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163. 電子通信の世界的な広がりは、地球的な市民社会の萌芽に貢献し ている。こうした市民社会の出現は、環境、開発、人権および平 和に関連する問題に重点を置く非政府機関の増大に、もっとも如 実に表れている。しかし残念なことに、地球的市民社会の出現を 可能にした諸力は、「非市民」要素の国際化にも手を貸している。

164. 多くの国では、国際的な連携を持つ犯罪組織や麻薬密売シンジ

ケートが、政府と国民の双方にとって、大きな脅威となっている。

1998年6月には、世界薬物問題とこれに関連する脅威を検討する ための特別総会が開催された。特別総会では、需要と供給双方の 削減に同様の優先度を置き、薬物製造用作物を栽培する農民に代 替的作物生産の機会を与えるという、薬物統制に対するバランス の取れたアプローチこそが、もっとも適切な政策であるとのコン センサスが形成された。

165. 特別総会の活動面におけるフォローアップには、主要な国際金 融機関が関与することになっている。また、これにより、国連薬 物統制計画(UNDCP)には、組織犯罪対策の効果を高め、不法 薬物の供給を削減するために、各国を支援する手段が与えられる ことになる。同計画は、薬物取引パターンの変化を監視・分析し、

その他の機関の執行専門家との連絡を保つとともに、各国政府に 対し、その国境管理と薬物探知能力を高めるための援助を行って いる。UNDCPはまた、マネー・ローンダリングに対する認識を 高め、実効性のある国内法の採択と執行を奨励し、警察、検察官、

裁判官および金融規制担当者の技能、ならびに、金融犯罪手法の 急激な変化に対応するその能力を向上させるため、全世界的な訓 練・技術援助プログラムの開発も行っている。

166. 同計画はまた、「国際マネー・ローンダリング情報ネットワーク (International Money-Laundering Information Network)」の一部とな っている、世界のマネー・ローンダリング対策法および手続の概 要書「マネー・ロンダリング対策国際データベース(Anti-Money-Laundering  International  Database)」、ならびに、国際機関および その他関係者による情報交換を目的とした図書館およびフォーラ ムの管理も行っている。UNDCPはさらに、国際犯罪対策に関与す る他の国際機関とのデータ共有のために、世界的なシステムを確

立している。例えば、UNDCPのデータベースは、国際刑事警察機 構および国際関税機関と接続されている。地域レベルにおいて、

同計画は、近隣国の法律執行当局の間で、地域特有の問題とその 対処方法に関する話合いを行わせている。薬物生産国では、各国 政府および農村コミュニティーとの協力により、合法な代替作物 への転換促進と、持続可能な農業関連産業部門の育成も図ってい る。

167. 総会はこの1年間において、テロの脅威に対抗するための重要 な行動を起こした。1997年12月、総会は「テロ爆撃の制圧に関す る国際条約(International  Convention  for  the  Suppression  of Terrorist  Bombings)」を採択した。今後は第6委員会において、

核を用いたテロ行為の制圧に関し、国際条約の検討が行われる予 定である。

168. 相互連関を強める世界では、善悪両方の諸力が、同じスピード と簡便性をもって行き交っている。グローバリゼーションは、

人々の生活を向上させる巨大な潜在能力をもつ一方で、これを混 乱させ、さらには破壊する危険性をも秘めている。その包括的な 浸透力を受け入れないものは、置き去りにされてしまうことも多 い。私たちの任務は、これを防ぎ、グローバリゼーションが万人 にとって進歩と繁栄と安全をもたらすようにすることである。私 は国連に、この努力の先導役を務めさせる所存である。

5 . 国際法秩序の強化

169. 国際秩序を法的規範と規則に基づいたものとすべきであるとい う考えは、脆弱で断片的なものではあるが、着実に支持を増やし ている。取引法体系の拡充と、その他の規則に基づく枠組により、

世界市場の拡大が可能になっている。多国間条約の中には、軍備 管理や軍縮はもとより、地球市民全体に関連する問題に取り組む ものもある。国連は、人権の定義と保護について、独自の役割を 果たしている。事実、世界人権宣言採択50周年に当たる1998年に は、この分野における私たちの責任が、これまで以上に認識され ている。

170. したがって、1998年に「ローマ国際刑事裁判所規程 (Rome Statute of the International Criminal Court)」が採択されたことは、

時宜に適ったことといえる。ローマ会議は、国際社会全体がもっ とも懸念する犯罪、すなわち、ジェノサイド、人道に対する罪、

戦争犯罪および侵略罪を対象とする恒久的裁判所の設立という、

長い間国際法体系の空隙と考えられてきた課題の克服に成功した のである。

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