由 譬 愉 を 以
て 比
度
する
も
の
な り
。
遠 く 煙 を 見
て
必 ず 火 有
る を 知
る が
如
し
。
火 を
見
(4
)
ず
と 雖 も、 亦
た
虚 妄 な る に は
非
ず
。
現 量
と は、
親
し
く 自 ら 現 見 し、
推
度 を仮
ら ず
し て、 自 然
に
定 ま れ
る も
の
な り
。
仏 言 量 と は、
諸
経を 以 て
定 と 為 す も
の
な り
。
よ
勘
契
し て
須 ら く 同 ず
べ し と
は
、
若
し 但
だ
仏
語
の み に 憑 り
、
自 ら 比
度
せ
ず
し て
、
は ん し ん
(5
)
自
心 を 証 悟
せ
ば
、
只 だ 是 れ 汎 信 な
る の み に し て
、
己 に 於
い て
未
だ
益 あ ら
ず
。
若 し
か ん が
い
ず く
現
量の み
取
っ
て
、
自 見 を 定 と 為
し
、
仏 語
に
勘
え
ず
ん
ば
、
焉
ん ぞ 邪 正 を 知 ら
ん や
。
(6
)
外
道 す ら 亦た
親 し く 所 執
の
理 を 見
、
之 れ を
修
し て
亦
た
功 用 を 得
、
自 ら 謂 う
て 正 と 為 す
、
豈
に
是 れ
邪
な り と 知 ら
ん
や
。
若
し
但 だ 比 量
の
み を 用 う れ ば、 既
に
聖 教
と
及 び
自 ら
の
所 見 無
し、
何
に
約
し て 比
度
し
、
何 れ
の
法
を 比 度
せ ん や
。
故
に
須 ら
く
三
量
は じ
勘 同 し て、 方
め て
決 定 と 為 す
べ
し
。
禅
宗に は 已
に
多 く 現 比
の 二
量 有 り、
今 更
に
経
論を 以
て
之 れ
に
印
せ
ば
、
則 ち 三
量 備 わ ら ん
。
N工 工一Eleotronlo Llbrary Servloe
*
現
・
見
(
弘
)。
*
量 度 如
博
如 度 量
(
明
)
。
*
蚪
団
斗
(
明
)
。
*
喩
凵
諭
(
弘
)
。
*
煙
目
烟
(
弘
)
。
(
明
)
。
*
若
凵
若 但
(
弘
)
(
明
)
。
*
亦
n
六
師
(
明
) 。
*
正
阿
主
(
弘
)
。
*
即
−
則
(
弘
)
(
明
)
。
*
現
凵
見
(
弘
)
。
*
自 心
凵
ナ
シ
(
弘
)
。
*
汎
凵
泛
Kom 三1z三1w三1 Umversrty
(
1
)
第
五 に
「
推 量
に は 三
種 が あ
り、 そ れ を わ り ふ の よ
う に
ピ タ
リ と 合
わ せ 一て
致
さ せ ね ば な ら ぬ
」
と
言
っ
た の は、 次
の
よ う な
こ
と
で
あ
る
。
イ
ン
ド の
諸
の
賢 聖 が 悟
っ
た
真 理
は
、
す
べ
て 三
種
の
推
量 に よ
っ
て
確 定
さ れ た
も
の で
あ
る
。
す な わ ち
、
一 に
比 量
、
ま す ま す
二 に
現 量
、
三 に
仏 言 量
で
あ
る
。
「
量
」
と
は
、
数 値
を 計
る こ
と で
、
升 や
斗
で
物
の
量 を 計
っ
て
そ
の
数 値
を
確 定 す る よ う な
こ と で
あ
る
。
「
比 量
」
と は
、
因 果 関 係 や
、
比 愉 を た よ り
に
類 推 す
る こ と で、 た
と え ば 遠 く
に
煙 を 見 れ ぽ そ
こ に
必 ず
火
が あ る
と 知
ら れ
る
お の
よ う な
も
の で
あ
る
。
火
自 体
は
見 え て い
な く と も、 そ れ は 嘘 で は
な
い
。
「
現 量
」
と は、
自 分
自 身
が
直 接 見
て
、
推 量 を 仮 り ず
に
自
『
禅 源 諸 詮 集 都 序
』
の
訳 注 研 究
(
二
)
(
石 井・ 小 川
)
一
〇
五
