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NGCC

10.22 円/kWhとなった。なお、数値自体でCO2回収コストを評価するのは妥当ではなく、

あくまでも各技術の相対比較や傾向の把握(定性比較分析)に使用すべきであると考える。

CO 2 分離型化学燃焼石炭利用技術に関する検討

ゼロエミッション石炭火力技術開発プロジェクト ゼロエミッション石炭火力基盤技術開発

次世代高効率石炭ガス化技術最適化調査研究

平成26年度調査研究成果

平成27年7月14日

委託期間:平成26年10月~平成27年3月

三菱日立パワーシステムズ株式会社

(一財)石炭エネルギーセンター

(一財)エネルギー総合工学研究所

CO 2 分離型化学燃焼(ケミカルルーピング)とは

【燃料反応塔】

【空気反応塔】

MO:酸化金属

CO 2 分離型化学燃焼システム(CLC)の原理

1

・二つの反応塔(燃料反応塔/空気反応塔)を金属酸化物(酸素キャリア)が循環

・燃料は金属酸化物中の酸素と反応させる(空気と接触しない)ため、排ガスはCO

2

のみ

→CO

2

分離にかかる動力が不要でエネルギーロスが少なく,CCSに最適の技術

CLC:Chemical Looping Combustion

C(燃料) + 2MO X → 2MO X-1 + CO 2

(吸熱)

石炭は高温の金属酸化物(酸素キャリア)によって 酸化されてCO2を発生、空気と直接接触しないため、

排ガスにN2が存在しない。金属酸化物は部分還元さ れ空気反応塔へ循環される,

Air + 2MO X-1

→ 2MO

X + N 2 (発熱)

還元された酸素キャリアが空気中の酸素と反応し て熱を発生。酸化した金属酸化物は再び燃料反応 塔へ循環される。

CLCの経済性評価

これまでの調査結果概要

【平成24年度】 国内外のCLC技術開発動向及びシステム付属設備開発動向調査により,

全体システムの成立性及び将来市場を検討し、技術開発ロードマップを作成した。

【平成25年度】 現状技術レベルに基づくシステム仕様検討を行うと共に、発電及びそれ以 外の用途に対する市場ニーズや適用性を調査し、事業化可能性や実用化時期を検討した。

→現状ではCO

2

回収コストが他CCS技術と同等であるが、高性能キャリア開発により2030 年頃に回収コスト2,500円/t-CO

2

が達成できる見通しが得られ、開発目標値として策定

【比較時期】

2030年、CLC及びA-USC(700℃級PC)の商用

化時期

【CLC,PC(CCS無し)のプラント性能】

送電端出力:50万kW

送電端効率:46%(PC)、42%(CLC)

【CLCに関するコスト影響因子】

・キャリア粒子製造コスト

・キャリア粒子初期充填量

・補充量

・プラント建設コスト

CO

2回収量/kWh

発電単価-CCS無しPC発電単価

※1)CLC回収費はCO

2

圧縮費用を含む。

CO

2回収費=

2

平成26年度の調査内容

3

2030年代にCO 2

分離・回収コスト2,500円/t-CO

2

以下を達成するため、

①キャリアの反応性やコスト等を調査・分析し、これを可能とする目標と方策を検討する。

②プロセス構成仕様検討により課題を抽出し,実現可能性を見極めて対応策を検討する。

③海外での技術開発動向を調査し、開発目標や現在の開発レベル等を把握する。

④市場動向を調査のうえ、ニーズ及び適用性等、導入の可能性を調査する。

⑤有識者委員会を開催し、課題、対応策の評価を受け、対応策と解決期間を検討する。

平成26年度調査実施方法の詳細

①キャリア開発の技術課題抽出及び開発方法と評価方法の検討

②プロセス仕様、開発課題抽出及び対応策の検討

③海外技術開発動向調査

④市場調査 ⑤評価委員会

①-1 高活性・低コストキャリア製造法とキャリア選定

②-1 プロセス解析による各 反応器の物質熱収支検討

②-2 プロセス構成仕様 と最適反応器の構造

①-2 石炭とキャリアとの反応速度及び反応メカニズム

①-3 キャリア流動、耐摩耗性、反応への灰の影響

キャリア選定 5タイプ以上

①-4 キャリア開発目標

(初期充填量、補充量、コスト)

開発課題と方策

②-3 プロセス開発課題抽 出と対応策、解決必要期間

反応性、耐久性、

流動性データ提供、

実現可能性評価

外部有識者による コメント、評価

初期充填量、補

充量、コスト目標 CO2回収費試算 コスト提供 プロセス最適化

データ提供

実用化、市場データ

酸化鉄の存在 により反応速度 が4~6倍向上

一般的なチャーガス化

CLC

における

チャー反応

反応速度:

- dC / dt ( 1/s )

反応時間 (s)

図1 酸素キャリアによるチャー反応促進効果の確認 図2 反応速度に及ぼすキャリア種の影響

4

①キャリア反応性,コスト等調査分析

開発目標設定及びプロセス仕様検討に必要な各種キャリア性能を調査及び確認した。

・酸化鉄の存在によりチャー反応速度が高くなる(図1)。

・人工物キャリアは天然鉱物に比較し約7倍以上高い反応性(図2)。

・天然鉱物イルメナイトの反応活性は酸化還元の繰り返しによって約10倍に向上する。

・キャリア粉化率は天然鉱物(0.1~0.2%/d)に比べ人工物(0.2~9%/d)の方が高い傾向。

・キャリアコストを調査。天然鉱物(イルメナイト)は約50円/kg程度。人工物は現状で

500円/kg程度であるが、安価な原料の使用で400円/kgになる可能性がある。

反応時間 (s) 反応時間 (s) 反応率

(- )

