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クライエントBの社会的に望ましい行動の推移(1O時・15時)1)介入フェイズ1
介入フコニイズ1では,機能的コミュニケーション訓練法を適用した。これは,標的 行動を維持していると考えられる強化子を別の手段で得られるようにすることで,標 的行動を減少させることが狙いであった。具体的には,クライエントが他入所者の飲 物が置かれたテーブルに接近したら「どうされましたか」と介護士が声を掛けた。そ して,約3秒経過後にクライエントから飲物を求める返答がなければ, 「おかわりで すか」と尋ねて,クライエントが飲物を要求するための発言を促した。飲物を要求す
る発言がみられたら,介護士がクライエントの好みの飲物(複数より選択)を提供し た。また, 「おかわり」という発言は,クライエントの行動レパートリーにあるもの であった。結果,介入フェイズ1におけるクライエントの標的行動の生起率は(自室 での臥床や外出していた回を除いて算出),10時は83%(観察機会6回申5回)と,15 時は75%(観察機会4回中3回)であった。つまり,介入フェイズ1はべ一スラインフ ェイズと比較して,標的行動の生起率が高いという結果が得られた。また,標的行動 に代わる社会的に望ましい行動である,「おかわり等の飲物を要求する発言」の生起 率は0%であった。
これは,介入フェイズ1において,介護士が介入を行ってはいるものの,介入方法 を正しく実行できていなかったことが原因であると考えられた。そして,実際の場面 では,クライエントに対して介護士が声掛けをしている間に標的行動が生起し,その 後に介護士が飲物の提供を行っていた。また,コンサルティからは,クライエントが 接近した時点で介護士が声を掛けるという手続きは.介護士がクライエントに対して,
とっさに注意を向けることが難しく,実行が困難であるとの意見があがった。そのた め,介護士が,比較的簡単に実行できる可能性の高い介入方法に変更する必要がでて
きた。
2)介入フェイズ2
介入フェイズ2では,介入フェイズ1における問題一索を踏まえて、代替行動分化強化 法を適用した。これは,標的行動を維持していると考えられる強化子を別の手段で得 られるようにすることで,標的行動を減少させることが狙いであった。具体的には,
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クライエントに対して,1O時及び15時の水分補給場面で提供される規定の飲物に加え て,ペットボトルに入れたクライエントの好みの飲物を,自由に飲んで良い飲物とし て一緒に提供した。なお,ペットボトルの提供は,10時と15時の水分補給場面のみの 提供とした。また,ペットホトルから飲物を飲むことは,クライエントの行動レパー トリ㎞としてすでにあるものであった。結果,介入フェイズ2におけるクライエント の標的行動の生起率は(自室での臥床や外出していた回を除いて算出),10時はO%
(観察機会6回申O回)と,15時はO%(観察機会6回中0回)であった。つまり,介入 フェイズ2は介入フェイズ1と比較して,標的行動の生起率が低いという結果が得られ た。また,標的行動に代わる社会的に望ましい行動である,「ペットホトルな内の飲 物を摂取する」の生起率は100%であった。これらのことから,クライエントの標的 行動に対する代替行動分化強化法の適用は,社会的に望ましい行動である「ペットボ
トル内の飲物(自己の分)を摂取する」行動を生起させ,標的行動である「他者の飲 物に手を近付ける」行動を減少させる効果があることが示唆された。
3)プローブ
プローブでは,介入の除去(機能的コミュニケーション訓練法及び代替行動分化強 化法)を行った。結果,プローブにおけるクライエントの標的行動の生起率はく自室 での臥床や外出していた回を除いて算出),10時は11%(観察機会8回中1回)と,15 時は17%(観察機会11回中2回)であった。つまり,プローブは介入フェイズ2と比較 して,標的行動の生起率にほとんど変化がみられないという結果が得られた。このこ とから,介入を除去しても,クライエントの標的行動が減少した状態が維持されてい ると考えられた。また,本研究で取り上げた介入場面以外でも,クライエントの嘩 備中の飲食物に手を近付ける(盛るも含む)」や「フロア内のエレベーターに向かい 操作ボタンを激しく押す」行動が減少したことが,コンサルティより報告された。
クライエントC
対応に困る行動としてあげられたのは,クライエントの「食事.を前にしても摂食を 開始せずに無言で着席」『摂食を拒否する発言(怒った口調で いらん なんでそ
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んなんするんや 等の発言をする)」であった。そして,それらの行動によって,ク ライエントCの摂食が開始されないといった状況が起こっていた。ただし,一且,摂 食を開始すると,途中で食事を中断することは,ほとんどなく,ぽぽ毎回,全量摂取 することができていた。ただし,週に3回程度は欠食することもあった。介護士が,
クライエントヘ摂食を促す関わりに多くの時間を要することで,他入所考への介助が おろそかになるという点で問題となっていた。:コンサルティは,介護士の短時間の関 わりでクライエントが摂食を開始できることを望んでいた。
