6.2 モード重ね合わせ法
構造物の変位をお互いに直交性を持つ変位形状の線形組み合わせ形態で求める方法で、次のよう に表現できます。この方法では減衰マトリックスが質量マトリックスと剛性マトリックスの線形組み合わせ で成り立つと仮定します。
[ ]
C =α[ ]
M +β[ ]
K (6.2.1)( ) ( ) ( ) ( )
TM q t TC q t TK q t TF t
Φ Φ&& + Φ Φ& + Φ Φ = Φ (6.2.2)
( ) ( ) ( ) ( )
i i i i i i i
m q t&& +c q t& +k q t =P t (i=2,3,4, , )Lm (6.2.3)
1
( ) m i i( )
i
u t q t
=
=
∑
Φ (6.2.4)( ) i it (0)cos i i i(0)sin
i i Di Di
Di
q t eξ ω q ω t ξ ωq ω t ω
− ⎡ ⎤
= ⎢ + ⎥
⎣ ⎦
&
( )
0
1 t i( ) i it sin Di( )
i Di
P e t d
m
ξ ω τ
τ ω τ τ
ω
− −
+
∫
− (6.2.5)ここで、
1 2
Di i i
ω =ω −ξ
(6.2.6) ここで、
a0 , a1 : レーリー係数 ξi : i次モードの減衰定数 ωi : i次モードの固有円振動数 Φi : i次モードの固有ベクトル
qi(t) : i次モードによる1自由度系の振動方程式の解
時刻歴応答解析で構造物の変位は、式(6.2.4)のようにモード形状と単自由度系方程式の解との積で 決定されて、変位の正確性は使用するモード数に影響を受けます。この方法は構造解析プログラムで
的解析や特別な減衰装置が含まれて減衰を剛性と質量の線形組み合わせで仮定できない場合は使 用できない短所があります。
モード重合法を利用する場合必要になるデータと入力時の注意事項は次のようになります。
¾ 全体解析時間(または、解析回数) :解析しようとする時間や解析回数
¾ 解析時間間隔 : 解析に使われる時間間隔で、解析の精度に大きな影響を及ぼし、時間 間隔の大きさは構造物の高次モードの周期や荷重の周期密接な関係があります。解析時 間の間隔は、式(6.2.5)の積分項に直接影響を及ぼすので、不適切な値が入力された場合 は、不正確な結果になります。一般的に、考慮する最高次モードの固有周期に対して、そ の約 1/10 程度の時間間隔が良いです。また、解析時間の間隔は入力された荷重の時間 間隔より小さくする必要があります。
10 Tp
Δ =T (6.2.5)
ここで、Tp は考慮する最高次モードの固有周期
¾ モードごとの減衰定数(または、レーリー係数) : 構造物の減衰を決定するために必要な 値で、全体構造物の減衰定数や各モードごとの減衰定数
¾ 動的荷重 : 構造物の節点や基礎部に直接加振される動的荷重で、時間の関数で表示さ れて、全体荷重変化を十分示す必要があります。入力されてない時間での荷重は線形補 間して適用します。
6.3 直接積分法
直接積分法は動的釣り合い方程式を微少時間ごとに積分して解を求める方法です。釣り合い方程式 の形態変化なして時間段階ごとに積分を使用して解を求めることになり、使用方法によって多様な積分 方法が使われることもできます。プログラムでは収束性の良いNewmark 法を使用して直接積分法を行 っています。基本的な仮定と積分方法は以下のようになります。
[( ) Δ ]
t t t t t t
u u 1 u u t
+Δ +
= + − δ + δ Δ
& & && && (6.3.1)
Δ [(
1
) Δ ]Δ2
t t t t t t t 2
u u u t u u t
+Δ +
= + & + − α &&+ α && (6.3.2)
式(6.3.2)からt+Δt
u &&
を求めて、この値を式(6.3.1)に代入して、t+Δtu &
を計算すると式(6.3.3)のように以 前段階の変位、速度、加速度と現在の変位で表現することができます。( )
( )
Δ
t t t t t t t
t t t t t t t
u f u, u, u, u u f u, u, u, u
+Δ +Δ
+ +Δ
=
=
&& & &&
& & &&
(6.3.3)
式(6.3.3)を式(6.3.4)のような動的釣り合い方程式に代入すると以前段階の変位、速度、加速度と現 在の変位に関する式で示すことができ、式(6.3.6)のような式で現段階の変位を計算することができます。
現段階の変位を求めるとこの値と前段階の値を用いて、式(6.3.8)のような現段階の加速度と速度を計算 することができます。減衰は式(6.3.9)のように剛性と質量を用いて比例式で計算します。
[ ]M t+Δtu&&+[ ]C t+Δtu&+[ ]K t+Δtu= t+Δtp (6.3.4)
[
[ ] [ ] [ ]]
[ ]( ) [ ]( )
t t
0 1
t t t t t t t t
0 2 3 1 4 5
K a M a C u
p M a u a u a u C a u a u a u
+Δ +Δ
+ + =
+ + &+ && + + &+ && (6.3.5)
[ ]Kˆ t+Δtu = t+Δtˆp (6.3.6)
