台 湾 で は 1974 年 に 廃 棄 物 の 処 理 に 関 す る 法 律( 廃 棄 物 清 理 法 )が 制 定 さ れ 、プ ラ ス チ ッ ク も 資 源 と し て 位 置 付 け ら れ る よ う に な っ た 。1987 年 に は ご み 削 減 と リ サ イ ク ル 促 進 の た め 「 資 源 回 収 四 合 一 制 度 」 が 制 定 さ れ た 。 四 合 一 制 度 と は 、①消 費 者 、②回 収 商 ( 資 源 回 収 事 業 者 お よ び 中 間 処 理 事 業 者 )、③地 方 清 潔 隊( 市 町 村 に あ る 分 別 収 集 を 行 う 部 署 )、④回 収 基 金 、が そ れ ぞ れ 決 め ら れ た 役 割 を 果 た し て 回 収・リ サ イ ク ル を 促 進 す る と い う 制 度 で あ る( 埴 , 2014)。台 湾 政 府 に 所 属 す る「 資 源 回 収 基 金 管 理 委 員 会 」( 以 下「 基 管 会 」と 記 載 )が 事 業 者 の 拠 出 し た 基 金 を 管 理 す る 。1997 年 に 廃 棄 物 清 理 法 が 改 正 さ れ 、従 来 の 飲 料 容 器 の 他 、 容 器 包 装 全 般 お よ び 家 電 に も 対 象 を 広 げ 、 回 収 の み な ら ず 資 源 化 の た め の 費 用 負 担 も 製 造 業 者 、 輸 入 業 者 、 小 売 業 者 に 課 す こ と と な っ た ( 経 済 産 業 省228)。
こ の 四 合 一 制 度 は OECD の 提 唱 す る EPR を 意 識 し た 政 策 と い え る 。現 在 は 自 動 車 や IT 機 器 、タ イ ヤ 、バ ッ テ リ ー な ど も 同 制 度 の 対 象 で あ る 。 日 本 で は 、 容 器 包 装 リ サ イ ク ル 法 、 家 電 リ サ イ ク ル 法 、 自 動 車 リ サ イ ク ル 法 、 食 品 リ サ イ ク ル 法 な ど 個 別 物 品 の 特 性 に 応 じ た リ サ イ ク ル 法 が あ り 、 そ れ ぞ れ の リ サ イ ク ル 法 の も と で 回 収 ・ リ サ イ ク ル さ れ て い る が 、 台 湾 で は 多 品 目 が 一 貫 し た EPR 政 策 の も と で 行 わ れ て い る 。 そ の た め 、 日 本 に 比 べ 消 費 者 の 混 乱 は 少 な い と 考 え ら れ る 。
台 湾 で 始 め て ペ ッ ト ボ ト ル が 作 ら れ た の は 1987 年 、再 生 工 場 が 作 ら れ た の は 1989 年 で あ る 。 1991 年 の ペ ッ ト ボ ト ル 回 収 率 目 標 は 60% で あ っ た が 、実 際 に は 27% し か な か っ た た め 、1992 年 に 回 収 奨 励 金 制 度 が 導 入 さ れ た ( 経 済 産 業 省 2 2 6)。 こ れ は 台 湾 全 土 に 約 200 箇 所 設 け ら れ た 回 収 拠 点( コ ン ビ ニ な ど )に 消 費 者 が ペ ッ ト ボ ト ル を 持 込 む と 、1 本 当 た り 2 台 湾 元 ( 以 下 「 元 」 と 記 載 ) の 奨 励 金 が 支 払 わ れ る 制 度 で あ っ た 。 こ の 制 度 で は 、 消 費 者 が 支 払 っ た デ ポ ジ ッ ト が 返 金 さ れ る の で は な く 、 生 産 者 が 基 管 会 へ 支 払 っ た 拠 出 金 が 回 収 奨 励 金 と し て 使 わ れ て い た 。 回 収 率 の 上 昇 に 伴 い 、 奨 励 金 額 は 減 ら さ れ 、 2000 年 に は 1
228 経 済 産 業 省, そ の 他 の 地 域 に お け る 強 制 デ ポ ジ ッ ト 制 の 概 況,
<http://www.meti.go.jp/policy/recycle/main/data/research/pdf/121003-3_j pc_3.pdf>, 2017.6.20 参 照.