Komazawa University
NII-Electronic Library Service
『
禅 源 諸 詮 集 都 序』
の
訳 注 研 究
(
二
)
(
石 井・ 小 川
)
一
〇
六
ず
か ら に そ れ が 確 定
さ れ る こ と で
あ
る
。
「
仏 言 量
」
と は、 諸 経
を 基 準 と し て
確 定 す る
こ
と で
あ る
。
(
2
)
「
そ れ を わ り ふ
の よ
う
に ピ
ヅ
タ リ
と 合 わ
せ
一て
致
さ
せ ね ば な ら ぬ
」
と 言
っ
た
の
は
、
次
の よ
う な
こ
と
で
あ る
。
も
し も 仏
の
言
葉
に の
み 依
存
し、 自 分
自 身
で 推 量
せ
ず
に
自 己
の
心 を
証
悟 し た な ら ば、
そ れ 一は
般 論 と
し て の
信 念
に
す ぎ ず、
自 己
に は
何
の
益 も な
い
。
逆
に
、
も し も 現 量 を 取 り
、
自 己
の
見 解
に よ
っ
て
確
定し、 仏 言 と
つ
き あ わ せ る
こ
と を
し な
い
な ら ば、
ど う し て
邪 正 を 知 る
こ
と が
で
き
よ う か
。
外 道
で
す
ら
そ
の
執
着
する 所
の
道 理 を 自 ら 見
て
、
そ れ
を 修 行
し て
効 果 を 得、
そ れ を 正 と
思
い
込
ん で
い
る の で
あ
る
。
そ
ん な
こ
と で
、
ど う し て
そ れ が 邪
だ
と 知
り え よ う か
。
ま た
、
も
し も 比 量 だ け を 用
い
る の で
あ れ ば
、
仏 言 量
も 自 己
の
所 見
も な
い の に、 何 を 基 準
に
類 推
し
、
い か な る
法 を 類 推
し よ う と
い
う
の
か
。
以 上
の
よ う な 訳
で
三 量 を わ
り ふ
の
よ う
に ピ タ リ
と 合 わ
せ る の で
な け れ ば
、
確 定 を う
る
こ
と は で
き な
い の で
あ
る
。
禅
宗は
す
で に
現 量 と 比 量
の 二
つ
は
十 分 も ち 合 わ せ て
い
る
の
だ か ら、 今
、
更
に
経 論
に よ
っ
て
客 観 的 な
証
明を
与 え る な ら
、
た ち ま ち こ の 三
量 が 完 備 す
る こ
と に
な
ろ う
。
N工 工一Eleotronlo Llbrary Servloe
Kom 三1z三1w三1 Unlverslty
(
1
)
勘 契 11
唐 宋
の
制 度 で、 殿
門
の
開 閉 に は
魚 契
(
檀 木 を 魚 形
に
刻 し て
左 右
に
分 け た
も
の
)
を
つ
き あ わ せ て、 び た り Aと
ワ
え
ば 門 を 開
い
た
。
こ
れ を
勘 契
と
い
う。 詳
し く は 王 応 麟
『
玉
海
』
器 用・ 皇 祐 文 徳 殿 魚 契
の
条 参 照
、
(
2
)
西 域
の
諸
々
…
…
悍
『
因 明 入 正 理 論
』
(
大 正 三 ニ
一ー 一
a
)
で は
現 量、 比 量、
非 量
と い
う、 心 心 所
の
所 縁
の
境 を 量 知 す る 三 量 を
説 く。 宗 密 も
『
円 覚 経 略 疏 鈔
』
巻 二
(
続 蔵 一巻 五
一ー
〇
五 左 上
)
や
『
大 疏 鈔
』
一巻 下
(
同 巻一
四
ー
二一
= 左 下
)
で そ れ を 説 く が
、
こ こ で は
も 一う
つ の 三 量
の
説
で、 現 量、 比 量、 正 教 量
を さ す
。
『
瑜 伽 師 地 論
』
巻一
五 に は、
さ ら に、 現 量 を 非
不 現 見、
非 己 思 応 思、
非 錯 乱 境 界
の
三 種
に、 比 量 を 相 比 量、 体 比 量
、
業 比 量、
法 比 量、
