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高等学校ヒアリング調査

4. ヒアリング調査の実施

4.2 高等学校ヒアリング調査

4.2.1

ヒアリング調査対象

高等学校に対するヒアリング調査は、専門学校に卒業生を送り出す立場の高等学校を対象 に、専門学校との連携、進路指導及び専門学校の情報提供の状況、職業実践専門課程の認知 状況等を把握するために実施した。ヒアリング対象を抽出するにあたっては、アンケート結 果を踏まえて、専門学科と普通科を有する高等学校、総合学科のみを有する高等学校から各

1

校、卒業者の大半が大学進学者である普通科高等学校

2

校、専門学校進学者が過半を占め る普通科高等学校

1

校を抽出した。各高等学校の概要や専門学校との連携状況等は以下の とおりである。すべての学校は公立学校で全日制である。

表 4-2 高等学校ヒアリング調査対象

学校

名 学科 所在 地

専門学校へ の進学者数

(割合)

大学への進 学者数

(割合)

就職者数

(割合)

専門学校と の連携状況

「職業実践 専門課程」の

認知状況 A校 専門

学科

(家庭)

関東 地方

37名(54%) 13名(19%) 9名(13%) 専修学校の 講師による 出前授業

名称のみ認 知している

B校 総合

学科 中部 地方

69名(25%) 92名(33%) 47名(17%) 専修学校の 講師による 出前授業

内容まで認 知している

C校 普通科 九州

地方

27名(10%) 199名(73%) 19名(7%) 専修学校の 職員による 進学ガイダ ンス

認知してい ない

D校 普通科 関西

地方

28名(15%) 128名(66%) 1名(0.5%) 連携なし 認知してい ない

E校 普通科 東北

地方

33名(51%) 12名(19%) 14名(22%) 連携なし 名称のみ認 知している

※進学者・就職者データはいずれも平成27年度のものである。

※大学、専門学校への進学、就職以外の進路の者が含まれるため、合計は100%にならない。

4.2.2

高等学校ヒアリング調査結果

高等学校へのヒアリング内容のうち、特徴的なものは以下のとおりである。

(1) 専門学校との連携

A

校及び

B

校では、専門学校の講師による出前授業(講義、実習、演習など)を学校に おいて実施している。例えば、生活福祉の系列を持つ

B

校では、地域の教育資源を活かそ うという考えから、地域の福祉系の専門学校に出前授業を依頼し、当該学系列生徒に対し、

福祉の現場の講義や演習を行っている。

C

校では、学校の夏季休業中に開催される進学ガイダンスに専門学校の職員を招き、専門 学校への進学案内を生徒に対して行っている。

それぞれの高等学校が専門学校と授業連携を開始した契機は、自校に専門学校の教職員が 訪問した際に打診したなど、進路相談での繋がりであった。このような機会を通じて高校に 出前授業などの情報も積極的に伝えることにより、専門学校の教育内容についての理解を広 められる良いきっかけとなっていた。なお、

B

校によると、講義や演習などで連携する学校 は、大学や短期大学など、専門学校以外の学校種でも良いとのことであった。

(2) 専門学校に関する進路指導の状況

A

校、

B

校、

C

校、

D

校では、専門学校に関する情報は、主に専門学校の教職員が高等学 校に訪問した際に入手している。専門学校の教職員は学校のパンフレットに掲載されている 内容を中心に説明するが、高等学校の教職員が専門学校の教職員を通じて職業実践専門課程 について知ることは少ないようである。

C

校及び

E

校では、進路指導の教員がホームページを通じ、専門学校に関する情報を収 集し、生徒に特定の学校を勧めることがある。さらに、

E

校では、個別の専門学校の評価に ついて、教育委員会の進路指導担当者の会議において、他校の担当者から聞く機会があると のことである。また、

E

校の進路指導担当教員は、自校の卒業生が進学した専門学校を見学 した際に、学校の教育内容や教育支援体制について情報を得たこともある。

生徒の進路指導にあたっては、必ず専門学校のオープンキャンパスに参加し、当該分野の 勉強ができる学校を複数見学した上で、進路を決定するように指導している高等学校もある。

(3) 専門学校の情報提供の状況

高等学校は、専門学校に対し、在学生の就学状況、成績、進路状況(就職先の対象分野や 雇用形態など、細かい就職情報など)、就職後

3

年以内の離職率、資格の取得状況、授業料、

学校側の生徒に対する支援体制、進学した高校の卒業者の声などの情報提供を期待している。

また、多くの高等学校の教職員は、専門学校が提供する情報が信頼できないと回答してい る。例えば、年度ごとの学生の就職実績を記載していない学校、学校の経営状況や財務状況 に関する情報が記載されていない学校、入学者数及び卒業者数のうち資格試験や国家試験を 受験した学生の数、合格者数・合格率などの情報が一部しか公表されていなかったり、正確 に公表されていない学校などは、信頼性に欠けるといった評価があった。また、ホームペー ジなどで実習費や教科書代などを正確に表示しておらず、入学後に追加費用が必要になる学

校も問題であるという指摘があった。その他、高等学校から専門学校に対する要望として、

高等学校の卒業生の近況について専門学校に報告してほしいとの意見があった。

(4) 職業実践専門課程の認知状況

職業実践専門課程について、その存在だけでなく、内容まで認知していると回答した

B

校は、それについて専門学校の学校案内パンフレット、進路指導教員会議や教育委員会や文 部科学省が主催している各種研修会などを通じて認知していた。名称のみ認知している

A

校も、認定制度を含めた専門学校の動向については、年に

1、2

回開催される教育委員会の 会議で情報を得ると回答した。しかし、業務多忙のため、このような会議にはあまり参加で きないといった意見もあった。

職業実践専門課程の認定要件は専門学校の教育にとって重要であり、かつ認定を有する学 科は安心して生徒に勧められるといった意見があった。一方で、B校及び

D

校からは、認 定状況の有無が教員の進路指導や生徒の進路決定に及ぼす影響は特にないといった回答が 得られた。学校選択にあたっては、職業実践専門課程の認定の有無よりも、前述((2)専門 学校への進路指導の状況及び(3) 専門学校の情報提供の状況)のとおり、就学状況や進路状 況などが重要とのことであった。また、今後の職業実践専門課程制度の認知を広げていく際 には、高校生や保護者、高等学校に対して、本制度の詳細及びその効果について周知する機 会を増やすことが必要であるとの意見があった。