目 次
低品位炭 2 ~ 4 についても、同様にボイラ燃焼コストおよび発電コスト メリットを試算
2-4-2 .発電コストメリット試算例(低品位炭 1 ) P7
→ 20%以上で追加対策実施
設備改造なし ← 設備改造なし ← → 20%以上で追加対策実施
【
NEWC=117.5U$/T(2012
年1
月)
前提での試算】 【NEWC=62.41U$/T(2015
年1
月)
前提での試算】 低品位炭 2 ~ 4 についても、同様にボイラ燃焼コストおよび発電コスト
2-5 .ブレークイーブン発熱量試算 P8
【
NEWC=117.5(2012
年1
月市況)
での試算】 【NEWC=62.4(2015
年1
月市況)
での試算】設 備 改 造 な し
追 加 対 策 実 施
概ね
GAR 3,700kcal/kg
以上石炭であれば、発電コストメリットあり。
概ね
GAR 4,700kcal/kg
以上石炭であれば、発電コストメリットあり。
概ね
GAR 4,100kcal/kg
以上石炭であれば、発電コストメリットあり。
概ね
GAR 5,200kcal/kg
以上石炭であれば、発電コストメリットあり。
2-6-1 .発電コストメリットの領域(設備改造なし) P9 NEWC(U$/t)
120 110 100 90 80 70 60
発熱量 (G A R , k cal /k g)
5,200 5,000 4,800 4,600 4,400 4,200 4,000 3,800 3,600
今回の試算は概略検討結果である。
自然発熱リスク、環境規制値等は除外し て検討した結果である。アダロ炭(現在、日本で最も使用されている低発熱量レベルの石炭)
点線以下の領域が、ア ダロ炭クラス以下の低
品位炭の潜在需要
2-6-2 .発電コストメリットの領域(追加対策実施) P10
120 110 100 90 80 70 60
発熱量 (G A R , k cal /k g)
5,200 5,000 4,800 4,600 4,400 4,200 4,000 3,800 3,600
今回の試算は概略検討結果である。実際 の混焼可否については設備仕様の詳細 設計が必要であり、追加対策を実施した ケースでも対応出来ない可能性が残る。また、実際の設備改造可否および費用に ついても詳細検討が必要となる。
自然発熱リスク、環境規制値等は除外し て検討した結果である。アダロ炭(現在、日本で最も使用されている低発熱量レベルの石炭)
点線以下の領域が、
アダロ炭クラス以下の 低品位炭の潜在需要
NEWC(U$/t)
2-7 .低品位炭の経済性に関するまとめ P11
石炭市況レベルが上がるにつれ、発熱量の低い低品位炭でも発電 コストメリットを享受できる可能性が拡がるため、市況動向を見据え 低品位炭利用を拡大していくことが重要である。現在の石炭市況は 低迷しているものの、今後はマクロ的に見て上昇基調(添付②参 照)で推移し、低品位炭使用可能性は拡大していくと推測する。
設備への追加対策を実施しなくとも、物理的には、概ね 10 ~ 20 %で あれば混焼できる可能性がある。
混焼可能比率を上げるために追加対策を実施した場合、追加対策 を実施しないケースよりも発熱量レベルが高くないと発電コストメリッ トを享受できない反面、混焼比率を更に上げることができるため、低 品位炭の潜在需要を拡大できる可能性がある。
木質チップ 木質ペレット トレファイド ペレット
PKS
発熱量
1,800kcal
~3,500kcal/kg
(含水分による)
4,000kcal/kg
程度4,700kcal
~5,700kcal/kg 3,300kcal/kg
程度含水分
40
~60% 10%
以下1
~5% 25%
程度 かさ比重0.2
~0.3g/cm3 0.65
~0.75g/cm3 0.65g/cm3
程度0.3
~0.4g/cm3
耐水性 野積み可能 雨天の
ハンドリング不可
雨天の
ハンドリング可能
(推奨しないものあり)
野積み可能
FIT買取 価格
32円/kWh
(2,000kW以上)
40円/kWh
(2,000kW未満)
24円/kWh 24円/kWh 24円/kWh
3-1 .バイオマス燃料の種類(一例) P12
主な状況
供 給
○ 木質バイオマスのエネルギー源 等として、年間600万m3(2020年)
を利用する計画(30万kW相当)。
○ 未利用材調達コストの約半分は、
収集・運搬コストであり、適正流通 距離は、需要地点から半径50km 圏内と言われている。
○ 半径50km圏内で搬出可能な林地 残材は、一般的に2~3万t/年程度。
○ 調達価格12,000円/tを想定。
需 要
○ 5,000kW級の木質バイオマス燃料の専焼発電設備においては、約6万t/年を必要。
○ Fit申請、相談中のバイオマス発電所が約60件(5,000kW級が中心)あり、今後も需要 増加が見込まれる。
○ 国として、小規模(2,000kW級)を推奨することで、需給のマッチングを指向。
3-2-1 .バイオマス燃料の需給(国内:木質チップ)
国内バイオマス燃料のみでは,需要が供給力を上回る見込みであり、海外からの輸入に よる補完が必要。図1.国における今後の木材需要の目標
(出典:農林水産省 調達価格算定委員会資料)
P13
主な状況
供 給
○ 世界の2013年木質ペレット生産量は、
前年に比べ10%以上増加し、約2,360万t。
欧州での消費量が世界全体の7割近く を占める。
○ 米国は、今後とも充分な供給力を維持 できる見込み。調達可能量としては、
