第4章 循環器シミュレータの開発
4.3. Murgo 分類大動脈タイプへの解析適用
4.3.3. 非対称T字管型大動脈モデルによる循環器シミュレーション
Murgo 分類の A,B,C タイプの Windkessel 型大動脈パラメタを上記で変換し, 非対称T字管型の 大動脈パラメタとして使用した.
これらのパラメタを用いて, 大動脈を非対称T字管型モデルとする循環器シミュレーションを実施 した.
図 4.3.3 にタイプ A, B, C の大動脈パラメタを用いてシミュレーションを行った結果で得られた血 圧と血流の一覧を表示する.
タイプ A の血圧は, 中心部, 体部(ボディ部), 頭部(ヘッド部)は, ほぼ同じような動きをしている.
体部の血圧が少しだけ遅れて反応している. タイプ C の血圧は, これに比べて変化に富んでいる.
中心部, ボディ部, ヘッド部の血圧変動は, 異なるタイミングで動いており, 各々の反射影響も波 形の振動を通して, 見て取ることができる.
タイプ B は, A と C の中間で, 血圧ではボディ部が他のものと異なる動きをしている様子が伺える.
タイプ C の血流では, ボディ部とヘッド部間で多くの血流が往来している様子が見て取れる.
図 4.3.3タイプ別の血圧, 血流のシミュレーション結果一覧比較
横軸に左心室の容積[ml], 縦軸に左心室の血圧[mmHg]を配置し, 左心室の動作履歴をプロット したグラフを図 4.3.4 に紹介する.
このグラフは心臓の動きに合わせて, 動作履歴を残したもので, 左下コーナーから動作を説明 する. 最初は左下コーナーから右下コーナーに履歴が進み, その後, 右下から反時計回りに動作 が進み, 左下コーナーに履歴が戻る繰り返しである. 最初の左下から右下方向への動きは, 左心 室への血液の充満期である. 左心室が空で最小の状態から, 室圧は殆ど上昇しないで容積が膨 らむ時期である. その後, 左心室が血液を駆出し始める状況が, 右下から上方への履歴で等容 量収縮期となる. 右上から左上への動きは, 駆出期で, 左心室は容積を縮めながら血液を駆出す る様子が分かる. 最後に, 左上から左下は, 等容積弛緩期で少し残った血液の駆出を行っている.
タイプ A は, 左上にピーク位置を確認できる. タイプ B は中央部上方にピーク位置を確認できる.
タイプ C は右上にピーク位置を確認できる. 「左室収縮期前期の室圧」である右上部分の血圧と
「左室の収縮期後期の室圧」である左上部分の血圧を比較する. タイプ A は, 左上の血圧が右上 の血圧よりも高めである. タイプ B は, 左上と右上の血圧がほぼ同じレベルと考えてよさそうである.
タイプ C は左上よりも右上の血圧が高めである. これらの特徴は, 4.3.1 節で述べた Murgo 分類の 各タイプの特徴をよく反映している.
以上によって, 開発したシミュレータの検証を行うことができた.
なお, シミュレータで使用した入力パラメタは付録 B に掲載した.