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この測定方法を用いて, 緑茶, コーヒー, ビール, 日本酒においてプリコン 測定では情報量が1 ---2次元であったものが5- 6次元に増加し, それら情報 を元に官能評価値の重回帰分析を行うと高い相関が得られるようになった. つ まり, 味センサの持つ情報量が飛躍的に向上し, 味の定量化へ向けて大きく前

進した.

(3) CPA 測定方式による緑茶への応用

緑茶に関して, C P A測定方式による味センサ出力と官能評価値及び化学分 析値との関係を調べ, 緑茶の味の定量化の可能性を探った. 主成分分析により 5次元の情報があることが分かり, この PCI---PC5を説明変数として官能評価 値及び化学分析値に対して2次の重回帰分析を行った. 官能評価値では滋味,

香り, 色と総合評価(前記3項目の平均)及び化学分析値ではテアニンとタン ニンの各々に対して高い相関が得られ, 数量化の可能性が得られた. しかも,

高級茶葉から, 本来ウーロン茶や紅茶に用いる茶葉を緑茶に加工したものまで 広範囲での適応可能性が得られた. 従って, 今回得られた官能評価値を推定す る重回帰式は, 未学習サンプルに対して適合性が大きいと思われた.

官能評価値との相関が高い理由の1つは, 緑茶の評価に 重要とされているタ ンニン(渋味)とテアニン(うま味)に味センサの感度が良い点である. さら に, タンニンとテアニンのみでは官能評価値を十分説明できないところがあり,

味センサは, これら以外の緑茶中の重要な味物質にも応答していると思われる.

これらの結果から, 味認識装置による分析結果と官能評価値を照らし合わせた 味の標準軸を作ることにより, 主観的な感覚である味覚を客観的に判断するこ とが可能になると思われる.

( 4 )脂質膜の電荷密度調整による甘味物質の選択性向上

非電解物質の選択性向上を目指して, 膜の開発を行った. 膜中の脂質含有量 をパラメータとして各基本味に対する感度比較を行った結果 膜中の電荷密度

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をある程度下げ, かつプラス電荷とマイナス電荷を中和させるとシ ョ糖に対す る応答特異性が上がることが分かった. 従来の脂質膜に比べると, 電荷密度の

低い膜は, 全般に約1/10の感度であるが, 繰り返し測定誤差の標準偏差は0.02 mV程度であり, シ ョ糖の出力が数mVに対して約2 %の誤差率であり, 十分 に大きな応答とみなせる. また, 3種類の甘味物質に対して, センサ応答は官 能評価とよく一致しており, 甘味センサとしての可能性が高いことが分かった.

また電解質の味物質への脂質高分子膜応答とシ ョ糖への応答のメカニズムは異 なると思われ, 脂質高分子膜のシ ョ糖への応答メカニズムの解明が今後の課題 である.

以上のように, 測定方法の開発及び膜の開発により, 再現性と選択性の向上 及び甘味等の非電解質に対する選択性向上が得られ実用化に近づいた.

最後に残された課題 及び今後の課題と展望について述べる.

この味センサの特徴を生かしながら, さらに高感度化, 高機能化をめざして,

5基本味の定量化だけでなく, 渋味や辛味といった刺激味まで機能を広げるこ とが 課題である. さらには, 匂いセンサとの組み合わせて風味といった人の感

じる広い意味での味の総合評価を目指したい. 下記に予定の概要を示す.

- 味センサで5基本味の定量化

センサの再現性の向上と校正方法の確立を行い, 官能評価との関連付けを行 うデータ解析手法を検討し, 5基本味の定量化を行う.

- 味センサの高機能化

5基本味以外の刺激味, 特に辛味への味の拡張が考えられる. 特に膜表面近 傍での情報が重要であると考えられ, 脂質膜の耐久性の優れた薄膜化技術の開 発を行う必要がある. 脂質膜表面のインピーダンス変化, 誘電率変化より, 刺

激味検知の可能性を探る.

- 味センサと匂いセンサとの組合わせによる風味センサ

匂いセンサと官能評価との関連付けを行うデータ解析手法を検討する. また,

総合的な風味の信号処理を含めた評価手法を開発する.

上記のような味センサの実用化に向けた研究により, 世界中の食品業界の人々 に貢献できることを切に望むものである. 特にパネルといった味の専門家のご

苦労, ご努力をしのび, この味センサを道具として使って頂きたいと切に思う ところである.

また, 今後, 味覚だけでなく, 生体の一部分をモデル化することで, 医薬品,

環境ホルモン 、 毒物等の人体への影響を検知する新しいタイプのセンサが出て くるであろう. 現状では, 化学センサは特性物質の検知が目的であり, 人体へ の影響を測る訳ではない. 他方, 人体への影響はモルモットや直接人体への臨 床での検知であり, 両者の間がない. 味センサは, 世界で初めて生体への影響 を検知した新しい思想のセンサである. この思想、が, 味の世界だけでなく, 医 療の分野や環境問題に広まり, それによって, 我々の生活が安全で安心して暮

らせる世界になることを切に望む.

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謝辞

本{i)f究をj住めるにあたり, 終始多大なる佐IJ教J受とÎJIJtl1 j与と(創J �I�縫をH!き ました九州大予大学院シ ステム川出科''{:fiJf �先手l rrLL [- デバイスI� '''/: 1,1/ .rj(の行1;

1:1' ì��教J乏に心より感謝致いたします .

また, 本論文をまとめるにあたり, イj併な佐11 U)J パをj引きましたIríj '1l1 rデ バイス1� ,下11攻のr'f 1-1.1 }汗;教段, 1 rij矢11能シ ステム1�マ: r,l/ J交の松永勝也教ほ

こ深く感謝いたします .

