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また、ショパンは左手の使用にっいても積極的である。左手に右手と同様のパッセージを弾 かせ、左手の機能性を高めたり(Op10−12)、
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右手と同様に柔軟性を高めるため、左手の拡張を図ったり(Op10−9、25−1)、
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おわりに
ショパンとリストの練習曲の中に表れる技巧について、考察してきた。比較分析する項目は まだまだ沢山あるだろうが、これまで見てきた点でまとめると、ショパンは柔軟性、リストは華麗 さをその技巧の特徴としていると思われる。両者とも、19世紀のピアノの発達と共に生まれたピ アノヴィルトゥオーソの代表的な存在であるが、2人は対照的な方向へその技巧を発展させて いったと考えられるだろう。ショパンの柔軟性に満ちたテクニックは、彼の身体的な特徴や音に 対する美意識に大いに由来するだろうが、それよりもっと重要な点は、近代の重いアクションを 持つピアノを弾きこなすために手首や腕を使うことが是非とも必要だったことで、その為に編み 出されたものである。一方、リストの華麗なテクニックは彼のカリスマが生み出したものであるが、
もっと具体的な時代の潮流としてホールの大きさや聴衆の質、および数など、演奏会の形態の 変化が19世紀に起こった為、やはりこれも時代を反映する必要不可欠なものだったのである。
2人は、対照的な方向へ技巧を拡げながらも、共に近代ピアノ奏法にとって欠くべからざるピア ノ技巧への道を開いたと言えるのではないだろうか。この2人を代表とする19世紀の作曲家た ちのピアノ技巧への飽くなき追及が、現代まで続くピアノ演奏史の礎となっていることを我々は 再認識しなければならない。
本小論では、分析の対象を練習曲にほぽ限定したため、取り上げる対象が少なくなった。ま してリストの練習曲集は、ショパンやクレメンティーの練習曲のように技巧の鍛錬を主目的とし ていないだけに、比較するには、多少無理な点もあったかもしれない。今後は、更に踏み込ん で詳細な比較研究を続けていきたいと考える。そして2人の後に続くピアニスト達の系譜と、ピ アノ技巧の流派について造詣を深めていけたらと思う。
主要参考文献および楽譜
諸井三郎著『リスト』音楽之友社1965
アルフレッド・コルトー著河上徹太郎訳『ショパン』新潮社1972
ヨーゼフ・ガート著大宮真琴訳『ピアノ演奏のテクニック』音楽之友社1978
ジャン・ジャック・エーゲルディンゲル著米谷治朗中島弘二訳『弟子から見たショパ
ン』音楽之友社1983
ウリ・モルゼン著澤尚子訳『文献にみるピアノ演奏の歴史』シンフォニア1986
グレーテ・ヴァヤー著岡美智子訳『ピアノに囚われた音楽家カルル・チェルニー』音楽之友社1986
属啓成著『リスト生涯編』音楽之友社1991 属啓成著『リスト作品編』音楽之友社1993
井上和男編 『クラシック音楽作品辞典』三省堂1993
・大宮真著『ピアノの歴史楽器の変遷と音楽家の話』音楽ノ友社1994
エヴェレット・ヘルム著野本由紀夫訳『リスト』音楽之友社1996ヨハン・ネーポク・フンメル著 ジェフリー・ゴヴィエ解説朝枝倫子訳『フンメルのピア
ノ奏法』シンフォニア1998
・岡田暁生著『ピアノを弾く身体』春秋社2003
・加藤一郎著『ショパンのピアニスム』音楽ノ友社2004
・バルバラ・スモレンスカ・ジェリンスカ著関口時正訳『決定版ショパンの生涯』
音楽之友社2005
・大阪音楽大学研究紀要第17号八田淳ピアノ演奏法に関する一考察一運指法の
考え方について一
<楽譜>
・ Franz List:『COMPLETE ETUDES FORSOLOPIANO1』 Ferruccio Busoni
e(1.DoverPublication,I nc,:1910
Franz List:『KLAVIER WERKE ETUDE I・H』Ed・MusicaBudapest:1970
リスト12の練習曲 小林秀雄校訂全音出版社1982
Frydelyk Chopin:『エチュード』パデレフスキ編ショパン全集H Frydelyk Chopin:『スケルツォ』パデレフスキ編ショパン全集V Flydelyk Chopin:『バラード』パデレフスキ編ショパン全集皿
ショパン『エチュード集』東貴良編フィリップ・ジュジアーノ監修音楽之友社2006
謝辞
最後になりましたが、本論文を作成するにあたって暖かいご指導をくださいました主任指導