北米、豪州、ニュージーランド、ロシア、
東南アジアの順。
○ 相当量の取引量がない限り、海上輸 送費の低減化は困難であり、中小発電 所ではコストの低減が図り難い。
○調達価格24,000円/tを想定。
(トレファイドペレットは現時点で生産量が限定的であり、調達面に課題がある。)
需 要
○ 100万kW級木質バイオマス混焼発電設備では、3wt%混焼として約6万t/年が必要。
○ 日本における海外産ペレットの輸入量は、至近5年程度で著しい増加傾向(約10万t
(2014年)、USC100万kWに約5wt%混焼相当)。
3-2-2 .バイオマス燃料の需給(海外:木質ペレット)
今後の需給動向は、FIT
制度適用に必要な書類が整う供給先、配送コスト抑制および為替 による価格変動に影響をうける。日本における需給としては、需要増に応じて価格の合う 限りの木質ペレットが輸入され、概ねバランスしていくと予想。図2.世界の木質ペレット生産量の推移
(出典:自然エネルギー世界白書2014)
P14
主な状況
供 給
需 要
○ 欧州、アジアにおいて、PKS等の輸入拡大の動きが見られる。日本における2014年 度の輸入量は、対前年比2倍程度の伸び。
○ 国内では、PKSを用いたバイオマス発電所の計画が約20カ所あり、高い伸びを維持 すると想定。
3-2-3 .バイオマス燃料の需給(海外:PKS)
今後の需給動向は、FIT制度適用に必要な書類が整う供給先および為替による価格変動 に影響をうける。急激な需要の伸びにより、国際的な調達に関する競合の段階に入ってい く見込み。○世界のパーム椰子殻の生産量は約960万t となっており、マレーシアおよびインドネシ アが約80%を占める。大規模なプランテー ションにおいて、安定して生産されており、
持続的な供給が期待される。
○ 両国内でのバイオマス発電所建設の動向 次第では、輸出が規制される恐れがある。
○ 輸出可能なPKSは、インフラが整っている 主要輸出港周辺に限定されている。
○ 調達価格14,000円/tを想定。
図3.世界のPKS生産量の現状と予測 (出典:The Directora General of Statics)
P15
需 給
・ 調 達
○ 国内の木質バイオマスについては、地理的、価格的な制約もあり、未利用 材を大量かつ安定的に調達することは難しい。一方、海外産に対する需要は 伸びていく見通し。
○ 木質ペレットについては、世界的な流通として欧州向けの輸出が主流となっ ており、今後も増加していく見込みであるが、日本への輸出については、北米 西海岸が中心として、十分な供給力があるものと考えられる。
トレファイドペレットは現時点で生産量が限定的であり、調達面に課題あり。
○ PKSについては、マレーシア、インドネシアにおける生産量も大きく増加する ことが予想されているが、欧州、アジアにおいて需要が急増すると見込まれ ており、国際的な調達に関する競合の段階に入っていく見込み。
技 術 的 課 題
○ 木質バイオマス燃料は水分が多いため、ミルに供給される熱空気温度が上 昇傾向となる。設備改造等をしない状態で安定運転可能な木質チップの混 焼率上限は、微粉炭火力において4~6wt%と想定。
○ 設備改造を行い、更に混焼率を向上させた場合でも、ミルにおける処理水 分の増加や発火性などに起因して、燃焼性、炉内温度などに影響が生じるこ とが考えられる。
3-3 .バイオマス燃料混焼における需給および技術的課題 P16
3-4-1 .バイオマス燃料混焼における経済性(試算の前提条件)
① 本調査ではバイオマス燃料性状の評価のみで概略検討を実施した。実際の混 焼可否については設備仕様の詳細設計が必要であり、試算の前提とした追加 対策費(微粉炭火力の木質チップ5wt%混焼以上に計上)では対応出来ない可 能性がある。また、実際の設備改造可否および費用についても詳細検討が必 要となる。
② 設備投資に伴う二次的なコスト(新たな運用に伴う追加的コスト)については、
別途考慮する必要がある。
③ 大気汚染物質の排出量の変化に伴い、環境規制への対応が別途必要になる 場合がある。
④ ばい煙等の届出値の変更等の検討も本来必要であるが、本調査ではこれらを 除外し混焼率を検討した。
⑤ 発電電力は、 FIT 買取価格(木質チップ: 32 円 /kWh 、木質ペレット・ PKS : 24 円 /kWh )にて売電することを前提に経済メリットを試算した。
P17
3-4-2 .バイオマス燃料混焼における経済性(微粉炭火力)
木質チップ 木質ペレット
発 電 コス ト
経 済 性
P18
3-4-3 .バイオマス燃料混焼における経済性(循環流動床)
木質チップ 木質ペレット
発 電 コス ト
経 済 性
P19
3-4-4 .バイオマス燃料混焼における経済性(循環流動床)
PKS
発 電 コス ト
経 済 性
P20
3-5 .バイオマス燃料混焼における経済性およびまとめ
微粉炭 循環流動床
経 済 性
まと め
○ バイオマス燃料の混焼については、発電コストの上昇を伴うことから、導入 促進は国の支援制度に依存することとなるが、現行のFIT制度が適用されれ ば一定の経済性が確保 ※ できる。
○ 一方で、安定的にバイオマス燃料を調達して発電事業を継続することが肝 要であり,国内産バイオマスの不足を海外産で補いつつ,バイオマス発電所 の安定運用に繋げることが必要。
※ 一般電気事業者にはFIT制度が適用されないが、ここでは一般電気事業者が主に保有する 100万kW級微粉炭火力へもFIT制度を適用する前提として試算。