145
本 当 た り 0.5 元 ( 当 時 約 2 円 ) で あ っ た ( デ ポ ネ ッ ト , 2000)。 回 収 率 が 100% を 超 え た た め 、 2002 年 に 奨 励 金 制 度 は 中 止 さ れ た 。 し か し 、 現 在 で も 生 産 者 の 支 払 う 拠 出 金 ( リ サ イ ク ル 賦 課 金229) は 、 基 管 会 や 再 生 資 源 事 業 者 、 回 収 商 を 経 て 、 消 費 者 に も 還 元 さ れ て い る 。
生 産 者 が 基 管 会 へ 支 払 っ た リ サ イ ク ル 賦 課 金 は 、 リ サ イ ク ル 補 助 金 と し て 国 内 で リ サ イ ク ル を 行 う 再 生 資 源 事 業 者( PET フ レ ー ク 事 業 者 ) に 支 給 さ れ て い る 。 こ の 再 生 資 源 事 業 者 が 補 助 金 を 得 る た め に は あ ら か じ め 審 査 に 合 格 し 、 認 定 を 得 て い な け れ ば な ら な い 。 ま た 、 補 助 金 は あ く ま で も 台 湾 で 販 売 さ れ た ペ ッ ト ボ ト ル に の み 支 給 さ れ る た め 、 台 湾 国 内 で 製 造 さ れ た も の か 否 か を ペ ッ ト ボ ト ル の ラ ベ ル に よ り 確 認 す る 必 要 が あ る 。 そ の た め 、 消 費 者 は ラ ベ ル を 剥 が さ ず に 排 出 す る 。 工 場 内 に は 基 管 会 と 直 結 し た モ ニ タ ー が 設 置 さ れ 、24 時 間 の 監 視 体 制 が 取 ら れ て い る 。ま た 、基 管 会 か ら 独 立 し た 監 査 認 証 団 体 の 監 査 員 が 、 再 生 資 源 工 場 に 搬 入 さ れ る ベ ー ル230の 品 質 を チ ェ ッ ク し て お り 、 判 定 さ れ た 異 物 混 入 率 な ど に よ り 基 管 会 か ら の 補 助 金 額 が 決 ま る 。 再 生 資 源 事 業 者 に 支 給 さ れ た リ サ イ ク ル 補 助 金 は 、 回 収 商 か ら の 資 源 物 買 取 り な ど に 用 い ら れ 、 回 収 商 は 地 方 清 潔 隊 や 消 費 者 か ら の 資 源 物 買 取 り に 利 用 す る 。 再 生 資 源 事 業 者 は 、 こ の 補 助 金 を 用 い る こ と で 海 外 の 事 業 者 よ り 高 額 で 回 収 商 か ら 廃 ペ ッ ト ボ ト ル ベ ー ル を 購 入 で き る た め 、 回 収 商 が ベ ー ル を 海 外 へ 売 却 す る こ と は な い 。 経 済 原 理 に よ り 全 量 台 湾 に て 資 源 化 さ れ て い る 。 す な わ ち 、 生 産 者 が 支 払 っ た リ サ イ ク ル 賦 課 金 が イ ン セ ン テ ィ ブ と し て 働 き 、 ペ ッ ト ボ ト ル の 回 収 促 進 と 海 外 流 出 を 防 い で い る と い う こ と で あ る 。
消 費 者 は 、 生 ご み な ど ご み 全 般 を 回 収 す る 地 方 清 潔 隊 に 、 資 源 ご み と し て ペ ッ ト ボ ト ル を 渡 す こ と も で き る が 、 あ る 程 度 貯 め て か ら 近 所 の 小 規 模 回 収 商 に 引 き 渡 し 換 金 す る こ と も で き る 。 小 規 模 回 収 商 が 個 人 か ら 買 い 取 る ペ ッ ト ボ ト ル の 価 格 は お よ そ 0.3 元 /kg で あ る 。 買 取 り 価 格 は 、中 古 品 市 場 と の 関 係 で 各 々 の 業 者 が 独 自 に 決 定 す る 。ま た 、 ス ー パ ー や コ ン ビ ニ な ど で も 店 頭 回 収 さ れ て い る 。 こ の よ う に し て 集
229 リ サ イ ク ル 賦 課 金 の 料 率 や 補 助 金 の 単 価 は 、 毎 年 専 門 委 員 会 に よ っ て 決 め ら れ る 。
230 ベ ー ル と は 資 源 物 な ど を 圧 縮 し 、 塊 に し た 状 態 の も の を 指 す 。 台 湾 に お い て ペ ッ ト ボ ト ル の ベ ー ル 化 は 大 規 模 回 収 商 が 行 っ て い る 。
