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第4章 韓国における「テレビ機器視聴」および「番組ダウ
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RQ1:韓国の大学生は、どのようなテレビ映像ファイルをどのようにダウンロードし、視 聴しているか
第 2 章の「研究の背景」でも記した通り、テレビ機器を通した番組視聴に関する「利用 と満足研究」は多数存在する。しかし、テレビ番組視聴手段が多様化した今日のメディア 環境では、「テレビ番組視聴」スタイルにも変化が生じている可能性もある。そこで、「テ レビ機器視聴」の現況について把握するために、次のリサーチ・クエスチョンを設定した。
RQ2:韓国の大学生は、「テレビ機器視聴」をどのように行っているか
次に、「ダウンロード視聴」と「テレビ機器視聴」をもたらす利用動機を比較し、2 つの 映像視聴方法をもたらす動機の類似点および相違点について明らかにする目的で、以下の RQ3を設定した。
RQ3:韓国の大学生は、どのような動機をもって、「ダウンロード視聴」および「テレビ機
器視聴」を行っているか
最後に、RQ3 で示された「ダウンロード視聴」と「テレビ機器視聴」における利用動機 に影響を与えているであろう韓国の社会状況およびメディア状況との関連性について明ら かにすることを目指し、以下のRQ4を設定した。
RQ4:どのような社会状況やメディア状況が、韓国の大学生の「ダウンロード視聴」およ び「テレビ機器視聴」における動機に影響を与えているか
第2節 結果
第1項 「番組ダウンロード」 「ダウンロード視聴」の現況
まず、RQ1 の「韓国の大学生は、どのようなテレビ映像ファイルをどのようにダウンロ ードし、視聴しているか」について、「番組ダウンロード」と「ダウンロード視聴」に分け て把握することを試みる。
95 (1) 「番組ダウンロード」の現況
韓国の大学生にとって、「番組ダウンロード」のための主要機器は、パソコンである。ス マートフォンを通したダウンロードも行われているが、ここでは主要機器であるパソコン による「番組ダウンロード」状況について詳しくみたい。
パソコンを通してテレビ番組をダウンロードする方法は多数存在する。ここでは、有料、
無料という指標で、それぞれの使用理由を分類する。
表 4-1 「番組ダウンロード」方法の「有料」「無料」ごとの使用理由 有料手段のメリット 信頼性が高い
検索がしやすい
金銭面 使用料は少額なので、抵抗がない
価値を有する物に金を払うのは当然 無料手段のデメリット 違法である
ファイルの質が悪い ウイルスが心配 有料
無料手段へのアクセスの不在 無料でダウンロードできる場所が減った 無料手段を知らない
金銭面 有料の手段は高い
無料
有料手段使用の不必要 ウイルスは心配ない 不便に感じたことがない
表4-1で示したように、有料で「番組ダウンロード」をしている調査対象者の場合、その 理由を分類すると「有料手段のメリット」「金銭面」「無料手段のデメリット」、そして「無 料手段へのアクセスの不在」となった。一方、無料で「番組ダウンロード」をしている理 由は、「金銭面」「有料手段使用の不必要」の2つに分けられた。
大学生らがどのような番組をダウンロードしているかという点では、主に 3 つのパター ンがみえてきた。それは、「特定の番組のみ」「テレビ放送で見て面白かった放送回」、そし て「その時の関心に合った番組」である。その理由については、RQ3 の利用動機に関する セクションで言及する。
ダウンロードする番組ジャンルとして、「バラエティ」「ドラマ」「ドキュメンタリー」な どがあげられた。特に、「バラエティ」が多かったのが特徴的である。「ドラマ」は、アメ リカや日本のドラマなど、韓国で放送されていない番組もダウンロードされている。ダウ ンロードされている番組とテレビ機器を通して見られている番組ジャンルには、ほとんど
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差異はみられなかった。ただし、「スポーツ中継」と「ニュース」はリアルタイム以外の視 聴に向かない番組ジャンル特性が影響してか、ダウンロードされていない。
(2) 「ダウンロード視聴」の現況
ダウンロードしたファイルは主に、家や自室でパソコンを通して見られている。スマー トフォンによる視聴も行われている。その場合、パソコンにダウンロードしたファイルを スマートフォンに移すか、スマートフォンにダウンロードしたファイルを視聴している。
スマートフォンで見る理由として、自宅で見られないことから、外出中に見る、または長 距離移動の際に見る、バイトの空き時間に見る、などがあげられた。いずれの場合も、パ ソコンによる映像視聴の補助的な手段となっている。スマートテレビやタブレット使用者 も、パソコンでダウンロードした映像ファイルを移して見ている。
ここまで、韓国の大学生による「番組ダウンロード」行動の現況について、インタビュ ー調査データをもとに報告してきたが、「ダウンロードの非利用者」の存在にも注目すべき であろう。利用しない理由として、ダウンロードが面倒、ダウンロードする時間や見る時 間がない、テレビ番組に興味がない、他の手段で視聴している、パソコンのメモリが心配、
友達からファイルをもらう、お金がかかる、そしてテレビで見られなかったら諦める、な どがあげられている。
