142. 国連難民高等弁務官事務所(UNHCR)の推計によれば、難民、
国内避難民およびその他の戦争被災者の総数は、1997年中に30万 人程度減少し、同年末には2,230万人となっている。この数字に は、難民1,200万人、亡命希望者95万人、再統合初期にある帰還 民350万人、ならびに、国内避難民および大半が戦争で被災した コミュニティー出身のその他の人々590万人が含まれている。
1997年中にUNHCRのプログラムにより、あるいは、自力で帰還 した難民の数は、総計で約90万人に上っている。しかし、難民た ちが帰る場所は、紛争直後の脆弱あるいは不安定な状態にあった り、まだその渦中にあったりすることが多い。旧ユーゴスラビア では、地域の内外で依然として180万人の人々が避難を続けてお り、UNHCRは引き続き、その対応を迫られている。コソボでの 紛争と、クロアチアのドナウ川地域で続く緊張状態により、これ らの地域を逃れる人々を援助するため、UNHCRのプレゼンスが 再び必要となっている。
143. 西アフリカでは、ギニアビサウとシエラレオネの情勢不安によ り、近隣国に難民が流出しており、ギニアは現在、アフリカでも っとも多くの難民を抱える国の一つとなっている。同地域では、
紛争後の平和建設活動も行われており、リベリアでは、復旧プロ セスも開始されている。1997年7月から1998年7月にかけて、
UNHCRは、ほぼ5万3,000人の難民が同国へ帰還する援助を行っ ている。大湖地域での難民発生の原因への取組みと、その解決の 推進を図るため、UNHCRとアフリカ統一機構は5月、カンパラで 会議を開催し、各加盟国の安全保障上の懸念を考慮しながら、難 民の保護を図る方策を中心とする話合いを行った。会議では、人 道援助と長期的な再建・開発の複雑で困難な関係についても、取 組みがなされている。
144. 難民および帰還民の再統合と社会復帰のニーズに取り組む上 で、UNHCRは大きな課題に直面している。しかし、資金不足に より、その死活的な活動の規模縮小、および、場合によってはそ の停止が余儀なくされるのではないか、という懸念が広がってい る。この懸念は特に、アンゴラ、ルワンダおよびリベリアでの活 動について当てはまる。
145. 人道援助と開発活動を組み合わせることにより、国連パレスチ ナ難民救済事業機関は、ヨルダン、レバノン、シリア・アラブ共 和国、ならびに、ヨルダン川西岸およびガザ地区のパレスチナ難 民350万人に対し、救援および社会サービスの提供を続けている。
しかし、1993年以来の慢性的な資金不足により、総額3億1,400万 ドルの1998年度予算は6,200万ドルの赤字となっていることもあ り、同機関のサービスの水準は低下を続けている。
146. 国連とそのさまざまな救援機関は、多くの場合、ほとんど克服 不可能な政治的・物理的困難と、厳しい資金的制約に直面しなが ら、国際的な人道援助努力を主導している。天災と人災に起因す る惨禍を緩和する鍵は、これらの人道援助努力を、政治、経済お よび開発の分野で行われている努力と結び付けることにある。国
連機関と国連システム外の機関の効果的な活動調整は、この作業 の核心をなすものである。
4. グローバリゼーションへの対応
147. 厳密に地理的な意味からすれば、グローバリゼーションに目新 しいものはほとんどない。世界的規模で相互連関性を有する人間 の活動は、数世紀にわたって続いてきている。しかし、現代のグ ローバリゼーションは、全く新しい姿を持っている。例えば、一 つの自動車モデルの生産、あるいは、ある金融商品の地球的取引 は、物理的に多くの国にまたがって行われることがある。こうし た分散的な活動は、あたかも一ヵ所で行われるかのように機能し、
リアルタイムで接続され、自らの全体的論理に従って実行される。
こうした論理は、単一の企業体によって決定されることもあれば、
コンピュータ画面および電話での数千件に上る個別の売買注文に よって決定されることもある。また、人口力学は、土地利用およ びエネルギー消費のパターンとともに、局地的およびサブ地域的 生態系に、常に影響を与えてきた。今日、このような人間的要因 は、オゾン層破壊、地球温暖化、生物多様性の減少などを通じ、
地球の生態系全般にますます大きな影響を与えている。さらに、
企業による財・サービスの国境を越えた生産を可能にしている技 術進歩と開放的国境は、テロリストのネットワーク、犯罪組織、
薬物密売人および資金洗浄者に対しても、世界を股にかけた活動 の展開を可能にしている。
148. このようなグローバリゼーションの新たな側面に対しては、国 連およびその他の国際機関による多角的な取組みが必要である。