第 6 章 資料編
3 高齢者等実態調査の結果
(1)高齢者等実態調査
① 調査の目的
本調査は、今後の高齢者福祉施策及び「笠松町老人福祉計画・第6期介護保険事業計画」策定 に係る基礎的な資料とすることを目的として、一般高齢者、居宅介護認定者、施設入所者、介護 支援専門員(ケアマネジャー)を対象に、現行施策の評価、施策ニーズ、今後の高齢者福祉に係 る意向などを把握するために実施しました。
また、併せて、日常生活圏域における高齢者の地域生活の課題をより的確に把握し、それらの 課題を踏まえた介護予防事業などのより一層の推進を図ることを目的に実施しました。
② 調査の実施方法と回収状況 1)実施期間
平成25年12月1日~12月24日(調査基準日 平成25年12月1日)
2)調査対象者及び配布方法
調査対象者 配布方法
①一般高齢者(65 歳以上)
郵送による配布・回収
②二次予防事業対象者
③居宅要介護認定者
サービス利用者 民生委員協議会の協力による配布・回収
④居宅要支援認定者
⑤居宅要介護及び
要支援認定者 サービス未利用者
郵送による配布・回収
⑥施設入所者
⑦介護支援専門員(ケアマネジャー)
3)回収状況
調査対象者 配布数 回収数 回収率 有効回答
数※
有効回収 率
①一般高齢者 500 人 335 人 67.00% 333 人 66.60%
②二次予防事業対象者 457 人 346 人 75.70% 344 人 75.30%
③居宅要介護認定者 426 人 331 人 77.70% 318 人 74.60%
④居宅要支援認定者 128 人 113 人 88.30% 110 人 85.90%
⑤居宅要介護及び要支援認定者 180 人 101 人 56.10% 95 人 52.80%
⑥施設入所者 180 人 129 人 71.70% 101 人 56.10%
⑦介護支援専門員 22 人 19 人 86.40% 19 人 86.40%
合 計 1,893 人 1,374 人 72.60% 1,320 人 69.70%
(2)高齢者を取り巻く現状と課題
①一般高齢者及び二次予防事業対象者 1)将来への不安と苦しい生活実態
一般高齢者の調査では、将来の自分の日常生活全般について「多少不安に感じる」45.9%、「と ても不安に感じる」15.9%を合わせると61.8%の人が不安を感じています。また、現在の暮ら しの状況を経済的にみて、「やや苦しい」42.9%、「苦しい」12.9%を合わせると55.8%の人が 暮らしの状況は苦しいと回答しています。不安を感じる点として、「自分や配偶者の病気や介護」
が74.3%と最も多くなっています。
二次予防事業対象者に関しても、同様の傾向であり、現在の暮らしの状況を経済的にみて「や や苦しい」41.6%、「苦しい」24.4%を合わせると66.0%の人が苦しいと回答されています。
不安の対象も「自分や配偶者の病気や介護」が69.7%と最も多くなっており、高齢者にとって も将来の自分や家族の健康、介護への不安が7割以上あることがわかります。
2)主観的健康感と疾病状況
一般高齢者の調査では、健康であると感じている(「とても健康」と「まあまあ健康」を合わ せた割合)“主観的健康群”が74.8%となっている一方、二次予防対象事業者では44.8%と低 下しています。一般高齢者の疾病としては要介護状態の原因となる高血圧が40%、糖尿病及び 心臓病、骨折の原因となる骨粗しょう症が10%台で多く見られ、二次予防事業対象者において は、高血圧はほぼ同率であったものの糖尿病、心臓病や骨粗しょう症においてそれぞれ8~9%
の増加がみられました。
服用している薬の数も5種類以上の薬を服用している人は一般高齢者が17.1%、二次予防事 業対象者は43.6%と約2.5倍多く、疾病の重要度がありながら生活している様子が伺えます。
3)閉じこもり傾向が見られる二次予防事業対象者
週に1回以上は外出している割合をみると、一般高齢者が90.4%である一方、二次予防事業 対象者は79.4%と低くなっています。また、「外出を控えている」と答えた人は一般高齢者が 17.1%、二次予防事業対象者45.9%であり、外出を控えている理由は共に「足腰の痛み」が多 く、一般高齢者では49.1%、二次予防事業対象者では67.1%、「病気」「トイレの心配(失禁な ど)」が後に続いています。また、「外での楽しみがない」と答えた人は一般高齢者で15.8%、
二次予防事業対象者では17.7%でした。
閉じこもり要因として「5m以上歩けますか」という質問に対し「いいえ」と返答した一般高 齢者は1.8%、二次予防事業対象者は8.7%と増加がみられました。ここから、閉じこもり傾向 の原因として足腰の痛みやそのほかの疾病があること、心因的な問題もあることがわかります。
4)社会参加と家族、友人・知人などと地域的な絆やつながりについて
一般高齢者及び二次予防事業対象者とも、地域のつながりについて、「少し感じる」人が多く なっています。地域組織との関わりや助け合いには、要介護認定率との相関性が認められていま すが、「会やグループなどにどの程度の頻度で参加しているか」という設問で、年に数回以上の 参加頻度のあるもので比較すると、一般高齢者では「趣味関係のグループ」が31.2%、「スポー ツ関係のグループやクラブ」が21.6%ですが、二次予防事業対象者では「趣味関係のグループ」
が20.7%、「スポーツ関係のグループやクラブ」14.5%でした。また、「病気等で数日間寝込ん だ時に看病や世話をしてくれる人」がいないと答えた一般高齢者は4.8%、二次予防事業対象者 では7.0%であり、「家族や友人・知人以外で何かあった時に相談する相手はだれか」の質問で「そ のような人はいない」と答えた一般高齢者は30.0%、二次予防事業対象者では36.3%となり、