「番組ダウンロード」および「ダウンロード視聴」では、番組コンテンツの選択、番組 にアクセスするための手段やメディア機器などを含む、映像コンテンツ接触・視聴に関わ る行動形態において、従来の「テレビ機器視聴」と比較した際、柔軟性や自由度が高いよ うにみられる。
第2項 「テレビ機器視聴」の現況と変化
テレビ番組視聴手段の選択肢が多様化する中、RQ2 の「テレビ機器視聴」がどのように 行われているか、リサーチ・クエスチョン「韓国の大学生は、『テレビ機器視聴』をどのよ うに行っているか」を理解についての調査結果を以下で示す。
「テレビ機器視聴」の現況をみるにあたり、「ダウンロード視聴」の「利用者」と「非利 用者」に分けた。非利用者には、「ほとんど視聴していない」という人も含む。まず、「テ レビ機器視聴」を行っていると答えた人に、その視聴状況の詳細を尋ねた結果を「ダウン ロード視聴」利用者と非利用者に分けて示す。
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表 4-2 「ダウンロード視聴」の利用者・非利用者別「テレビ機器視聴」状況
利用者 非利用者
ニュース番組を見る スポーツ中継を見る
多様なジャンルの番組を見る 決まった番組しか見ない 時間がある時に見る 他のことをしながら見る
帰宅したら電源を入れ、就寝時に消す 家族で見る
暇つぶしのために見る
ニュース番組を見る スポーツ中継を見る
多様なジャンルの番組を見る 決まった番組しか見ない 時間がある時に見る 他のことをしながら見る
帰宅したら電源を入れ、就寝時に消す 家族で見る
表4-2のとおり、「ダウンロード視聴」の利用者と非利用者の間で、「テレビ機器視聴」の 番組ジャンル、番組の選択方法、視聴スタイルにはほとんど変わりはない。唯一の違いは、
「ダウンロード視聴」の利用者が暇つぶしのために「テレビ機器視聴」を行っている点で ある。
「テレビ機器視聴」を行っている人に限ると、「ダウンロード視聴」を行っているか否か が「テレビ機器視聴」に与える影響は大きくないようである。「ダウンロード視聴」の利用 者が、テレビ機器を通して番組コンテンツを「暇つぶしのために見る」と答えているのは、
「ダウンロード視聴」利用者は、そもそも映像視聴を好んで行っており、多様な手段を使 って映像を視聴する習慣があるという利用行動傾向を示唆しているのかもしれない。
表 4-3 「ダウンロード視聴」の利用者・非利用者別「テレビ機器視聴」をしない理由
利用者 非利用者
韓国の番組に関心がないので、見ない 寮の共用テレビなので、あまり見ない テレビ機器を所有していない
多忙で、放送時間に不在のため、見ない ダウンロードするので、見ない
テレビに関心がないので、ほとんど見ない
「テレビ機器視聴」を行わない、あるいはほとんど行わないと回答した人に、その理由 を尋ねたところ、表4-3で示したように、「ダウンロード視聴」の有無によって相違がみら れる。テレビ視聴に無関心な「ダウンロード視聴」の利用者は、テレビ機器で韓国の番組 を見る代わりに、ダウンロードで外国番組を見ているというケースもみられた。
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一方、「ダウンロード視聴」の非利用者は、国内・国外のテレビ番組にかかわらず映像コ ンテンツへの接触・利用をしていない。また、「ダウンロード視聴」利用者の中には、住居 環境や生活状況によって、「テレビ機器視聴」が不可能な場合もある。つまり「ダウンロー ド視聴」をするしか、テレビ番組にアクセスすることができない状況である。そして、「ダ ウンロードするので、見ない」と答えた対象者は、映像を視聴する手段として、「テレビ機 器視聴」よりも「ダウンロード視聴」の比重割合のほうが大きくなっている。
第3項 「番組ダウンロード」 「ダウンロード視聴」の動機
次に、RQ3の「韓国の大学生は、どのような動機をもって、『ダウンロード視聴』および
『テレビ機器視聴』を行っているか」を検討する。
まず、「番組ダウンロード」と「ダウンロード視聴」に関する動機として「ファイルの保 有性」「時間からの解放」「場所からの解放」「映像の多様性」「選択的視聴」、そして「テレ ビ機器の非所有」の6点を示す。
(1) ファイルの保有性
ダウンロードすることの動機のひとつに、「ファイルの保有性」があげられた。一度ファ イルをダウンロードすれば、映像を好きに視聴することができる。いつでも繰り返し見る ことができ、パソコン以外の映像視聴機器に移して見ることもできる。X氏は、「頻繁に『番 組ダウンロード』を行うわけではないものの、『番組ダウンロード』を行う最も大きな理由 として、自分で映像ファイルを所有しておくことができる点」をあげた。
「ファイルの保有性」によって、次にあげる 2 つの動機、つまり「時間からの解放」と
「場所からの解放」を可能にするといえる。
(2) 時間からの解放
ダウンロードには、「時間からの解放」という動機もある。テレビ放送では固定されてい る放送時間という枠があるが、ダウンロードによる視聴では、その枠を越えて、いつでも 見ることができる。テレビで見て面白かった番組を再度見たい時も、テレビの放送時間中 に見られなかった時も、後からダウンロードできることが、利用者を時間の束縛から解放 しているのである。ダウンロードしたファイルの視聴時間も、自分の意思で決めることが できる。暇な時にまとめて見たり、空いている時間を使って見たりするのが便利だという。