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従来のスーパーキャパシタモデル

第3章 リチウムイオンキャパシタのモデル化

3.3. 提案するリチウムイオンキャパシタモデルと充電器, 放電器のモデル

3.3.2. 従来のスーパーキャパシタモデル

EV(電気自動車)へ MBD(モデルベース開発)を応用する際のバッテリーモデルは, いくつか提 案されてきている[12][13][14][15]. キャパシタに関しては, 電気二重層キャパシタ(EDLC)のモデルが報 告されている[6][16]. さらに, 一般的なスーパーキャパシタに対する回路シミュレーションモデル[17]や スーパーキャパシタの動作モデル[18]に関して既に議論が始まっている.

ここでは, LIC や EDLC 使用時のスーパーキャパシタの実装について着目する. もっとも単純な EDLC モデルは RC の直列モデルである(図 3.3.1(a)). ここで, 抵抗 R とキャパシタ C が RC 接続 と呼ばれる直列接続で繋がっている[19]. 並列に RC 直列接続が3つ分岐するモデルが検討されて きており[19], Zubieta モデルと呼ばれている(図 3.3.1(b)). このモデルは, 電圧依存性をもったキャ パシタで表現されている. この他のタイプのモデルとして, 時変応答で動作する2つの直列スイッ チを含む, 3つの RC 直列接続のものが挙げられる.

図 3.3.1 EDLCスーパーキャパシタのモデル例

EDLC に対する3分岐モデルのものは, 異なる時定数の成分を異なる枝で表現したものである.

そういったモデルは, 文献[19]で開発されてきた. EDLC の特性に合わせるための精度向上で, RC 直列接続を追加し, EDLC モデルが徐々に複雑なものになってきた. しかしながら, モデルの性能 向上に関しては, キャパシタを付け加えてゆくことで得られるその効果は, 大変に小さいと言われ ている[21]. 従って, これまでの多くの EDLC モデルは, RC 直列接続で実装され, 充電特性や放電 特性を実測値に合せ込むように追加の RC 直列接続を加えることで, 改良されてきたということがで きる.

LIC は比較的新しいデバイスで, LIC モデルに関しては数例の研究しか議論されていない. これ までに提案されてきた LIC モデルは, 2つのカテゴリに分類することができる. 1つ目のモデル[22]

のタイプは, EDLC の Zubieta モデルを拡張したもので, 3セットの可変キャパシタと2つの可変抵 抗のセット(1つが充電特性, 1つが放電特性を表す)と1つの並列抵抗で構成される(図 3.3.2).

ここで, これらの可変デバイスの値は, 測定結果から作成された対応するルックアップテーブルを 参照することで決定される. 従って, このモデルは使用されるデバイスに限定されるものとなる. ル ックアップテーブルの項目は電流や充電状態(SoC), 温度, 充電・放電サイクルなどがあり, ルック アップテーブルの可変素子は2次元から4次元のオーダを有する. ルックアップテーブルを完成さ せるためには, 大規模な専用設備で, 大変に注意が行き届いた測定が必要である. 対照的に, こ のタイプのモデルは各々の RC 直列ブランチに対する抵抗(これは基本的な Zubieta モデルの改 良であるが)を含んでいない. 改良の目的は, EDLC の三分岐モデルの簡素化にある. このモデ ルの簡素化への取組みは, LIC には EDLC ほど電圧依存性がないという事実に基づいている.

図 3.3.2 LICのモデル例(Zubietaモデルの拡張型)

2つ目のモデル[23]は, 無数の RC 直列接続で構成される(図 3.3.3). そして, R と C は3つのパラ メタ(Ri:抵抗値, C:容量値, τ:時定数)で決定され, これらは電圧の3次や4次の多項式で近似さ れる. このモデルは, 図 3.3.1(b)の左側の EDLC モデルの第1の枝に由来するものである[24]. 第1 の枝のみを考慮した理由は, LIC の放電電流が EDLC よりも強い線形性を有していることにあるこ とは自明である. LIC の周波数特性を含むインピーダンスはこれらの3つのパラメタから計算するこ とができる. そして, このモデルから同定されるパラメタは比較的単純である. しかしながら, 後程 説明するように, LIC は放電電流に対する容量依存性を持っている. 電圧依存性ではなくて, 電流 依存性をモデリングにおいては考慮すべきである.

図 3.3.3 LICのモデル例(Zubietaの第1枝を無数のRC直列接続で構成)