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電流特性の算出結果とその考察

第5章 簡易二相モデルを用いたリニア誘導モータの回路定数

5.4 提案法の実施例と検証実験

5.4.2 電流特性の算出結果とその考察

無負荷時の各相の不平衡電流を等価的に実測するために,等価無負荷試験 を実施した.まず,LIM の二次側を裏張り鉄板のみの状態(第 3 章 3.4.3 項 の図3.13参照)とし,図5.13の試験回路を構成した.次に,100V/50Hzの電 圧を定格出力12kVAの三相線形パワーアンプ(NF回路設計ブロック製 精密 電力増幅器 8485)により印加し,そのときの各一次線間電圧(実効値)の平 均値V0,各一次相電流(実効値)の平均値I0,三相電力の実効値P0をデジタ ルパワーメータ(横河電機製 2531),モータの中性点に対する各相の巻線端 子を見た一次相電圧 v1av1bv1cの波形および各相の一次相電流i1ai1bi1c

の波形をアナライジングレコーダ(横河電機製AR1100A)で測定した.供試 LIM の定格電圧は 200V であるが,ここでは,線形時における検討を行うた め,半電圧の 100V 印加としている.デジタルパワーメータの実測値は,V0

= 100V,I0 = 4.21A,P0 = 161Wであった.また,アナライジングレコーダで

測定した各一次相電圧 v1av1bv1c の実測波形を図 5.14,各一次相電流 i1ai1bi1cの実測波形を図5.15に示す.

図5.13 等価無負荷試験回路構成図

可動子(一次側)

デジタルパワーメータ

アナライジングレコーダ 三相線形

パワーアンプ 33W 100V/50Hz

シャント抵抗器

i1a i1b i1c

裏張り鉄板(二次側)

v1a v1b v1c

c b a n

V0 , I0, P0

図 5.14 等価無負荷試験時の一次相電圧実測波形(100V印加時)

図 5.15 等価無負荷試験時の一次相電流実測波形(100V印加時)

図 5.14および図 5.15より,一次相電圧および一次相電流は,v1a < v1b ≈ v1ci1a < i1bi1cとなり,b相と c相は対称であるが,a相はこれらと非対称であ ることが確認される.これは,第 3章 3.3.1項で述べた図 3.9(b)のLIMの 巻線構造から推察される物理像と一致している.

−100

−50 0 50 100

時間[5ms/div]

一次相電圧 [V]

v1a v1b v1c

−10

−5 0 5 10

時間[5ms/div]

一次相電流 [A]

i1a i1b i1c

さらに,図 5.3 の簡易二相モデルの妥当性を検証するために,等価無負荷 試験のシミュレーションにより電流特性の検証を行った.等価無負荷試験は 二次導体を取り除いて行うため,それを模擬するために(5.22)式ではなく一次 側のみで表した次式を使用した.



 



 

 



 

1 1 1

1 1

1 1

1

) (

0

0 )

(

i i m l P r m l P r v

v

q

d ··· (5.32)

ここで,軸および軸の一次電圧 v1v1は,図 5.14 の等価無負荷試験 時における一次相電圧v1av1bv1cの実測値を三相/二相変換した電圧を用い た.図 5.16は,(5.32)式より求めた軸および軸の一次電流i1i1を二相/ 三相変換して求めた一次相電流のシミュレーション波形である.これより,

ia < ibicとなり,図5.15の実測波形とほぼ同様の結果が得られていること が確認される.また,各相の一次相電流の実効値は,実測では,a相が 3.83A,

b相が4.44A,c相が4.42Aであり,シミュレーションでは,a 相が3.46A,b

相が 4.02A,c 相が 3.97A であった.図 5.15 の実測値を基準として,a 相が

9.7%,b相が 9.5%,c 相が 10.2%といずれも 10%程度の誤差で不平衡電流を

算出できていることが確認される.

図 5.16 簡易二相モデルによる等価無負荷試験時の一次相電流

シミュレーション波形(等価無負荷試験時の一次相電圧の実測値印加時)

−10

−5 0 5 10

時間[5ms/div]

一次相電流 [A]

i

1a

i

1b

i

1c

一方,二次側を考慮した(5.22)式を用いて,無負荷(s = 0)時の電流特性の シミュレーションを行った.図5.17は,(5.22)式より求めた軸および軸の 一次電流 i1,i1および二次電流i2,i2を二相/三相変換して求めた一次相電 流および二次相電流のシミュレーション結果である.図 5.17(a)より,ia <

ic < ibとなり,図5.16の傾向と異なっていることが確認される.これは,図

5.17(b)に示すように無負荷時においても二次電流が流れることに起因する ものと考えられる.この妥当性については,次節で二次側を回転円盤とする ことによって定常運転が可能な特殊な LIMを用いて検証する.

(a)一次相電流波形

(b)二次相電流波形

図 5.17 簡易二相モデルによる無負荷時の一次相電流および二次相電流

シミュレーション波形(等価無負荷試験時の一次相電圧の実測値印加時)

−10

−5 0 5 10

時間[5ms/div]

一次相電流 [A]

i

1a

i

1b

i

1c

−10

−5 0 5 10

時間[5ms/div]

二次相電流 [A]

i

2a

i

2a

i

2b