因 果 比 量
の
五
種
に、 正 教 量 を 不 違 聖 言、 能 治 雑 染、
不 違 法 相
の
ゴ 、 種
に 分 類
し て い る
(
大 正 三
〇
1
三 五 五 a 以 下
)
。
宗 密
の
説 は 以 下
の ご
と く 独
自 な 説 と し て
ま と
め
ら れ
る
。
ま た
『
裴 休 拾 遺 問
』
二一
に は
、
洪 州 宗
は
「
語=、
雨
等
」
を 介
し て
「
心 知
」
を
「
比 量 顕
」
し て い る に
す ぎ ず
、
荷
沢 宗 が そ れ を
「
現 量 顕
」
す
る の に は 及 ば な
い
、
と す る 議 論 も 見 え る
。
(3
)
升 蚪
H
蚪 は
斗
の
俗 字
。
共
に 量 を は か る
「
ま す
」。
(
4
)
遠 く 煙
…
…
犀
注
(
2
)
の
『
瑜 加 師 地 論
』
]巻
五 で は、 相 比 量
の
例 と し て
あ げ る
(
同 三 五 八 a
)
。
(5
)
汎 信
隠
自 身
の
実 感 を 伴 わ な
い
、
一 般 論 と し て の
信 を さ
す
で
あ ろ う
。
(6
)
外 道
胴
仏 教 を 信 じ な
い
人
々。
四
段
の
注
(
3
)
で
参
照
。
『
維 摩 経
』
弟 子
品 な ど
に
説
か
れ る 六 師 外 道、
す な わ ち
道 徳 否
定 論
の
富 蘭 那 迦 葉
(
℃ O O蕁
餌
國P
器
碧
ρ
)
、
宿 命 論 者
の
末 伽 梨 拘 除 梨 子
(
竃
鋤
算 言
=
OO
愚 冨
)、 懐 疑 論 老
の
刪 闇 夜 毘 羅 胝 子
(
ω
巴
冒
囲
しd
Φ
耳
骨 三冒
仲)
8
、唯 物 論 者
の
阿 耆 多 翅 舎 欽 婆 羅
(
〉
葺
国
園
Φ ω 叫
冨
ヨ
9
冨
)、 無
困 論 者
の
迦 羅 鳩 駄 迦 旃 延
(
勺
鉾 巳 冨
国P8
叫
い
鼻
コ 国
) 、
相 対 的 実 在 論 者
の
尼
犠 陀 若 提 子
(
2
一σQ
岩
笹9 冥馨
巷
昏
9
)
が
有 名
で
あ
る
。
Komazawa University
NII-Electronic Library Service
Kom 三1z三1w三1 Umversrty
〔
=
ハ
〕
禅 宗 に 対 す る 疑 問 や 批 難
(
−
)
○亠
ハ
、
疑 有 多 般
、
須
且
ハ
通 决 者
、
數 十 年 中、 頻 有 經 論 大 徳 問
余
日
、
四 禪
八
定 皆 在 上 界
、
此 界 無 禪
。
凡 修 禪 者、 須 依 經 論
、
引 取 上 界 禪 定
、
而
於 此 界
修 習。修 習
ネ
成 者
、
皆 是 彼 禪
。
教
其 明 交
、
無 出 此 者
。
如 何 離 此
、
別 説 禪 門
。
既 不 依 經、 即 是 邪
み
道
。
又
有
間日
、
經 云
漸
修 祗 劫、 方 證 菩 提。
禪 稱
頓 悟
刹 那、
便
成
正 覺
。
經
是佛
語
、
禪 是
僧
言。
違 佛 遒
僧
、
竊
疑未 可
。
又
有 間
日
、
禪 門
要旨、 無 是 無 非
。
屠 割 寃 親、
不 瞋 不 喜
。
何 以 南 能 北 秀
、
水 火 之 嫌、
荷
ホ ネ
澤 洪 州
、
參 商 之 隙
。
又
有
間日、 六 代 師
資
傳 受 禪 法
、
皆
云 内 授 密 語
、
外
傳信 衣
、
衣 法 相 資
、
以
爲
符 印。
曹
溪
已
後
不
閲 此 事、
ネ
未 審 今 時 開 禪 化 人 説 密 語 否。
不 説 則 所
傳
者 非
逹
磨 之 法、
説 則 聞 者 盡 合
得
衣
。
又
有
禪 徳 間日、 達 磨 傳
心 不 立 文 字、 汝 何 違 背 先 租
、
講 論
傳 經
。近 復
問
日
、
淨 名
已
呵
宴
坐
、
荷
澤 毎 斥 凝 心、 曹 溪 見 人 結 跏、 曾