本研究を進める;1&れにおきまして, 欽々の11i' íf(な佐IJ日UJ 1 j', 1JIl 指導をJrIき ました九州大学山政宗才ノI f子教J受,IlîJ 'r'(1: rデバイス[フ:W攻の林位,î]助教段,

近絞大γ:の似111 '1日教J受, ? [ 111な秀助教J交に深く感謝いたします .

↑|多|て1.��れにおきまして, 御J行j与と佐Illviá!出l引きました",'- fm川大学.fll� 1 �乍庁1)

;包子Jmイペ予科�II\ 1付手11 )占教J受, Iríj情報学科大イ, )笠 ー教J受に, (栄く!\岳謝いたし ます .

|味センサの食111111応川におきまして, 数々の)_It Îf(な御U)J 1 j'と1JIJ 指導ーをj引き ました12林ノ�J夜行市庄試験場'1:1 ) 1二|年以}JlI 1 �市長, Ilq fk山内定jjJi研究所内怖政

次郎|清研究所長, イ7川雌f戸{í)f究所長, 本111奇山浩司{長, jit冶JヨJ '+ 1モ, 12林ぷ Jì[ ti食JIll総;介研究,Ví' -色町,îJ I二lA1;研究ll, 大I、I�仰f -甘くi毛, 1毛型f VlL食,\t, 1 �業 試験場峨川 1ドj孝氏, yi了二Ur� 1 �業以術セン タ- fT 1]五115之11)l 1 �, '1' 1 J 1繁点線に,

深く感謝いたします .

本1íJfプEを;1f�めるにあたり, 任IJ立援と佐IlIÏiI四倍以きましたア ンリツ株式会社 '1'川総雄社長, ß奈川雄!iJ己社長, rÎ�:) 1二市"1 í� lìíj tl:長, 森11'( ・j乙l、iF務取締役技 術本部長, ぶ木市美IJÎî常務取締役技術本部長, 大イîJl!l大常務取締役技術本

ìtl) l-t , 佐分利義平11 )乙仰究所長, 黒川降I�Jíî取締役研究所長, 水JI: dì �J取締役

研究所長に, 深く感謝いたします . 本研究を行う機会をうえでくださり,

待11 指導と待IJ似健nlきましたれ'J }J�[ ) 1二j支義ì� }rl�:研究11に,深く感謝いたします .

|床認識をミI(l�の|泊党にあたり, 佐IJ 指導的きました焔応克犬j乙研究IJfJ党部長,

肝村稔研究,Ví' fl!、!?部長に, 深く感謝いたします I床託、ril攻装i汽の設計と住IJ U)J j- J頁きました, 作リl、彦総, 1:I(l原IE fm {.茶に深く感謝いたします . 特l詐Il'r /'�ÍÍに あたりまして, 1JIl 指導凶きました小池能太郎厄特許庁店長, I二以降|りj係に派 く感謝いたします .

'ir�' 11 I::fiより, 任IJ 指導任IJIp.lù! 1注および指針をうえでJTIきましたH十1:符I 1比ì�

席研究11に深く感謝いたします r床センサの開発にあたり, 'J;?にデイ スカ ッ シ ョ ンや実験で佐IJ U)J I:iとfJIJ 援助いただきました点久保正'P. � r. [-研究11, イ'Jr_

必勝!とfí)fヲピ 11, ,l拘)1二党研究.Ll, 1付ff長悦イ"1研究11, I日j川紀12研究11, イ/正月五�J

?fì研究ti, 小林義不11研究L1に深く感謝いたします .

最後に, 多年にわたって, 立援してくれた1M税と之えてくれた長に感謝 します .

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付録

下記に本研究で用いた統計処理手法である重回帰分析と主成分分析の概要を述べる[44,

45J .

1. 重回帰分析

いくつかの測定量の間を結び付ける関係式(実験式ともいう)を導くことを考える. これ には最も単純には,例えば抵抗の温度TCC)を変えたときの電気抵抗R(Q)の変化などがある.

この場合, 定数bOとblをもっ

R = bl T + bO (1)

なる 直線の式で近似することを考える. 一般にデータの個数nは2より大なので, 全てのデ ータに対して式(1)を満たす定数bOとblは存在しない. そこで問題は, データをできるだけ 忠実に再現する近似直線(1) のためのbOとblを決める方法は何か, ということである. こ の問題は変数がもっと多い場合, 測定値Xl,x2, . . . xP' Yに対して, yの予測値Yは

Y=blXl +b2x2+ ・ ・ .bpXp + bO (2)

と拡張され, この式を重回帰式(multi-regression equation)とよぶ.xiを説明変数, y (およびy) を目的変数という. なお, 変数Xl, ・, xp の値の変化に影響されて, 変数y(またはy) が変化するとき, y (またはy)はXl, ・ ・, xpに対して回帰関係にあるという.

ある量の真の値をX, 測定値をxとする. 誤差zは

z = X -X (3)

で与えられる. 誤差を生じる原因が無限に多い一般の場合には, 大きさzとZ + dzの間にあ る誤差の生じる確率は正規分布(normal distribution)またはガウス分布

内)dz

=訪ze

z2/2ddz

(4)

�� ' ..1-. ,_l_ "" 2

で与えられる. σは標準偏差(standard deviation)で、分布の帽を決める. σ を分散(variance)と呼 ぶ

さきの電気抵抗の問題であるが, 測定を11個の点で行ったとすると, 各測定に対して式(1) で近似することの誤差は

Zi=Ri-(blTi+b O) ; i =1,・ ・ ・,11 (5)

で与えられる. ここでRiは測定値である.これらの誤差が同時に発生する確率は, 式(4)の 11個の積であるから,

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