1.標的行動
標的行動は,食事場面における,「摂食を拒否する発劃であった。標的行動の定 義として,怒った口調の いらん なんでそんなんするんや 等の発言は標的行 動であり, どうしたらええねん 等の援助を求める発言は標的行動ではないものと
した。
2.介入貝的
介入目的は,標的行動に替わる社会的に望ましい行動である「配膳後にすみやかに 摂食を開始する」行動の生起を促し,配膳時の標的行動の生起を減少させることであ った。また,そのことによって,配膳から摂食開始までの時間を短縮させることであ
りた。
3.記録方法
クライエントの標的行動及び介護士の支援行動を記録した。場面は,朝食時と昼食 時と夕食時で,介護士による配膳の声掛けからクライエントが摂食を終了するまでの 間を,各1回の観察機会とし,記録者は,それぞれ早出者,日勤者,夜勤者であった。
朝食時と昼食時と夕食時に,配膳時刻を記録した。また,配膳時の声掛けから「属に 食物を入れる」行動が生起するまでの潜時も記録した。さらに,昼食時のみ(他の食 事場面では記録の負担が大きい為),クライエントの各標的行動を,10分間の部分イ
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ンタ…バル記録法を用いて記録するとともに,標的行動の先行事象と後続事象を,チ ェックリストを用いて記録した(コンサルティより,介護者の昼食時の対応と,朝食 時・夕食時の対応は同じであるとの証言があった)。介護士Cの支援行動は,O(実行 できなかった)と1(実行できた)の2段階で自己記録を行った。
なお,記録を3度の食事場面で行なうことで,クライエントの標的行動は,朝食時 や昼食時はほとんど生起しないが,夕食時に生起することが多く,持続時間も長いと
いった現状が明らかとなった。そのため,行動改善の必要性が高い夕食時に,支援を 行うこととなった。そのため,以下では夕食時の行動改善に関わるデータのみを記し
た。
4.機能的アセスメント結果 1)㎜Sの結果
MASの各項目の平均得点を,Tab王e8に示した。 「摂食を拒否する発言」は回避機能 が推定された。
Tab1e8MASの結果(クライエントC)
各機能の平均点
標的行動
推定される機能
感覚 回避 注目 要求
摂食を拒否する発言
0.25 3 0,25 0.5 回避2)FAIの結果と考察
FAI及び既存の記録から収集した情報を整理した。 「摂食を拒否する発言」は,食 事を前にして無言で座っているクライエントに対して介護土が声を掛けた時(「Cさ ん,ごはん食べませんか」「××(献立名)ですよ」)に生起することが多く,一旦 生起すると,介護士の関わりがなくとも,怒った口調で同じ内容を繰り返し話すこと がしばらく続いていた。また,途中からは,これまでの話しの文脈とは異なる内容を,
怒った口調で話しだすこともあった。一方,クライエントが「どうしたらええねん」
等のつぶやきをした際に介護士が声を掛けた時(rCさん,ごはん食べませんか」r×
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×(献立名)ですよ」)は生起しにくかった。そして,これまでの摂食支援として,
クライエントが,食事を前にして摂食を開始しない時(無言で座っている)は,介護 士が声掛けをし,「摂食を拒否する発言」が続くときは,介護士が食事を一旦下膳し,
離れた場所からクライエントヘの見守りをし,「摂食を拒否する発言」がみられなく なったら,クライエントにrCさん,ごはん食べませんか」と声掛けをし,rうん」
という返答が得られたら,再度配膳するという方法がとられていた。そして,再配膳 時には,スムースに摂食が開始されていた。
その他,摂食に関連する事柄として,食事道具は適切に用いることができ,食物を こぽすこともなかった。また,口の申に食物をためこむことや,むせもなくスムース な鱗下が可能であった。だが,食器と食物の色が同系色の場合は食物に気付けなかっ たり,やや離れた場所に食籍を置くと手をつけようとはしなかったり,ギどうやって 食べるんや」と箸を持ったまま制止していることもあり,その際には介護土が介助す ることで(食器を移し替える,食器の位置を移動させる,食べ方を説明する)スムー スに摂食が開始されていた。
5.直接観察(ぺ一スラインフエイズ:観察機会1から29)の結果と考察 介護士の直接観察による記録を整理した(Fig.12)。介護士の対応としては,配膳 時に,クライエントの前に喰事ですよ」の声掛けとともに,トレーに乗せた全献立
を提示し,その後に「召し上がってください」と言いながら,箸とお茶碗を季渡すこ とが行われるとともに,クライエントが「どうやって食べるんや」「わからん」と発 言があれば,食べ方のモデル提示や,献立の説明といった「関わり」が行われていた。
一方,クライエントの標的行動が生起した際には,クライエントと関わらない(声掛 けなし)といった対応が行われていた。そして,クライエントの標的行動がみられな くなった時点で,再度,「食事ですよ」「召し上がってください」の声掛けが行われ
ていた。
また,食事の配膳時刻は,夕食が18時から19時(夜間の臥床介助がある為)と決め られていたが,昼食の配膳時刻は固定されておらず,配膳時刻にばらつきがみられて 36