自
將 杖 打 起
。
今
聞 汝 毎 因 教 誡、 即 勸 坐 禪、
〇
六 に は、 疑
に
多
般 有 れ ぽ、
須 ら く 具 さ
に
通 決 す
べ
し と は、 数 十 年
の
中
、
頻 り
に
経 論
の
大 徳 有 り
、
余
に 問 う て 曰
く、
「
四 禅
八
定
は
皆 な 上
界
に
在
り
、
此 界
に は
禅 無
(1 し)
。
凡 そ 禅 を 修
せ ん
者
は
、
須 ら く 経 論
に
依 り て、 上 界
の
禅 定 を 引 取
し、 而
し て
此 界
に
於
て
修 習 す
べ
し
。
修
習の
成 ず る 者 は
、
皆 な 是 れ 彼
の
禅 な り
。
教
に
具 さ
に
明
文
あり
、
此 を 出 ず
る
も
の
無
し
。
如 何 ぞ 此 を 離 れ て 別
に
禅 門 を 説
か ん や
。
既
に
経
に
依 ( 2
)
ら ざ れ ば
、
即 ち 是 れ 邪
道
な り
」
と
。
又 た
問 う 有
り
、
曰
く、
「
経 は
漸 修 す る
こ
と 祇 は じ
(3
)
劫
に
し
て
方
め て
菩 提 を
証
す と 云
う に
、
禅
は
刹
那 に
頓 悟
し て
便
ち 正 覚 を 成 ず と 称 す
。
(4
)
た か
し た が
ひ そ か
経
は
是 れ 仏 語、
禅
は
是 れ 僧 言 な り
。
仏
に
違
い て
僧
に
遵 う
、
窃
に
未
だ 可 な ら
ず と
疑
(5
)
え り
」
と
。
又 た 問 う 有
り、
曰
く
、
「
禅 門
の
要 旨
は
是 無
く 非 無 く
、
冤 親 を 屠 割 す れ ど も、
瞋
ら ず 喜 ば
ず
。
何 を 以
て か
南
能
と 北 秀 と 水 火
の
嫌
あ り、 荷 沢 と 洪 州
と
参 商
〔6
)
の
隙 あ
る や
」
。
又
た
問 う 有 り
、
曰 く
、
「
六
代
の
師 資
は
禅
法
を
伝 受
し て、
皆
な 内
に
密
た す
語 を 授 け、
外
に
信 衣 を
伝
う、
衣 と 法 と 相
い
資 け
て
以
て
符 印 と 為 す と 云
い し に
、
曹
は
渓 已 後
は
此
の
事 を 聞
か
ず
、
未 審 た
今
時禅
を
開 き 人 を 化 す
に
密 語
を
説 く や
。
説 か
ざ
ま さ
れ ぽ 則
ち
伝
うる
所
の
も
の
は
達 磨
の
法
に
非 ず
、
説 け ば 則 ち 聞 く 者
は
尽 く 合
に
衣 を
得
(7
)
(8
)
べ
し
」
と
。
又 た
禅 徳
有
り
、
問 う
て
曰 く
、
「
達
磨は 心 を 伝
え て
文 字 を 立 て
ず、 汝
何
ぞ 先
の
祖
に
違
背し て、
論
を 講
じ
経 を 伝 う る や
」
。
近
ご ろ
復 た 問 う
て 曰
く
、
「
浄
名は
(9
)
(10
)
已
に
宴 坐 を 呵
し
、
荷 沢
は
毎
に
凝 心 を
斥
け
、
曹 渓
は 人
の
結 跏 す
る を
見
て
、
曽
て
自 ら
も
( 11
)
杖 を 将
っ
て
打 起
せ り
。
今
ま
聞 く
に、 汝
毎
に
教 誡
に
因 り て 即 ち 坐 禅 を 勧
め
、
禅
庵 羅
こ れ
列
し て
岩 壑
に
遍 し
。
宗
に
乖
き 祖に
違 う
、
吾
れ 窃に
焉 を
疑
え り
」
と
。
『
禅 源 諸 詮 集 都 序
』
の
訳 注 研 究
(
二
)
(
石 井・ 小 川
)
一
〇 七
N工 工一Eleotronlo Llbrary
Komazawa University
NII-Electronic Library Service
『
禅 源 諸 詮 集 都 序
』
禪 庵 羅 列、
遍
於 巖 壑。
乖
宗
違 祖、 吾 竊 疑 焉。
(
2
)
余 雖 隨 時 各 已 酬