魚は湾脚部沿岸の浅い水域に分布するが,
河口域には6〜20㎜,干潟域には6〜60
㎜,それに続く浅海域には6〜80 mmの 稚魚が主に分布し,分希域は成長にとも なって沖の深い水域へ移動する。若魚は 成魚が分布する沖合域に分布するように なり,さらに体長160㎜前後に達した個 体はより深い水域へ移動する。このよう にコイチには仔魚期に汽水性内湾の奥部 へ移動し,稚魚・若魚期に逆に沖へ移動 する分布の変化が認められたが,大西洋 に分布するニベ科魚me Pogonias cromis
( Linnaeus )5i);Micropogon undulatus
(Linnaeus)8),Cly7zosoガ07τsp.27),にも 同様の特徴的な分布の変化が明らかにさ れている。
次に,このように変化する生息域の水 温と塩素量をFig.50に示し,成長にと もなう環境の変化について検討を加えた。
産卵盛期の環境水温は19〜23。C,塩素量 は15〜 18%・,河口域で稚魚が多く分布 する環境の水温は22〜33℃,塩素量は1
〜17%・,細魚が分布する湾細部沖合域の
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Chlorinity (O1.)15
Fig. 50 Environmental conditions in four stages of life cycle. Chained line, spawning area;
solid line, prejuvenile s habitat in river;
broken line, juvenile s habitat; dotted line,
habitat in cold season.
9〜11月目水温は15〜27℃,塩素量は16〜18%。である。コイチ成魚は周年にわたり湾奥部沖合域から湾口部 という外海の影響が比較的強い水域に分布するので,その環境変化は海洋の一般的な季節変化の範囲に近い が,稚魚は気温が高い6〜8月に陸水の影響の強い沿岸の浅い水域に分布するので,Fig.50に実線で示して とおり,生息環境は条件の範囲が特に広い特徴がある。
Zoea of Brachyura Copepoda
Gammaridae
Mysidacea
Natantia (S }
Natantia ( L.) *
Acetes j aponi cus
Young Pisces Sma11 Brachyura *
一INiiiiiiiiiiiNi一一.i−i.i一一
一一itiiiiilllllllllllllllllliiiiiiiiiiiiiiiiii)一一i−ny一一一一・一一一一一一一一一一一一
一一一一一一・一一一一一一一一一一一一一iii−i−iiilllllllllllllliii
一一一一一一一一一一一一一一一一一t−i)i)一一一(iiiiiilllllllliiiiiiiiii,i・一i−b一
Polychaeta
Cumacea Isopoda Lucifer reynaudi
Young Stomatopoda Chaetpgnatha
Appendicularia
)
一・iiiiii−1i)一・・一一,i.i.一一,,i一,p一一,M・一一一一一
Cladocera Paguridae
︒ 20
40 60 80
Body length (mm)
100 120 140
Fig. 51 Changes with growth in rate of the number of prejuveniles and juveniles feeding on specific species or groups of food animal.
* small N atantia including Acetes joponiczas , measuring from some mili−
meters to 2 cm in body length.
* * large N atantia including MetaPenaezas ioyneri, M etaPenaeoPsi barbata,
and Alpheidae, measuring 2 一一一 5 cm in body length.
*** small Brachyura including megalopa.
まず,1961年7月io日に浅海域(竹羽瀬
TS)で漁獲された体長21・一一・80mmの稚魚によ って体長と主な胃内容との関係を調べ,Fig.
52に示した。これによれば,ほとんどの大 きさの稚魚にも槙i脚類とアミ類が認められ るが,体長別には,槙i脚類捕食個体の出現 率,胃内の平均澆脚回数とも体長21削30㎜
に最大で,その後低下するのに対しアミ
類については両値とも体長21〜30㎜に最低 で,31〔 8(血に高い。このように餌生物の 同じ分布条件の下で体長によって胃内容組『成に変化があることから,コイチの主要な 餌に対する撰択性は体長31〜40㎜を;境に三 脚類からアミ類へ変化するとみられる。
若魚については197C年10月に沖合域で漁
獲された体長81〜150㎜,79尾の標本によ
って胃内容を調べ,多くのシバエビMeta−penaeus joyneri(Miers)と若干のテッポ ウエビ類Alpheidaeからなるエビ類が最も 多く認められた。その捕食個体出現率は89
%で,小型カニ類の33%がそれについで高 いが,稚魚が主に捕食しているアミ類は8
%でわずかしか捕食されていない。また,
この体長範囲では上記3者の出現率と白魚 の体長との間に一定の傾向は認められなか
った。
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30 50 70
Body length of young (rrrm)
Fig. 53 Relationship in size between
predator (prejuvenile of N.
albzflora) and prey (Mysidacea).
Specimens used in this exami−
nation are the same as those in Fig. 52.
