…一……一一………一………一一2時

(8)まとめ…一……一…一一…一一一………一一一一一一一…一……一……一一一…一一………一…一…一1時

       4  授業の展開

 本題材においてはアルミ缶を溶解する過程と鋳造する過程を連続的に取り扱うか否かに よって、また鋳造技法をどう取り扱うかによって指導の展開が違ってくる。リサイクルの 重要性を認識させ、それを造形の喜びに直接的に結び付けるには、缶の溶解と鋳造という ふたつの工程を連続させたほうが、より生徒の感動は深いといえる。しかし両工程とも安 全性の確保が重要な工程であり、生徒数及び作品の大きさによっては、必要量の地金の回 収と個々の作品鋳込みという異なった目的を同時進行させることが難しくなる。また使用 する原型及び鋳型の材料、鋳型形式の種類によって手順が違うので、原型の製作から鋳型

作り、鋳込みまでの工程は一貫した計画的なものでなければならない。

 ここではアルミ缶の溶解をまず行ってリサイクルを体験させるとともに、金属の可溶性 に着目させ次の鋳造技法への意欲を高めることを狙いたい。と同時に作品鋳造に必要なア ルミニウム地金をできるだけ回収しておき、鋳込みの工程が短時間で安全に完了できるよ うに意図した。また原型と鋳型形式の関係を下図にまとめてみたが、授業者はこの中から 目的に合致するものを選択する。ここでは発泡スチロール原型と生型の場合で構成した。

原型材質 条件・特徴 鋳型形式 鋳型材料 条件・特徴

粘土 自由な造形が可能 石膏鋳型 珪砂かア 焼成が必要。鋳肌は美しい ンツーカ がガス抜けが悪い。

開 石膏、木 同じ鋳型が幾つで

山砂、珪 安価でガス抜けが良く失敗 放 その他

もできる。

「形上の制約があ

砂など が少ない。型焼きした方が 型 湯流れが良い。

る。抜け勾配を有 型 する形で硬い物で

CO2

珪砂、水ガラ

X、ドライア 一日以内で硬化終了す

あること。

イス

るが型離れが悪い

発泡スチ 比較的自由な造形

山砂、珪 造形が容易で失敗が少なく繰り ロール が可能であり廃材 砂など 返し使える。ガス抜きが不要。

(梱包剤)も使え 原型用の斜影剤は効果的。

る。接着がきく。

CO2型

珪砂、水

Kラス、 ガス抜き不要で大型の物も可 ドライアイス 三三は型を埋めて行うのが安全

蝦(蜜蝋 自由な造形が可能 石膏鋳型 珪砂かア 脱蝋、 焼成が必要で型は補強し を主とし だが高価である。 ンツーカ たほうが安全である。湯道、 か

た物) ス抜きの配置が非常に難しい。

学習展開図 (1)アルミニウムの特徴とその利用 全1時

学習 生徒の学習活動

教師の働きかけ 指導上の留意点 段階 知る 考える 行う

目標確認「 ・本丁の学習課題提示 ・錆びにくい・軽い・無毒 アルミニウムの特徴: ・「発問」アルミニウム 導電性が良い・精錬のシス

の特徴を考えよう。

E発表させる。

テムは大量の電力が必要 E主要生産国はオーストラ 導

確認「

・発表を整理し補足説明 リア、アメリカ、ブラジル 入 何に利用されているか ・「発問」アルミの利用 ・日常生活から(サッシ、

段 Lr   表 の様子を考えよう。

E発表させる。

缶、アルミ箔、やかん等)

Eカードにして貼り出し、

確認一

・発表を整理し補足説明 用途別に整理して示す。

廃品の処理 ・「発問」使われた後の Aルミニウムはどうなる E各家庭のアルミ廃品の

・各家庭のアルミニウムの p品(アルミ缶など)が一 定期間に出る量を調査させ エネルギーを捨ててい 量を発表させる。

ておく。

るということに着目 ・電力消費の面から資源 ・精錬にどれだけエネルギ としての貴重性を示唆。 一(電力)を要したか。

電気エネルギーを得る ・それらの電気はどうし ・火力発電一CO2の増大 代価として失う ものは て得られたか考えさせる 水力発電一森林伐採

環境破壊を防ぐには

漁労

・省資源、省エネルギー 進め環境破壊をくい止 ゚るにはどうすべきか。

E発表を整理しリサイク 汲フ意義を確認する。

・地球環境の悪化

ル簿

再利用の意義に気づく ・七時の予告 ・次時への意欲を喚起する

学習展開図 (2)アルミ缶の溶解 全2時

学習 生徒の学習活動

段階 教師の働きかけ 指導上の留意点

知る 考える 行う

目標確認 ・本時の学習課題提示 ・火気と溶湯の取扱いに

・「アルミ缶の溶解」 注意する。

・送風しながら昇温する。

溶解実験

手順説明

i1)七輪で火を起こす。 ・燃焼ガスの発生を抑える

(2)食下の中に缶を入れ には予め300度ぐらいで焼

る。

いておく。

(3)溶湯が溜まったらフ ・元湯の中に缶材を入れる 準 ラックスで野津し空け型 ようにすると能率が良い。

に流す。

段 (4)固まったらすぐ水で

冷却する。

Eアルミが溶ける様子を

・堆塙の中で残り湯が凝固 キると堆塙が傷むので全部 発表する 話し合わせ発表させる。 掻きだすこと。

一一

・金属の可溶性を確認

アルミの可溶性から資 ・アルミは資源として回 ・どれだけの缶材からどれ 源回収や鋳造加工がで 収可能なことを示唆する だけのアルミが回収できた きることを知る。 ・鋳造技法の概略を教え か重量を計らせてもよい。

よ時の計画を知る る。

Eまとめ、次時の予告

(アイデアスケッチ) ・次時への意欲を喚起する

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