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pravastatin群で24% (95%CI 9-36%, p=0.003 )有意に低下した。総死亡率は9%の低下で、

有意差を認めなかった。バイパス術は26% (p=0.005)、PTCAは23% (p=0.01)、pravastatin 群で有意に低下した。

LIPID (1998)では陳旧性心筋梗塞あるいは不安定狭心症で入院の既往歴のある患者で、

TCが155~271mg/dlの 9,014例を対象に、pravastatin群とplacebo群を比較した [5]。

一次エンドポイントである冠動脈疾患死は6.4%対8.3%で、pravastatin群で24% (95%CI 12-35%, p<0.001)有意に低下した。総死亡は 11.0%対 14.1%で、pravastatin 群で 22%

(95%CI 13-31%, p<0.001)有意に低下した。また、心筋梗塞は29%、冠動脈疾患死および 心筋梗塞は24%、脳卒中は19%、冠血行再建術は20%、pravastatin群で有意に低下した。

最後に、AFCAPS/TexCAPS (1998)では冠動脈疾患はなく、平均的なコレステロール値 (TCは平均221mg/dl、LDL-Cは平均150mg/dl)の健常人6,605人を対象にlovastatin群と

placebo群を比較した [6]。それまでの常識ではこのような人のコレステロールを下げても

何らかの効果があるとは考えらなかった。この試験はアメリカの空軍の兵士を対象に行わ れた。平均観察期間は5.2年であった。LDL-Cはlovastatin群では150mg/dlから113mg/dl

まで 25%低下した。主要冠動脈イベントである致死性および非致死性心筋梗塞・不安定狭

心症・心臓突然死はlovastatin群で有意 (RR 0.63, 95%CI 0.50-0.79, p<0.001)に減少した。

総死亡は両群で有意差を認めなかった。心筋梗塞 (RR 0.60, 95%CI 0.43-0.83, p=0.002)、

不安定狭心症 (RR 0.68, 95%CI 0.49-0.95, p=0.02)、冠動脈血行再建術 (RR 0.67, 95%CI 0.52-0.85, p=0.001)、心血管イベント (RR 0.75, 95%CI 0.62-0.91, p=0.003)はlovastatin 群で有意に減少した。

Overview

このような大規模試験により、スタチンは冠動脈疾患患者に対してコレステロールの高 低によらず、心血管イベントを減少させ予後を改善することが確認された。また、冠動脈 疾患は明らかでないが、明らかに高リスクの患者に対しても、スタチンは有用であること が確認された。

スタチンによる大規模脂質介入試験

試 験 n LDL-C 開始時 終了時 低下率 二次予防

4S 4,444 188 (mg/dl) 120 (mg/dl) 35%

CARE 4,159 139 95 32%

LIPID 9,014 150 113 25%

一次予防

WOSCOPS 6,595 192 142 26%

AFCAPS/TexCAPS 6,605 150 113 25%

低下率 冠疾患 冠動脈

総死亡率 死亡 イベント 血行再建術 二次予防

4S 30(%) 42(%) 34(%) 37(%) CARE 9* 19 24 27 LIPID 22 24 24 22 一次予防

WOSCOPS 22 33 31 37 AFCAPS/TexCAPS 0* 36 37 33 *は有意差なし

LDL-コレステロールが下がれば下がるほど心血管イベントは減る

これらの多くの大規模脂質介入試験を横軸に、達成したLDL-コレステロールの値を縦軸 に心血管事故の発症率をプロットすると、LDL-コレステロールがよく下がるほど心血管イ ベントも減っていることが判明した。このようにして、冠動脈疾患の有無やコレステロー ル値の有無にかかわらず、LDL-コレステロールを下げることにより心血管事故を減らすこ とができることが証明された。

心筋虚血

Van Bovenらは安定型狭心症 (TC 155~310mg/dl)の768例を対象に48時間外来心電図 による心筋虚血の変化をpravastatin群とplacebo群で比較した [7]。平均観察期間は2年 間であった。一過性の心筋虚血はpravastatin 群では 28%から 19%に有意に減少したが、

placebo 群では 20%から 23%と有意差を認めなかった (OR 0.62, 95%CI 0.41-0.93, p=0.021)。虚血イベントは pravastatin 群では 1.23 回、placebo 群では0.53 回減少した (p=0.047)。虚血時間はpravastatin群では80分から42分に有意に減少したが (p=0.017)、

placebo 群では 60 分から 51 分と有意の減少を認めなかった (p=0.56)。全虚血時間は

pravastatin群では41分から22分に有意に減少したが (p=0.0058)、placebo群では34分 から26分と有意の減少を認めなかった (p=0.24)。多変量解析にても、pravastatinは心筋 虚血を有意に抑制していた (OR 0.45, 95%CI 0.22-0.91, p=0.026)。