[ ] [ ]ˆK = K +a M0[ ]+a C1[ ] (6.3.7)
[ ]( ) [ ]( )
t t t t t t t t t t
0 2 3 1 4 5
ˆp p M a u a u a u C a u a u a u
+Δ +Δ
= + + & + && + + & + &&
( )
t t t t t t t
0 2 3
u a u u a u a u
+Δ +Δ
= − − −
&& & &&
, t+Δtu & =
tu a u a & +
6t&& +
7t+Δtu &&
(6.3.8)ここで、
0 2
1
a
t=
αΔ 1a
δt=
αΔ 2 1a
t=
αΔ 3 1 2 1a
−=
α4 1
a
δ−=
αa
5 Δ2t( )
δ−2=
αa
6=
Δt 1( − δ)a
7=
δΔt α, δ : Newmark 積分変数(α= 0.5、δ= 0.25 の場合には常に安定)Δt : 積分時間間隔
[ ]C = a K[ ]+b M[ ] (6.3.9)
ここで、
a, b : 減衰計算のための質量と剛性の比例定数
剛性や減衰の非線形性を考慮した解析のためには直接積分法を使用します。直接積分法の場合は 全ての時間ステップに対して解析を遂行するため時間ステップ数に比例して解析時間がかかります。直 接積分法を使用する場合に要求されるデータと入力時の注意事項は次のようになります。
¾ 全体解析時間(または、解析回数):解析しようとする時間や解析回数
¾ 解析時間間隔:解析に使用される時間間隔で、解析の精度に影響を与える可能性があり、
時間間隔の大きさは構造物の高次モードの周期や荷重の周期と密接な関係を持っていま す。解析時間の間隔は式(6.3.5)の積分項に直接影響を与えるので不適切な値が入力さ れると不正確な結果が得られます。一般的に考慮しようとする最高次モード周期の 1/10 程度の時間間隔が良いです。また、解析時間間隔は入力された荷重の時間間隔よりも小 さくする必要があります。
10 Tp
Δ =t
ここで、Tpは考慮しようとする最高次モードの周期
¾ 解析時間間隔数と解析にかかる時間は比例しmすので必要以上細かくしないようにしま す。
¾ 剛性と質量を使用した減衰定義 : 剛性と質量の比例式で減衰を定義します。
¾ 時間積分方法 : Newmark 方法の適用時に、必要な積分変数を入力します。
Constant Acceleration の場合は、全ての条件を満足しながら発散せずに安定的に収束し ますが、Linear Acceleration の場合は条件によっては収束しない場合もあります。できれ ばConstant Accelerationに該当する積分変数を使用したほうがよいです。
¾ 動的荷重 : 構造物の節点や基礎部に直接作用する動的荷重で時間の関数で表現され て、全体荷重の変化を十分に表現できる必要があります。入力されない時間での荷重値 は線形補間して使用します。
次は、ユーザーの理解のために、構造物の時刻歴解析に必要な基本的な事項を説明したものです。
図6.3.1 の単自由度構造物の運動を理想化したモデルです。単自由度系に作用する力のつり合い方程 式は次のようになります。
( ) ( ) ( ) ( )
I D E
f t + f t + f t = f t (6.3.10)
I( )
f t (慣性力)は、構造物の運動速度の変化に対して抵抗しようとする慣性効果を力で表現するこ とで、大きさはmu
&&
(t)になり加速度の反対方向です。E( )
f t (弾性復元力)は、構造物に変形が発生すると構造系がこれに抵抗してもとの位置へ戻そうと する性質による弾性復元力で、その大きさはku(t)で、変位と反対方向です。
D( )
f t (減衰力)は、構造物に追加の外力を加えない場合(自由振動)、内部摩擦などによる運動エ ネルギーの消滅で運動振幅が小さくなる現象を考慮するための構造系内部の仮想の力で、その大きさ
はcu
&
(t)で、速度の反対方向です。図6.3.1 1自由度系の理想化モデル
それぞれの力を整理すると次のようになります。
I ( )
f =mu t&&
D ( )
f =cu t& (6.3.11)
E ( ) f =ku t
ここで、mは質量、cは粘性減衰係数、kは弾性係数です。図6.3.1の力のつり合い関係から変位に 対する単自由度構造物の運動方程式は次のようになります。
( ) ( ) ( ) ( )
mu t
&&
+cu t&
+ku t = f t (6.3.12)上式で f t( ) 0= とした場合は、自由振動に対する方程式となり、さらにc=0の場合は、非減衰自由
振動に対する振動方程式になります。f t( )を任意時間における加振力(または、加振変位、速度、加 速度)とすれば、強制振動の問題になり、モード重合法又は直接積分法を用いて解を求めることができ ます。
(a) モデル (b) つり合い状態
(弾性復元力)
(減衰力)
(慣性力) (外力)
6.4 多重支点の地震荷重入力に対する解析
