S dDmax
3) モーメント-曲率関係の非線形梁要素
モーメント-曲率関係の非線形梁要素は、要素内に複数の非線形ヒンジを設定します。設定した各ヒ ンジ位置での弾塑性判定によってヒンジの柔軟度を計算した後、数値積分を通じて要素の柔軟度マトリ ックスを求めます。モーメント-曲率関係の非線形梁要素の非線形ヒンジは、軸成分の場合、軸力-ひず み関係で定義して、モーメント成分はモーメント-曲率関係で定義します。
梁-柱要素の弾塑性挙動は主に要素端部に集中される場合が多いです。しかし、数値積分法で広く 使っている Gauss-Legendre 積分法は要素端部に積分点を設定することができません。したがって、プ ログラムでは要素端部の断面に積分点が設定できるGauss-Lobatto数値積分法を使用します。
① モーメント-曲率関係非の線形梁要素の成分別の非線形ヒンジ特性
プログラムの静的増分解析のモーメント-曲率関係の非線形梁要素では要素全体の塑性化を考慮す る分布型モデルと、要素両端での塑性化だけを考慮する集中型モデルを提供します。
9 分布型タイプ
・ 非線形ヒンジ: 積分点での設定(1~20個まで設定可能)
・ 要素全体の塑性化が考慮可能
・ 成分毎に積分点個数を設定可能
9 集中型タイプ
・ 非線形ヒンジの位置: 要素両端(モーメント)、要素中央(軸、せん断、ねじり)
・ 要素両端の塑性化だけ考慮可能
・ モーメント成分の非線形ヒンジ: 要素に3つの積分点が設定可能 (ただし、中央の積分点は弾性)
・ 軸、せん断、ねじり: 要素中央で1つの積分点が設定可能
(a) 分布型タイプ (b) 集中型タイプ(モーメント成分)
図8.7.20 モーメント-曲率関係の非線形梁要素の非線形ヒンジ
M M
Integration Point Rigid
Zone
Rigid Zone
M M
Integration Point Rigid
Zone
Rigid (Inelastic Hinge) Zone
Inelastic Hinge
Elastic Hinge
モーメント-曲率関係の非線形梁要素の成分毎の非線形ヒンジ特長は表8.7.2のようになります。
表 8.7.2 モーメント-曲率関係要素の成分別の非線形ヒンジ特性
成分 非線形ヒンジ特性 初期
剛性
ヒンジの設定位置
(集中型タイプ/分布型タイプ)
軸力(Fx) 軸力-変形度 EA 要素中央 / 積分点位置 せん断力(Fy,Fz) せん断力-せん断ひずみ GAs 要素中央 / 積分点位置 ねじり(Mx) モーメント-曲率 GJ 要素中央 / 積分点位置 モーメント(My,Mz) モーメント-曲率 EI 要素両端 / 積分点位置
② モーメント-曲率関係の非線形梁要素の柔軟度マトリックス
モーメント-曲率関係の非線形梁要素の要素柔軟度マトリックスは各積分点で位置する非線形ヒンジ の柔軟度を数値積分して求めます。非線形ヒンジの接線柔軟度マトリックスは一軸あるいは多軸-ヒンジ (P-M-M)モデルに基づいた状態判定から決定されます。
モーメント-曲率関係の非線形梁要素の解析過程は次のようになります。
a. 非線形梁要素の解析過程の①~③の過程を通じて要素の増分内力Δqを求めます。各積分点に 位置した非線形ヒンジの増分内力Δq( )x は、増分内力Δqを内挿関数(force interpolation function)を 利用して次のように変換し求めます。
9 軸力とモーメント成分の非線形ヒンジの増分内力 ( ) ( )
AB x = x ⋅ AB
Δq b Δq (8.7.39)
ここで、
{ }
T
AB Δn Δmyi Δmzi Δmyj Δmzj
Δq = : 要素の増分内力
{
sec ,sec ,sec}
( )T
AB x = Δn Δmy Δmz
Δq : 非線形ヒンジの増分内力
1 0 0 0 0
( ) 0 1 0 0 ,
0 0 1 0
x x
ξ ξ ξ L
ξ ξ
⎡ ⎤
⎢ ⎥
=⎢ − ⎥ =
⎢ − ⎥
⎣ ⎦
b : 内挿関数
9 せん断成分の非線形ヒンジの増分内力
,sec
,sec ,sec
zi zj
y z
yi yj
z y
x x
m m
q L
m m
q L
m m
Δ + Δ
Δ =
Δ + Δ
Δ =
Δ = Δ
(8.7.40)
ここで、
yi zi yj zj
m m m m
Δ , , , Δ Δ Δ : 要素両端の増分モーメント
,sec
qy
Δ , Δqz,sec : せん断成分の非線形ヒンジの増分内力 ,sec
mx
Δ : ねじり成分の非線形ヒンジの増分内力