ot
メ ,ノQ、
メ)〆 \...r . 1× 一...D 2〜3 10
て)/o. 41s 50
Body length (mm)
10
ρ0〜7Fig. 52 Changes of stomach contents of
prejuveniles with growth. The speci−mens were caught with TAKEHAZE TS on July 10th, 1961. Stomach con−
tents are shown in terms of the mean
number of individuals of two main food animal groups in stomach and
the rate of prejuveniles feeding on each group.先に捕食個体出現率の高い餌生物どしてあげたもののうち,
アキアミはこれまでに述べた擁脚類,アミ類エビ類,カチ類
と異なり,稚魚期から若魚期への移行期を中心に,主に体長51〜110㎜の個体に捕食されているが,アキアミ捕食個体はほと んど8月だけに干潟域から浅海域に出現し,河口域と沖合域に 分布する稚魚と若魚はほとんどこれを捕食していない。これよ り,若魚期に移行する前後の大きさに成長し,まだ沖合域まで は達していない個体が干潟域と浅海域でアキアミを多く捕食す るとみられる。
捕食者の成長にともなって変化する餌を規定する要素の1つ として一般に餌の大ささが考えられるが,餌:生物の大きさにつ
いてはその体型が多様蔦種間の比較がむずかしいので吟同
じ時期と場所で漁獲された体長21〜80㎜の稚魚の胃内容からア ミ類を取り出して捕食者の大きさとの関係を求め,Fig.53に示 した。これによれば,餌の最大と平均がほぼ稚魚の大きさに従 って増加し,最小の大きさが四花しないという稚魚類一般に認 められている傾向萄が認められる。次に上述の若魚の胃内に多く認められたエビ類を体長3cmを境に大小2群に分け,
体長別にそれぞれの捕食個体出現率と胃内の平均個体 数をFig.54に示した。これによれば,コイチの若魚に は成長にともなってより大型のエビ類を捕食するよう になる傾向がある。しかし,上記の稚魚の胃内容のう ち,ヨコエビ類については稚魚の大きさとの間に一定 の関係は認められなかった。これらの結果から,稚魚 が捕食する餌の大きさは基本的には成長にともなって 増大するが,大きさ以外の要素も働いて,実際に捕食 される餌の大きさには大きい変異が生じると考えられ
る。
成魚については1964年4〜10月に湾奥部で漁獲され
た125尾を4〜6.月と9,10月との2群に分け,その
胃内容組成を各餌生物に対する捕食個体の出現率によ ってTable 15に示した。これによれば,エビ類が最も 多く捕食されているが,餌生物を生態的に類別すると,中層遊泳性(イワシ類Clupeicae),中・底層遊泳性
(エビ類,ハゼ類Gobiina),ほふく性(カニ類),
付着性(端脚類Amphipoda)などと範囲が広い。ま た4〜6月はエビ類,ヨコエビ類,カニ類が多いのに
対し,9,10月はエビ類,魚類,ワレカラ類Caprellidae が多く,季節によって組成の変化がかなり顕著である。このような成魚の胃内容組成とその季節変化から,二 種の捕食行動は生態的にかなり広い範囲にわたると考 えられる。
以上の検討から,コイチの二三から成魚までの胃内 容に成長にともなう次のような変化が認められた。す なわち,仔魚と小型稚魚の主な胃内容は棲i脚類,大型
稚魚はアミ類,ヨコエビ類アキアミ,若魚はその他
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110 130
Body 1ength (mrn)
141 s
150
54 Changes in size of the prey
(Natantia) with growth of the predator (prejuvenile of N.
albzJflora), shown in terms of the
mean number of small shrimp
(solid lines) smaller than 3 cm in body length and large one
(broken lines) larger than the former in stomach(l ower) and the rate of prej uveniles (upper)
feeding on those.
のエビ類とカニ類で,成魚には若干の主な胃内容以外にイワシ類,ヨコエビ類とワレカラ類も多く認められ た。これより,コイチの主な餌は成長にともなってほぼこのような変化をたどるとみられる。コイチの餌生 物に対する撰択性については,胃内容が生態的に広い範囲にわたる動物から構成されており,また胃内のヨ
コエビ類の大きさにコイチの体長との関係が認められないことから,その許容範囲がかなり広く,食性はコ イチの分布の時空間的な変化に対応した餌生物の出現・分布に強く左右されると考えられる。しかし,基本 的には対象とする餌生物の変化は仔魚期初期の浮遊性から稚魚期後期の遊泳性と付着性へ,稚魚期後期の食 性から焼魚・成魚期のほふく性をも含めた広い範囲の食性へという生態的要素および小型から大型への大き
さの要素に規定される。
次に主要な餌生物の分布とコイチの分布との関係を検討した。まず,1937年10,11,月の海洋気象台による 調査結果ig)より檎脚類の採集量分布をFig.55に示した。この資料は時期的,場所的にコイチ仔稚魚の出現
・分布といくぶんずれているが,湾の奥山ほど榜脚類が多く分布する順向がある。心奥部における擁脚類分 布の季節変化については福岡県水産試験場の1964年の調査資料16)から,福岡県地先水域における椀脚類採集 量の月変化をFig.56に示した。これによれば,檎脚類はコイチ仔稚魚が出現する6〜9月に多い・稚魚と若魚 の胃内に多く認められたアキアミとシバエビについては福岡県と佐賀県の地先(湾奥部)における1953年か
ら6年間の平均漁獲高変動をFig.57に示した。これによれば,アキアミは8〜10月,シバエビは8〜1月が
Table 15. Stomach contents of the−adult shown feeding on each food animal.
in terms of the rate of individuals
Month of collection April〜June Sep. 〜 Oct.
Body length range(㎜) 143〜321、(211) 182〜209 (196)
No. of individuals examined 112 13
Annelida
polychaeta 7
Grustacea
Mysidacea
2Isopoda 、 2
Gammaridae 26 15
Caprellidae 4 31
Natantia (L)* 35 69
Natantia (S)** 2 23
Paguridae
2Brachyura
24 8Vertebrate
Osteichthys 15 54
*
一**
***
1arge Natantia including Alpheidae, Met砂enαeusブ。:ynen and barbata, measuring 2 hv scm in body length
sma11 Natantia including Acetes iaPonicus, measuring from some clupeoid fish and gobioid fish