8.1 概要
構造物を線形-弾性挙動を解析する場合は変位と荷重が比例関係であると仮定します。このような仮 定は載荷される荷重に対して材料の応力-ひずみ関係が線形で、荷重が構造物の剛性に比べて比較 的に小さくで発生する変位も微小で幾何学的変形が変わらない場合に適用可能です。
通常の設計条件では多くの構造物を線形-弾性挙動をすると仮定して解析を遂行しますが、大変形 が発生する場合や応力が許容値を超える場合は必ず非線形解析を遂行する必要があります。
非線形解析は次のように大きく3つで区分できます。
1. 構造物に比較的に大きい荷重が載荷されて応力が大きくなると、応力-ひずみ関係が非線形に 変わり非線形挙動をしますが、これを材料非線形といいます。
下の図8.1.1 のような応力-ひずみ関係で示すことができ、荷重載荷方法と材料によって様々な 形態の応力-ひずみ関係が発生します。
図8.1.1 材料非線形解析に使われる応力-ひずみ関係
2. 構造物に比較的大きい変形が発生して、幾何学的形態が変わってひずみ-変位関係が非線形 になる場合、微小変形解析で無視したひずみ-変位関係の高次項を含めて解析を遂行しますが、
これを幾何学的非線形といいます。
幾何非線形性は材料の線形状態で発生可能で変形が大きくなる構造物の場合は、設計のため の解析にも適用します。幾何非線形は材料と関係なく構造物の形状によって発生しますが、変
位が大きく発生して構造物の座標が変わったりモーメントのような付加荷重が発生する場合は必 ず考慮しなければなりません。
3. 荷重による構造物の変形によって境界条件が変化する構造物で発生する荷重-変位の非線形関 係を境界非線形といいます。地盤と接する構造物の圧縮専用の境界条件などが境界非線形問 題に該当します。
構造物の大変形による剛性の変化
変形による付加荷重の発生
図8.1.2 幾何非線形解析が必要な構造系
8.2静的非線形解析
線形解析で使用する微少変形εijは回転が小さいと仮定して次のように定義することができま す。
, .
1( )
ij 2 ui j uj i
ε = + (8.2.1)
ここで、
u: 変位
, , . i j j i
u u : 最初座標に対する微分
図8.2.1のように大変形が発生する場合は微少変位で構造物の変形を表現することはできませ ん。大変形は次の式のように回転成分と回転ではない成分で分離することができます。実際構 造物に発生する変形はUによって決定されます。
, ( )
F=RU ε= f U (8.2.2)
ここで、
F : 変位テンソル R: 回転変位テンソル
U : 変形テンソル
図8.2.1 大変形による幾何非線形性
上式の全体変形から回転成分を除くと正確なひずみの計算ができるので回転量が大きい場合 は最初から正確なひずみ-変位関係はわかりません。つまり、線形解析で計算した変位に従って ひずみが変わるので幾何学的非線形が導入されます。
プログラムの幾何非線形解析はco-rotational 方法を使用しますが、この方法は変形される要素に付 着されて要素の回転によって動くco-rotational 座標系にひずみを使用して幾何学的非非線形性を考 慮する方法です。co-rotational 座標系でのひずみ-変位の関係は式ε =ˆ Buˆˆのように示すことができ、
線形解析と同じひずみ-変位関係のマトリックスを使用することができます。
つまり、線形解析で使用された要素の安定性及び収束性が幾何学非線形が導入されても保持され ることを意味するので、優秀な線形要素の特長が保持される長所も持っています。
Co-rotational 座標系での変位uˆは式u= f e e e e e e e( , , , , , , )1 2 3 1 2 3 によって計算されて、微少変 位δuˆは線形化してδu T uˆ= δ で示すことができます。Co-rotational 座標系での線形弾性問題の 場合、同時回転座標系での要素耐力ˆpintは次の式から求めることができます。
int T
0 dv
ˆ ˆ
p =
∫
B σdV (8.2.3)ここで、σˆは同時回転座標系で表現された応力で、上の式を変分すると次の式を求めること ができます。
int ˆ
ˆ ˆ
p ( K K ) uσ
δ = + δ (8.2.4)
ここで、Kˆσは幾何剛性マトリックス又は初期応力マトリックスで、内力と外力の釣り合い関 係pext−pint=0を使用すると次の式のような非線形釣り合い方程式を構成することができま す。
(K+K uσ) =pext (8.2.5)
非線形釣り合い方程式の解を求める方法では、Newton-Raphson 方法と弧長法を使用します。一 般的な解析の場合は荷重制御方法である Newton-Raphson 方法を使用して、snap-throughや snap-b ackのような問題に対しては変位制御方法である弧長法を使用すれば適切な解析をすることができます。
プログラムの幾何非線形解析で使用できる要素は、トラス、梁、板要素があり、他の要素と一緒に使 用する場合は剛性のみ考慮されて幾何非線形性は考慮できません。
8.2.1 Newton-Raphson 反復法
外力が作用する構造物の幾何非線形解析では幾何剛性が変位の関数形態で表現されて、変位は また幾何剛性の影響を受けるので反復解析が必要です。Newton-Raphson 方法は一般的によく使用 する方法で図8.2.2のように与えられた外力と釣り合いを成す変位を計算します。荷重-変位の釣り合い 方程式で与えられた荷重に対して釣り合いが満足できるように反復計算をする度に剛性マトリックスを 再構成して、これを用いて近似解を反復的に修正して許容誤差の範囲内の近似解を求めます。
(K+K uσ) = p K uT =p
KT =K+Kσ Kσ = f u( ) (8.2.6)
1 1
( )( )
T m m m m
