小学生(中学年)
2.中心的な内容項目
「生命尊重」 「友情・信頼」 「規則尊重」 「役割と責任」 「誠実」
私たちの動物園
太郎君のクラスは「学級動物園」を持っています。学校の中でただ一 つ、自分たちの飼育小屋をもっていて、うさぎとニワトリを飼っている
のです。
この「動物園」ができたのは、近所に住んでいる人が、引っ越しをす るので、.「大事に飼ってくれる人に、うさぎとニワトリをさしあげま す。」という貼り紙を出されたことがきっかけでした。貼り紙を見た太 郎君が、学級会でそのことを説明すると、みんな目を輝かせて「みんな で飼おうよ!」ということになったのです。先生は、 「生き物は、日曜
日も、夏休みも世話をしなければならないのですよ。みんな、本当に出 来るのですか?」とおっしゃいましたが、クラス全員が「私たちが絶対 に世話をします!!」と固く約束して飼い始めためです。動物達は、エ サをもって小屋に入ると、いっせいに足もとにあつまって、顔を見上げ ます。そのかわいい動物たちの表情をみていると、みんなとてもうれし くなってくるのです。他のクラスの生徒達のうらやましそうな顔を見て いると、ちょっぴり得意な気分になるのでした。
さて、夏休みのある日のこと。今日は太郎君がエサやり当番です。
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太郎君は、その目の午後から家族で旅行に行くことになっていました。
去年までは朝から行っていたのですが、太郎君は当番に行かなけれ犀な らないので、家族のみんなにお願いして、お昼の電車のキソプを予約し ておいてもらったのです。太郎君は、本当はエサやりが少し面倒になっ てきていたし、朝から旅行に行きたかったのですが、クラスのみんなで 先生と約束して飼い始めたので、責任を果たさなければならない思った
のです。
朝食をすませた太郎君は、さっそく学校へでかけることにしました。
「いってきま一す!」
「気をつけていくのよ。それから、十二時の電車のキップを買 ってあるから、十一時にはかえっていらっしゃいね」
「大丈夫、そんなにおそくなるわけないよ!」
お母さんに見送ってもらいながら、太郎君は元気に家を飛びだしまし
た。
角を曲がって公園の横へくると、仲良しの次郎君達が野球をやってい ました。次郎君は、クラスは違いますが、幼なじみの友達でした。次郎 君は太郎君の顔をみると走ってきていいました。
「なんだ、家にいたのかい。野球のメンバーが一人足りなくて 困っていたんだ。旅行に行くと言っていたから誘わなかったけ ど、いたのならちょうどよかった。君が入ってくれたら試合が できる。」
「でも、僕は今から学校へ行って動物たちにエサをやらないと いけないんだ」
「なにを言ってるんだ。そんなこと、試合がすんでから行けば いいじゃないか。」
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「十一時には帰らないといけないし… 」
次郎君は太郎君の話しをさえぎって、太郎君の手をひっぱりながら、
みんなに声をかけました。
「オーイ、メンバーがそろったぞ。早速試合をはじめよう均 他のみんなも歓声をあげました。
太郎君は、少しだけならいいか、と思いました。太郎君は野球が得意 中の得意で、クラスー番のホームランバッターだったからです。
試合が始まりました。太郎君はホームランとファインプレーの連続で すっかりいい気持ちになりました。みんなの拍手をあびて、とてもごき げんでした。太郎君はすっかり夢中になってしまいました。さて、いよ いよ最終回。太郎君は最後の守備にっこうとしました。太郎君のチーム の勝利は目前です。
「あっ、いけない!」
時間はいつのまにか十時半になっていました。家に帰るまであと三十分 しかありません。太郎君の頭の中に、おなかをすかせた動物たちの姿が 浮かんできました。
「ぼく、学校へ行って動物たちにエサをやらなきやならないん だ。」
「エーッ1!」みんなは口々に不満を言い始めました。
「試合はまだ終わっていないじゃないか。君が抜けたら試合が できなくなって、みんなが困るんだぞ。」 太郎君はいっしょうけん めい説明しました。
「でも、十一時には帰らないといけないから、今学校へ行かな いとまにあわないんだよ」
あと三十分しかないのでは、学校へ走っていっても家に帰るのは十一時
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ぎりぎりです。野球を続けたら、動物達にエサをやることはできません。
太郎君はクラスの誰かがいたら変わってもらえるのに、と思いました が、あいにく違うクラスや学年の生徒ばかりでした。
だれかが言いました。
「動物のエサなんていいじゃないか。僕達と動物と、どちらが大 切なんだい。それに一日位、エサをやらなくっても、そう簡単 に死にやしないさ。だいたい、学級動物園なんて、めんどうな ものを作るのがいけないんだよ。」
「さあ、再開だ。」
次郎くんは太郎君にグローブを押しつけて、自分のポジションに走っ「
ていきました。太郎君はこのまま野球を続けるのか、野球をやめて学校 へ行って動物達にエサをやるのか、すっかり迷ってしまいました。
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ジレンマ資料(試案)
ドキュメント内
道徳教育における「生命倫理の指導」と
(ページ 61-65)