② 非線形梁要素の解析過程の④~⑥の過程を通じて、非線形ヒンジの柔軟度f x( )と内力を計算し ます。
③ 各積分点から求めた成分別の柔軟度f x( )を数値成分して梁要素の柔軟度マトリックスを構成しま す。
0L Tb x f x b x dx( ) ( ) ( )
=
∫
F (8.7.41)
ここで、
( )
f x : 位置xでの断面の柔軟度マトリックス ( )
b x : 位置xでの部材力の分布関数マトリックス(内挿関数)
F: 要素柔軟度マトリックス L: 要素長さ
x: 断面の位置
④ モーメント-曲率関係の非線形梁要素の剛性マトリックスは非線形梁要素の柔軟度マトリックスの 逆行列から求めて計算します。
(3) 3D 壁要素
非線形壁要素は図8.7.21 のように壁の中央に位置された線要素とこれの上下端部に連結された剛体 梁で構成されています。中央の線要素はモーメント-回転角関係の非線形梁要素と同じ挙動をし、剛体梁 はxz平面で剛体挙動します。したがって、y方向に対するモーメントは面内曲げ挙動を示し、z方向に対 するモーメントは面外曲げ挙動を示します。
非線形壁要素の非線形性は壁の中央に位置しているモーメント-回転角関係の非線形梁要素によって 定義されるので、解析方法と定式化過程はモーメント-回転角関係の非線形梁要素を参照してください。
板タイプの非線形壁要素は面外方向の非線形性を考慮することができます。
図8.7.21 壁要素の節点力および節点変位
(4) トラス要素
トラス要素は図 8.7.22 のように部材軸方向(x 方向)の圧縮力及び引張力を受ける非線形バネを使 用します。
図8.7.22 トラス要素の節点力
トラス要素の非線形ヒンジ特徴は表8.7.3のようになります。
表8.7.3 トラス要素の非線形ヒンジ特徴
成分 非線形ヒンジ特徴 初期剛性 ヒンジの設定位置
軸力(Fx) 軸力-変形(相対変位) EA/L 要素中央
(5) 非線形汎用リンク要素
汎用リンク要素は2つの節点間を結ぶ要素で、3方向の並進と回転を持つ6つのバネで構成されま す。静的増分解析では、「汎用リンク要素のプロパティ」から「バネ要素」に設定した後、静的増分ヒンジ プロパティの定義 から汎用リンク要素の非線形性を定義します。
非線形汎用リンク要素の成分別の非線形ヒンジの特性は表8.7.4のようになります。
表8.7.4 非線形汎用リンク要素の成分別の非線形ヒンジ特性
成分 非線形ヒンジ特徴 初期剛性 ヒンジの設定位置
軸力(Fx) 軸力-変形 ユーザー定義(EA/L) 要素中央 せん断力(Fy,Fz) せん断力-変形 ユーザー定義(GAs/L) 要素中央 ねじり(Mx) モーメント-回転角 ユーザー定義(GJ/L) 要素中央 モーメント(My,Mz) モーメント-回転角 ユーザー定義(EI/L) 要素中央
8.7.8 非線形ヒンジの特徴
プログラムの静的増分解析は要素に非線形ヒンジを設定して、ヒンジの変形とそれによる耐力から非 線形ヒンジの降伏状態を判定します。非線形ヒンジの特徴は、各成分が独立的に挙動する一軸-ヒンジ モデルと軸力-モーメント成分の相互作用を考慮する多軸ヒンジモデル(P-M-M Type)で区分することができま す。非線形ヒンジはスケルトン曲線によって定義されます。スケルトン曲線は解析用の最小モデル単位で ある要素断面の非線形挙動特性を構成材料の応力-ひずみ関係、断面のモーメント-曲率関係などの非線形 挙動特性を理想化した曲線で表現したものです。
非線形ヒンジの耐力と変形の関係、すなわち、スケルトン曲線上の力と変形関係は、非線形要素の 成分毎の非線形ヒンジ特性を示した表8.7.1~4を参照してください。
(1) スケルトン曲線の概要
プログラムの静的増分解析で提供するスケルトン曲線は荷重増分法と変位増分法にすべて使用可 能で、接線剛性マトリックスを使用します。
① バイリニアタイプ
9 対応要素 : 梁要素、壁要素、トラス、汎用リンク要素 9 ヒンジ特性 : 一軸-ヒンジ及び多軸-ヒンジで定義可能
9 スケルトン曲線の初期剛性
k
0 : (+)、(-)方向対称だけ設定可能② トリリニアタイプ
9 対応要素 : 梁要素、壁要素、トラス、汎用リンク要素 9 ヒンジ特性 : 一軸-ヒンジ及び多軸-ヒンジで定義可能
9 スケルトン曲線の初期剛性
k
0 : (+)、(-)方向対称だけ設定可能③ FEMAタイプ
9 対応要素 : モーメント-回転角の梁要素、壁要素、トラス、汎用リンク要素 9 ヒンジ特性 : 一軸-ヒンジ及び多軸ヒンジで定義可能
9 スケルトン曲線の初期剛性