第 2 章 既往の研究
3.4 実験結果および考察
3.4.7 養生条件の相違がコンクリートの曲げ強度に及ぼす影響
(1)蒸気養生中の散水の有無が蒸気養生コンクリートの曲げ強度に及ぼす影響 図-3.31に,各養生条件の材齢28日の曲げ強度を示す。また,表-3.12に材齢 日の圧縮強度と曲げ強度の比を示す。
既往の研究により,材齢初期に乾燥を受けたコンクリートは曲げ強度が増進し ないと言われている4)。実際に,s40-dの曲げ強度はs40-sp-dと比べ各材齢時にお いて,50%ほどしか強度増進していないことがわかる。材齢91日においても, s40-sp-dの方が,約 30%曲げ強度が高い値を示した。また,s40-d の圧縮強度と曲げ 強度の比は約1/8であるのに対し,s40-sp-dは約1/7であった。これは,散水によ って蒸気養生中の乾燥が抑制されたため,コンクリート内部の微細クラックが減 少し曲げ強度が大きくなり,圧縮強度と曲げ強度の比が小さくなったと考えられ る。また,通常のコンクリートの曲げ強度は,圧縮強度の1/5〜1/7である6)。 以上のことから,蒸気養生中に散水することで,蒸気養生コンクリートの曲げ 強度の強度増進につながり,圧縮強度との比も小さくなる。
図-3.31 通常の蒸気養生コンクリートと散水を行った 蒸気養生コンクリートの曲げ強度の比較
表-3.12 通常の蒸気養生コンクリートと散水を行った 蒸気養生コンクリートの曲げ強度/圧縮強度の比較(材齢91日)
0 1 2 3 4 5 6 7 8
s40-d s40-sp-d
曲げ強度N/mm2
14day 28day 91day
圧縮強度 (N/mm2)
曲げ強度 (N/mm2)
曲げ強度/
圧縮強度
s40-d 45.5 5.48 1/8
(2)現場打ち模擬コンクリートと散水を行った蒸気養生コンクリートの比較 現場打ち模擬コンクリートと散水を行った蒸気養生コンクリートの材齢の進行 に伴う曲げ強度の変化を図-3.32に,表-3.13に材齢91日の圧縮強度と曲げ強度 の比を示す。
一般的に,蒸気養生コンクリートは同一配合の標準養生コンクリートと比較し て強度が低下する,という知見がある 1)。しかし,本実験環境下において,蒸気 養生中に散水を行うことで,材齢 14 日の時点で現場打ち模擬コンクリートの強 度保障時の材齢28日と同等の圧縮強度を得ることができた。また,材齢28日か ら 91 日の強度増進も,散水を実施した蒸気養生コンクリートの方がより強度増 進した。また,曲げ強度においても,材齢91日時で比較すると,s40-sp-dの方が より高い曲げ強度を得た。
図-3.32 散水を実施した蒸気養生コンクリートと 現場打ち模擬コンクリートの圧縮強度の比較
表-3.13 散水を実施した蒸気養生コンクリートと
現場打ち模擬コンクリートの曲げ強度/圧縮強度の比較(材齢91日)
0
1 2 3 4 5 6 7 8
s40-sp-d n40-5rd
曲げ強度N/mm2
14day 28day 91day
圧縮強度 (N/mm2)
曲げ強度 (N/mm2)
曲げ強度/
圧縮強度
s40-sp-d 51.2 7.02 1/7
n40-5r-d 47.7 6.34 1/8