SAGE (2007)では安定した冠動脈疾患患者の893例を対象に48時間外来心電図による心

筋虚血の変化をatorvastatin 80mg群とpravastatin 40mg群で比較した [8]。平均観察期 間は12カ月であった。全虚血時間は両群で有意に減少し、両群間で有意差を認めなかった。

LDL-Cはatorvastatin群でより低値であり、主要急性心血管事故はatorvastatin群で減少 傾向 (HR 0.71, 95%CI 0.46-1.09, P=0.114)、総死亡はatorvastatin群で有意に減少した (HR 0.33, 95%CI 0.13-0.83, p=0.014)。

DUAAL (2010)では安定型狭心症の 311 例を対象に amlodipine 群、atorvastatin 群、

amlodipine+atorvastatin群を比較した [9]。平均観察期間は26カ月であった。48時間外 来心電図による一過性心筋虚血は有意に減少し、3群間で有意差を認めなかった。一過性心

筋虚血は50%以上の患者で消失した。

このように、スタチンにより心筋虚血は有意に減少することが確認されている。

このような背景のもとに AVERT (1999)では安定した冠動脈疾患患者 (軽度~中等度の 狭心症あるいは無症状で、LDL-Cが115mg/dl以上)の341例を対象に、atorvastatin 80mg 群とPTCA群 (含脂質低下療法)を比較した [10]。平均観察期間は18カ月であった。LDL-C はatorvastatin群では46%、PTCA群では18%低下した。虚血性イベントは13%対21%

(p=0.048)で、atorvastatin群で36%有意に減少した。この虚血性イベントの減少はPTCA 手技、バイパス手術、狭心症の悪化による入院の減少によるものであった。さらに、初回 の虚血性イベントを発症するまでの期間は、atorvastatin群で有意に長かった。

Overview

低リスクの安定した冠動脈疾患患者においては強力なスタチン治療は PTCAに匹敵する 治療効果を有することが報告されている。

また、強力なスタチン治療により、SPECTやPETで評価した心筋虚血が有意に改善す ることも報告されている。

急性冠症候群

急性冠症候群患者に対してはスタチンが有効なことが観察研究でも示されていた。

その後、大規模な前向き無作為試験により同様の結果が得られた。

MIRACL (2001)では入院 24~ 96 時間以内の急性冠症候群患者 3,086 例を対象に

atorvastatin 80mg 群とplacebo 群を比較した [11]。平均観察期間は 16週間であった。

Atorvastatin群ではLDL-Cは124mg/dlから72mg/dlに有意に低下した。一次エンドポイ ントである死亡・心筋梗塞・心停止・再入院を要する心筋虚血の再発は14.8%対17.4% (RR 0.84, 95%CI 0.70-1.00, p=0.048)で、atorvastatin群で有意に低下した。この低下は主に再 入院を要する心筋虚血によるものであった (RR 0.74, 95%CI 0.57-0.95, p=0.02)。

PROVE IT-TIMI 22 (2004)では入院 10 日以内の急性冠症候群患者 4,162 例を対象に atorvastatin 80mg群 (n=2,099)とpravastatin 40mg群 (n=2,063)を比較した [12]。平均 観察期間は 24 週間であった。LDL-C は 62mg/dl (42%低下)対 95mg/dl (10%低下)で、

atorvastatin群で有意に低下率が大きかった (p<0.001)。Hs-CRPは1.3 (89%低下)対 2.1

(83%低下)で、 atorvastatin 群で有意に低下率が大きかった。一次エンドポイントの総死

亡・心筋梗塞・再入院を要する不安定狭心症・血行再建術・脳卒中は 22.4%対 26.3%で、

atorvastatin群で16% (95%CI 5-26%, p=0.005)有意に低下した。

Phase Z of A to Z (2004)では入院5日以内の急性冠症候群患者4,497例を対象に高用量 simvastatin (40mg/dを1カ月、その後は80mg/d)群と低用量simvastatin (placeboを4カ 月、その後は 20mg/d)群を比較した [13]。観察期間は 6~24 か月であった。8 ヶ月後の