長大橋梁のように支持点が空間的に離れている場合は構造物に入力する地震荷重に時間遅延効 果が発生します。このような場合は各支持点ごとに該当の支持点に適する地震荷重を入力して解析し たほうがもっといい解を求めることができます。多重支点の地震荷重を受ける構造物の運動方程式は式 (6.4.1)のようになります。多重支点の地震荷重入力を考慮した解析時にはすべての変位、速度、加速 度値が絶対値に対して計算されます。多重支点の地震荷重を考慮した解析結果は複数の支点に地震 荷重が入力されるので基準点を決めることができないので絶対値に対して結果を出力します。絶対値 で結果を出力すると、変位、速度、加速度結果値に地盤挙動を含むことになります。部材力や反力の 場合は節点間の相対変位を使って計算するので絶対値や相対値出力に影響を受けません。
( ) ( ) ( ) 0
( ) ( ) ( ) ( )
t t t
ss sg s ss sg s ss sg s
t t t
gs gg g gs gg g gs gg g g
M M u t C C u t K K u t
M M ⎧u t ⎫+ C C ⎧u t ⎫+ K K ⎧u t ⎫= P t
⎡ ⎤ ⎡ ⎤ ⎡ ⎤ ⎧ ⎫
⎨ ⎬ ⎨ ⎬ ⎨ ⎬ ⎨ ⎬
⎢ ⎥ ⎢ ⎥ ⎢ ⎥
⎣ ⎦⎩ ⎭ ⎣ ⎦⎩ ⎭ ⎣ ⎦⎩ ⎭ ⎩ ⎭
&& &
&& &
(6.4.1) ここで、
s, g : 上部構造物、支点部
t : 絶対変位
支持点の運動 は支持点ごとに入力しなければなりません。絶対変位を地盤変 位による変位 とこれを除いた動的変位 で区分すると式(6.4.2)のようになります。
( ) ( ) ( )
( ) ( ) 0
t s
s s s
t
g g
u t u t u t
u t = u t +
⎧ ⎫ ⎧ ⎫ ⎧ ⎫
⎨ ⎬ ⎨ ⎬ ⎨ ⎬
⎩ ⎭
⎩ ⎭ ⎩ ⎭ (6.4.2)
は、支持点変位で を静的に構造物に作用した場合に発生する上部構造物の変位で類 似静的変位(quasi-static displacement)といい、式(6.4.3)のような関係を持っています。 は支持点 の変位 を構造物に加えるため必要な支点荷重です。
0 ( ) ( ) ( )
s
ss sg s
s
gs gg g g
K K u t
K K ⎧u t ⎫= P t
⎡ ⎤ ⎧ ⎫
⎨ ⎬ ⎨ ⎬
⎢ ⎥
⎣ ⎦⎩ ⎭ ⎩ ⎭ (6.4.3)
式(6.4.1)を展開して式(6.4.2)を適用して整理すると式(6.4.4)のようになります。
( ), ( ), ( )
t t t
g g g
u t u t u t
&& &
s( )
u ts u ts( )
g( )
u t u tss( )
s( ) P tg g( )
u t
( ) ( )
( )
( ) ( ) ( ) ( ) ( ) ( )
( ) ( ) ( ) 0
s s
ss s s sg g ss s s sg g
s
ss s s sg g
M u t u t M u t C u t u t C u t K u t u t K u t
+ + + + +
+ + + =
&& && && & & &
(6.4.4)
( ) ( ) ( ) ( )
( ) ( ) ( ) ( ) ( ) ( ) ( )
ss s ss s ss s eff
s s s
eff ss s sg g ss s sg g ss s sg g
M u t C u t K u t P t
P t M u t M u t C u t C u t K u t K u t
+ + =
= − − − − − −
&& &
&& && & & (6.4.5)
式(6.4.3) の一番目項を整理すると式(6.4.6)のようになります。
1
( ) ( ) 0
( ) ( )
s
ss s sg g
s
s f g
f ss sg
K u t K u t u t I u t I K −K
+ =
=
= −
(6.4.6)
ここで、Ifは逆行列で支持点の変位による構造物の変位です。
式(6.4.6)を式(6.4.5)に代入して整理すると次のようになります。
( ) ( )
( ) ( ) ( )
eff ss f sg g ss f sg g
P t = − M I +M u t&& − C I +C u t& (6.4.7)
減衰マトリックスが剛性比例減衰マトリックスだと仮定すると式(6.4.8)のように示すことができます。
(
C Iss f +Csg)
u t&g( )=β(
K Iss f +Ksg)
u t&g( ) 0= (6.4.8)( )
( ) ( )
eff ss f sg g
P t = − M I +M u t&& (6.4.9)
質量が集中質量だと仮定すると式(6.4.5)での運動方程式と有効地震荷重は式(6.4.10)のようになりま す。
( ) ( ) ( ) ( )
( ) ( )
ss s ss s ss s eff
eff ss f g
M u t C u t K u t P t P t M I u t
+ + =
= −
&& &
&& (6.4.10)
参照として、均等地震荷重が入力される場合の運動方程式は次のようになります。
{ }
( ) ( ) ( ) ( )
( ) 1 ( )
eff
eff g
Mu t Cu t Ku t P t
P t M u t
+ + =
= −
&& &
&& (6.4.11)
最終的な絶対値基準の変位、速度、加速度は式(6.4.12)のように計算されます。