社会参加が減少することで地域のつながりも希薄になりつつある傾向が見られます。
5)生きがいや楽しみ
一般高齢者の調査では、生きがいや楽しみを感じていることとして、「テレビ・ラジオを見た り聞いたり、新聞を読むこと」が59.5%と最も多く、次いで「家族とのだんらん」46.8%、「友 人・知人との交流」「旅行や買い物」43.5%などとなっています。
また、今後やってみたいことは、「旅行や買い物」が43.8%と最も多く、次いで「友人・知人 との交流」32.7%、「趣味の活動」31.8%、「ウォーキングや軽い運動」29.7%、「テレビ・ラ ジオ・新聞」28.5%、「家族との団らん」28.2%などとなっています。
身体状況や社会参加において、一般高齢者や二次予防事業対象者で違いは見られますが、生き がいや楽しみについては大きな差は見られないことがわかりました。
6)今後の介護予防について
一般高齢者及び二次予防事業対象者共に、「今後、介護予防で充実させてほしいこと」として
「認知症予防」「転倒骨折予防」「筋力向上の推進」が、20~30%の割合でみられ、それは要介 護・支援認定の原因となっていることから要介護・支援状態にならないための予防の認識がある ことが伺えました。
しかし、二次予防事業対象者として「生活機能の低下の恐れがある」と認識していたのは41%
② 居宅介護認定者
1)介護保険の居宅サービスは、通所介護(ディサービス)、訪問介護及び福祉用具の利用等が中 心的なサービス
居宅介護認定者の調査では、要支援及び要介護者への提供されているサービスで利用されてい るものは、要支援認定者では「福祉用具の利用」(60.0%)、「住宅改修費の支給」(41.8%)が、
要介護認定者では「福祉用具の利用(68.0%)」や「通所介護(デイサービス)」(57.0%)等 のサービスが多く利用されています。また、今後の利用希望でも同じ傾向が見られます。
2)支援者(介護をしている人)の高齢化
居宅介護認定者の調査では、主に介護をしている人は、「子供」が29.9%と最も多く、次いで
「配偶者(妻)」が21.7%、「子供の配偶者」が13.5%などとなっています。介護をしている人 の健康状態は、「ほぼ健康」が49.7%となっていますが、23.6%の人は体調がすぐれないとな っています。
介護をしている人で、65歳以上の人は、32.9%で3人に1人は老老介護状態であり、「要介 護認定を受けている」人が12.3%でした。
今後、高齢化率が上がることでこの傾向は高まることが予想され、高齢化社会での居宅介護の 在り方を検討する必要があります。
3)住み慣れた地域で、安心してその人らしい暮らしをおくるため、ニーズの多様化に対応した サービスの提供が求められている
今後の生活について「自宅で家族を中心に介護してもらいながら生活したい」「自宅で介護サ ービスを利用しながら生活したい」が、介護・支援認定者の半数以上が希望され、介護認定者で サービス未利用者については65.1%と要支援、サービス未利用者よりも高値を示し、いつまで も自宅での生活を望む意向が伺えます。
サービスの利用状況(「利用している(利用した)」と今後の利用意向(「利用したい(してみ たい)」)との比較でみると、「訪問介護」「通所介護」に加え、短期入所生活介護(ショートステ イ)が増加して割合が大きく、その他に新規の地域密着型のサービスも利用希望が見られます。
今後のサービス内容の広報も含め、地域におけるサービス提供の充実が求められています。
4)サービス未利用者の認識
介護認定を受けながら、サービスを利用していない理由として、「サービスを利用するほどの
状態ではない」が30.2%と最も多く、次いで「家族が介護しているから必要ない」(18.6%)
となっています。
また、申請した理由が今利用しないが今後の利用するためとしています。サービス未利用者の 介護認定状況をみても介護量とともに介護負担が増えるとみられる中重度(要介護3~5)の人 が10.6%みられました。介護をする上で困っていることとして「心身の疲労が大きい」と介護 者の33.7%が回答していることから、サービス利用への理解や介護者への支援が必要と思われ ます。
③ 施設入所者
1)現在入所している施設に約6割の人が満足
主観的満足感(「満足」と「まあ満足」の合わせた割合)では、満足している内容として「施 設全体」が58.4%と最も高く、ついで「介護の内容について」が56.4%となっています。
一方で、不満足感(「やや不満」、「不満」を合わせた割合)では、「日課について」41.5%、「入 浴について」38.6%であり、不満を抱えながら施設での生活を送られていることがわかります。
一方、今後も「現在の施設で介護を受けたい」との回答は、81.2%を占めています。
施設利用料の負担可能金額では、「7万円以下」が33.6%であり、現在の負担金額でみる「7 万円以下」の35.6%とほぼ同率でした。
2)現在施設に入所しているのは、75歳以上が8割以上で、半数の人が一人暮らしまたは高齢 者のみ世帯
現在施設に入所しているのは、「85歳以上」が53.5%と最も多く、次いで「80~84歳」
(18.8%)、「75~79歳」(9.9%)などと75歳以上が8割以上となっています。
また、施設に入る前の世帯状況は「一人暮らし」が27.7%、「夫婦のみで、二人とも65歳以 上」が16.8%となっています。
要介護認定(要介護度)では、「要介護4」が33.7%と最も多く、次いで「要介護3」(23.8%)、
「要介護5」(17.8%)などとなっており、介護度の重い人が中心となっています。
④介護支援専門員(ケアマネジャー)
1)概ねなされている利用者の視点に立ったサービスの提供