LDL-Cは高用量simvastatin 群で63mg/dl、低用量simvastatin群で77mg/dlであった。

一次エンドポイントの心血管死・心筋梗塞・急性冠症候群による再入院・脳卒中は 14.4%

対16.7% (HR 0.89, 95%CI 0.76-1.04, p=0.14)で、両群で有意差を認めなかった。心血管死 は4.1%対5.4% (HR 0.75, 95%CI 0.57-1.00, p=0.05)で、高用量simvastatin群で有意に低 下した。他の一次エンドポイントの要因は両群で有意差を認めなかった。しかし、一次エ ンドポイントを経時的にみると、最初の4ヶ月間は両群で有意差を認めなかった (HR 1.01, 95%CI 0.83-1.25, p=0.89)が、4か月以降~試験終了期間は高用量simvastatin群で有意に 低下した (HR 0.75, 95%CI 0.60-0.95, p=0.02)。

Overview

急性冠症候群に対してはスタチンをできるだけ早期から、高用量使用することのよって 予後を改善することができることが示された。

高血圧

ALLHAT-LLA (2002)では高血圧患者 (年齢は55歳以上、冠動脈疾患の既往例が14%、

糖尿病例が35%)の10,355例を対象にpravastatin群 (n=5,170) と通常治療群 (n=5,185) を比較した [14]。平均観察期間は 4.8 年であった。ベースラインの total cholesterol は 224mg/dl、LDL-Cは 146mg/dl、HDL-Cは48mg/dl、TGは152mg/dlであった。その結 果、total cholesterolの低下は17%対8%、LDL-Cの低下は28%対11%で、pravastatin 群で有意に低下率が大きかった。しかし、6年後の死亡率は14.9%対15.3% (RR 0.99, 95%CI 0.89-1.11, p=0.88)、冠動脈疾患イベントは 9.3%対 10.4% (RR 0.91, 95%CI 0.79-1.04, p=0.16)で、両群で有意差を認めなかった。

ASCOT-LLA (2003)では 3 個以上の危険因子を有する高血圧患者 (TC は 251mg/dl 以 下)10,305 例を対象に、atorvastatin 群 (n=5,168) と placebo 群 (n=5,137) を比較した

[15]。試験は 3.3 年の平均観察期間の後、早期に中止となった。LDL-C は 90mg/dl 対

126mg/dlで、atorvastatin群で有意に低下した。一次エンドポイントである非致死性心筋

梗塞・致死性冠動脈疾患は 1.9%対 3.0% (HR 0.64, 95%CI 0.50-0.83, p=0.0005) で、

atorvastatin 群で 36%有意に低下した。 脳卒中は 27% (HR 0.73, 95%CI 0.56-0.96, p=0.024)、心血管イベントは21% (HR 0.79, 95%CI 0.69-0.90, p=0.0005)、冠動脈イベン トは29% (HR 0.71, 95%CI 0.59-0.86, p=0.0005)、atorvastatin群で有意に低下した。

Overview

高リスクの高血圧患者に対しては、スタチンは予後を改善することが示された。

糖尿病

糖尿病患者は冠動脈疾患の高リスク群であり、coronary equivalentとされている。

糖尿病については表のように、今までの大規模試験のサブ解析ではスタチンの有効性は 陽性、陰性いずれの結果もあり、明らかではなかった。

CARS (2004)では心血管疾患を有さない糖尿病患者 (LDL-C は 160mg/dl 以下、TG は 600mg/dl 以下) の 2,838 例を対象に、atorvastatin 10mg 群 (n=1,428) と placebo 群

(n=1,410) を比較した [16]。平均観察期間は 3.9 年であった。一次エンドポイントの急性

冠動脈イベント・血行再建術・脳卒中は5.8%対9.0% (HR 0.63, 95%CI 0.48-0.83, p=0.001)

で、atorvastatin群で37%有意に低下したため、早期に中止となった。急性冠症候群は3.6%

対5.5% (HR 0.64, 95%CI 0.45-0.91, p=0.001)で、atorvastatin群で36%有意に低下した。

冠動脈血行再建術は1.7%対2.4% (HR 0.69, 95%CI 0.41-1.16, p=NS)で、両群で有意差を認 めなかった。脳卒中は1.5%対2.8% (HR 0.52, 95%CI 0.31-0.89, p=0.001)で、atorvastatin 群で48%有意に低下した。総死亡は4.3%対5.8% (HR 0.73, 95%CI 0.52-1.01, p=0.059)で、