反応率

(- )

5

②プロセス開発 初期充填量の低減検討

型式 ケミカルルーピング燃焼(CLC 循環流動層燃焼(CFBC VR/CR直列構成(H25年度) VR/CR並列構成(H26年度) 化学吸収法(CO2回収率:90%)

配置例

CLCプラント概念設計例(

250MWth

,亜瀝青炭,石炭消費量

35.7t/h

30m

AH

空気 石炭

バンカ

33m

50m

20m 石炭

バンカ

33m

12m

20m

15m

CFBCD33m×W12m×H30m 化学吸収:D20m×W15m×H50m

吸収塔

45℃ 再生塔

110℃

吸収塔 再生塔

熱交

リボイラ 排ガス

150℃

950℃

CFBC (化学吸収)

D25m×W24m×H35m

CR

VR排ガス 150℃

EP キャリア

バンカ

VR

25m

AR

35m

AR排ガス 60℃

AH

CR

水蒸気 石炭

バンカ

AR

石炭 バンカ

VR

キャリア バンカ

24m

石炭 バンカ

12m12m VR排ガス

150℃

EP 16m

13m

AR排ガス 60℃

25m

AH キャリア 13m

バンカ

VR

CR

42m 空気

AR排ガス 60℃

AR AH 石炭 バンカ

50m

D42m×W12m×H50m

AR

石炭 バンカ

CR VR

キャリア バンカ

12m

石炭 バンカ

42m 950℃

EP 27m

33m

平成25年度抽出した課題の一つである酸素キャリア初期充填量

の低減検討を実施した。

キャリア性能確認結果(キャリアによる反応促進、繰り返しによる反応性向上等)を適用 するとともに,プロセス構成検討(ガス化促進剤種、キャリア循環構成等)を実施した結果,

初期充填量を18,000から2,900トンまで低減可能で、反応塔断面積を半減かつプラント高さ も約7割まで低減できる見通しを得た。

充填量低減でコンパクト化,回収コスト低減にも寄与

※充填量=循環量×必要反応時間

18000トン 2900

トン

500MWeプラントに

おける初期充填量

6

①②キャリア開発目標値の策定

100 200 300 400 500 600 700 800

0.4 0.8 1.2 1.6 2 2.4 2.8

キャリア 補充コ スト曲線=

400

/(MWehr)

(初期充填量1000t

(初期充填量2000t

(初期充填量2900t

キャリア開発目標領域

< 400 円 /(MWehr)

CO2回収コスト2500/t-CO2に達成する

ャリアコス

[

/kg ]

キャリア補充率

[ wt%/d ]

酸素キャリアに関わる回収コスト影響因子(初期充填量、補充率、製造コスト)を総合 的に加味したキャリア補充(消費)コストを指標とし、CO2回収コスト2,500円/t-CO2以 下を達成するためのキャリア補充コスト目標値を400円/MWhと策定した。

キャリア補充コスト(円/MWh)= 初期充填量(t)×補充率(%/h)×製造コスト(円/t)

プラント発電出力(MWe)

※キャリア補充コストは各因子が相互 に作用するため,開発状況に応じ、各 因子の個別目標値を都度設定・見直し を図り,最終的に400円/MWhをクリアす るように管理する。

500MWe

初期充填量

7

①②開発課題と対応策

酸素キャリア開発目標を達成するためのキャリア及びプロセス開発課題を抽出すると ともに、その対応策を検討した。

課題 対応策(定量分析、評価方法)

1

キャリアとガス(H2, CO, CH4)との反

応速度(初期速度、平均速度)、

キャリア反応速度の測定方法(装置)の策定、評価方法(速度式の整理 方法)及び1個粒子の反応速度と気固反応モデル作成方法の策定

2

キャリア繰り返し反応性、物性変化 繰り返し反応評価装置、物性(溶融、細孔分布、強度など)評価方法

3

灰分の影響 反応性への影響評価装置、耐摩耗性への影響評価装置、キャリア組成

変化(鉱物)分析方法

4

キャリア耐磨耗性 コールド、ホット、耐磨耗性評価装置、評価方法

5

粒子の循環流動(BFB流動化速度、

Raiserホールドアップ)

粒子の流動化速度(バブリング流動層)、ライザーのホールドアップ評価 装置

6

キャリアによる石炭反応促進メカニ ズム解明、石炭反応速度の測定

キャリアによる石炭反応促進メカニズムの解明、石炭反応速度の測定、

反応速度の評価方法、単一粒子反応モデル作成

6

三塔式循環流動層の運転条件 小型コールド、ホット三塔式装置によって、三塔式CFBの運転条件デー タ取得

7

長時間循環反応評価 ホット長時間反応、循環テスト、粒子の劣化、粉化、評価

8

灰とキャリアの分離 灰とキャリア分離方法の策定、評価装置

9

炉内脱硫の把握

CR中のCaOのH2S吸収、AR中のCaS酸化、サイクロンCaSO4分離の評