幽0.3
5.3.2 官能評価値との比較
T膜中の脂質含有倍率が0.1 の膜を用いて, 代表的な甘味物質3種に関して
濃度に対するセンサ応答を図5.5に示す.人の感じる領域は数十mM以上であ り[43], 図5.5 よりセンサの応答領域は人とよく一致していることが分かる.
加えて3種類の甘味物質に対して官能評価を 行 った結果 センサ出力は人の
味覚とよく一致していることが分かった. グルコースとフラクトース各々に対 して, 300mMのシ ョ糖と同等の甘さを感じる濃度を官能検査をして求めた. 同 様にしてセンサでは, グルコースとフラクトース各々に対して, 300mMのシ ョ 糖と同じ出力が得られる濃度を図 5.5 より求めた. その結果を表3に示す. 官 能検査は 10人で行い, 平均値を採用した. 10人のばらつき(標準偏差)を表 中の±で示した. この結果から高い相関(相関係数0.90 )があり, センサ出力 は官能検査とよく一致していることが分かった.
従来の可塑剤入りの脂質高分子膜に比べると, 今回開発した電荷密度の小 さい膜では, 全般に約1/10 の感度であるが, 繰り返し測定誤差の標準偏差はO.
02m V程度である. また, ジュースや日本酒に含まれるシ ョ糖 濃 度は約300 mM前後であり, この膜は300mM前後で1m Vの応答がある. 従って約2 %
程度の誤差率であり, 十 分な情報が得られているといえる.
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4
3イ 一・-クルコース-・-ショ糖
〉 -Aーフラクトース
E
--- 2 / =*
制日 七三 中
,\
キJ 1
。
10 100 1000
濃度(m M)
図5.5 甘味物質に対する応答
表5.3 300mMショ糖に相当するグルコースとフラクトースの濃度(mM)
センサ
イ一…一…
グルコース フ一4-3 ラ一5一8 舟ノ一円U一ハU ト一+一一+一 一一2一3 ス一O一O
官能検査
ハU-ハuq4-A±一+一ハU-ハU口内u-円/】phu-ハhU
5.4 検討
図5.4より3種類の膜で共通に言えることは, 脂質の電荷の種類に関わら ず膜中の脂質含有量が0.01以下だと, 類似のパターンを示すことである(相 関係数0.98以上) . つまり, M S G以外の味物質にはプラスに応答し, M S Gでマイナスに応答している. この事実は, 用いた膜にマイナスの電荷を帯 びた不純物が含まれていることを示唆する. ポリ塩化ピニルの製造工程にお いてカルボキシル基が微量残留するとされており[42], この影響と考えられ る.
今回の条件下では, 膜中の電荷密度がある程度低くなると, 塩とシ ョ糖への
特異性が高くなる傾向が見いだされた. また, 塩感度は一般にプラス電荷とマ イナス電荷により打ち消しあうことから, プラス電荷の脂質の量を調整するこ とで, シ ョ糖に対する特異性を上げることが期待できる. T膜中の脂質含有量 0.1の場合がこれにあたる. 実際T膜では脂質含有倍率lでは, プラスの荷電を もっ脂質膜としての応答を示しており, これは脂質Tがプラスに荷電している ことから妥当な結果である. 他方, 前述のように脂質含有倍率を下げると マ イナス荷電をもっ膜としての応答を示している. 膜の電荷密度のプラスからマ イナスへの変化が, 脂質含有倍率0.1 付近で生じているものと考えられる. つ まり脂質含有倍率0.1付近で膜電荷密度がほぼゼロとなっているものと推定さ
れる. 以上まとめると, シ ョ糖の応答特異性を上げるためには, ある程度脂質
の含有量を下げておき, プラス電荷とマイナス電荷を中和させるとよいものと 結論される.
5.5 むすび
表 5.1 に示す脂質を用いて, 膜中の脂質含有量をパラメータとして各基本味 こ対する感度比較を行った結果, 膜中の電荷密度をある程度下げ, かつプラス 電荷とマイナス電荷を中和させるとシ ョ糖に対する応答特異性が上がることが 分かった. 今後, さらに最適な脂質の濃度を調査する予定である.
従来の可塑剤入りの脂質高分子膜に比べると, 本研究で用いた電荷密度の小 さい膜は, 全般に約1/10の感度であるが, 繰り返し測定誤差の標準偏差は0.02 mV程度であり, シ ョ糖の出力が数mVに対して約2 %の誤差率であり, 十分 に大きな応答とみなせる.
3種類の甘味物質に対して, センサ応答は官能評価とよく一致しており, 甘 味センサとしての可能性が高いことが分かった.
また電解質の味物質への脂質高分子膜応答とシ ョ糖への応答のメカニズムは 異なると思われ, 脂質高分子膜のシ ョ糖への応答メカニズムの解明が今後の課 題である.
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