両群で有意差を認めなかった。急性の心血管イベントは9.4%対13.4% (HR 0.68, p=0.001) で、atorvastatin群で32%有意に低下した。

しかし、一方でスタチン投与により、糖尿病の発症はわずかに増加することも報告され ている。Sattarらのmeta-analysisでは、13のスタチン試験 (91,140例)を解析した結果、

スタチンにより糖尿病発症のリスクが9% (OR 1.09, 95%CI 1.02-1.17)上昇すると報告し

ている [17]。これは255 (95%CI 150-852)例にスタチンを4年間投与した場合、新たに糖

尿病が1例発症することを示している。

Overview

現在ではスタチンは糖尿病患者に対する標準的な薬剤のひとつとされている。

心事故低下率 全体 糖尿病例 WOSCOP 31% (p<0.001) -

AFCAPS 37% (p<0.001) 43% (p=NS) 4S 30% (p<0.0003) 43% (p=0.087) CARE 24% (p=0.003) 13% (p=NS) LIPID 24% (p<0.001) 19% (p=NS) HPS 24% (p<0.0001) 33% (p=0.0003) ALLHAT-LLA 1% (p=NS) 3% (p=NS) ASCOT-LLA 36% (p=0.0005) 16% (p=0.43) CARDS - 37% (p=0.001)

脳卒中

心血管疾患患者に対するスタチンの脳卒中予防効果をみた試験は多数あり、スタチンの 有用性が報告されている。CARE (1999)では平均的なコレステロール値の陳旧性心筋梗塞 4,159例を対象に、pravastatin 群とplacebo群を比較した [18]。LDL-コレステロールは pravastatin群では139mg/dlから95mg/dlまで32%低下した。2次エンドポイントである 脳卒中はpravastatin群で32% (95%CI 4-52%, p=0.03)有意に低下した。脳卒中あるいは

一過性脳虚血発作はpravastatin群で27% (95%CI 4-44%, p=0.02)有意に低下した。

脳卒中患者を対象とした試験としてはSPARCLがある。SPARCL (2006)では発症1~6 カ月以内の脳卒中あるいは一過性脳虚血発作患者 (LDL-Cは100~190mg/dlで、冠動脈疾 患の既往はない)4,731例を対象に、atorvastatin 80mg群とplacebo群を比較した [19]。

平均観察期間は 4.9 年であった。一次エンドポイントである致死性・非致死性の脳卒中は 11.2%対13.1% (HR 0.84, 95%CI 0.71-0.99, p=0.03)で、atorvastatin群で16%有意に低下 した。ただし、脳出血 (脳卒中全体の11~20%をしめる)はatorvastatin群で多かった。主 要心血管イベントはatorvastatin群で20%有意に低下した (HR 0.80, 95%CI 0.69-0.92, p=0.002)。総死亡は両群で有意差を認めなかった。

多くの疫学研究ではTC値と脳卒中とは相関関係がないとされており、TC低値と脳出血 との関連性も示唆されていた。したがって、スタチンの脳卒中予防効果はコレステロール 低下作用とは独立した機序によるものと考えられていた。

De Caterina らは266,973例を対象に脂質低下療法と脳卒中の関連をmeta-analysisに て検討した [20]。スタチン投与により、脳卒中は 15%有意に低下した (OR 0.85, 95%CI 0.78-0.92, p<0.001)。他の脂質低下療法では脳卒中は有意に低下しなかった (食事療法 R 0.92、fibrates OR 0.98、その他 OR 0.81)。さらに、TCが1%低下すると、脳卒中は0.8%

低下していた。

Overview

スタチンには脳卒中の 2 次予防効果があることが示されており、現在では脳卒中の基本 的な治療薬のひとつである。

高齢者

いままでのほとんどのスタチンの臨床試験は中年の患者を対象としたものであり、高齢 者にもスタチンが有効であるか否かは不明であった。

PROSPER (2002)では70~82歳の血管疾患の既往例またはリスク・ファクターを有する

5,804例を対象に、pravastatin 40mg群 (n=2,891)とplacebo群 (n=2,913)を比較した [21]。

平均観察期間は3.2年であった。一次エンドポイントである冠動脈死・心筋梗塞・脳卒中は 14.1%対16.2% (HR 0.85, 95%CI 0.74-0.97, p=0.014)で、pravastatin群で15%有意に低 下した。また、冠動脈死および心筋梗塞は 19% (HR 0.81, 95%CI 0.69-0.94, p=0.006) pravastatin群で有意に低下した。脳卒中は両群で有意差を認めなかった (HR 1.03, 95%CI 0.81-1.31, p=0.8)。