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め ら れ た ペ ッ ト ボ ト ル は 、 最 終 的 に は 中 間 処 理 を 行 う 大 規 模 回 収 商 に 売 却 さ れ 、 ベ ー ル 化 さ れ る 。 基 管 会 の 試 算 に よ る と 、 大 規 模 回 収 商 の 買 取 り 価 格 は 約 5 元 /kg で あ る 。ま た 、そ の 回 収 量 は 2009 年 か ら 年 間 約 10 万 t 前 後 ( 2013 年 は 10 万 1840.7t) で あ る 。 台 湾 に お け る ペ ッ ト ボ ト ル 生 産 量 は 10 万 t か ら 11 万 t と 推 定 さ れ て い る た め 、ほ ぼ 100%
が 回 収 さ れ て い る と の こ と で あ る 。 そ の た め 、 台 湾 で は ペ ッ ト ボ ト ル の 散 乱 は ほ と ん ど 目 立 た な い と の こ と で あ り 、2013 年 に 海 岸 清 掃 で 拾 われた散 乱 ごみリストの上 位 品 目 にペットボトルは含 まれていない231。 回 収 さ れ た 廃 ペ ッ ト ボ ト ル は 、ボ ト ル to ボ ト ル 用 樹 脂 な ど に 再 資 源 化 後 、 海 外 へ 売 却 さ れ る 。
* 本 節 に つ い て は 、 特 に 記 載 の な い 限 り 、 埴 (
2014a,b) お よ び 溫 ら
(
2010) に 依 拠 し た 。
第
3
節 小括韓 国 と 台 湾 の ペ ッ ト ボ ト ル 回 収 シ ス テ ム を 日 本 の 容 器 包 装 リ サ イ ク ル 法 下 に お け る そ れ と 比 較 し て み る と 、 大 き な 違 い は 、 韓 国 と 台 湾 で は 生 産 者 責 任 が 回 収 に ま で 及 ん で い る こ と で あ る 。と り わ け 韓 国 で は 、 生 産 者 に 回 収 促 進 の た め の 経 済 的 イ ン セ ン テ ィ ブ が 与 え ら れ て い る た め 、で き る だ け 多 く の ペ ッ ト ボ ト ル を 消 費 者 か ら 集 め よ う と し て い る 。 一 方 、 台 湾 の 生 産 者 の 義 務 は 、 生 産 量 や 輸 入 量 を 毎 月 国 に 報 告 す る こ と と 、 国 が 定 め た 賦 課 金 を 納 め る こ と で あ る 。 こ の 賦 課 金 は 、 消 費 者 や 地 方 清 潔 隊 か ら の 廃 ペ ッ ト ボ ト ル の 買 取 り 、 お よ び 国 内 で の 資 源 化 の イ ン セ ン テ ィ ブ と し て 利 用 さ れ る こ と で 、 高 い 回 収 率 と 廃 ペ ッ ト ボ ト ル の 海 外 流 出 を 防 ぐ こ と に 貢 献 し て い る 。 さ ら に 賦 課 金 は 、 生 産 者 が ペ ッ ト ボ ト ル の よ う な 使 い 捨 て 容 器 よ り も リ タ ー ナ ブ ル び ん を 選 択 す る イ ン セ ン テ ィ ブ に も な っ て い る 。 ま た 両 国 と も 、 回 収 量 は 国 あ る
231 2016 年 10月 28 日 に 開 催 さ れ た 海 ご み サ ミ ッ ト( 主 催:一 般 社 団 法 人 JEAN) に お け る 台 湾 の NGO 荒 野 保 護 協 会 発 表 資 料 ( 台 湾 的 P E T 瓶 回 収 経 験 ) よ り 。 台 湾 の 海 岸 ク リ ー ン ア ッ プ に よ り 拾 わ れ た リ ス ト の ト ッ プ 10位 の う ち 、飲 料 容 器 関 連 は 、5 位 ボ ト ル の キ ャ ッ プ 、 7 位 ガ ラ ス び ん 、8 位 テ イ ク ア ウ ト 用 飲 料 カ ッ プ 、9 位 ペ ッ ト ボ ト ル 以 外 の プ ラ ス チ ッ ク ボ ト ル 、 で あ る 。 ち な み に 1 位 は 、 プ ラ ス チ ッ ク 片 で あ っ た 。
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い は 代 行 機 関 に よ り 調 査 ・ 管 理 さ れ て い る 。
