4. 非調和項を取り入れた Zwanzig モデル
4.2. 非調和項を取り入れた Zwanzig モデル-その 2
) sech(
) (
) sin(
) ) cos(
( 2 2
1
0 1
0 2
β τ γ
γ β γ γ
β t
t
t t
t t
C +
= − . 4.15(4.15)
ここで β=1/kBT である.この式で非調和性は全て γ1が担っている.図 4-1 に,
非調和項を変化させたときの式(4.15)の典型的な振る舞いを示す.図からも分か るように,非調和項の増加と共に,速度相関関数が大きくなることが分かる.
従って,非調和項が増加すると速度相関も増える.また,その積分値である自 己拡散係数も増加することが分かる.
図 4-1 式(4.15)における,非調和項fの大きさをfs<fm<flと変化させ た場合の速度自己相関関数の振舞い.
式(4.15)の基本的特性をまとめる.図 4-2に,式(4.15)で与えられる速度自己相
関関数における振動数 γ0依存性を示した.液体中における粒子の振動数の典型 的な値として,6.1×1012s-1を選んだ.図 4-2 では,この値の 0.1 倍,10倍と変 化させた時の振る舞いが示されている.また,図 4-3 に,より値をより細かく 見たときの振舞いを示した.これらの図から,振動数の減少と共に,速度自己 相関が大きくなることが分かる.しかし,その増加率は徐々に小さくなり,あ
の依存性を示した.式(4.15)から,緩和時間が短いと速度相関は小さくなり,逆 に長いと速度相関は大きくなり,振動的な状態を与えることが分かる.
図 4-2 式(4.15)の振動数γ0依存性.
図 4-3 より細かくγ0の値を選んだときの式(4.15)の振舞い.
図 4-4 式(4.15)の緩和時間τ依存性.
次に,自己拡散係数を求める.今回のモデルのように,すべての可動粒子に 対して統計平均を取った後の自己拡散係数は,系の中での平均的な粒子の拡散 係数であるので,シミュレーションから得られる可動粒子の拡散係数と同値で ある.規格化された速度自己相関関数の展開は次式で与えられる.
+・・・
+
−
=1 ( /2!) ( /4!) )
(t C2 t2 C4 t4
C . 4.16(4.16)
それぞれの展開係数は,相互作用ポテンシャルや二体分布関数等の物質に依存 した微視的な情報を含んでいる.Tankeshwar らの表現を用いると,自己拡散係 数はこれらの展開係数を使用して
32 2
12 2 2 4
) (
) ) ( ( 2
C C C m
T
D= KB −
π , 4.17(4.17)
と書ける.あるいは,C2のみを用いると
2
1 4
C m
T
D kB
τ
=π , 4.18(4.18)
となる.式(4.15)と式(4.17)を組み合わせると
) 2
(
1 4
1 1 0 2 2 0
−
− −
= +
β γ γ τ γ τ π m
T
D KB , 4.19(4.19)
を得る.この式から,非調和性を表す γ1が大きくなると自己拡散係数も増加す ることが明らかに分かる.
図 4-5 γ1β-1を変化させた時の速度自己相関関数の振る舞い.
次に,本モデルにおいて,非調和性が増すと速度自己相関関数や,自己拡散 係数が増加するということを,少し視点を変えて示し上述の議論を補強する.
前述の式(4.9)から,式(4.18)のジャンプ頻度 1/τ は非調和性の増大と共に増加す
ることが分かる.従って,ジャンプ頻度は非調和性の増大によって増加し,そ の結果,拡散係数も増加する.では,C2はどうであろうか.C2は一般的な液体 論の議論から,
) ( )
2 (
2 = m
∫
∇V r g r drC ρ
, 4.20(4.20)
と書くことが出来る.ここで,ρは数密度,V(r)は二体間相互作用ポテンシャル,
g(r)は二体分布関数を表す.C2の典型的な振る舞いを見るため,以下のポテンシ ャルで,いくつかのパラメータの組み合わせを選んでg(r)を計算する.
−
= − q p
q r p r
p q r E
V( ) (σ) (σ)
. 4.21(4.21)
ここで,Eを定数とする.他のパラメータの組み合わせとして,
=
3 Model : ) 5 , 8 (
2 Model : ) 11 , 12 (
1 Model : ) 6 , 12 ( ) , (q p
を選ぶ.これらのパラメータを代入したポテンシャルの形を図 4-6 に示す.
Model 2→1→3の順でポテンシャルが緩やかになっていることが分かる.このと
き,ポテンシャルの深さは三つのModelで一定とした.Model 2→1→3の順に粒 子 が 受 け る 非 調 和 性 は 増 加 す る . 一 方 ,YBG(Yvon-Born-Green)方 程 式 ,
PY(Percus-Yevick)方程式による二体分布関数は次式で与えられる.これらの表現
で求められたg(r)の精度は高くはないが,定性的な性質を見るには適している.
− +
= k T
r w r r V
g
B
s( ) )
exp ( )
( , 4.22(4.22)
4 3 2 2
) (
12 r 2 3
2 4 ) ) (
(
4 3 2 2 2 4 2 2 3 4
s ds r s r
s r
r s
s V r r
w r
s l
+
− − +
−
− +
∂ ⋅
− ∂
= ρπ
∫
+σ σ σ σ σ) 3 (
−4πρσ3V r+σ . 4.23(4.23)
式(4.22)と式(4.23)から求めた二体分布関数を図 4-7に示す.また,これらの二体
間ポテンシャルと二体分布関数を用いて求めたC2を表 4-1に示す.図 4-7から,
非調和性が大きい場合に対応するModel 3では,第一ピークの高さが減少し,ピ ークの幅が広がることが分かる.また,表 4-1 から,Model 2→1→3 の順に C2
が減少することも分かる.従って,非調和性の増加と共にC2は減少し,それに
伴って式(4.18)で表される拡散係数も増加することが分かる.この様な一般的な
液体の議論からも,非調和性の増大は自己拡散係数の増加に直接影響すること
図 4-6 ポテンシャルパラメータを変更させた場合のポテンシャル (4.21)の変化.
図 4-7 式(4.22)および式(4.23)から求められた二体分布関数.
(q,p) C2/C Model 1 12,6 1 Model 2 12,11 1.91 Model 3 8,5 0.51
表 4-1各 における の値. の で規格化を行って