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第2章 鉛バッテリー内部抵抗測定器の開発

2.4. 試行測定と対照実験結果

2.4.1. 試行測定とその結果

4組の配線がバッテリーに接続されている. 1つ目は, 電源供給用である. 2つ目は, バッテリーに パルスを供給するためのものである. 残りの2つは, 内部抵抗測定用である. 温度・湿度センサを バッテリーケースの側面に貼付してある. パルス制御サブシステムと測定・記録サブシステムは, 1 本の配線で接続されている. これは, 内部抵抗測定時にはパルス発生デバイスに動作を停止する 信号を送付するためのものである.

2.4. 試行測定と対照実験結果

測定結果を図 2.4.1 に示す. 図 2.4.1(a)は測定条件を示す. すなわち, 3週間に渡る温度と湿度 の測定結果である. 図 2.4.1(b)は, バッテリーの電圧と内部抵抗を示す. これらは, 1時間に1回の 頻度で測定し, 日を単位に 24 時間で平均化したものを表示している. 図 2.4.1(b)において, 2/24 から 2/26 にかけて, 電圧が 12.3 V から 13.5 V へと上昇する現象が観測された. そして, それに 対応して内部抵抗値が 5.6 から 5.0 mΩ に減少した. この現象は, バッテリーが満充電になったこ とによるものとして説明できる. もう少し詳しく述べると, 満充電の前は, バッテリー充電器からの

0.0 20.0 40.0 60.0 80.0 100.0

0.0 5.0 10.0 15.0 20.0 25.0 30.0 35.0

02/19 02/21 02/23 02/25 02/27 02/29 03/02 03/04 03/06 03/08 03/10

Temp[C] Hum[%]

2.0 4.0 6.0 8.0 10.0 12.0

10.0 10.5 11.0 11.5 12.0 12.5 13.0 13.5 14.0

02/19 02/21 02/23 02/25 02/27 02/29 03/02 03/04 03/06 03/08 03/10

Voltage[V] Internal Resistance[mΩ]

(a) 温度と湿度の測定結果

[C] [%]

[V] [mΩ]

Date Date

時間ごとの測定結果を図 2.4.2 に示す. このグラフはバッテリーの電圧が徐々に降下していること を明確に示している. この観測だけでは, 1週間のフローティングチャージでの電気的なパルスの 有無によってこの現象を説明するには不十分である. この問題を確認するためには, 異なるパル ス条件やパルスデバイスの有無などの多くの比較実験が必要である. なお, ここで使用したパルス 発生デバイスは, 後述の対照実験で使用したデバイスの中では「弱」の分類のパルスを発生する デバイスである.

ここでの結果としては, 開発した測定デバイスが, この実験に有用であることが結論づけられる.

試行測定について, その結果をまとめておく.

0.0 20.0 40.0 60.0 80.0 100.0

0.0 5.0 10.0 15.0 20.0 25.0 30.0 35.0

02/24 02/25 02/26 02/27

Temp[C] Hum[%]

2.0 4.0 6.0 8.0 10.0 12.0

10.0 10.5 11.0 11.5 12.0 12.5 13.0 13.5 14.0

02/24 02/25 02/26 02/27

Voltage[V] Internal Resistance[mΩ]

(a)温度と湿度の測定結果

(b)電圧と内部抵抗値の測定結果

[C] [%]

[V] [mΩ]

図 2.4.2 時間を単位とした測定結果

まず, IoT タイプデバイスの鉛バッテリーの状態を測定する測定システムを開発した. これは, 1 時間に1回の頻度で測定環境データと一緒にバッテリーの内部抵抗値と電圧を測定し, 記録する ものである. これは IoT タイプのものであるので, 測定したデータはデータベースに転送して蓄積 される. そしてバッテリーの状態は, いつでもウェブブラウザからモニタリング可能である. 試行実 験として, 3週間の測定を行い, 内部抵抗の低下とバッテリー電圧の上昇を観測することができた.

電気的なパルスを与えてバッテリーの寿命を延命することに関しては, このデバイスを使用した多く の対照実験が必要である.

後の課題を以下に纏めておく.

開発した内部抵抗測定デバイスは, 標準的な測定デバイスと比較して, その精度を確認すべき である. さらに, 内部抵抗計算ソフトウェアを改良して数値の小数以下の有効数字を使えるようにし て, 内部抵抗の小数点以下の少しの変化も測定できるようにすべきである. また, 鉛バッテリーは 温度変化に敏感であるとされており, 内部抵抗の温度補正も検討すべきである. バッテリーの測定 は数カ月単位で継続すべきである. そのため, システムの安定性も確認されなくてはならない. こ れらが行われて, パルスによるバッテリーの延命が正確に適切に行われ得る.