Overview

高リスクの高齢者に対しても、スタチンは予後を改善することが示された。

慢性腎臓病 (CKD)

Pravastatin Pooling Project (2004)は3つのpravastatinの前向き無作為試験を合わせて

検討したものである [22]。19,700例のうち22.8%が中等度のCKDを有していた。一次エ ンドポイントである心筋梗塞・冠動脈死・血行再建術は、中等度のCKD例では非CKD例 と比べ有意に多かった (HR 1.26, 95%CI 1.07-1.49)。中等度のCKD例では一次エンドポイ ントは pravastatin 投与群では placebo 群に比し、有意に減少した (HR 0.77, 95%CI 0.68-0.86)。また、総死亡も pravastatin 投与群で有意に減少した (HR 0.86, 95%CI

0.74-1.00)。非 CKD 例でも一次エンドポイントは pravastatin 投与群で有意に減少した

(HR 0.78, 95%CI 0.65-0.94)。

TNT (2008)で は 冠 動 脈 疾 患 患 者 10,001 例 を 対 象 に atorvastatin 80mg/d 群 と atorvastatin 10mg/d群を比較した [23]。CKD例を32%認めた。平均観察期間は5.0年で あった。主要心血管事故はCKD例11.3%、非CKD例8.6%で、CKD例で有意に多かった (HR 1.35, 95%CI 1.18-1.54, p<0.0001)。CKD 例での主要心血管事故は atorvastatin 80mg/d 群で atorvastatin 10mg/d 群に比し、32%有意に減少した (HR 0.68, 95%CI 0.55-0.84, p=0.0003)。 非 CKD 例 で の 主 要 心血 管 事 故 は atorvastatin 80mg/d 群で atorvastatin 10mg/d群に比し、15%有意に減少した (HR 0.85, 95%CI 0.72-1.00, p=0.049)。

SHARP (2011)では冠動脈疾患の既往のない CKD 患者 9,270 例を対象に simvastatin 20mg+ezetimibe 10mg群とplacebo群を比較した [24]。平均観察期間は4.9年であった。

主要動脈硬化性イベント(冠動脈死・心筋梗塞・脳梗塞・血行再建術)は11.3%対13.4% (RR 0.83, 95%CI 0.74-0.94, p=0.0021)で、simvastatin+ezetimibe群で、17%有意に減少した。

冠動脈死および心筋梗塞は両群で有意差を認めなかったが (RR 0.92, 95%CI 0.76-1.11, p=0.37)、脳梗塞 (RR 0.75, 95%CI 0.60-0.94, p=0.01)、血行再建術 (RR 0.79, 95%CI 0.68-0.93, p=0.0036)はsimvastatin+ezetimibe群で有意に減少した。

Overview

CKD患者に対してはスタチンが有効であることが示されている。

スタチンの抗炎症効果

現在では動脈硬化の主体は炎症であると考えられている。高感度CRP (hs-CRP)は血管の 炎症をみる検査と考えられている。高感度CRPが1mg/L未満が低リスク、1~3mg/Lが中 等度リスク、3mg/L以上が高リスクとされている。高感度CRPが高ければ高いほど心血管 事故が多いことが証明されている。一方で、スタチンには抗炎症作用があり、スタチンの 投与によりhs-CRPが低下することは多くの試験で確認されている。

このような背景のもと、高脂血症はないが、hs-CRPが高い患者に対するスタチンの効果 を検討した臨床試験が登場した。これが、JUPITER trial [25]である。

JUPITER (2008)ではLDL-Cは130mg/dl以下だが、高感度CRPが2mg/L以上の健常 者17,802例を対象に、rosuvastatin群とplacebo群を比較した。Rosuvastatin群ではLDL-C は108mg/dlから55mg/dlまで50%低下し、高感度CRPは4.2mg/Lから2.2mg/Lまで37%

低下した。一次エンドポイントである心筋梗塞、脳卒中、血行再建術、不安定狭心症によ

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