日 本 の 場 合 、 家 庭 か ら 発 生 す る 容 器 包 装 廃 棄 物 は 自 治 体 に 分 別 収 集 責 任 が あ る と さ れ て い る た め 、 生 産 者 に あ る の は 再 商 品 化 費 用 の 負 担 義 務 で あ る 。 そ の た め 再 商 品 化 の 取 組 が 進 み 、 廃 ペ ッ ト ボ ト ル か ら 高 品 質 の 再 生 品 を 生 産 で き る よ う に な っ た と い え る が 、 他 方 散 乱 と 自 治 体 に よ る 焼 却 、さ ら に 資 源 の 海 外 流 出 と い う 問 題 が 発 生 し た 。加 え て 、 リ サ イ ク ル 量 の 把 握 が 業 界 団 体 任 せ で あ る た め 、 市 民 団 体 な ど か ら 耐 え ず 疑 惑 の 目 が 向 け ら れ て い る232。 ま た 、 リ サ イ ク ル 率 目 標 を 国 が 決 め な い こ と に 対 し て 不 満 の 声 も 聞 こ え る 。 例 え ば 、 3R 全 国 ネ ッ ト は 、 循 環 型 社 会 形 成 推 進 基 本 計 画 の 推 進 を 行 う た め に は 、 リ サ イ ク ル 率 を 事 業 者 の 自 主 的 な 目 標 に 委 ね る の で な く 、 国 家 目 標 と し て 設 定 す る こ と が 必 要 で あ る と い う 意 見 を 国 に 提 出 し て い る233。 日 本 の 生 産 者 の 使 い 捨 て 容 器 に 対 す る 負 担 は 、 両 国 に 比 べ か な り 軽 い と い え る 。
今 堀 ・ 見 市 ( 2009) に よ る と 、 日 本 の リ タ ー ナ ブ ル び ん の シ ェ ア 減 少 理 由 の 1 つ に 、 生 産 者 に と り リ タ ー ナ ブ ル び ん は 経 済 的 メ リ ッ ト が 見 い だ せ な い こ と が あ る と い う 。 そ れ は 、 ワ ン ウ ェ イ 容 器 は 税 金 に よ り 処 理 コ ス ト の 多 く が 支 払 わ れ て い る こ と に 起 因 す る と し て 、 宝 酒 造 の 2002 年 度 の 処 理 コ ス ト の 試 算 を 紹 介 し て い る 。そ れ に よ る と 、ペ ッ ト ボ ト ル の 処 理 に か か る フ ル コ ス ト も リ タ ー ナ ブ ル び ん の そ れ も 、 い ず れ も 約 11 円 ( 500mL の 場 合 ) で あ る 。 こ の う ち 、 ペ ッ ト ボ ト ル の 場 合 の 生 産 者 負 担 は 1.75 円 で あ る の に 対 し 、リ タ ー ナ ブ ル び ん の そ れ は
232 市 民 団 体 に よ る 学 習 会 な ど で は 度 々 回 収 率 や リ サ イ ク ル 率 に 関 す る 質 問 が 出 る 。例 え ば 、2016 年 10 月 21日 に 開 催 さ れ た 3R 全 国 ネ ッ ト の 「10.21 振 り 返 り 集 会 」 に お い て 、 講 師 の 森 口 祐 一 東 京 大 学 大 学 院 教 授 に 対 し 「 ペ ッ ト ボ ト ル の 回 収 率 は 本 当 か 」 と い う 質 問 が 来 場 者 か ら な さ れ た 。 ま た 堀 (2000) は 、 ど こ が ど れ だ け の 空 き 缶 を 引 き 取 っ た か に つ い て 「 守 秘 義 務 が あ る 」 と し て 公 表 し な い ア ル ミ 缶 リ サ イ ク ル 協 会 と ス チ ー ル 缶 リ サ イ ク ル 協 会 に 対 し 、「 空 き 缶 リ サ イ ク ル 率 に 対 す る 社 会 的 検 証 が 必 要 」(p.24) で あ る と し て 、 リ サ イ ク ル 率 に 疑 問 を 呈 し た 。
233 3R 全 国 ネ ッ ト は 、2014 年 7 月 31日 か ら 同 年 8 月 31日 ま で に 行 わ れ た 「 容 器 包 装 リ サ イ ク ル 制 度 に 関 す る 意 見 募 集 」 に 意 見 と し て 提 出 し た 。3R 全 国 ネ ッ ト, 意 見(5),
<http://www.citizens-i.org/gomi0/proposal /20140826.html>, 2017.1.27 参 照. ま た 、環 境 省 と 環 境 団 体( グ リ ー ン 連 合 主 催 )と の 意 見 交 換 の 場 (2017 年 6 月 14 日 ) に お い て も 、3R 全 国 ネ ッ ト は 、 国 に よ る リ サ イ ク ル 率 目 標 値 の 設 定 を 環 境 省 に 求 め た 。