K u − u − +Δu =R
図8.2.2 Newton-Raphson 方法
テイラー展開式( (y xn+h)=y x( )n +y x h′( ) )n を用いて上記の式の左項を展開すると、次のよ うになります。
1 1 1 1
1
( )( ) ( )
T m m m T m m m
m
K u u u K u u dR u
Δ du Δ
− − − −
−
+ = + (8.2.7)
1 1
1
( ) R
T m m m
m
dR K u R F R
du − − −
= − = の関係を上式に代入して整理すると、次のようになります。
1 1
( ) R
T m m m m
K u − Δu =R +R − =R (RR: residual force) (8.2.8)
解析過程は図8.2.2に示したように、Δumが計算されれば変位をu m=um−1+Δumの式を用いて 補正します。また、反復過程を適用するために新しい接線剛性K uT( )m と、Rm+1−Rmを計算 して、これによる補正された変位um+1を求めます。
上記の反復過程で一つのステップでの変位、エネルギー又は荷重の増分量が収束限界中に入るま で反復して解を計算します。
8.2.2 弧長反復法
一般の反復過程では荷重-変位曲線がほぼ水平の場合、変位増分の計算が非常に大きくなります。
つまり、荷重増分を固定すると結果変位は非常に大きい値になります。弧長法を使用するとこの問題を 解決することができ、変位制御法を使用する場合と同様にsnap-through 挙動(図8.2.3(a)を参照)を解 析することができます。また、弧長法は変位制御法で解析できないsnap-back 挙動も解析することがで きます。(図8.2.3(b)を参照)
弧長法は増分変位の normをすでに定義されている値で拘束します。この増分の大きさは反 復過程内では固定的に適用されますが、増分を始まる際には固定されていません。増分の大き さを次の過程で決定します。(図8.2.3(c)を参照)
(a) Snap-through (b) Snap-back
(c) 弧長法の概念図 図8.2.3 弧長法
増分を始まる際の外力ベクトルをRmで、外力ベクトルの増分をΔλif で定義します、荷重係 数Δλiは単位荷重 fをかけて毎反復段階ごとに変わります。
1 1
1 int 1 int
( )
( ) ( ( ) ( ))
R
T i i i
i T i m i
K u u R
u K u f u f u
δ Δ
δ
−
− − −
=
= − (8.2.9)
上式は次のように二つ部分で分けることができ、増分変位は次のように求めることができま す。
1
1 int 1 int
1 1
( ) ( ( ) ( ))
( )
I
i T i m i
II
i T i
I II
i i i i
u K u f u f u
u K u f
u u u
δ δ
δ δ λ δ
−
− −
−
−
= −
=
= + Δ
(8.2.10)
プログラムでは荷重係数Δλiを球面探索法を使用して求めます。この方法の拘束条件式は次の ようになります。
2 T
i i
u u l
Δ Δ =Δ (8.2.11)
ここで、Δlは拘束しようとする変位の長さです。
1
i i i
u u u
Δ =Δ − +δ の式を上式に代入すると荷重係数Δλiは次のように計算されます。
2
1 2 3
2
2 2 1 3
1
0 4
i 2
a a a
a a a a
a
Δλ Δλ
Δλ
+ + =
− + −
= (8.2.12)
ここで、
1
2 1
2
3 1 1 1
( )
2( ) 2( )
2( ) ( ) ( )
II T II
i i
I T II T II
i i i i
T I I T I T
i i i i i i
a u u
a u u u u
a u u u u u u l
δ δ
δ δ Δ δ
Δ δ δ δ Δ Δ Δ
−
− − −
=
= +
= + + −
一般的に上式の解は2つですが、複素数解の場合は球面探索法の線形同等解を使用します。
二つの実数解の中でどの解を使用するかを決定するために、以前反復過程と現在反復過程の間
1 1
( )
cos i T i
i i
u u
u u
Δ δ
θ= Δ −− δ (8.2.13
一つの解が負で他の解が正の場合は正の解を選択し、二つの解がすべて銳角の場合は線形解
3 2
i a a
Δλ = − に近い解を使用します。
8.3 P-デルタ解析
8.3.1 概要
プログラムの P-デルタ解析は、梁要素が水平荷重と鉛直荷重を同時に受ける時の 2 次的な構造的 挙動を考慮するためのことで、何学的非線形性をの一種です。
建築構造物で高層建物の場合は、低層に比べて重力による軸力と水平荷重による横変位が大きく なるので、P-デルタ効果が構造物の挙動に及ぼす影響が大きくなります。
ACI318 CodeとAISC-LRFD Codeでは、実際断面力を設計に反映するため、P-デルタ効果を考慮 した構造解析を要求しています。
プログラムの P-デルタ解析機能は、座屈問題を数値解析的な方法で解を求める際に使用する概念 を応用したもので、先に与えられた荷重条件に対して静的解析を遂行した後、各要素に発生しる応力 を用いて幾何剛性マトリックスを作って、修正された剛性マトリックスを使って与えられた条件を満足する まで解析を反復して遂行するようになります。
図8.3.1のように動的解析にP-デルタ効果を考慮する場合も幾何剛性マトリックスの構成のため静的 荷重条件の入力が必要です。
On-line Manual の"
解析>P-デルタ解析 制御"を参照
解析モデルの入力
剛性マトリックスの構成
初期静的解析の実行
幾何剛性マトリックスの構成
剛性マトリックスの再構成
静的解析の実行
収束判定
解析結果出力 固有値解析
静的解析 動的解析