6. 事例集
6.4 企業と連携した実践的な実習や教員研修の実施
図 6-7 「旅行ゼミ」の様子
出所)東京観光専門学校ホームページ(http://www.tit.ac.jp/subject/travel/)
3)大手旅行会社との連携による学校内実習「学内旅行販売会」
「カウンター実習」は、学内で旅行販売会を行う実習である。単に大手旅行会社の商品を 販売するのではなく、生徒が考える商品を企業の営業担当者に提案し、営業担当者の審査に より選ばれた商品を学校内で生徒が販売する。
企業担当者に旅行企画を提案することで、実務で求められる視点や重視すべきポイントな どを直接的に学ぶことができる。また、販売実習を通じて相手に伝わるプレゼンテーション 手法などを企業担当者に教わるなど、就職後に役立つ実務的な訓練の場となっている。企業 は
CSR
13の一環として協力している。図 6-8 「カウンター実習」の様子 出所)東京観光専門学校ホームページ(http://www.tit.ac.jp/subject/travel/)
4)学校内実習による実務的なパソコンスキルの習得
「パソコン実習(WEB デザイン)」では、旅行業務と
WEB
制作業務に精通する企業担 当者が講師となり、旅行業界で求められる資料を題材としたパソコンの授業を実施している。例えば、単なる文章作成ではなく、旅行会社で使用する資料の作成、パンフレット作成に求 められる画像編集など、実践的な知識・技術を学ぶ。旅行商品を顧客に販売する際は、複数 社による企画競争となることが通常であり、企画書の見せ方・伝え方は業務上も重要な技能 である。
(2) 最新トピックに関する教員研修
変化の激しい旅行業界において、常に国内外の最新状況を教員が理解していることは業界
で求められる人材を育成する上で重要である。東京観光専門学校では、教員研修の講師とし て旅行業に携わる企業担当者を招聘し、旅行業界における最新トピックについて教員が講義 を受ける。2014 年度は、MICE14について大手旅行代理店の担当者による教員研修を行っ た。また、2015年度は教育課程編成委員会の委員が講師となり「増加する外国人旅行客へ の対応」をテーマに研修を実施した。教員研修は毎年
1~2
回実施し、教員が業界の最新事 情を理解する機会となっている。研修は学科単位で企画しているが、MICE やインバウン ド観光のように他業界も関係するテーマの場合には他学科教員も研修に参加するなど、組織 横断的に研修機会を活用している。6.4.3
取組の成果、効果教育課程編成委員会は、学校としても課題だと認識していた事項について指摘を受けるこ とで、改めて対応を見つめ直す機会となっており、学校全体を俯瞰的にチェックする機関と して機能している。
多様な企業等と連携した実習を通じて生徒の創造力・コミュニケーション能力・プレゼン テーション能力を向上させることが学校の狙いであり、企業と連携した実践的な実習・演習 を生徒が経験することにより、生徒の成長がみられる。その結果として、関連業界への就職 率や各企業からの卒業生への評価は高く、実践的教育が現場で活かせていることが伺える。
6.4.4
関係者の声(1) 企業と連携した実践的な実習等について
研修旅行を生徒が企画する授業があり、旅行会社の営業担当者の方に審査してもらい ました。実務的な観点から重要なポイントを指摘してもらい非常に勉強になりました。(在校生)
旅行のプランニング、添乗員講座、コミュニケーションなど、旅行業界で働くために 必要な授業は一通り揃っていたと感じます。在学中は、旅行会社に勤めている卒業生 が現在の仕事内容などの話をしてくれる機会が頻繁にあり、卒業生から何気ないトラ ブル対応の経験談などを聞いて刺激を受けたことを覚えています。(卒業生)
自分自身が旅行業界への就職後にパソコン操作に戸惑った経験を踏まえて、パソコン 実習(WEB デザイン)の授業を構成しています。実務的な内容に絞っているので、将来、旅行業界で働く際に活かせると思います。(連携企業)
(2) 最新トピックに関する教員研修について
教員研修は以前より実施していましたが、職業実践専門課程認定後は、旅行業界の現 場担当者を招聘した研修を実施するようにしました。業界の現状への理解が促進され、日々の授業に活かせています。(教員)
14 Meeting(会議・研修・セミナー)、Incentive tour(報奨・招待旅行)、Convention またはConference
(大会・学会・国際会議)、Exhibition(展示会)の頭文字をとった造語で、ビジネストラベルの一つの形 態。